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令和7年度第1回高槻市バリアフリー推進協議会
令和7年5月21日(水曜日)午前10時から午前12時
高槻市役所本館2階 全員協議会室
出席委員19名(欠席委員4名)
3名
都市創造部 都市づくり推進課
開会に先立ち、八十副市長から挨拶。出席された委員並びに事務局の紹介。
委員23名中19名出席につき、高槻市バリアフリー推進協議会規則第3条第2項の規定により、本協議会が成立していることを報告。また傍聴希望者が3名、今回の議題につき公開することが不適切なものと認められないため傍聴を許可。
【会長】
議事1の「高槻市バリアフリー基本構想」の事業取組状況について、まずは、公共交通特定事業、道路特定事業、交通安全特定事業、都市公園特定事業について各所管の事業者から説明をお願いする。
【各所管事業者】
<事業取組状況の説明>
【会長】
ここまでで一度質疑応答の時間をとるが、質疑応答に先立ち、まずは障がい者団体からの意見について、事務局から説明をお願いする。
【事務局】
過年度より要望を受けている、JR高槻駅西口改札の無人化に伴う障がい者への対応方針の検討状況について、具体的に伺いたいという要望を受けている。
【関係者A】
有人化への要望があるのは存じているが、昨今の労働者人口減による人材不足の影響から全社的に駅員の再整理を行っていることから難しく、代わりに設備の充実といった形で検討を行っている。
具体的には、聴覚障がい者向けサービスとして、スマートフォンでQRコードを読み込み、チャット形式で窓口と会話を行う「スマホでインターホン」の導入を検討している。
現在JR西日本管内の全エリアで駅の体制見直しを進めており、それに伴いシステムの変更等の整理を行っているため、今日、明日の対応は難しいが、近日中の導入に向けて準備を進めている。
視覚障がい者に対しては、過去には改札口のインターホンの場所を示す音声案内を実施していたが、体制見直しに伴い現在は音声案内を行っていない。一定の手続きが必要なため少し時間はかかるが、速やかに音声案内を再開する手続きをとっている最中である。
【副会長】
阪急電鉄ではアプリによる介助予約システムの導入を行っており、海外ではこのようなシステムに加えて、駅に介助スタッフを置いている事例がある。駅員を配置することは昨今の人材不足で難しいことは理解できるが、介助スタッフの配置を日本の鉄道会社にも検討して欲しい。
【関係者A】
阪急電鉄の介助予約システムについては、非常に興味深い内容であると考えており、個人的には前向きに捉えていきたい。社内に持ち帰り、どういった対応ができるのか検討していきたい。
【A委員】
「スマホでインターホン」について、詳細や既設の駅があれば教えてほしい。
【関係者A】
現地にQRコードが書かれた案内があり、それをスマートフォンで読み込むことでシステムが立ち上がり、文字によるチャット形式で質問や困りごとのやり取りを行うシステムである。
近畿管内では摂津富田駅で設置されていたが、体制の見直しのため、現在QRコードの案内板は引き上げている状況である。
アプリのダウンロードで対応できると関係部署から聞いているため、ホームページ等でご確認いただき活用していただきたい。
文字数制限があり、細かなニュアンスが伝わりにくいといった指摘を他自治体から受けているため、システム担当と相談しながら改善に役立てていきたい。
【B委員】
QRコードを使ったチャットシステムについて、若者だと容易に使用できると思うが、高齢の聴覚障がい者にとっては難しいと思うので、そのあたりに配慮をして欲しい。
【関係者A】
他の団体からもスマホ操作に不慣れな層へのケアを求めるお声を多くいただいているため、限られた人材の中でどういった対応が可能か、他の事例なども勉強しながら社内で検討していきたい。
【会長】
この件については、引き続き協議会でも議論していきたい。その他、各事業の取組についても質問等はあるか。
【C委員】
摂津富田駅のバスターミナルに設置された点字ブロックは何色か。景観に配慮した落ち着いた色の点字ブロックを設置することがあるが、視覚障がい者、特に弱視の人にとっては認識しづらいためやめてほしい。
【高槻市交通部】
一般的な黄色のブロックを設置している。
【A委員】
高槻城公園の国道171号側に城門を再現した入口を作り、そこから延びる通路には、歴史的景観を重視して点字ブロックの設置は行わない計画と聞いているが、この地区は重点整備地区であり、視覚障がい者にとっても国道から公園に入る重要な経路であるため、ぜひ点字ブロックを設置してほしい。
【高槻市歴史にぎわい推進課】
当該エリアについては令和9年度から実施設計を行う予定であるため、その段階で検討していきたいと考えている。
【副会長】
摂津富田駅西側踏切内のエスコートゾーンの設置について、2本の誘導ラインを採用しているが、これを採用した経緯を教えていただきたい。また、障がい当事者の参加による実地検証などは行ったのか。
【D委員】
踏切内の幅員が狭いことから、2本線によるエスコートゾーンを採用した。当事者の参加については、この場ではわかりかねる。
【副会長】
踏切は障がい当事者にとって危険を伴う箇所であるため、しっかりと当事者が立ち会った上で検証のプロセスを経て設置した方がよい。
※後日、視覚障がい者団体の現地立会いの下、設置したことを確認。
【会長】
ここからは、残りの建築物特定事業及び心のバリアフリーについて、各所管事業者から説明をお願いする。
【各所管事業者】
<事業取組状況の説明>
【会長】
建築物特定事業ならびに心のバリアフリーについて、意見などがあれば伺いたい。
【E委員】
市のバリアフリー総合学習の取組について、このような体験ができるのは、児童にとって大きな意味があると思うので、社会福祉協議会のわくわくチャレンジ講座と併せて、より多くの学校でこのような体験ができるように取組を広げていってほしい。
【F委員】
社会福祉協議会では、わくわくチャレンジ講座の他に、イベント等を執り行うときに、併せて体験学習的な取組も行っていることをご紹介させていただく。
【会長】
制約はいろいろとあると思うが、引き続き検討を進めてほしい。その他の意見はないか。
【G委員】
社会と当事者の対話の中でバリアフリーは進められると考えるので、教育の中でも当事者参加ということをお願いしたい。例えば、私も参加させていただいたあるバス会社の職員研修で、車いす当事者が参加することでこれまでとはリアリティがまるで違った体験をした。社会福祉協議会や市の取組においても、ぜひ取り入れてほしい。
【F委員】
地域共生社会の実現に向けて、「支える側」と「支えられる側」といった従来の関係を超えて共に社会で生きていけるような地域社会が求められている。そういった中で、このような会議においても、さまざまな意見交換を行い、今後取組につなげていけたらと考えている。
【G委員】
高槻市には社会福祉協議会に当事者のことを教えてもらいながら取組を進めてもらいたい。もう少し踏み込んだ話をすると、ニーズを的確に伝えることができるスキルの高い当事者の方を育成していくことも必要であり、その役割を社会福祉協議会にはお願いしたい。
【事務局】
本市では、バリアフリー総合学習において、障がい者団体の方々に協力していただき、小学4年生を対象に総合学習を行っているが、当事者が参加することでより理解が深まるような取組だと考えている。事業者の中で当事者の参加等を行っていきたいという話があれば、市としても、障がい者団体の窓口になるような形で協力できたらと考えている。
順番が前後するが、E委員からご意見があった総合学習の回数を増やすということについて、以前から同様の意見をいただき検討した結果、回数を増やすことはなかなか難しいため、代わりに障がい者団体にも協力いただきながら、当事者の体験談などをDVDに収め、学校へ貸出を行っている。
回数を増やすことについては、障がい者団体と相談しながら考えていくことになる。
【H委員】
G委員から当事者参加のお話をいただいたので意見を述べたい。昨年10月ごろに参加したバス事業者の研修において、車いすや視覚障がい者等の当事者参加の下、車いすの取り扱い方や実際のお客様の意見を頂戴する貴重な体験をさせていただいた。この時の経験を今後、乗務員等に対し周知を徹底していきたいと考えている。
【G委員】
この1、2か月前に、LGBTQの方や知的、精神、発達障害の方等たくさんの当事者の参加の下、「バリアフリーサポートブック」を作成した。視覚障がい、車いす、聴覚障がい等いろいろな障がいを意識して作られており、交通事業者の方々の接遇に関するマニュアルというよりガイドブックのような形になっているので、ぜひ活用してほしい。
【会長】
議事2の大阪・関西万博における当事者参加のユニバーサルデザインについて、ガイドラインの検討にご尽力されたG委員より説明をお願いする。
【G委員】
大阪・関西万博において、当初、万博協会が策定した会場全体を統括する施設整備のガイドラインが存在したが、障がい当事者の意見が十分反映されたものではなかったため、様々な障がい当事者の参加の下、議論を重ね、施設整備のガイドラインの改定を行った。
ガイドラインにも記載しているが、国や府の基準を満たすだけでは不十分で、その施設の趣旨や特徴を加味したものでなくてはならない。
実際に当事者参加の下、ガイドラインに基づいて個別のケースとして設計がなされたのは、日本館、大阪館、そして万博協会が統括する会場全体の3つである。当事者参加による施設設計は、会議だけでなく、様々なワークショップを通して行い、模型等を作り、当事者に実際に使用感を聞きながら設計を進めた。当事者に実際に使っていただきながら進めることで、健常者ではなかなか気が付かないことがわかり、より当事者のニーズに即した設計が行えた。
<今回の検討で特に工夫したのは以下のとおり>
【会長】
議事3のその他として、まずは阪急電鉄より介助予約システムについて説明をお願いする。
【I委員】
阪急電鉄では、これまで車いすなどでご利用される際は、駅係員に申し出頂くか、事前に電話で介助を依頼いただく方式をとっていたが、それに加え、本年4月24日16時から新たにウェブでの介助予約システムを開始した。
導入したシステムでは、時間の制約がなく予約できることと、ウェブ上で乗車降車する予定の駅、利用する電車の時刻、必要なサポート内容を入力することで、その情報が駅係員専用のアプリに届き、係員の派遣、サポートの準備等が確実に行えるサービスとなっている。
このサービスは阪急電鉄線内87の駅での乗降が対象となっており、乗車日の70日前から予約が可能となっている。
電話での予約や、駅係員へ直接申し出していただくことも、今まで通り可能となっており、介助予約の選択肢が増えたと考えていただきたい。
【会長】
それでは、先ほどの説明について意見等はあるか。
【副会長】
イギリスでは、元ナショナルレールで現在は24社に分社化されている鉄道会社すべてが、阪急電鉄と同じシステムを入れている。利用者は乗換検索をしたときに、それをそのまま送信すれば路線だけでなく鉄道会社が変わったとしても、すべて一回の予約でできるというシステムである。
例えば阪急電鉄からJRに乗り換えたとしても、このシステム一つで予約が行えるが、導入が一社だけだと他社への乗り換えの対応が難しいため、是非ともいろいろな会社に導入してもらいたい。
もし導入してもらえると、ゆくゆくはバスやタクシー、ホテルまで一つの予約だけで、乗り継ぎ場所で介助者が待ってくれていて、スムーズな介助が受けられるようになるため、ぜひ導入を検討して欲しい。
【会長】
その他、意見はあるか。
【G委員】
このシステムは最低何日前に予約が必要なのか。
【I委員】
午前8時より前に出発する電車については、前日の21時までに予約する必要があるが、それ以外は電車出発の3時間前に予約してもらえれば対応可能である。
【会長】
他に、市民委員からも意見等はないか。
【J委員】
誰もが生きやすい、生活しやすい社会にしなくてはいけないという思いを子供の時にもつことは、社会のバリアフリー化の基礎になると思う。E委員がおっしゃっていたように、バリアフリー総合学習については、小学4年生はその児童にとっては一度しかないため、障がい者団体や市の働きかけにより、参加してくれる当事者を増やし、必ず学ぶ機会を持てるようにしてほしい。
【K委員】
障がい当事者からも能動的にSNS等を通じて声を広げることで、困っている点等が伝わるのではないかと思う。
【会長】
それでは議事は以上となる。最後に事務局より連絡事項等があればお願いしたい。
【事務局】
<今後の予定について説明>
【会長】
本日の協議会を閉会する。