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第6回高槻市学校教育審議会会議録

ページID:151634 更新日:2025年4月30日更新 印刷ページ表示

開催日時

令和7年3月28日(金曜日)午後3時00分開始

配布資料

審議内容

 

令和7年3月28日(金曜日)午後3時00分、第6回高槻市学校教育審議会を開催した。

 

出席委員

一柳 康人 委員
城下 英行 委員
津田 和美 委員
蛭田  勲 委員
鎌田ひとみ 委員
山本 新一 委員
高木 祐樹 委員
安盛 啓史 委員
田中 健文 委員
八尾 洋美 委員
入江 隆男 委員

 

出席した事務局職員の職、氏名

 教育次長 青野  淳
教育次長代理 前迫 宏司
教育次長代理 杉野 暁子
教育政策推進官兼教育政策課長 藤田 卓也
教育総務課長 橋長 忠司
学校安全課長 田口 裕之
保健給食課長 松岡 広樹
教育指導課長 小寺 基之
教職員課長 武藤  亮
教育センター所長 山本由紀子
みらい創生室主幹 阿部 倫子
コミュニティ推進室主幹 津波古りえ
保育幼稚園総務課長 立田 晋平
教育政策課課長代理 小澤 祐樹
教育政策課副主幹 細野 良和
教育政策課指導主事 村山  健
教育政策課主任 森脇 信修
教育政策課 土井 直人
教育政策課  芦田 諒太
教育政策課 南藤 友美
傍聴者 :24名

 

 

【会長】
 定刻となりましたので、第6回高槻市学校教育審議会を開催いたします。
 本日、宮本委員と山田委員からご欠席の連絡をいただいております。
 委員の過半数が出席されておりますので、「高槻市学校教育審議会規則」第3条第2項に基づきまして、会議は成立するものとして進めてまいります。
 本日の会議につきましては、「高槻市学校教育審議会の会議の公開に関する要綱」第2条の規定に基づき、傍聴を許可したいと思います。なお、これまでの審議会における傍聴希望者数を鑑みまして、事務局がサテライト会場を用意しています。そちらでの傍聴も許可したいと思います。
 みなさんよろしいでしょうか。
 それでは、傍聴の方に入場いただいてください。

 

(傍聴人入室)

 

【会長】
 それでは審議会を始めます前に、傍聴席の皆様にお願いがございます。前回の審議会におきまして傍聴席での私語が気になるという声がございました。円滑な審議を進める上でも、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
 さて、本日の議題は、次第にあります2点になります。
 まずは、配付資料の確認をしたいと思います。事務局からよろしくお願いいたします。

【事務局】
 本日の配付資料について、ご確認をお願いしたいと思います。
 次第に続きまして、
 (1)  第5回高槻市学校教育審議会 要点録
 (2)  第6回高槻市学校教育審議会 資料〈スライド〉
 (3)  審議会スケジュール(案)
 本日の配付資料については、以上3点でございます。不備等ございましたら、お知らせいただきますようよろしくお願いいたします。

【会長】
 それでは、議事1「今後の高槻がめざす小中一貫教育について」に移ります。
 前回、「過去の答申」について確認した後に、「これからの社会に求められる教育」の説明を受け、審議したところです。皆さんから「社会の創り手となる高槻の子どもにこのような力をつけてほしい」という観点でご意見をいただきました。資料(1)の要点録には、前回挙がりました具体的な意見がまとめられています。
 本日は、「今後の高槻がめざす小中一貫教育」について審議するにあたり、市内の2つの中学校区からの実践報告をお願いしています。各中学校区の報告後に、質疑の時間を取りたいと考えています。
 連携型小中一貫教育の中で、「確かな学力の育成」「地域とともにある学校づくり」については、各中学校区で様々な取組をされているところかと思いますが、今後の小中一貫教育にもつながる研究や実践の内容を知り、その後の審議につなげたいと考えています。
 学校からの報告の後に、教育委員会からも「今後の高槻がめざす小中一貫教育」についての考えを説明いただきます。
 審議も佳境に入ってまいりましたが、本日、学校や教育委員会の話をうけて、私たちも「子どもの教育の当事者」である大人として、それぞれの立場からどんなことができるのか、意見を交わす時間を作りたいと考えています。
 それでは、学校からの報告をお願いしようと思いますが、事務局から何かございますか。

【事務局】
 本日は、第一中学校区と城南中学校区に依頼し、校区の校長先生方に出席いただいております。
 第一中学校区は、学習指導拠点校区として市の研究委嘱を受け、学習指導要領に示されている3つの資質・能力がバランス良く育まれる質の高い授業づくりを目指しておられます。特別な授業ではなく、日々積み重ねられる授業を通じて子どもたちが力をつけていける学習指導の改善について研究を行い、市内教員の指導力向上につながる取組を推進しておられます。
 城南中学校区は、学校運営協議会制度の推進における第1期のモデル中学校区として、コミュニティ・スクールの導入を先行的に進めてこられました。子どもの教育の当事者として、保護者や地域住民等が学校運営に参画する仕組みの中で、連携・協働した取組を推進しておられます。
 それぞれの中学校区で現在取り組んでいることの報告を受け、今後の高槻の小中一貫教育を考える審議に生かしていただきたいと思います。

【会長】
 それでは、第一中学校区の報告からよろしくお願いいたします。

【第一中学校区(安田校長)】
 第一中学校の校長の安田です。よろしくお願いします。
 私は学習指導拠点校区の学力向上の取組について報告しますが、タイトルは「義務教育を行う学校の在り方を考える」とさせていただきました。これからの義務教育、どんな学校を創っていかないといけないのかということをお話したいと思います。そこで、本校区がめざす学校や授業について説明させていただきます。
 学習指導拠点校区として、何をしているのかではなく、何を考えているのかということをお伝えさせていただきます。私たちの考えを聞いていただけたらと思います。
 まずは、「めざす授業」について、子どもにどんな力をこれからつけていかないといけないのかということをお話します。
 2つ目は「めざす組織」について、教職員集団はどうあるべきなのかということについてお話します。
 3つ目は「これからの義務教育の在り方」として、校長の覚悟をお伝えします。義務教育学校の当事者は校長です。なぜなら、組織を一つにするということで、校長の覚悟が一番大事だろうと思っているからです。校長がどんな覚悟で、これからの義務教育を考えているのかということについてお話ができたらと思っております。
 では、始めに「めざす授業」についてです。
 これはもうご存じかと思いますが、令和6年12月25日に学校の教育内容などを定めた学習指導要領の改訂に向けて中央教育審議会に諮問がされました。その諮問文の中で、現在の義務教育の課題について述べられています。
 最初に、「多様性を包摂する教育の実現」が喫緊の課題と書かれています。多様性の包摂というのは違いを排除しないということです。義務教育を行う学校の根幹だと思います。これが喫緊の課題であるということでした。
 そして、そのためには「正解主義」や「同調圧力」への偏りから脱却する。つまり、今は「正解主義」の授業になっている、「同調圧力」がかかる学校になっているということです。そこからの脱却や、社会の分断や格差の拡大を防ぐということです。
 今はそのような方向に向かっているため、これを何とか食い止めることが教育の使命だと思っています。
 そして、子どもたちの未来はやはり共生社会、これを担っていく子どもを育てていくというのが、公教育、特に小学校、中学校の大きな役割だと思っています。
 少し、今の社会のイメージを紹介します。これは大阪府の校長研修で紹介された、現代のアメリカ社会を表した図だそうです。少し見にくいかもしれませんが、下にある図です。真ん中にある「はしご」というのは、学校を表しているそうです。
 はしごの先頭に駆け上がっている人は、アメリカ社会では常に白人で、男性で、お金持ちで有利な環境にある人であり、それが常に競争社会の中でトップに上がっていく。
 はしごを登っている人たちは競争して、知らず知らずのうちに上だけを見るようになる。そして、時には他者を蹴落とす。また、広く社会を捉えることができなくなっていく。
 そして、社会を支える人たち、一番下のところにいる人たちは壁が所々あると思いますが、様々な差別や風評によって分断されている。
 こういう社会だということを、あるアメリカの学者がこういう図で表しました。日本もこんな感じになってきているのではないかなとすごく危惧しています。
 そして、「めざす社会」はというと、先ほど「共生社会の実現」という言葉がありましたが、共生社会とは、障害があるないにかかわらず、性別や年齢、国籍にもかかわらず、すべての人がお互いを大切にし、支え合う社会です。
 先ほどの図を真似すると、こんなイメージかなと思って私が作りました。たくさんの道があって、そこを子どもたちは競争ではなく、協力して、登っていくイメージです。
 このような社会を作る力をつけるのが私たちの役割だと思いますし、そのためには授業がこうならないといけない。毎日の授業がこの姿でないといけないと思っています。
 全国的に不登校の数が増えています。高槻市も増えています。学校が生きづらい場所になっているということです。
 次の学習指導要領の改訂は、この学校の「生きづらさ問題」をどう解決していくのかということがメインテーマになっているように思います。
 不登校の要因は様々だと考えられますけども、私は勉強に対するつまずきが大きいと思っています。不登校児童生徒についての国の調査があります。その調査の中で、不登校児童生徒について「把握した事実」として「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」が最も多かったという内容がありました。
 子どもは元々、勉強が分かるようになりたいと思っています。でも、最近の授業は非常に早いです。スピードが速くてなかなかついていくのが大変になっていると感じます。
 そうすると、先生の説明を聞いても分からない。基礎基本がなかなか定着しない。家に帰って宿題しておいでと言っても、家に帰って勉強しても分からない。
 そうなると「もうどうせやってもできないから」ということで諦めていく。これ、「やる気」の問題ですよね。「やる気」というふうに子どもに返していますが、結局子どもたちが受けている授業、そこにやっぱり根本的な原因があると思います。
 中学校のつまずいている生徒の多くは、小学校低学年段階で、意味理解が十分できてないところに原因があるようです。計算はできるけれども、意味を理解していないという子どもたちが、実は中学校でも多いということです。
 これは慶応大学の教授が行った調査の結果です。「1/2と1/3はどちらが大きいですか」という問題に対して、小学校の5年生で正答した割合は半分です。
 もちろん、「1/2」の方が大きいですが、相当数の子どもが「1/3」の方が大きいと答えています。「3」の方が、数字が大きいからだと考えられます。
 「1/2+1/3の答えに最も近いものはどれですか」という問題に対して、「5/6」なので、答えは(2)の「1」に一番近いですが、これに正答した中学生の割合は47.2%です。「2」と「3」を足して「5」に近いと書いてしまうわけです。
 つまり「1/2+1/3=5/6」という答えを、中学生は大部分の子はもうできるようになっていますが、大きさという概念は捉えられていないのです。
 そういった子どもが中学校になってくると、どんどんつまずいていきます。なぜなら、中学校は見えないものを取り扱うことが増えるので、意味理解が不十分な生徒はどんどん分からなくなっていくからです。
 それでは、私たちがやっている授業にはどんな課題があったのかというと、先生が知識を与えそれを覚えることを求める、正解主義の授業がまだまだ多いということです。先生が知識を与える授業がまだまだ多いからだと思います。
 テストの点数で判断する結果主義、覚えることが勉強だと考える暗記主義、そのために何度も何度も反復して覚えたらいいという物量主義、こういった授業がまだまだ多いように思います。
 また、テストに出ることや評価に影響することを伝えて、勉強をさせようとする先生や、入試を理由にして正解主義、暗記主義、物量主義の授業から脱却できない先生がいるという課題もあります。
 「期末テストにこれ出るからね、だから勉強しておいで」っていうような先生に、「いやいや、先生、もう考える授業ですよ」と言っても、「いや、大阪の高校入試はまだまだ暗記しないと解けないんや」と、まだそんな勘違いをしている先生が中にはいるということです。それをやっぱり変えないと駄目だと思っています。
 気になる授業の具体はこういう授業です。説明のスライドが次々と変わって、黒板には何も書かない授業、メモみたいなキーワードだけバーッと書くような授業、ワークシートに括弧を空欄にしておいて、正しい答えや重要語句、言葉だけを書き写すような授業、GIGAスクールで1人1台端末が配られていますが、一問一答式でクイズのようにどんどんドリルでやっていくような授業、また、黒板にキッチンタイマーのようなものを貼り付けて「はい、3分で考えて」とか「3分で黒板を写して」というように分単位で活動を管理する授業、そういった授業が散見されます。
 教師が知識を与え、生徒が覚える授業の場合、このような学習になると言われています。人間の脳は同じ情報が繰り返し入ってくると、記憶として脳に保存されるそうです。だから、ドリルをすれば、ある程度脳の中にその知識は定着するそうです。
 ただ、その情報は断片的な知識であり、実は覚えても、取り出しにくい、使いづらい知識として脳の中に残るそうです。でも、今やっている授業というか、今までの授業はこんな授業です。テストのときだけ知識が取り出せたらいいというようなそんな授業でした。
 でも、第一中学校が目指している授業、今変えている授業はそんな授業ではないです。
 知識は教師が与えるものではありません。知識は子ども自身が創り上げていくものです。
 ただ、子どもが知識を創り上げるには、創り上げる時間が必要ですので、考える時間というのを十分に取るような計画をしています。
 そして、その時間を使って、子どもたちはすでに持っている知識を組み合わせたり、広げたりすることで、新たな知識を自分で創造できるようにする。これこそが教師の仕事だというふうに思っています。私たちが与えるのではなく、子どもが創り上げる。そのための授業計画を立てて、発問してというのが私たちの仕事だと思っています。
 そういう授業をしていると、子どもたちは授業中に「わかった」と声を上げます。それは、自分で考えた証拠です。自分で知識が創り上げられた証拠です。そういう授業を目指しています。
 この授業をやっているときには、どんな脳の動きになっているかっていうと、先ほどは同じ情報を何回も繰り返して、脳のところに知識をため込んでいくと言いましたが、実はそうではなく、脳には「心の黒板」とも呼ばれる、前頭連合野という思考する能力を持つ場所があるそうです。
 そこに情報が行くようにします。ここに行った、その授業で出てきた課題と、子どもが今まで持っていた知識、脳の中にはたくさん知識がありますので、その情報を持ってきて心の黒板で組み合わせたりとか関連付けたりとかして、子どもたちが頭の中で整理をしていく。そして、わかったことを、脳の中の整理棚にきちんと関連付けて入れていく。これがめざす授業の姿です。
 こうやって、心の黒板で創り上げた知識は、頭の中に本棚のように知識がちゃんと整理されていきます。だから、新しい問題が出てきても、ちゃんと整理された本棚を使えば、きちんとつながっていきます。先ほどの断片化された知識とは違います。知識が整理整頓された状態、使いやすい状態で知識が溜まっていきます。これが「生きた知識」になるということです。こういう知識を身につけるような授業というのを目指しています。
 実は、これは就学前の子どもがすごく得意な学び方です。就学前の子は反復練習では勉強していないですよね。就学前の子は、いろんな遊びや経験を通して、どんどん自分の中で、言葉や概念を獲得しています。みんな学ぶ力を持っているのです。その力を小学校も中学校も続けていくというのが、私たちが目指している授業だということです。
 次に「めざす組織」についてです。そのような学力をつけるために、教職員集団が学び合う組織にならないといけないので、第一中学校区は学習指導拠点校区として、教員はどのようなことをしているかお話します。
 昨年の12月25日にもう一つの諮問がなされました。こちらは、子どもの学びを支える「教職員の在り方」についての諮問になります。
 ここでは、教育の要は、高度な専門職である教師であるということをまず確認しています。高度な専門職ということは、研究を続ける人ということです。研究をしない高度な専門職というのはあり得ませんので、私たちは研究をし続けないといけないということです。
 ただ、なかなか研究する時間がないです。なぜかというと、子どもの課題は非常に多様化、複雑化しています。また、学校に対する保護者や社会の要請は増えています。さらには、教育について必ずしも専門ではない人の声が大きくなって、現場は様々な教育論に振り回されています。「あれをやってくれ」「これをやってくれ」というようなことで本当に振り回されています。もっと任していただきたいなというふうに正直思っています。
 一方で、学校は専門職が集まっているので、実は個業型組織です。個業型組織なのでバラバラになりやすいというのが、学校の特徴です。
 それに加えて、大量退職、大量採用や、コロナ禍の影響を受けてOJTがすごく機能しにくくなっています。
 結果、いろんな問題が起こったときに課題解決が非常に難しくなったり、今までやってきた取組が形骸化し、魂がなくなっていたりするということも起こり始めています。
 そうなると、どうしても先生は長時間労働になります。そうすると先生方は意欲が低下したりとか、自己研鑽ができなくなったりということになります。自己研鑽ができなくなったりとか意欲が低下すると、変えなければならないものが変わらず、変えてはいけないものが変わってしまったりとか、力量を高める機会を喪失したりというようなことが起こってしまいます。
 実は、この悪循環が起こり始めていますので、これを何とかしようというのが「働き方改革」だと思っています。働き方改革は、教育の質を上げるための改革だと思っています。
 学校組織の課題としては、高槻においても年齢構成に偏りがあり、ベテランがすごく少なくなりました。そうなると学校内でのOJTが非常に脆弱になります。さらに教職員数が減少する学校も出てきています。そういう学校は専門性を高めることがさらに難しくなります。結果として、学校全体の組織力が弱まっていくというようなことを大変危惧しています。
 そこで第一中学校区では、先生方の学び合う関係というのをすごく大事にしています。大したことはしていません。やっていることは一つだけです。
 今まで、先生が育つというのは、中学校では教科の会議をしたり、市の教育研究会に参加したり、あとは校長や教育委員会の指導主事が授業の指導をしたりということをやってきましたが、第一中学校区では研究班というのを作りました。この研究班で先生方が週に1回、6人ほどが集まって勉強し合うというような会議を行っています。
 なぜ、こんなことしているのかというと、先生が育つ場所は教室と職員室だからです。校長室では先生は育ちません。だから、職員室が学び合える空間になるようにということで、変えていっているところです。
 スライドの矢印を太くしましたが、この研究班の活動をすることで、先生方が授業について語り合う、話し合うという時間が非常に増えました。
 中学校の研究班は6班で編成しています。教科や経験年数の異なる教師6人で構成し、時間割内で設定した会議を使って授業参観を6人ぐらいで行います。お互いの授業を見合い、次の週にはその授業を見た感想を意見交換するということをしています。
 経験のある教員と経験がない教員とでは当然見えるものが違います。ベテランはいろんな細かなところを気づいています。そういったことに気づけば気づくほど、授業は良くなっていきますので、そういう交流を大事にしています。
 実際に、この研究班をやっている先生方の意見や感想です。
 授業参観と研究班での交流で、困っていること、自分の課題等を改めて言語化、アウトプットする機会が持てた。それによって自身の授業に対する思考も整理された。教員の指示や発問だけでなく、生徒の考え方や反応など、いろいろな視点から授業を参観することができるようになった。他教科の授業を、様々な教科担当の先生の目線から聞くが、自分にはない目線で非常に参考になった。「困り感の共有」として、こんなことで困っていますというようなことも交流していますが、それは非常に効果的だと感じた。特に、経験年数の浅い教師は積極的に質問できる人もいればできない人もいる。そういった人に質問しやすい場面を設定するのはとても有効と感じた。誰かに説明できて初めて自分の言葉として理解できるので、若手の質問に答える中で、ベテラン教師の思考の整理や理解につながると感じた。
 実は若手だけじゃなく、私が見る限りはベテランの方がすごく変化したなと思います。
 この取組に対する学校運営協議会委員による評価です。この方は現在、本校の学校運営協議会の委員をしていただいておりますが、中央教育審議会の教育課程企画特別部会の委員でもあります。全国のいろんな授業も見ておられる先生ですが、その先生の第一中学校区に対する評価です。
 日本の教師は隣の教室から学ぶ、でも先生方同士の学び合いがすごく弱くなっているということが、どの自治体にとっても共通の課題になっている。だから、学び合いのシステムをどのように立て直していくのかが重要で、そこにフォーカスできている自治体や学校とそうでない自治体や学校とでは大きな違いが出てくる。第一中学校の一つひとつの打ち手は非常に的確で、中学校改革でポイントとなるところを押さえている。中学校では教科の壁、小学校では学級の壁を越えていくための仕組みがある。ただ、アドバイスとしては、異学年での取組や学年を縦で見たときの学習の見通しを持つことが重要であり、これらが整理されていくとさらに良くなる、というようなアドバイスをいただいています。
 つまり、今、横の関係の中で、学び合いがありますが、それを縦に広げていく学びをすればもっと良くなりますよということです。なぜかというと、子どもの学びは縦につながっているからです。既習事項を使って新しい知識を獲得していく、まさしく縦ですよね。
 以前習ったことを使って、解決していくということなので、この縦につながっていく研究というのが非常に有効だっていうことをおっしゃっていただきました。
 だから、小学校と中学校または高校の授業について、互いに理解し合うことというのは、これは授業の質を上げる、子どもの力をつける上では極めて重要だと思っています。
 「めざす小中連携」の姿です。中学校における高校受験の競争は小学校における中学校受験の競争に広がり、子ども同士が分断され、格差が拡大することを危惧しています。左の図のようになることをすごく危惧しています。
 小学校はやはり共生社会の学校づくり、学級づくりをされていると思います。中学校もそれを続けていきたいと思っています。
 ただ、入試改革でどんどんどんどん競争を煽られると、中学校は競争社会の授業になり、それが小学校に降りていくと、小学校の高学年までが受験のための授業になってしまう。
 それでは本当の意味での力はつきませんので、左の図ではなく右の図のように、初等中等教育の改革の方向性は、普通教育の本来の目的や目標、理念に立ち戻ることが重要であり、最初にお示しした課題を解決するということで今後の義務教育を創っていかないといけないと思っています。
 最後に「これからの義務教育の在り方」です。
 まずは、学校の規模についてですが、生徒数はある程度必要だと思っています。集団サイズが小さくなると、同調圧力がやはり強まります。多様な考えに触れる機会も減ってしまって、異質な集団で交流する力もつかなくなってしまいます。目標も単一化されてしまい、台形だった底辺がどんどん小さくなると三角形になってしまいますので、やはり台形の形を担保する規模は必要だと思います。
 40年間、私は現場を見てきました。担任もいっぱいしてきましたし、困難な学校もいっぱい見てきましたが、理想は学級の人数は30人、学年の人数は150人だと思っています。
 なぜなら、30人という数は目標を共有することによって、まとまって動ける人数だということです。15人という数はアイコンタクトで動ける人数です。これは、同調圧力が強まる人数です。だから、15人であれば、よく見ることができるという意見もありますが、私は30人ぐらいいて、子どもたちが少し違う集団にも移動ができるという規模は必要だろうなと思います。
 また、150人という数は人間が安定的な信頼関係を保てる人数の上限と言われているからです。だから、これだけの能力を人間の脳は持っているので、その能力を最大限発揮できるっていう意味でもやはり150人という経験を積ましてやりたいなと思います。
 小学校3年生ぐらいから子どもは、子どもの世界の中で成長します。大人との距離が少しできるぐらいの人数の方が子どもの成長につながります。もちろんこの規模になるとトラブルはあります。でもトラブルを乗り越える経験を積まないと、社会的に自立することはできません。「共生社会」などというのは理想です。理想で置いているうちは絶対にうまくいきません。努力して、失敗を重ねて、折り合いをつける経験を積まないと共生社会なんて実現できるはずがないと思っていますので、やはり失敗やトラブル、そういった経験から成長させていきたいなというふうに思っています。
 最後です。教職員集団はバラバラになりやすい個業型組織です。今後は学校の裁量が拡大される方向で、学習指導要領も改訂されるそうです。そうなれば、小学校、中学校のベクトルをそろえることもすごく難しいと思います。今、中学校区で月に1回会議をしていますけども、やはりずれます。
 そういう意味では、やはり組織が一つになるということは大事なことだなと思っています。また、そのことによって小中学校の教員が日常的に授業を見合う時間ができます。これはすごく大きいと思います。
 このスライドは野球のことを描いていますが、野球もちょうど9回までですよね。今で言うと、連携型小中一貫教育は、1回から6回までは小学校の先生が試合をして、7回からはベンチを小学校の先生が出ていって、中学校の先生がそこに入っていって、中学校の校長が監督になって、7回から9回は中学校の先生が試合をする。そんな形です。
 もちろん連携しているので、流れは大分掴みやすくなりました。それでもやはり一つひとつのプレーを1回から9回まで皆で見た方が絶対にいい授業ができますよね、試合だってそうですよね。1回からの試合の流れをずっと見てくれば、いい試合になっていきますし、そういう意味でいうと、1回から9回まで、同じ方針で一緒に見てというのは、大きいことになるのではないかなと思っています。
 教育もすごく流れが大事ですので、そういう意味では、個人的には施設一体型はすごく魅力を感じます。なぜなら、子どもではなく、先生の授業の質、教育の質が格段に上がると思うからです。もしそうなれば、そういう覚悟で学校経営をしたいと思います。
 以上です。

【会長】
 ありがとうございました。「めざす授業」「めざす組織の在り方」という柱で現在の課題と改善策等をお話いただきました。
 今のご報告につきましてご質問、ご感想あるいはご意見などありますでしょうか。

【委員】
 ご報告ありがとうございました。
 本当に子どもたちがどういうふうに成長していくのかということをお考えになって、いろんな取組をされているということが、よく分かりました。ありがとうございます。
 私自身は、防災教育をやっておりまして、教科の教育の方は、先ほど冒頭で校長先生も触れていらっしゃった、学習指導要領があるおかげというと語弊があるかもしれませんが、方向が明確に決まっているところもあるので、小学校と中学校の系統性や連続性は比較的担保されているのではないかと思います。
 他方で、今申し上げたような、非常に重要だと言われている、防災教育や環境教育など、いわゆる教科の枠に収まらない、そのような学びを考えたときに、特に9年間の連続した教育ができるというのは非常に重要ではないかなと思います。
 校長先生のお話は教科の教育が前提になっているのかなと思いましたが、教科以外のところでの学び、あるいは、教科の学びも含めて、もう少し9年間で学びを見るところの価値や意義をもう少し教えていただければと思います。

【第一中学校区(安田校長)】
 教科の方は主には「考える力」を育てるということを大事にしたいと思っています。暗記ではなくて、子どもたちが考えるということを十分に大事にしていきたいなと思っています。
 総合的な学習の時間や特別活動は「判断する力」を育ててやりたいなと思います。判断力です。それは判断基準を育てるということでもあります。幾ら考える力を育てても、その考える力が世の中のためにならないことに使われるようであったら、それはよくないと思います。やはり、それが世の中のためになり、みんなの幸せにつながるっていうことにならないといけないと思っています。
 だから、総合的な学習の時間は先ほど言いました、共生社会をめざした学習を9年間で組み立てていくということです。
 協力や共助力、課題解決力を9年間で育てていくということでプログラムを組んでいます。今、中学校だと、高槻のまちをどのように作っていくのか、人の困りごとからどんな課題を見いだし、どうすればもっとよりよい社会になっていくのかという視点で、9年間のプログラムを整理し作っているところです。

【委員】
 発表ありがとうございました。私はこの校区で学校運営協議会にも参加させていただいているので、取組については毎回いろんな形で聞かせていただいています。
 その中でも、皆さんがいるところで改めてお伝えをさせていただきます。学校、中学校区として考えられて様々な取組をされておられます。それに伴い、先ほど言われたように、いろんな変化をつけていっていただいていることは、私も報告を受けている側ではあるので、重々理解しながら進めているところです。
 一方で、保護者にとってその変化を点でしか捉えないことが非常に多くあります。例えば、「去年と違う」とか、「これまではこうだったのにこういうふうに変わっている」などと不安の声が出るということが随所で起きています。
 学校や校区がどこを目指して、そのためにこのように変化をもたらしているとか、先生方に研究の時間をとるために変えていくべきところを変えている、今までやっていたことをやらないことで、研究の時間にとっていますということをお伝えはしています。
 しかし、保護者の中には、「やることを減らしているだけ」など、様々な声が上がり、保護者同士で同調し、教育活動を進めていく上で妨げになるようなことが起きてしまったりする場合があります。結局、理解をしてもらうための働きかけをどこまでしているのか、どういった形でしているのかということです。
 私はあくまで意見としてですが、保護者含め、地域の方にこういうことを目指していて、そのためにこういう取組をしているということを、いろんな形で発信いただくことで、先生方が取り組まれていることがスムーズに進んでいく面もあるのではないかなと思います。
 これは教育委員会も含めてですが、難しく言うと理解がバラバラになってしまうので、分かりやすく、いろんな形で方向性をご発信いただきながら、保護者の安心を得ることで、校長先生が先ほどおっしゃったように「任せてほしい」ということにもっとつながってくる部分があると思います。学校単位でというよりはできれば市単位で発信していただき、地域を巻き込むことで、学校が取り組まれること、やろうとしていることがスムーズに進んでいくのではないかなと思います。

【委員】
 私は芝谷中学校区で3年間、総合的な学習の時間の授業に企業として関わってきました。3年間ずっと2学年を担当していましたので、子どもたちは毎年変わりますが、今おっしゃっていただいたように先生方が、3年間の中で異動される方、異動されてない方も、総合的な学習の時間に対する教え方というか、動機づけの仕方が随分変わったなと感じました。
 見る側で偉そうに言うわけではないですが、最初は「何を言っているのですか」というぐらいの進め方でしたが、3年目になったときには、先ほどのお話にあったように、学ぶということが教科的な学びだけではなくて、判断力を学ぶということをどのように子どもたちに意識づけるかということをすごく工夫されていると感じました。その中には、やはり教員同士の系統を超えた話し合いなどがあったのだろうなと思います。
 背景までは分かりませんが、一部の子どもたちから「総合が嫌いだ」という声も多少聞くことがありました。それは、点数化されないから嫌いだと思っているのかなと感じていました。しかし、そこもうまく巻き込みながら、授業を進められているなっていうのは感じました。
 小学校と中学校で連携してお話をされているのは見かけますが、どうしてもチャンスが少ないというふうには感じております。やはり、近くにいることによって、より学びに深みが出るのかなと思うのですが、そのようにお考えということでしょうか。

【第一中学校区(安田校長)】
 先ほどの授業の考え方ですが、これは学校の教員、保護者の方、地域の方もみんな同じことが言えます。
 委員がおっしゃられたように、地域の方から「去年まではこうしていたのに」という声はあると思います。当然出てくると思います。なぜなら、変わろうとしているからです。私たちがなぜ、こんなふうに変わろうとしているかというと、子どもたちが将来大人になったときに、絶対にそちらがいいと確信を持っています。
 なぜなら、2045年になったら、人から言われてする仕事はなくなりますよね。考える仕事ですら危ういです。AIが人間の知能を超えると言われているわけですから、考える力、考える仕事ですら奪われるかもしれません。
 では、何が残るかっていうと、自分が思いを持って、世の中のためとか人のために何かをしていこうっていうような仕事は生まれていく可能性がある。これは今の中央教育審議会のメンバーの方が書いた本の中に書いてあります。
 総合的な学習の時間などは、答えがない授業になりますので、そういった授業の中で子どもたちは自ら問いを見いだして、課題を解決する力をつけていくことになります。
 教科の授業にしても総合的な学習の時間にしても、今やろうとしていることについて、教師も保護者の方も地域の方も理解を深めていくというところはすごく大事だと思っていますので、私たちもそこは説明に努めていきたいと思います。

【委員】
 第一中学校区のお話を聞かせていただいて、まさに今の教育現場を俯瞰しながらのお話でした。これはどの中学校区であってもこのようなことを考えていかないといけないと、改めてお聞かせいただきながら、教育を進めようとしている校長として、その立ち位置を見つめ直す機会になりました。
 冒頭の共生社会という言葉もありましたが、AIが人間の知能を超えていくと言われている時代に、人がこれから何を大事に育てていかなくてはいけないのかと考えたときに、やはり競争ではなく共生なのだという、今日のお話の切り口が心に残りました。
 前回の審議会で、中学校の課題として、何のために学ぶのかという数字が伸びていないという資料を提示していただきました。中学校の教育に携わっている者として、義務教育最後の本当に大事な時期に、小学校から9年間ずっと培ってきたものを通して、自分はどう生きるのか、どういうふうに社会に貢献していくのかということを考えていくためにも、やはり競争より共生なのだろうなということを改めて確認しました。
 最後に、授業を変えなければいけない、あるいは意識を変えなければいけないというメッセージも第一中学校区からあったのだろうと思います。教職員の意識改革というのは本当に喫緊の課題だと思っています。どんどん意識を変えていこうとする教員がいる一方で、なかなか変わりきれない教員もいるのは事実です。
 その辺り、校長がしっかりと勉強して、導いていくというスタイルは大事にしないといけませんし、ともに学びながら、9年間を見通しながらの教育を大事にしていきたいなと改めて思いまして、やはり授業なのかなと思いました。
 学校には、学習指導以外に生徒指導という役割もあります。いじめのことや不登校のこともありますが、やはり生徒指導の問題も最後はやはり授業に戻ってくるのだと私は思っていますので、改めて背筋が伸びるような思いで聞かせていただきました。

【会長】
 ありがとうございます。まだご質問等あるかと思いますが、最後にまた皆さんからのご意見をいただく場面があります。時間に限りもありますので、城南中学校区の方の報告に移りたいと思います。第一中学校区にはご報告いただきまして、どうもありがとうございました。
 続いて城南中学校区からの報告をお願いいたします。

【城南中学校区(上田校長)】
 城南中学校の校長の上田です。よろしくお願いします。
 城南中学校区からは、地域とともにある学校をテーマにお話します。
 「にじわ学園」というのは、連携型小中一貫教育を開始した頃につけた名称で、西大冠小学校の「に」、城南中学校の「じ」、若松小学校の「わ」をとっています。
 虹のようなグラデーション、くっきりした色の段差がないイメージを象徴しようということで、こういう名前がつけられたと聞いています。
 次のスライドですが、これは「若紅」(わかべに)と読みます。何の名称でしょう。今日も持ってきましたが、サツマイモです。若紅ですが、紅はるかというサツマイモを種芋として、先日卒業したばかりの若松小学校の6年生が手がけた特産品です。
 6年生が主催で1月に第3回若紅フェスタが開催されました。お芋のパーティーです。年間1回しかそういったイベントはやっていませんが、4年生のときに第1回、5年生のときに第2回を開催しました。
 4年生のとき、この子どもたちは一体何を考えて、若紅の取組を始めたのかということをお話します。3年生で地域学習についての内容が教科書に載っていますが、4年生で人とか世の中のつながりを学び始めます。その中で、学校にある畑で何か作ったら、地域の人とつながるきっかけになるのではないかなと子どもたちは考えました。
 地域の人に相談したら、芋農家さんを紹介してくださり、芋を作ろうかとなりました。1年間、総合的な学習の時間の中で、この若紅づくりに取り組み、若紅を地域とつながっていくツールにしようということです。自分たちが地域の人の顔と顔がつながる関係を作らないといけない。特産品を作ったら、つながる関係ができるのではないか。子どもたちが考えたのはすごいと思います。そのようにして、若紅を使って取り組んでいくということが進んできました。
 城南中学校区では子どもたちの主体的な探究学習を大事にしています。失敗してもいい、やってみようという意欲と主体性を大事にして、子どもたちが話し合って学習を組み立てています。
 4年生で地域の人を招いたフェスタを子どもたちが自分たちで企画、実行し、取組を進めてきました。学年が変わると違うことに取り組んでいくというのが学校の普通ですが、この子たちはまだまだ地域の人とちゃんとつながれていない、地域の人と人がつながりきっていないという課題にこだわり、6年生までこの若紅づくりを進めてきました。
 ついこの間ですが、卒業の前に6年生たちがまとめの段階で論議していたと聞きました。何を論議したかというと、せっかく3年間もこだわって特産品にしようって言ってやってきた若紅を若松小学校の取組として、下の学年に引き継いでもらうか、どうしようかと論議しました。さあ、どうなったか。その6年生の論議はちょっと置いておきます。
 このお話を聞いて、私は城南中の校長として、若松小でなく城南中に入学した子どもたちが、引き継いでくれたらいいのにと思いました。
 なぜ、城南中で引き継いだらいいかということですが、中学校でも地域と連携した取組をたくさんやっています。探究のサイクルを地域の方と一緒に考えるといったことは中学校区で取り組んでいますし、防災とか人権とか職業とか、そのようなことについて、地域の方と協働して生き方を考えていくような学習をしっかり進めています。
 中学校1年生では避難所づくりに取り組む中で、ご高齢の方であるとか、障がいをお持ちの方であるとか、在日の外国の方などの困り感を学んでいく。そして、どんなふうにやっていったらいいだろうというようなことを子どもたちが考える場面もありました。
 それから企業とか行政と協働して、社会に参画して、提言していくという活動もやっています。SDGsの学習から、近隣にあるスーパーや飲食店と何度も話し合って、「自分たちはこういうふうに改善したらいいと思います」ということを提案し、「いやそんなことはできへん」とか「そんなことはもうすでにやっているんや」というようなことをいっぱい言われながら、もう一回その提言を持っていくということを繰り返しました。
 また、中学生が放課後に学ぶ場所がないから、自分たちで学習できる場所を地域でも欲しい。あるいは、ボールを使って公園で遊んだら怒られるから、どこかボールで遊べる場所が欲しいということを、子どもたちがコミュニティセンターや青少年センターに直接掛け合いながら「それは無理、難しいな」や「こうやって決まってるんや」とか、法律のこともしっかり勉強しながら、実際に場所を確保していただけるような活動をしています。そのような中学校での様々な子どもたちの活動の実績があります。
 コミュニティ・スクールを導入した後は、夢や将来の目標をターゲットにした取組を進めていて、社会により近づいて活動を展開しているという実績が積み上がっています。「夢や目標がある」という調査の数値は、日本全国で言うと6割ぐらいだそうですが、城南中学校区では7割を超えるようになってきました。
 若紅の話ですが、なぜ中学校で引き継ぎたいかというと、本当に企業とコラボして、実際に開発をしたり、商品化したりしていくような、いわゆるアントレプレナーシップ(起業家)教育みたいなことをやっていけるのではないかと思っています。
 これからの世の中、転職や起業で人が様々入れ替わり、動きが激しくなる、変化が大きくなる世の中で子どもたちは生きていきます。高校生でも本当に事業化しているという例はたくさんあります。本物の社会に中学生が参画しながら、開拓していく。そんな面白い展開になっていくのではないかなと考えていたので、中学校で若紅を引き継いでいったらいいのにと思っていました。
 引き継いでいくとすれば様々な課題はありますが、大きな課題としては、西大冠小学校の子にとってどうなのだろうという点です。若松小学校でがんがんやっているけれど、西大冠小学校の子どもはどう思っているのだろうということですが、小学校と小学校同士の交流は盛んで、合同学年会を行いながら交流できる機会を年間何回か持っています。
 5年生のときも若紅フェスタを開催しましたが、そのときは西大冠小学校の5年生を招いて、「自分たちはこんな熱い思いでやっているんや」ということを訴えたら西大冠小学校の子どもたちも感化されて、「よっしゃ、わかった。うちの学校でも広めるわ」とか、「うちの人にもたくさん言います」という感じで、協力してその特産品を広めたいという声が強く広まりました。しかし、残念ながら、6年生はまたカリキュラムが違うということで西大冠小学校の方では、引き継がれませんでした。
 連携型小中一貫校なので、連携しながら進めていくというところがありますが、あくまでも連携なので、3校それぞれの教育課程があるというのが、我々の在り方です。目標を揃えて、グランドデザインという経営方針も3校で揃えてやっていますが、山の登り方はそれぞれです。城南中学校区はそれでも十分に効果を発揮していると思いますが、限界があるというか、それだけでいいのでしょうかということです。
 先ほど、中学校で引き継いだとしたらという仮定をしましたが、引き継いだとしたらという前提が崩れてしまうわけです。若松小学校の若紅の取組が、西大冠小学校にも広がって、城南中学校にも引き継がれていったら大きなプロジェクトになるということが、残念ながら展開できない。
 学んできたコンテンツを引き継ぐとか、子どもたちの思いやこだわりを引き継いでいくということが、段差なく展開するためには、今の体制では難しいということがあります。結局、中学校に入ったときは別のカリキュラムで展開していかないといけないだろうなと思っています。
 今年の学校運営協議会の中で委員の方から「隣の小学校でどんなことをしているのか、同じ5年生の担当の先生は分かっていますか」とか、「中学校の先生は、今見ている子どもたちが小学校でどんなことを考えてきたか知っていますか」という意見が出されました。
 実際にアンケートを教職員に取ってみました。すると、33%が「あまり知らない、分からない」という結果でした。3人に1人は「知らない」「分からない」ということですが、この数字が大きいのか小さいのか。城南中学校区だから、3人に1人で済んでいるのか。その辺りは、よく分かりませんが、とにかく6年生まで頑張って3年間も若紅にこだわって取り組んでいる子どもたちがいるということを、城南中学校の先生方は、十分には知らないだろうと思います。
 先生方は目の前の取組で精一杯です。分かろうとしないからではなく、やはり分かる仕組みになっていません。連携型小中一貫校だからといって、2つの小学校の先生と中学校の先生が毎日顔を合わせるわけではありません。先生が動くのは月1回、研究会をやっていますが、それが精一杯です。
 連携担当や管理職だけが連携していても、それは連結にしかすぎなくて、そんな連携の中で、誰が困っているかといったら、子どもです。子どもたちは間違いなく、小学校から中学校に行く、その段差のところでつまずいています。学習でも、人間関係でも、環境でも、中学校で不登校が増えてくるというのは、そういう段差の象徴かなと思っています。
 「壁とりはらって、夢」という言葉があります。これは城南中学校区の先生方とか、城南中学校区の地域の皆さんは皆知っている言葉です。30年近く前にできた素敵な言葉ですけれども、学校間の壁も、地域の壁も、「お前のところのせいや」と責任を押し付け合う、中学校は小学校のせいにしたり、小学校は、親のせいにしたり子どものせいにしたり、いろいろ他人のせいにする、そのような責任を押し付ける意識の壁も取り払って教育を進めましょうということで、地域とともに小中連携、保育所や幼稚園も含めて、0歳から15歳までの連携をどんどん進めようと城南中学校区は取り組んできました。
 交流することで、大人の行き来が生まれて、2つの小学校が例えば、一緒にオペレッタに取り組んで、違う小学校の参観に保護者の方が行かれるとか、小学校同士が学年の日を合わせて一緒に遠足行くとかそんなことをしたことも昔はありました。
 連携が盛んなので、30年近くそういうことをやっているため、校区に住んでいる方、卒業生の方、あるいは保護者の方、かつて保護者だった方も含め、たくさんの方が地域住民として城南中学校区の連携の取組に関わっています。
 なぜ、こんな取組をやることになったのかというと、そのときにこういうような課題が、あったわけです。この課題に向き合って、これを解消していかないといけないということで、取組が始まりました。
 時を経て、もう30年も経ち、交流は残念ながら交流が目的になってしまって、どんどん形骸化していくということで、課題解決に至らないということが出てきました。
 その中で、令和4年度から、学校運営協議会設置校区モデル校ということでコミュニティ・スクールの取組が始まりました。もう一回、交流だけじゃなく、課題にしっかり向き合っていこうということで、城南中学校区のコミュニティ・スクールの取組を進めてきました。
 その取組の柱にしたのが、先ほど話題になっていた総合的な学習の時間です。中学校区で統一して、「にじわタイム」と呼び始めました。小学生も中学生も「にじわタイム」と呼んでいます。地域の方がここにたくさん関わってくださっています。
 小学校1年生は生活科ですが、小学校1年生から中学校3年生まで、縦のつながりを考えて、カリキュラムを整えて、地域を軸に学び直しを組み立てるような形をしています。
 その中で、地域の方と取組を創り、地域の方から学び、子どもたちはまた地域に働きかける。そのような循環をしながら子どもたちはたくさん学んでいます。
 総合的な学習の時間も昔からそんなことができていたわけではありません。どのように見直してきたかというと、やはり子どもの実態、課題をしっかりと整理することです。そこからどのような力をつけるのかということで、教科でつけた力とか、言語能力とか、情報活用能力とか、そのような学び方を総動員し、そこにまた地域の方の関わりをいただいているということで、総合的な学習の時間のつくりも大幅に見直しました。
 令和に入ってから、このような資質・能力という形で、非認知能力にも重なるところですが、つけたい力を整理していくというような取組をやってきました。
 グランドデザインというのは、校区の経営方針のことですが、このコミュニティ・スクールの取組の中でグランドデザインを作るということが高槻市で進められています。グランドデザインは、方針をコンパクトにまとめたもので、学校運営協議会の中でご意見をいただいたり、評価いただいたりということに使われています。これをもとに、校区がまとまって取組を進めるということをしていますが、このグランドデザインも作っていく途上で地域の要になる方や、学識の経験者も加わって熟議をしながら整理をしていくというプロセスを経ています。
 来年度の令和7年度から、全中学校区でコミュニティ・スクールが始まりますが、各中学校区でも似たようなことが進んでいるのではないかなと思います。
 冒頭にご紹介した若紅の取組も、こういうグランドデザインから始まって、熟議、グランドデザイン、資質・能力を高める、総合的な学習の時間を見直す、地域の方にいっぱい関わってもらうというようなプロセスの中で進んできたわけです。突然、若紅が生まれてきたわけではありません。
 ここで冒頭の話に戻ります。一体、卒業前に6年生が何を論議したのか、どんな論議をしたかということですが、「せっかく特産品として頑張ってきたんやから、ぜひ引き続き下の学年にも何とか引き継いでもらいたい」という意見が当然出てきました。しかし、「引き継がんでもええやん」、「僕らだけ私らだけがやったんやから、引き継がんでいいやん」という意見も出ました。
 なぜこんなこと言うのだろうと思って、担任の先生は聞きました。そうすると、子どもたちは、「若紅が目的じゃなかったやろう」、「顔と顔が見えてつながり合う地域の関係づくり、1人ぼっちのいない地域をつくる、そういうことが目的だったんちゃうか」と言ったのです。すごいですね。
 これは若松小学校だけではありません。先日、西大冠小学校の卒業式に来賓で出席してきました。昔ながらに「一人一言決意」みたいなことを、全員の子どもが語っていましたが、ある子がこんなことを言っていました。「これからは地域の小さな一員として、地域の良さや人々のつながりを大切にしていきたいです」。こんなことを若松小の子も西大冠小の子も話している、そういう校区というのはすごいなと思いました。
 そして、それを引き継いだ城南中でも、今度は社会とつないでいくという役割を果たしています。若紅に取り組んだ子どもも、西大冠小で地域と一緒にSDGsや防災に取り組んだ子どもも、私たちが進めようとしている城南中学校区の教育の本質をしっかり捉えて育っているなと思っています。
 地域の人がプランニングに入ったり、単発のゲストだけじゃなく、子どもも大人も学習のデザインに加わったり、より子どもたちが力をつけるために、教科と連動しないといけないということも学校運営協議会で指摘を受けています。もちろん責任は学校があります。
 力がつく学校づくり、世の中をつくる、面白い学校づくりを進めていくことが、これからの城南中学校区、あるいは高槻、これからの世の中に必要なのではないかなというふうに思っています。
 9年間のカリキュラムの中で、「にじわタイム」や、人権教育、キャリア教育等、様々整えてきています。整えてはきているけれども、先ほど申し上げたような連携型の限界は感じています。
 城南中学校に来たら、やっぱり子どもたちは「西大冠小の子はこうや」とか「若松小の子はこうや」と壁を作ってしまいます。それでも3年間、城南中学校で育っていく中でつながりを深めていって、「一緒にやるのが当たり前」、「この校区に住んで育ってきたこと、育てられてきたことを誇りに思う」、そうやって中学校を卒業していくわけです。
 たくさんの子どもたちが城南中を巣立っていきました。世界で活躍している人もいますが地元に戻って活躍している人もいます。本当にこの校区を大事にしている人たちはたくさんいるなということを感じています。
 中学校で、一緒になります。子どもたちは隣の小学校とはいえ、別々の小学校と小学校から中学校に来たら一緒になります。つまずきになるような段差はそこには要らないかなと思っています。
 連続した学びの中で子ども育てていくということでいうと、もっと西大冠小学校、若松小学校、城南中学校が地域と一緒にやっていかないといけないということをすごく感じています。
 これからの世の中を創っていく子どもたちですので、地域とともにある学校でしっかり力をつけていけたらなと感じています。社会に開かれた教育課程の中でしっかり力をつけて、夢をもって生き方を広げていく、そんな子どもたちになって欲しいなと願っています。
 以上で、城南中学校からの報告を終わります。ありがとうございました。

【会長】
 ありがとうございました。
 確かな学力の育成という観点で第一中学校区からのご報告、それから、地域とともにある学校づくりという観点で城南中学校区からのご報告がありました。
 それではまた、質疑に入りたいと思います。皆さんご感想、ご質問、ご意見等ありましたらよろしくお願いいたします。

【委員】
 上田校長先生のご発表のみならず、教科と総合的な学習の時間といいますか、理論と実践といいますか、何かそういうものは、お互いがお互いを支え合っているところがある気がしています。
 そういう意味では、十分な学力がなければというと語弊があるかもしれませんが、教科の学習がない中で、何かを探究しなさいと言っても、なかなか探究できないだろうなと、防災教育をやっていると特に思います。
 これは年齢が下がってもきっと同じではないかと思っています。小さな子どもたちが何かごっこ遊びをして、何かで何かを真似するというのは、そのことを知っているから真似できるのではないかなと思います。例えば、葉っぱをお金に喩えるとか、葉っぱを切符に喩えるということは、やはりお金ということを知っていたりとか、切符というものを知っていたりするからこそ、喩えられるのではないかと思っております。そういう意味ではやはり両輪は非常に大事だと思うわけでございます。
 それを前提にして、校長先生が若紅を中学校で引き取って、引き続きやってはどうかと思ったとおっしゃられました。これは中学生の学びをしている段階の子どもたちが、若紅の取組を引き取ることによって、小学校では実現し得なかった何かができるのではないか、もうワンステップ、ツーステップ上がるのではないか、という見通しがあったからこそ考えられたのではないかと思います。
 中学生ならではの彼らの発達段階の観点から見れば、きっとこう発展させることができるのではないかとか、きっとこんな展開があり得たのではないか、きっとこんなことができたのではないか、というお考えがあればぜひ知りたいと思います。きっと、そういうところが一つのプロジェクトを小中学校で展開していくことの意義や魅力、価値というところにつながっていくと思いますので、校長先生方のお感じのところがあれば教えていただければと思います。

【城南中学校区(上田校長)】
 防災やまちづくり、人とのつながりなど、子どもたちは何回も何回も学び直して、中学生になっても、地域を大事にしたいとか、これからの中で人を大事にして欲しいという思いを受けとめ、活動の中身は若干変わりながら、根幹のところは変わらないで、進んでいるかなと思っています。
 具体的に中学校で若紅を引き取った場合ですが、本当に起業してみる、お金もうけをしてみる、あるいは販促活動をしてみる、ネットでいっぱい発信してみるというようなことは、子どもたちが今やっている活動の中の延長線上で、いくらでもできるのではないかなと思います。また、実際に企業とコラボする中で、スターバックスさんにポスターを貼ってもらったり、セブンイレブンさんがされていることに意見を言って取り入れてもらったり、あるいはライフさんには店長会議の中で紹介していただいています。
 いろんな企業と協働することで、いろんな反応が企業側からも寄せられているので、もう一歩外に、世の中に出ていったら、子どもたちは世の中に出会いながら学んでいくことができます。なかなかそういう実践まで若紅ができるかどうかは分からないですし、子どもたちもそこまでエネルギーがあるかどうか分からないですが、イメージとして私は想像できます。

【委員】
 ありがとうございます。これまで小学校でやってきたことが、次の段階でさらに高まっていく、深まっていく、そんなところが、校長先生の予感としてもおありだということがよく分かりました。

【委員】
 2つの中学校区のスライドを見せていただいて、学校が教育に対しての責任を感じて、学校が核になって、地域も子どもたちも変えていこうとする気持ちが本当にひしひしと伝わって参りました。「頑張らなくっちゃ」と元気をもらえるような、すばらしい取組を聞かせていただいてありがとうございました。
 学校が核になって地域に発信するということですが、私も幼稚園に勤めていた頃、なかなかうまく発信できず、発信はできても、一緒に子どもと何かをしていくことができなかったこともありました。しかし、先生方の「発信していくんだ」「地域を変えていくんだ」という、心意気や責任感に私は感動いたしました。
 第一中学校区の発表で、大きい梯子の絵がありましたが、とても分かりやすかったです。小さな学校と大きな学校という形で出ていましたが、確かに小さな学校でも子どもたちの成長はあると思いますが、大きな学校だったら書いてあるように、異質な集団で交流する力がより高まります。適正規模についてここで論議するわけではありませんけれども、子どもたちが育っていく上での望ましい学校規模の観点も、子どもたちへの教育的な影響を考えて検討していく必要があるかなと感じました。

【委員】
 とても分かりやすい報告で、とてもよかったと思います。ありがとうございました。
 私は人権擁護委員をしていまして、今月、私立中学の1年生に人権教室としてお話をしてきました。私立中学ということで、すごく興味がありました。行ってみると6クラスあり、合計280人、1クラス47人もいるとのことでした。別に公立と私立を比べようとは全く思っていませんが、そこで私が第一印象として感じたことは「公教育のよさって何かな」ということでした。それがすごく気になり、前回配っていただきました平成28年の答申にある小中一貫教育の目的というのを読み直しました。それを頭に置きながら、今日の発表を聞かせていただきました。
 そうすると、平成28年の答申の1点目に、教育の質の向上というのが書かれていました。公立の子どもたちはいろいろな環境、いろいろな家庭で育った子どもたちがいます。課題もいろいろあります。それに対してどう取り組んでいくかというのは、やはりすごく大事なことだと思っています。
 それから2点目の社会参画力の育成です。これは社会に出たときに、多様な人たちと知り合うわけです。それを小学校の段階から地域で触れ合うことで得るものは非常に大きいと思います。
 それから3点目に書かれていました、教職員の意識改革と指導力の向上ということで、第一中学校区の報告を聞いていました。なるほどなと思いました。先生たちも、スキルアップをするために取り組んでおられるなというのが分かりました。
 それから4点目に、学校と地域社会の連携協働の推進ということが書かれていました。城南中学校区の取組を聞きながら、こういうことも大事だなと思いました。
 本当に聞かせてもらってよかった、公教育のよさっていっぱいあるなと思いましたので、そこを大切にして今後取り組んでいってほしいと思います。
 ちなみに、私、城南中学校区の一員で、私の子どもも孫もこの校区で育っております。ところが残念ながら、こういう良い取組があるというのが私の耳には入っておりません。もっと地域の方に何らかの方法で広げていただきたい。きっとされておられるのでしょうが、私の元までは届いてこないので、また考えていただけたらいいなと思います。

【委員】
 発表ありがとうございました。何のための地域交流かという部分を私の課題としても持っております。一般的に地域がお膳立てをして、子どもたちに参加してもらって交流するという形が非常に多いのではないかと思っています。私の地域でも交流は非常にありますが、そういう部分があります。
 城南中学校区の発表では、子どもたちがしっかりと何のための地域交流かというのを掴んだと、おっしゃっていましたが、それが一番大事だなと思いました。
 私の家の近くの小学校でもお米づくりをしています。そこから、子どもたちの発想で、お手伝いをしてくれた人とおにぎりパーティーをしました。そこから、学校全体での餅つきになって、6年生とのお雑煮を食べる会というように発展していきました。
 それでもやはり、地域のお膳立てが随分多くて、これからのコミュニティ・スクール、目指す子ども像を考えると、そこを見直していかないといけないなということをずっと思っておりました。そういった、いい材料になるものはないかと、これからも探していかないといけないと思いました。いい勉強をさせていただきました。

【委員】
 城南中学校区のお話は前からいろいろ聞かせていただいており、お聞きしたいことがあったのでご質問させていただきます。
 授業を進める主体はもちろん学校教育の中でされておられるので、学校にあると思いますが、地域との連携を想定した授業の組み立てをされているイメージを持っています。
 別に聞かれてもいないのに、我々のような地域の側から、授業に対して「こうした方がいいで」とは言えないわけで、学校側から相談や依頼を地域の方にされておられるのだと思います。
 連携型小中一貫教育などの様々な仕組みがあっても、結局は仕組みだけではうまく働きません。主体で動かれている地域の方に、どのような働きかけをして、授業は成り立っているのか、授業の組み立てているのか、教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

【城南中学校区(上田校長)】
 我々の教職員研修というか「にじわ教育研」と我々呼んでいますけど、3校の教職員、幼稚園、保育所の先生も一部入って、研究会、研修会をやっています。
 その中に地域の方にたくさん入って来ていただく日が、年2回ほどありまして、そこで、学校がやろうとしていることを発信した後、グループに分かれて、グループにいっぱい地域の人に入っていただき、「この学年はこんなことしようとしている」、「こんなことに困っている」というようなことを交流の中でいっぱい意見もらうシーンがあります。
 それ以外に、各学年が取り組んでいるときに、「この人に言おうか」「この人に聞いてみようか」という、「にじわリソース」と呼んでいるリストがあります。そのリストを教職員で共有して、「このことに困ったらこの人に声かけなあかんかな」とか、「この人と一緒にやったら面白く展開できるんちゃうか」というような、そのリソースを教職員がうまく活用できるような仕組みを少しずつ、バージョンアップさせているところです。
 仕組みと言えばそういうことがありますが、日常的にも地域の方が、授業の中にしっかり入って、子どもたちとしゃべりながら、組み立てていく場面が若松小、西大冠小では展開されています。中学校はどちらかというと、先生が先にプログラム組んでしまって、そこから相談をかけるということが多くなってしまいます。企業とコラボしたりするにはある程度学校が責任持って組まないといけないところもあるかなとは思っています。そういった小中学校のちょっとした仕組みの違いはありますが、そのような形で城南中学校区は今動いています。

【委員】
 ご報告ありがとうございました。城南中学校区はコミュニティ・スクール導入の第1期のモデル校区として先進的な取組をされておりました。今日その報告をお聞きして、またさらにいろいろな取組が進んでいることを感じました。何度もお話にありました「地域とともに」のことばを大切にし、学校間の多様な交流を考えて進めておられるということがよく分かりました。
 導入当初は、地域や保護者とともに子どもを育てていく当事者として、課題や情報をみんなで共有する、学校とともに地域総がかりで子どもの成長に関わっていくというスタートだったと思います。城南中学校区は、子どもを巻き込み、子どもが主体になって、子どもが自ら考えて地域とつながるサイクルを考えているということでした。それがいろいろな取組をする中で子どもたちにも浸透して、それを地域が支えていくというサイクルがうまく回っているのではないかと思いました。本当に地域との関係を上手に築かれているのだと思います。
 さきほど連携型小中一貫教育の取り組みはなかなか難しいところがあるということをおっしゃっていました。丁寧に取組を進められている中でも、中学校に引き継ぐことが難しいなど、様々な課題が生じているということも感じました。
 学校運営協議会のお話で、第一中学校区も城南中学校区も、学校運営協議会制度の導入の中だけでは、9年間の縦の接続を十分に行うというのはなかなか難しいというご報告があったかと思います。ご説明の中でも3割の先生方が、それぞれの学校がどんなことやっているのか分からないということでした。そのため、義務教育学校制度を導入する際には、学校運営協議会制度と併せて機能させることで、より充実したものになるのかと思いました。
 連携型小中一貫教育の枠組みの中で、地域とともにある学校づくりを進めていきますが、教育の当事者として、中学校区のいろいろな大人である地域、保護者を巻き込みながら、個々の学校ではなくて、中学校区として全員で考えていくことが、学校運営協議会を設置している意義なのかなとも思います。
 そのためには、校長が方針を示し、同じビジョンで、地域の方とのビジョンを共有し、地域総がかりで子どもを社会の中で大きく活躍できるような大人にしていくということが大事です。またそれがよりよい社会づくりを目指していくということにもつながっていくので、そこは大切にしていきたいなと感じました。

【委員】
 2つの中学校区の発表、ありがとうございました。私も施設一体型の学校に勤務している者としまして、今日の2つの中学校区の発表を聞きまして、なるほどと思うところがたくさんありました。
 私も小学校と中学校の別々の中学校区から施設一体型の学校へ転勤したときに感じたことは、やはり9年間を通して子どもを見ていくことはすごく大事なことだなということです。それから、児童から生徒を含めた9学年が一堂に会することの大切さということも感じました。
 今回は教員についての話もたくさんありました。確かに同じ施設にいて子どもを見守るということで、いいじゃないかと思うところがありますけれども、油断すると見過ごしてしまうことが多々あると思います。
 私の学校も教員が小中学年の教室を自由に入れて、授業参観も自由にできるようにしています。若い先生を中心として、授業研究会もしています。その中で、小学校の先生の丁寧な指導、中学校は中学校なりに、小学校を経験した子どもたちをいかに広げていくか、そういう取組を見ながら、それぞれの互いのよさを感じ合って、それを授業にいかしていこうという姿がすごく見られるようになりました。
 連携型小中一貫教育のことで、やはり教職員のつながりが、今までずっとネックになっていたと思います。私の学校では施設が一緒なので、教員がお互いに意見を交わす取組も頻繁に行うようになってきています。ただ、デメリットというか、いつでもできるかというとなかなかできません。だから、定期的に機会を作ってやっていかないと、せっかくの職場で、いろいろ恵まれているところを駄目にしてしまう可能性もあります。
 豊中市の義務教育学校を視察させてもらったときと同じように、油断していると6・3制にまた戻ってしまうということで、義務教育学校を作ったらもうそれで終わりではなく、これからも義務教育学校のよさを生かしていく、教職員含め、市の取組も含めて、考えていかなければならないかなと思いました。

【会長】
 ありがとうございました。その点で言いますと、先ほどの第一中学校区の9回のスコアボードというのが非常に印象に残っています。様々なご質問ご意見ありがとうございました。
 続いて、教育委員会より「今後の高槻のめざす小中一貫教育」について、お考えを伺いたいと思います。その後、皆さんが子どもたちを支援する当事者として、自分はこういうことができるなと、こんなことができたらいいなというご意見をお聞きしたいと思いますので、その観点で教育委員会事務局からの説明を聞いていただければと思います。

【事務局】
 高槻市教育委員会事務局 教育次長の青野でございます。
 「今後の高槻のめざす小中一貫教育」につきまして、教育委員会の考えを述べたいと思います。
 これまでの審議会においても、お伝えしてまいりましたが、本市の「第2期教育振興基本計画」において、高槻のめざす子ども像として「人や社会とつながり、学び続け、よりよい自分と社会を創る」を掲げています。「激しい変化が止まらない時代」を生きる子どもたちに「よりよい自分と社会を創る」力をつけることは、教育の使命であると考えております。
 これからの社会を生きる高槻の子どもたちに「つけたい力」については、審議会でも議論いただき、様々な「力」「資質・能力」が具体的に挙げられておりましたが、大きな枠組みで言うと「学力の向上」と「市民性の育成」であると考えております。
 「学力の向上」においては、本日の第一中学校区の報告にありましたように、受験等の競争社会に向けたものではなく、子どもたちがこれからの「社会の創り手」として、生涯にわたって学び続ける「自立した学習者」となるよう力をつけていくことであると捉えております。
 そのためにも、学習指導要領に示される各教科等で育成する資質・能力を着実に定着させることは変わらず重要です。さらに、その資質・能力が、これからの社会を創る上で生きて働くものとして習得が図られるよう学習指導を充実させる必要があります。
 「社会の形成者としての大人を育てる」という観点からも、社会経済的背景によらず、すべての子どもたちの学力を保障したいと考えております。
 「市民性の育成」については、学校という多様な他者がいる学習環境を基盤として、よりよい「社会の形成者」を育てることが重要です。先ほどの話とも関連しますが、子どもたちの社会への当事者意識を醸成し、社会参画力を高めることがよりよい学びにつながっていくものと考えています。
 城南中学校区の報告にもありましたが、地域とともにある学校づくりを進めることで、学校教育を核として、保護者や地域住民がつながり協力関係を築くことができます。
 子どもたちには、地域や社会の課題に向き合い、多様な人と折り合いをつけながら、協働して解決する力を育ててまいります。
 「学力の向上」「市民性の育成」を目指す上で、これまでの審議会でもありましたように教員の指導力の向上は欠かせません。15歳の学力に責任を持つ中学校区の教職員組織によって、めざす子ども像に向けた学習指導は推進されるものと考えています。
 正解主義や同調圧力への偏りから脱却し、学習者主体の教育観を浸透させることが、義務教育9年間の一貫性、連続性のある指導を実のあるものにしていきます。
 教育委員会としましては、「よりよい学校教育を通じて、よりよい社会を創る」という学習指導要領の基本理念に立ち返り、次代を担うことのできる「成熟した市民」「実力ある大人」を育成するための施策を講じていきます。
 小中一貫教育をさらに推進させ、安全・安心を基盤とした縦の接続と横の連携の強化・充実を目指し、虚飾に奔らない地に足つけた堅実な教育行政としての役割を果たしてまいります。
 本日の議論や答申でいただく内容を踏まえ、「今後の高槻のめざす小中一貫教育」の方向性を改めてお示しいたします。よろしくお願い申し上げます。

【会長】
 教育委員会事務局の考えを説明いただきました。
 今後の高槻の目指す小中一貫教育として、「よりよい自分と社会を創る」、それが使命だとおっしゃいましたが、今後、審議会の答申及び多様な観点の意見を受けて、基本方針として示されることを期待しています。
 これまでも事務局からの説明を受け、それに対して審議をしてまいりましたが、私たちも「子どもの教育の当事者」であり、「こうあってほしい」「このように取り組んでほしい」という意見だけでなく、社会を創る大人の一人として何ができるか、考える必要があるのではないかと思っています。
 地域・社会教育の立場、保護者の立場、保育・幼児教育の立場、市民の立場など、それぞれから「義務教育9年間の育ちと学びの連続性を保障するための『子どもの教育の当事者』としての役割」について、お考えをお話いただけるでしょうか。皆さんいかがでしょう。難しい質問かもしれませんが、要は当事者意識を持って、我々も参画したいというところの提案ですがいかがでしょうか。

【委員】
 保護者としまして、やはり保護者が忙しくなったといいますか、家庭にどちらかの親がいる時代ではなくなってきているということが、PTA活動縮小、先細りになっていると思います。働き方が多様化することによって、土日が休みというわけではなくなってきているため、保護者から「子どもたちが何をしているかよく知らない」という声を聞くことがあります。もちろんお知らせする術はいろいろあり、昔は紙しかなかったものがメールで来ることもあります。しかし、やはり文字で見るよりも、先ほどの「にじわ学園」のように、現地に行って目で見るということで、「子どもってこういう社会で生きているんだな」ということを実感できるのではと思います。
 私は自分が所属している学校では何年かPTA会長をしていますが、「ぜひ学校に来てください」という声掛けをして、実際に見に来られた保護者の方から、「子どもがこんな顔しているんだ」という意見を聞きます。私の立場を考えると、「学校に行こう」というわけではありませんが、「学校に躊躇せずに行ってほしい」ということを学校と一緒になって伝えられることができれば、より深みが出るかなと思います。
 保護者が学校のことを知らないというのは、無責任といいますか、「興味持ちましょうよ」と思いますので、まずは参加をすることに踏み込んでいただきたいと考えています。

【委員】
 保護者でもあり地域でもあるという観点から、先ほど質問したことに関連する部分ですが、「関わりたい」と思っている保護者は地域も含めてたくさんいらっしゃいます。しかし、実際に先ほど言ったように、押しかけで「これをした方がいいよ」ということはやはりなかなかできません。
 先ほどお答えいただいたように、学校から地域にカリキュラムの中身を問うてもらえる場があることは非常に有効だと思っています。今までの学校だけで、それぞれの先生の経験だけで考えてきたことを、もしかしたら、より具現化、意見、協力できる方が地域の中にいらっしゃることは往々にしてあるのかなと思います。
 今の立場はすごく「お客さん」であり、直接的な声掛けをいただくこともありますが、ほとんどが、それを参観するだけの立場、参加するものでしかないという現状です。
 だから、より参画できるような意識、仕組みとして、結果としては何もならないかもしれませんが、少なくとも、検討する中にいたということは、決めるときに意見を言える機会があったということにはなります。取組を進める中で、大きな反対が起こらないということにもつながるのかなと思います。
 「開かれた学校づくり」ということで、様々打ち出される中で、「見に来てください」、「いつでも来てください」と言われることがありますが、「いつでも来ていいよ」となると、なかなか行く人はいません。「逆に行きにくい」という声もあります。やはり、一緒に検討できる場を作っていただければ、興味がある方やご意見がある方は来ていただけるかなと思います。
 そうすると、学校側は「どんな人が来るんやろ」と構えてしまう部分もあると思うので、少しずつでもいいのでそういう機会を持っていただければと思います。例えば、城南中学校区でされているようなことを、各学校の方に発信をいただき、それが一つでも二つでも、形になっていったらいいと思います。そうなればきっと参加する地域の方、保護者の方はたくさんいらっしゃると思いますので、引き続きよろしくお願いします。

【委員】
 今日もいろいろ出てきましたが、これから様々な取組をされていくと思います。私は幼稚園で勤めていたので、まずは子どもが、「ぼくたちわたしたち愛されているよね」「大切にされているよね」と、実感できるようなそんな取組であることが大切だと思っています。また、人と関わって互いに学び合える、「わたしもあなたも一緒に成長したよね」と思える取組であること、それから、どんな小さなことでも「役に立っている」という気持ちになるような取組がいろいろ計画されていったらいいなと思っております。

【委員】
 地域に関わっている者として考えていることですが、コミュニティ市民会議でもコミュニティ・スクールについての研修を2回していますが、そこにどういうふうに関わっていくかが、地域の大きな課題だと思っています。
 今日のお話の中でも、小学校と中学校の交流、あるいは、小学校同士の交流も進めていただいているということですが、学校に通う子どもたちの連合自治会も、いろんなところがあって、横のつながりがほとんどないというのが現状です。
 このコミュニティ・スクールを成功させていくためには、連合自治会や地域組織などの違う組織が連携して、どういうふうに関わっていけるかということを考えていかないといけないなとすごく感じております。どこまでできるか分かりませんが、コミュニティ・スクールを核として、そういうつながりも作っていって、より盛り上げていければと思っております。

【委員】
 今日は本当に難しいテーマで、ずっと頭を文字どおり物理的にも抱えております。本当に難しいなと思っておりましたが、こういう場なので率直に語った方がいいかなと思います。
 何を難しく感じたかというと、それぞれの中学校区の取組を聞く中で、9年間の取組に対する意義みたいなものが、必ずしもクリアではなかったと思います。これは現状の形でもいけるのではないかとも聞こえたのです。これは正直に私の感想なので申し上げたいと思います。
 では、一体何のためのということを考えたときに、現状については、今日たくさんご報告いただきました。例えば、大きな話で言いますと、生成AIが出てきて、これから学びの意味が変わっていくということは、ほぼ間違いないだろうと思っています。「何をもって何かを学んだというのか」ということは、今までとはまた違った形になってきます。そのような中であって、これまでと同じような形でずっと教育を続けるのかどうか。
 大学でもそうですが、学生は平気で生成AIを使ってレポートを提出してきます。こちらも非常に判別が難しい中で、学生が生成AIを使って何かをやっているということは、単にさぼっていると言うべきなのか、あれもあるいはまともな回答が出てくるようにプロンプトをちゃんと入力できるということを一つの学習と見るべきか、これは非常に議論がある部分です。
 そういう意味では、これまでの私たちの常識では理解できないような学びというものを考えていかないといけない中で、当然、小学校、中学校の教育も変わっていくであろうという、今まさしく難しい中にあると思います。
 その中で、やはり高槻が目指す2つの柱というのが、「学力の向上」と「市民性の育成」だと先ほどお話がありました。私が防災教育を小学校と中学校両方で、子どもたちと一緒に取り組んでいる中で、やはり小学生というのは、先ほどの2つで言うと、「市民性の育成」というか、誰とでも分け隔てなくいろんなことを上手にやっていくっていう部分は、非常に長けているなと思います。
 他方で、中学生というのは、例えば、中学校1年生で地震のことを学ぶこともあるので、いろんなことを知っている、それをうまく使っていこうということ、他方で、非常に難しい世代、年代なので、必ずしもそうならない子どもたちもいるという、学力という面と市民性という面の、重さが異なっている部分があると思います。
 簡単に分けてしまえば、小学生は市民性という部分がより長けているでしょうし、中学生は学力が小学生よりも長けているという、当たり前のことだと思います。でも、お互いに足りていない部分、お互いが得意としていない部分をどう補えるかということを考えたときに、ここで初めて、そういうことなのかと、今日私なりに理解をしていました。
 つまり、両方というのはやはり補い合うものだと思います。片方だけが伸びることはないと思います。理論と実践の関係や教科と総合的な学習の時間の関係のようなものと非常に似ていると思います。お互いが相補的な関係にあるということを考えたときに、そういう学びが広く9年間で広がっていくところに、お互いがお互いを引っ張り合えるような、そういうところがやっぱりあるのかなと思っております。
 私は防災教育をやっているので、その防災教育を、いろんなところで年齢や学年に応じて展開していくということが、大事さみたいなものを可視化するといいますか、私たちに教えてくれることにもつながるのではないかなと感じました。
 本当に今日は難しい審議会だったなと思いました。

【副会長】
 役割ということですが、私は教員養成課程というところにおりますので、具体的には、近い将来、直接子どもたちに関わる優秀な教員を育てていくというのが、私に課せられた大きな役割なのではないかなと感じております。
 ただ、そのために、私自身がこれまで育ってきた環境や受けた教育、またその価値観を、改めてアップデートしたり、ブラッシュアップしていったりということが今の役割なのかなと感じております。
 今日、2つの中学校区からお話をいただき、どうもありがとうございました。第一中学校区さんに聞いてみたいことがあるのですが、いいですか。研究班の取組というのは素晴らしいと思いました。先生方からの声もたくさんありましたが、子どもたちからの声で何か届いているものがあれば教えてください。

【第一中学校区(安田校長)】
 直接、子どもから聞くということはありませんが、普段の子どもの姿は激変していると思います。考えるということを躊躇しなくなりました。それから、考えることを楽しんでいます。粘り強く取り組むようになっています。全国学力・学習状況調査の結果は、大幅に向上していますし、何よりも無解答率が減少しています。
 子どもたちが本当に変化しています。先ほど、保護者の方にこちらから発信してほしいという意見もありましたが、それはまた先生の業務に負担がかかります。だから、やはり私は見に来ていただきたいと思っています。子どもの姿を見ていただけたらと思います。
 また、先ほどの学力の話で、地震等の話がありましたが、中学校がやることは、知識の塊を作ることです。だから、火山や地震の分野であれば、岩石が循環している、岩石は動いている等の概念を掴めたら中学校としてはOKです。
 でも、それを掴ませるには小学校からの学びを蓄積していかないと、塊にはならないので、やはりそういう意味では、義務教育学校として学びの連続性を確保するということはすごく大事だと私は思っています。

【副会長】
 ありがとうございます。もう一つ、その研究班という先生方の取組そのものを子どもたちは知っていますか。

【第一中学校区(安田校長)】
 しょっちゅう先生が見に来ていますので、知っています。
 施設一体型にして終わりではなくて、やはりこういう仕組みを作るのは校長の役割で、ただそういう意味では義務教育学校の覚悟というのは校長にあると思っています。

【副会長】
 ありがとうございます。学び続ける大人の姿を見せるということでは、すごく効果があることだと思います。家で子どもの前で、お母ちゃんお父ちゃんが、学校の悪口を言ったとしても、「いやいや、うちの学校の先生、毎日頑張ってるで」と、子どもの口から自分の学校の先生のいいことを言っていくことが、改めて宣伝しなくても、浸透していく一つの条件になっていくのかなと考えておりました。
 お二方の校長先生方、本当にどうもありがとうございました。今日のお話の中で、様々な取組に支えられている連携型小中一貫教育の限界、あるいは課題というものに丁寧に向き合うときに来たのかなと改めて感じました。

【会長】
 最後になりますが、先ほど委員からもありましたが、我々は公教育を担っているというところが非常に重要であります。
 先ほど事務局の説明の中にも社会的、経済的背景にかかわらず、すべての子どもたちに学力を保障したいという説明がございましたが、生まれ育った環境に関わらず、すべての子どもたちに等しく学ぶことができる場を提供するというのが、やはり公教育の非常に大切な役割であると考えています。
 その中で、委員からもあったように、様々な人と関わりながら、人を変えていったり、社会を変えていったり、自分を変えていったりする中で、自尊感情や自己有用感というものを育てていければということを感じました。
 小中一貫教育のさらなる充実を通じて、高槻市がおっしゃる社会的使命を果たしていければと思いました。
 今日も様々非常に有意義なご意見、示唆に富むご感想をいただきましてありがとうございました。
 引き続いて、議事2「次回の審議に向けて」です。
 第7回学校教育審議会については、審議会スケジュールにもあるように、「義務教育9年間の育ちと学びの連続性を保障する教育環境整備」を内容として予定しています。安全・安心な学校づくりに向けて、今後の児童生徒数の推移、学校施設の現状、通学距離等の地理的環境、地域の拠点としての機能等について審議したいと思いますが、よろしいでしょうか。

 

(異議なし)

 

【会長】
 事務局から意見等は、ありますでしょうか。

【事務局】
 ただ今ご意見にありました資料を準備させていただきたいと思います。

【会長】
 よろしくお願いします。最後に事務局から連絡事項等はありますか。

【事務局】
 次回は、令和7年5月を予定しておりますが、日程については確定しておりません。確定次第、ご連絡させていただきます。会場はこれまでと変更ありません。ご多忙のことと存じますが、ご出席をよろしくお願いします。事務局からは以上です。

【会長】
 それでは、これで第6回学校教育審議会を閉会いたします。
 お疲れ様でした。

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