本文
水需要の減少や物価・電気料金の高騰など、水道事業を取り巻く経営環境が一層厳しさを増す中、“将来にわたり安定した経営を行うための方策”について、令和5年8月に学識経験者や市民代表等で構成される「高槻市水道事業審議会」に諮問を行い、検討を進めてきました。
▶これまでの審議経過は 高槻市水道事業審議会のページ をご覧ください
このたび全6回の審議を経て 答申*がまとめられ、令和6年5月21日に市長へ提出されました。
*答申とは…行政からの問いかけを受け、第三者機関が意見・回答を行うこと
今後この答申を受けて、市では具体的な検討を進めていきます。
【閲覧用】(広報誌7月号 折込チラシ)水道をご利用のみなさまへ (PDF:3.72MB)
【印刷用】(広報誌7月号 折込チラシ)水道をご利用のみなさまへ (PDF:3.28MB)
市民の財産である水道施設を次の世代に継承し、将来発生が予想される南海トラフ地震等の大規模災害時においても、安全で良質な水を安定的に供給し続けるためには、増大する更新需要に対応して、計画的に施設を更新していく必要があります。
また、令和6年能登半島地震での甚大な被害(広範囲・長期の断水)からも、安全で強靭な水道事業の必要性はさらに高まっており、基幹管路・重要給水施設管路の早期の耐震化など、水道管路の強靭化を着実に進めることが必要です。
関連ページ:【能登半島地震】応急給水・応急復旧支援の様子(内部リンク)
R4実績 | R6目標 | R12目標 | ||
---|---|---|---|---|
耐震 適合率 |
基幹管路 | 54.2% | 57% | 70% |
重要給水施設管路* | 74.8% | 79% | 100% | |
更新率 | 鋳鉄管路 | 年 1.09% | 年 1% | 年 1% |
*重要給水施設管路…災害時に医療救護活動を担う拠点病院や救護所等に至る管路
関連ページ:管路の耐震化に取り組んでいます(内部リンク)
大規模災害に備え計画的に管路の強靭化(ポイント1)を行いながら、将来にわたり安定した経営を堅持するためには、水道料金収入等で増収を図ることが必要不可欠です。
以下の高槻市の水道料金の課題とその是正の方向性に留意し、新たな体系・水準の検討が必要です。
*基本料金…使用水量に関わらずお支払いいただく料金
*従量料金……使用水量に応じてお支払いいただく料金
「従量料金」の比重が高いと、今後水需要の減少が続く中では、使用水量の減少によって料金収入も大きく減少し、経営に悪影響を及ぼすことが見込まれます。
基本料金における口径間比較の比率をみると、小口径と大口径の料金の格差が近隣各市の中でも大きく、大口径に比べ小口径の基本料金が割安となっています。
↓
基本料金での回収割合の引上げを
高槻市では、使用水量が多くなるほど料金単価が段階的に高くなるいわゆる逓増制を採用しています。
逓増制は、高度経済成長期において急激に増加する水需要を抑制するために採用されたもので、水需要の減少により今後の使用水量は年々減少していく見込みである現在では、逓増制の必要性は薄れてきているといえます。
近隣各市と比較しても、高槻市は逓増度が比較的高くなっており、多量使用者への依存度が高くなっています。
口径13mmから25mmまでの小口径の少量使用者(1か月当たり30立方メートルまでの使用)が支払う料金は、小口径の基本料金に加え、少量使用時の従量料金が安いため、給水に要する原価を大きく下回っており、本来、使用者に負担を求めるべき最低限の費用を回収できていない状況です。
このような「原価割れ」の割合が小口径の使用件数の大部分を占めており、単身世帯や核家族の増加などにより1世帯当たりの使用水量が減少傾向にある中、原価割れの割合は今後さらに増加することが見込まれ、それによる収益の減少が大いに懸念されます。
↓
少量使用者の従量料金の引上げを中心に逓増度の緩和を
水道施設の更新・耐震化を着実に実施するため、
(1)(2)の料金体系の見直しと合わせて、真に必要な水準へと見直しが必要です。
下図の推計に示すように、令和12(2030)年度末に資金残高がマイナスに陥り、令和17(2035)年度末では、資金残高の不足額は121 億3千4百万円と見込まれ、これに事業継続に最低限必要な資金15億円*を加えた136億3千4百万円を確保することが、安定経営と円滑な事業推進のために必要となる資金です。
*高槻市では大規模災害が発生し、水道料金収入等が見込めない事態となっても
3か月分の支払いをまかないうる額として15億円を資金残高目標としています
✔ R12年度の収支赤字・資金不足を見据え、 |
---|
高槻市では、企業債による利息負担を少しでも抑え、将来の更新投資のための資金を確保するため、平成15(2003)年度を最後に企業債の新規借入れを行わず、この間、過去に積み立てた自己資金を活用し、建設資金を賄ってきました。
しかし、管路を含む水道施設は世代を超えて使用する財産であり、これら水道施設の整備の財源については、水道料金収入による財源確保に加えて、企業債についても従来の方針から転換し、世代間負担の公平性のため一定の活用を検討する段階に差し掛かってきたのではないかと考えられます。
なお、金利状況等から想定される収支への影響等について十分勘案した上で慎重に企業債の活用方針について検討する必要があります。
答申書の鑑 (PDF:43KB)
【全編】将来にわたり安定した経営を行うための方策について(答申) (PDF:8.09MB)
今後この答申を受けて、市では具体的な検討を進めていきます。 |
---|