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令和5年第9回高槻市教育委員会臨時会会議録

ページID:109207 更新日:2023年10月19日更新 印刷ページ表示

令和5年8月23日(水曜日)午後1時00分、令和5年第9回高槻市教育委員会臨時会を教育委員会室に招集した。

 

出席者(5人)

樽井 弘三 教育長
浦野 真彦  委員
美濃  律  委員
岡本 華世  委員
松村 洋子  委員

出席した事務局職員の職、氏名

教育次長 佐藤 美恵
教育政策推進官兼教育政策課長 藤田 卓也
教育指導課長 小寺 基之
教職員課長 平井新一郎
教育センター所長 丸山みち子
教育指導課長代理 西田 大世
教育センター所長代理 山本由紀子
教育指導課副主幹 直原 考志
教育指導課副主幹 中前 勝則
教育指導課副主幹 森田 咲子
教育センター副主幹 尾崎  元
教育センター副主幹 川端 清史
教育指導課指導主事 誠光 俊明
教育指導課指導主事 播村 順平
教育指導課指導主事 池田  靖
教育指導課指導主事 仙頭 義隆
教育指導課指導主事 三輪 修也
教職員課指導主事 松尾 貴史
教育センター指導主事 北畑 謙一
教育センター指導主事 小澤 祐樹
教育センター指導主事 中島 道成
高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会委員長 桑原  綾
教育政策課主査 菊川 雅也
教育政策課指導主事 村山  健
教育政策課 芦田 諒太

 

議事日程

日程第 1 議案第33号 令和6年度使用高槻市立義務教育諸学校教科用図書の採択について

 

 

(午後1時00分開会)

 

 

樽井弘三教育長
 ただいまから、令和5年第9回高槻市教育委員会定例会を開会いたします。
 なお、本日の本会議に傍聴の希望がございましたので、許可をいたしております。
 本日の会議の出席者は、5名でございます。なお、本日の会議の署名委員は、美濃委員 岡本委員にお願いいたします。
樽井弘三教育長
 それでは、議事に入ります
 日程第1、議案第33号、「令和6年度使用高槻市立義務教育諸学校教科用図書の採択について」を議題といたします。提案理由の説明を求めます。

教育次長(佐藤美恵)                                (提案理由説明)
 ただいま上程されました、日程第1、議案第33号、「令和6年度使用高槻市立義務教育諸学校教科用図書の採択について」の提案理由をご説明いたします。
 「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」に基づき、教育委員会において、令和6年度に高槻市立小中学校で使用する教科用図書を採択することとなっております。
 今年度は、小学校は、全ての教科書について、文部科学省の「小学校用教科書目録」に登載されている教科書のうちから、採択することになっております。
 また、中学校につきましては、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律第14条、同法施行令第15条第1項の規定により、令和5年度使用教科用図書と同一の教科書を採択しなければならないとなっております。
 5月の教育委員会でご承認をいただきました、「高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会」でございますが、大阪府教育委員会が定めた教科用図書選定委員会運営要領、高槻市附属機関設置条例、及び高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会規則に則り、5月22日から7月7日にかけて、4回開催されました。
 同委員会では、教育委員会からの「小学校用の全ての教科用図書について調査審議し、答申すること」、「特別支援学級において使用する、学校教育法附則第9条関係教科用図書について答申すること」との諮問により、教科用図書の調査及び研究を行い、審議を重ねてまいりました。
 7月19日に選定委員会委員長から「令和6年度使用義務教育諸学校教科用図書の選定について」の答申があり、樽井教育長に受理していただいたところでございます。
 教育委員のみなさまにおかれましては、対象となる教科書や意見書等につきまして、すでに、ご覧いただいているところでございます。
 本日は、答申を参考の上で、教科書目録に登載されております全発行者についてご審議いただき、高槻市立小中学校で使用する教科用図書を採択していただきたく、議案を上程いたします。
 なお、選定委員会からの答申につきましては、「高槻市立義務教育諸学校 教科用図書選定委員会」委員長からご説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

選定委員長(桑原綾)               (答申について理由説明)
 高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会は、高槻市附属機関設置条例及び高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会規則に則り、令和5年5月17日付けで高槻市教育委員会より、令和6年度から小学校において使用する教科書について調査審議すること、また、令和6年度に特別支援学級において使用する学校教育法附則第9条関係教科用図書について調査審議するよう諮問を受けました。
 その後、本委員会では、5月下旬から7月上旬までの約1ヶ月半にわたって教科書採択の公正かつ適正な実施をはかるため、それぞれの発行者の教科書見本本について直接調査及び研究を行うとともに、各種目の調査員による調査報告書、大阪府の教科用図書選定資料や学校意見書、教科書展示会における意見書等も参考にしつつ調査研究を進めてまいりました。
 選定委員である校長代表、各教科代表や教育委員会事務局職員は教育公務員としての専門的な立場から、また、保護者代表の委員は子どもが本市の小中学校に通学している市民としての立場から意見を出し合い、活発な審議を積み重ねてきたところです。
 このような審議を踏まえ、令和6年度使用小学校教科用図書について調査審議を行った結果について、教育長へ答申いたしました。また、令和6年度に特別支援学級において使用する学校教育法附則第9条関係教科用図書についても答申いたしましたので、よろしくお願いいたします。

樽井弘三教育長
 ただいま、提案理由説明及び選定委員長から答申についての説明がありました。説明にありましたとおり、すでに、教育委員会は、7月19日に選定委員長から選定委員会の答申を受理いたしております。
 その後、教育委員の皆様には、答申書や調査報告書の写し等の資料をお渡ししており、教科書目録に登載されている教科書について調査していただいております。
 本日は、選定委員会の答申をもとに、まずは小学校各種目の教科書の採択をしてまいりたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 それでは、各教科・種目ごとに審議をいたします。
 最初に、国語について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【1.国語】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 新編 新しい国語
 巻頭にある「言葉の力を集めよう」というロードマップにより、各単元でどのような言葉の力を身に付けていくのかが明確になっている。また、螺旋的・反復的に、全学年で身に付けた言葉の力を振り返ることができるようになっている。

 教育出版 ひろがる言葉 小学国語
 「読むこと」の領域の「学習のてびき」では、上段に「めあて」と振り返り、下段に、上段の学習内容を支える思考ツールや図解、子どもの反応などが記載されており、児童の主体的な学びを支援するように作られている。

 光村図書出版 国語
 各単元では冒頭に「問いをもとう」を設定することで、児童自らが「問い」を持つことから学びがスタートし、児童が主体的に国語の学びに取り組むことができるよう工夫されている。また、「問い」に対して、児童一人一人が考えを持ち、振り返りを行うことで、深い学びが実現するような作りとなっている。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

美濃律委員
 入学したばかりの子どもたちにとって、はじめて言葉を学ぶ国語科の教科書との出会いはとても重要だと思います。1年生の教科書においてどのような工夫が見られますか。

教育指導課副主幹(中前勝則)
 1年生の教科書に関する工夫ですが、入門期における国語科の学習は、児童の言語生活の基礎・基本を培うために非常に重要なものとなります。そのため、どの発行者とも小学校1年時の教科書には様々な工夫が見られます。
 東京書籍では1年上巻の教科書においては、文字の習得度合いに応じて負担なく学習に取り組めるようスモールステップで文字や言葉の基礎が学べるようになっています。また、幼児期に育まれた資質・能力を発揮しながらさらに伸ばしていけるよう、児童の関心や成長への願いに寄り添ったコンパクトな教材を中心としています。
 教育出版では入門期は楽しい言語活動をとおして、最も基礎的な力を身につけていく時期として、特に「あいさつの言葉」を大切にし、日常的なコミュニケーションを円滑に図れるよう配慮してあります。また、あいさつから対話、常体・敬体表現の意識づけ、グループでの独話、クラスでの発表へと段階をつけ、話すことと聞くことの基礎が身につくようになっています。
 光村図書出版では学校生活の始まりである大切な時期に、国語学習に臨む態度づくりを意図した「さあ はじめよう」を設定し、話す、聞く、書く、読むといった国語の力の基盤づくりが行えるよう工夫されています。また、言葉を題材にした楽しい活動を繰り返し取り組むことにより、無理なく児童の語彙を増やし、豊かになるよう配慮してあります。新版の教科書では、入門期の「文字」や「特殊音節」の学びに際して、紙面上の学習に加えて、そこに付されるQRコードなども利用でき、つまずきのある子ども、学習に取り組み続けるモチベーションを支える工夫があります。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 子どもたちにとって言語能力は、全ての学習に必要となる大事な力だと思います。中でも国語科の果たす役割は大きいと思いますが、各教科書において、「言語能力の育成」という観点では、どのような工夫がされていますか。

教育指導課副主幹(中前勝則)
 言語能力は、すべての学習の基盤となる資質・能力であり、その育成に関しては、国語科の果たす役割は大きく、各発行者とも工夫をしております。
 東京書籍では単元ごとに学習を通じて育成する資質・能力を「言葉の力」として明確化し、螺旋的・反復的に学習を積み重ねられるようにしています。また、語彙を増やして表現を豊かにする力、文や文章を正しく理解・表現する力の育成をめざし、「言葉相談室」や「言葉の広場」というコーナーを設けています。
 教育出版では多様で活発な言語活動に取り組める教材を設定し、日常生活のさまざまな場面で生きて働く言葉の力を養うように工夫しています。学習を通じて、子どもたちは、論理的に思考し、説得力のある文章やスピーチにまとめる力や他者と協働・協調して、変化の激しい時代を生き抜くための言葉の力を育むようにしています。
 光村図書出版では児童が言葉による見方・考え方を働かせながら、国語科の学習を通じて正確に理解し適切に表現することができるように、教材や単元配列の工夫がされています。また、日常生活との関連を図る場面を設定することで、生きて働く知識・技能、論理的に思考し豊かに想像する力を高めることができるようになっています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 
国語に苦手意識を持つ児童の学習意欲が向上するような工夫をしているところがあれば教えてください。

教育指導課副主幹(中前勝則)
 
各発行者ともに、内容の程度や紙面の構成等、国語が苦手な子どもであっても学習意欲の向上につなげるための工夫が見られます。
 東京書籍では学習意欲を高め、理解を深めることができるよう、動画やアニメーションなど、教科書紙面と一体的に活用できる豊富なデジタルコンテンツが、QRコードにアクセスすることで、簡単に利用することができるように工夫されています。
 教育出版では学習活動を支える、思考ツールや図解、児童の反応例などを掲載し、児童の主体的・対話的な学びを促す工夫があります。また、挿絵・図版・写真は、児童の学習意欲が高まるもの、文章の理解を助けるものや児童の想像を膨らませるもの、活動の手順や留意点を分かりやすく示すものなど、効果的に取り上げています。
 光村図書出版では各単元が「問い」を持つところからスタートすることで、児童の主体的な学びを実現する構成となっています。自分自身の問いは学びの原動力となり、1人でじっくり考える学びと、周りの児童と話し合いながら学ぶことを一体的に充実させることにつなげています。また、伝え合ったり、意見を交流したり、文を推敲し合ったりと、学習活動の中で協働的に学ぶ場面が設定されており、国語が苦手な児童も意欲的に取り組むことができるよう工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 国語科の学習の中では、学校図書館を活用して学習する機会もあるかと思いますが、子どもたちの読書意欲につながるという点で各発行者、工夫はありますか。

教育指導課副主幹(中前勝則)
 各発行者とも、教材文の作者やテーマと関連付けた読み物の紹介をしたり、学校図書館の活用につながる調べ学習を設定したり、読書活動の充実につながる工夫がされています。
 東京書籍では子どもたちの読書体験を豊かにするために、六年間で580冊以上の、多様なジャンルの本や著名人の読書体験エッセーを紹介している。また、読書マップづくりなどの活動に加え、本の一部を掲載するなど、本を手に取りたくなる工夫を施しています。
 教育出版では各学年の上巻には、学校図書館を計画的に利用し、その機能の活用を図る「情報読書」教材を、下巻には、図書の紹介を中心とした「交流読書」教材を設定しています。どの学年も、年間を通して本にふれる機会が保証されています。夏休み前には、「広がる読書の世界」という図書紹介コーナーを設定し、子どもに人気のある作品も取り上げ、ジャンルを問わず、各学年5冊ずつ紹介しています。
 光村図書出版では読書単元として「本は友達」が年間2か所に設定されています。また、学校図書館や地域の図書館などの施設を利用して、読みたい本を見つける方法や、知りたいことを調べる方法を示したり、六年間で530冊を超える図書を紹介したりと、児童の読書意識を高める工夫がされています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 現在の子どもたちは多くの情報に囲まれて生活しています。多くの情報の中から必要な情報を取り出したり、また情報を整理して発信したりするなど情報を活用する力の育成も、国語科の中で大切な学習の一つだと思いますが、工夫している発行者はありますか。

教育指導課副主幹(中前勝則)
 学習指導要領の中には、身につける知識及び技能として、「情報の扱い方に関する事項」が位置付けられており、すべての発行者で、小学校低学年から、系統的に学習できるよう工夫されています。
 東京書籍では情報のとびらという単元を設け、「関係」「論理」「整理」「調査」の四つの観点で系統立てて学習できるようになっています。また、5・6年生では目的や課題に応じて情報を活用する力、情報の送り手・受け手としての技能や態度など、情報化社会を生きる上で必要な資質能力が育まれるよう、説明文の教材を取り入れています。
 教育出版では子どもが必要な情報を取り出したり、情報と情報との関係を整理したりできるよう、まとめのページを設定しており、教科書内の関連する教材を学習するときに、反復して活用することで、他教科の学習や実生活で活用できるようにしている。
 光村図書出版では「情報の扱い方」に特化した教材が、2年生以上で設定されている。活用場面を意識した「関係をとらえよう」、「集めて整理して伝えよう」の2つの系列で整理されています。情報どうしの関係を捉えて理解したり、情報どうしを整理したりする力を身につけられるよう、単元と密接に関連させ、言語活動の中で確実に力をつけられるよう工夫されています。

樽井弘三教育長
 国語科の学習指導要領の目標に「言葉による見方・考え方を働かせ、言語活動を通して、国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す」とあります。語彙の多寡によって表現力や思考力、判断力が変わってきます。語彙をいかに増やすかは大変重要な課題であります。そこについて各発行者はどのように工夫されていますか。

教育指導課副主幹(中前勝則)
 どの発行者も、身近なことを表す語句から、思考に関わる語句に至るまで、段階的に語彙を充実させる工夫があります。
 東京書籍では語彙を増やして表現を豊かにする力、文や文章を正しく理解・表現する力の育成をめざし、「言葉相談室」や「言葉の広場」というコーナーを設けています。QRコードを読み取れば、1から6年生で身につけたい「言葉」が一覧となっており、子どもたちの語彙を充実させる工夫がされています。
 教育出版では巻末付録に「言葉の木」「楽しく読もう」「言葉の道具箱」といった、語彙の拡充や話型・文型のまとめなどの国語の学習を充実させるさまざまなツールや読み物があり、生きてはたらく言葉の力を育む工夫があります。
 光村図書出版では子どもたちの語彙力の育成のため、巻末に学習や日常生活で役立つ言葉が「言葉の宝箱」「伝え合うための言葉」「学習に用いる言葉」として集められています。また、掲載のQRコードを端末で読み取ることで、小学校生活で学習する「語彙・学習用語」を閲覧することができ、授業や家庭学習で使うことで語彙の充実を図ることができます。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 学習指導要領では、どの教科でも、対話を通して様々な考えに触れ、学習を深めていく過程が大事にされていると思います。対話においては、相手の意見を尊重しながらしっかりと聞き、理解する力が必要です。そのようなコミュニケーションを適切にとる力の育成に向けて、工夫されている教科書があれば教えてください。

教育指導課副主幹(中前勝則)
 国語科の目標の中に、「日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高める」という文言があるように、各領域の各単元でコミュニケーション能力の育成につながる工夫がされています。
 東京書籍では「話す聞く」の領域では、コミュニケーション能力を確実に身につけることができるよう、「対話をする」「話を聞く」「話し合う」「工夫して話す」という系統に分けられています。また、日常の経験に基づく題材から、これからを生きる子どもたちに考えてほしい題材まで、子どもたちが話したくなるような、幅広いテーマを取り揃えています。
 教育出版では日常生活や学校生活に関連した題材を設定し、子どもの実生活に結び付いた活動になるようにしています。その中で、子どもたちは、言葉の学びを実感し、他教科の学習でも活用できるようにしています。特に、話し合い活動、報告文、インタビューなどに生かされるように設定されています。
 光村図書出版では「話す・聞く」単元では「耳を傾ける」「話し合う」「声を届ける」の3系列をバランスよく配置している。また、コミュニケーション教材として、「言葉の準備運動」や「コミュニケーションに関するコラム」等子どもたちのコミュニケーション能力を高める工夫がされています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、国語について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

美濃律委員
 どの教科書も現代の子どもたちに適したデジタルコンテンツや日常生活、学校生活に関連した題材の設定など児童の主体的な学び、深い学びか実現できるように工夫されているというのがよくわかります。
 この場の審議を考えました上で、言葉による見方・考え方を働かせ、言語活動を通して、ことばで正確に理解し適切に表現する資質・能力を育成するという目的を達成するために、単元の冒頭で「問いをもとう」を設定し、児童が主体的に国語の学びに取り組み児童一人ひとりが考え、振り返ることで深い学びが実現できるように工夫されている光村図書出版の教科書が良いと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、美濃委員から光村図書出版が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、国語については、光村図書出版を採択することに決します。
 それでは、次に書写について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【2.書写】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 新編 新しい書写
 各単元は「見つけよう」「確かめよう」「生かそう」「ふり返ろう」「生活に広げよう」の構成になっている。また、「生活に広げよう」では他教科や学校生活との関連、「文字といっしょに」では文字文化との関連を取り扱っている。

 教育出版 小学 書写
 各単元は、「つかむ・考える」「書く・たしかめる」「ふり返る」「生かす・広げる」の構成になっている。児童の発達段階を考慮した内容になっており、例えば1・2年生では、「よいしせいの合いことば」で姿勢に気を付け、筆記具の持ち方を正しくし、丁寧に書くことが取り上げられている。

 光村図書出版 書写
 各単元は、「考えよう」「確かめよう」「生かそう」という構成になっている。QRコードを読み取れば、運筆や筆使いなどを動画で確認することができ、視覚支援を充実させている。また、SDGsブックや、安全マップ作りなど、教科等横断的な教材が各学年で設定されている。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 どの子にとっても見やすく、わかりやすい教科書が良いと思いますが、各発行者で工夫されているところはどういった点でしょうか。また、特に特徴的な発行者があれば教えてください。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 各発行者とも、どの子も「見やすい」「わかりやすい」教科書になるように工夫がされています。学習に集中しやすいように、レイアウトや配色を工夫していたり、ユニバーサルデザインフォントを使用していたりしています。
 光村図書出版では、いちばん大切なことは大きく、その他の事例は小さく書くなど、情報に軽重をつけ、すっきりとしたレイアウトを採用しています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 すっきりしたレイアウトの教科書は見やすくて良いと思うのですが、一方で、学ぶ要素が少なくなってしまい、子どもたちが不利益を受けることはありませんか。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 3つの発行者とも学習指導要領に沿った内容になっていますので、どの発行者を選んでも、子どもたちが学ぶべき内容が不足しているということはありません。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 児童には1人1台端末があると思います。書写の学習において、タブレットを使うことはあるのでしょうか。もし、各発行者で、端末の活用について工夫されているところがあれば教えてください。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 各発行者とも教科書の紙面にQRコードを掲載しており、今後は書写の学習にも、1人1台端末の活用が進んでいくものと思われます。端末の活用について、各発行者の特徴をお伝えいたします。
 東京書籍はQRコードが98点用意されています。準備の動画、運筆動画やシミュレーションやアニメーションなどのコンテンツがあります。毛筆の運筆動画には、ループ再生機能が搭載されており、連続で提示し続けることができます。
 教育出版はQRコードが75点用意されています。姿勢や筆記具の持ち方の動画、運筆動画、シミュレーションやアニメーションのコンテンツなどがあります。「学習の進め方」の動画もあり、書写学習の流れがわかりやすく理解できます。
 光村図書出版はQRコードが162点用意されています。準備や片付けの動画、全国筆・紙・墨・すずりマップといった写真資料、アニメーションのコンテンツなどがあります。筆使いの解説動画は、正面からと斜めからの2種類の映像があり、書く際のポイントとなる解説もついています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 1年生は文字を書く入門期にあたり、姿勢や持ち方など様々な配慮が必要かと思います。そこで、1年生の学習にあたっての各発行者の工夫があれば教えてください。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 各発行者とも、1年生の学習がスムーズに進むように、発達段階を考えて、イラストや簡単な言葉で正しい姿勢や筆記具の持ち方などを感覚的につかめるように工夫しています。
 東京書籍や教育出版ではキャラクターの動きや擬態語・擬音語を活用して、児童にとって身近な動きと音で運筆を表現し、親しみをもって学習できるように配慮されています。
 光村図書出版でも、キャラクターの動きや擬態語・擬音語を活用して、直感的に筆使いを理解することができるようにすると共に、巻頭に「しょしゃすたーとぶっく」を設けることで、書写学習の基本となる内容をまとめております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 スマートフォンやパソコンの活用が進む中、子どもたちには手書きの文字が伝えるあたたかさや、文字を書く楽しさを感じてほしいと思います。そのような意味でも、書写で身に付けた力を他教科や日常生活に生かすために、各発行者がどのような工夫をしているのか教えてください。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 各発行者とも、国語や生活など他教科に生かす場面や、はがきの書き方といった日常生活に生かす場面を盛り込んだ紙面となっております。また、「書く速さ」や「目的に応じて筆記具を選ぶ」といった5・6年の指導事項も他教科や日常生活に結び付けて提示されている箇所がございます。
 東京書籍では「実験したことを記録しよう」など、他教科や学校生活に生かせるような教材が準備されています。また、「学びを生かそう」では、「お礼の気持ちを手紙で伝えよう」といった書写で学んだことを基に、自分で工夫を加えて書くことのできる教材を取り挙げています。
 教育出版では“総合的な学習の時間にポスターにまとめる活動”や“図画工作の作品カード”など各教科との関連を示した「レッツトライ」という教材が準備されています。また、手紙やはがきを書くことを重点的に取り扱っており、“敬老の日のはがき”や“ありがとうカード”など、各学年を通して系統的に取り扱っています。
 光村図書出版では「書写広げたい」というページを設け、アルファベットの書き方など、他教科や日常生活に関わる教材が用意されています。また、現代的な課題に対応して、タブレットを使って資料を作る際の文字の大きさや配列などを考える教材も準備されています。6年生では、「書写ブック」というページのまとまりの中で、1から6年生までに学習したことが日常生活に活かされる場面をまとめて提示されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、書写について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

浦野真彦委員
 私は長年、書を習っていますが、書く前に多くの情報を受けると、それが気になり、書きにくくなることがあります。その点でいうと光村図書出版の教科書は、ポイントが絞られ、わかりやすい構成になっていると感じました。また、しなやかな身のこなしができる猫のキャラクターの動きや、擬態語・擬音語を使ったアドバイスが、良いアクセントになっており、筆使いを直感的に理解できるよう、よく工夫されていると感じます。
 教科等横断的な教材や動画についても、光村図書出版がもっとも充実しており、最適な教科書だと考えますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、浦野委員から光村図書出版が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、書写については、光村図書出版を採択することに決します。
 それでは、次に社会について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【3.社会】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 新編 新しい社会
 単元の「めあて」、小単元の「学習問題」、本時のめあてに学習段階として「つかむ」「調べる」「まとめる」「いかす」を併記し、単元の導入・展開・終末がわかりやすく学習しやすい構成になっている。また、生活につながる学びとなるよう、疑問から課題を設定し、計画を立て、調べてまとめるという流れが作られている。

 教育出版 小学社会
 「つかむ」「調べる」「まとめる」「つなげる」の進め方を基本とした、単元を貫いた一連の学習計画が分かりやすくなっている。単元ごとに「みんなでつくった学習問題」を設定し、インデックスを用いることで、ねらいがぶれないようにし、問題解決的な学習が進められるよう配慮されている。

 日本文教出版 小学社会
 学習問題を予想し、学習の計画を立てられるよう単元が構成されている。幅広い知識を増やしていけるようQRコードを読み取り、動画に触れるなど、知識・技能を活用した問題解決的な学習展開となっている。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

岡本華世委員
 すべての子どもたちにとって、見やすく、わかりやすい教科書がよいと思いますが、資料の見やすさやわかりやすさについて各発行者の特徴を教えてください。

教育指導課副主幹(森田咲子)
 三者とも、適切な資料を用いて、充実した内容となっております。また、様々な学習場面において活用できるデジタルコンテンツが用意されています。さらに、図や表が、色だけでなく形や模様でも判別できるようにするなど、すべての児童にとって使いやすくわかりやすいように、配慮されています。
 東京書籍では、太字のキーワードが、よりはっきりと区別できるようにしており、ポイントがわかりやすくなっています。また、そのキーワードについて、同じページ内の「ことば」コーナーで意味を説明し、その「ことば」一覧を「まとめる」のページに再度掲載するなど、学習の基礎・基本が定着できるように工夫されています。
 教育出版では、白黒で撮影された昔の画像をAIの技術でカラー化して掲載することで学習意欲が高まるように工夫されています。このようにカラー化した画像の掲載は50点以上あります。
 日本文教出版では、見開きの同じページ内の文章を三か所に分けて掲載するなど、本文が正確に読み取れるよう、工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 これからの変化の激しい時代を生きるにあたって、子どもたちが、生涯にわたって学び続ける力を育むことはとても大事なことだと感じています。授業で学んだことについて疑問をもったことを調べたり、社会で起こる様々な出来事に興味をもつなど、学校での学習を広げていくための「自学自習力」の育成について、各発行者での取り扱いはどのようになっていますか。

教育指導課副主幹(森田咲子)
 三者とも、自学自習力を育成する工夫がされています。
 東京書籍では、「学習の進め方」で単元の見通し、「まなび方コーナー」で学習場面に応じた学び方を具体的に示しています。「まなび方コーナー」では、発達段階に応じて「動画資料」や「ICT活用の仕方」、「思考ツール」などを使い、具体的な学習の技能や方法を提示しています。また、「まとめる」や「いかす」を設けており、さらなる深い学びにつなげられています。
 教育出版では、「まなびリンク」というマークを用いて、ウェブサイトで学習に役立つワークシートや動画を自宅でも確認できるように工夫しています。
 日本文教出版では、自ら学習を進めていけるように、観察力・資料活用力や表現力の基礎となる「学び方・調べ方コーナー」を各学年に設け、発達段階に応じて提示しています。例えば、6年生の教科書45ページの「学び方・調べ方コーナー」では、「表現する」という活動に向けて、「提案の仕方」が提示され、提示された課題を実行することで児童が学習後に自ら学んでいけるようなエ夫がされています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 前回の教科書採択のときから、子どもたちの学習環境は大きく変わり、社会の教科書も大きく変わっているところがあると思いますが、具体的にどういったところが変わったか、あるいは工夫がされたか、特徴的なところを教えてください。

教育指導課副主幹(森田咲子)
 1人1台端末を活用した、学びを支えるコンテンツが充実しています。各者とも、学習のまとめや単元はじめの見通しで活用できるワークシート、児童の興味関心を引きつけるインタビューなどの動画、スライドショーや、まとめに活用できる画像や図・表など、授業や自学自習などに活用できる工夫がされています。
 その他、変わった点としましては、東京書籍では、「まなび方コーナー」の配色が変わり、見やすくなりました。また、各ページに本文、写真、挿絵、資料などがバランスよく配置されています。
 教育出版では、各見開きの左ページに「この時間の問い」を掲載し、学習が「問い」で展開していく流れを重視し、学習意欲が高まるように工夫されています。
 日本文教出版では、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現に向かって、SDGsを自分ごととして考えられるよう工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 学び方の工夫に関して、調べたことや学習したことを「まとめる」ことは、学習内容を定着させる上で大切なことだと思います。そういった視点で、社会科においては、各発行者でどのような工夫がされていますか。

教育指導課副主幹(森田咲子)
 三者とも、問題解決的な学習をする上で、必要な知識や技能を身につけるための工夫や話し合い活動・表現活動など、自分の考えを述べたり、まとめたりするような工夫がなされています。
 東京書籍では、小単元のさまざまな場面において話し合いや討論の場面が提示されており、特に「まとめ」では、書いてまとめるだけでなく、書いたことについて話し合う活動が多く取り入れられています。また、「ダイヤモンドランキングでまとめる」など、様々な表現方法について学ぶ機会が多く設定されています。
 教育出版では、「まとめる」について、調べたことを図、表、文章など様々な表し方の方法を提示し、発表や話し合いなどの表現活動の例を挙げています。
 日本文教出版では、「学習の計画」のまとめ方において、多様な表現活動が提示されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 本市で作成している小学校3・4年生の社会科副読本「わたしたちの街 高槻・大阪」と、それぞれの教科書は、どのように関連させられますか。

教育指導課副主幹(森田咲子)
 3年生では、自分たちの市町村について、4年生では都道府県について学びます。
 東京書籍では、3年生は「福岡県福岡市」、4年生は「宮城県」を中心に、日本の各都市が取り上げられています。
 教育出版では、3年生は「神奈川県横浜市」、4年生は「福岡県」を中心に、日本の各都市が取り上げられています。
 日本文数出版では、3年生は「兵庫県姫路市」、4年生は「岡山県」を中心に、日本の各都市が取り上げられています。
 3・4年生の授業では、どの教科書でも「わたしたちの町 高槻・大阪」を活用し、高槻や大阪の自然や産業、働く人々の様子、伝統文化などを取り上げるなど、教科書との関連を図りながら学習を進めていきます。

樽井弘三教育長
 社会科での学習では問題解決的な学習が大事ですが、一方で総合的な学習の時間では探究的な学習が追求されています。各発行者はそれらをどのように工夫して連携していますか。

教育指導課副主幹(森田咲子)
 東京書籍では、「つかむ」「調べる」「まとめる」「いかす」のそれぞれの学習段階での具体的な学習の進め方を説明し、教科書に沿って学習をすることで、問題解決的な学習を展開できるようにしています。
 教育出版や日本文教出版も、「社会科の学習の進め方」について掲載し、問題解決的な流れがわかるように工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 学習指導要領で示されている「見方・考え方」を働かせ、「主体的・対話的で深い学びの実現」に向けて、それぞれの発行者がどのように工夫されているのか教えてください。

教育指導課副主幹(森田咲子)
 三者とも、社会的な見方・考え方を働かせ、主体的・対話的で深い学びが実現するよう工夫されています。
 東京書籍では、知識を得るだけで終わらず、子ども自身の生活につながる学びとなるよう、疑問から自分たちで課題を設定し、学習計画を立てながら調べ、まとめるという活動の流れが作られています。また、単元の終末には、「ひろげる」というページが作られており、単元に関連した内容を発展的に学習できるように工夫されています。
 教育出版では、「自分で調べて考える」というページを随所に設け、「ポイント」を手がかりに考察、共有することで学びが深まるように工夫されています。
 日本文教出版では、一人一人の「わたしたちの問題」を出し合い、その解決に向けて、交流場面を随所に設定し、対話的で深い学びにつながるように工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、社会について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

岡本華世委員
 どの発行者も単元ごとに組織・配列については工夫されていると感じました。その中でも高学年は2冊に分かれて資料も充実し、報告からもあったように疑問から課題を見つけ、計画を立て、調べてまとめるという流れがあり、学びが深まるという観点から東京書籍がよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、岡本委員から東京書籍が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、社会については、東京書籍を採択することに決します。
樽井弘三教育長
 ここで、午後2時00分まで休憩をはさみたいと思います。よろしくお願いします。

 

(午後1時55分休憩)

(午後2時00分再開)

 

樽井弘三教育長
 それでは、会議を再開したいと思います。
 次に地図について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【4.地図】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 新編 新しい地図帳
 ユニバーサルデザイン書体の使用、地形の陰影を削除、地名を縁取るなどの工夫で、すべての児童にとって読み取りやすい。児童がオリジナルの地図記号を考える学習活動ができるなど、主体的に資料等を活用して学ぶことができる。

 帝国書院 楽しく学ぶ 小学生の地図帳
 3年生向けの要素を精選した地図と4年生から6年生向けの詳しい地図まで学年ごとに使い分けできる。また、まちから日本、世界と広く見渡すことができ、地図活用の技能を身に着けながら「社会的な見方・考え方」を捉える工夫がされている。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 地図帳で大切な点は、児童にとって見やすく、地形や土地利用など、土地のすがたがわかりやすいことだと思います。そういった地図の見やすさという観点で、両発行者の特徴を教えてください。

教育センター所長(丸山みち子)
 両発行者ともすべての子どもが使いやすく親しみやすい地図帳となっております。社会科においては、土地の高さによる色分けや土地の使われ方による色分け、地図記号などをわかりやすく表現することで、「土地の位置や空間の広がり」などの社会的な見方・考え方を働かすことができ、深い学びにつながっていくと考えております。
 東京書籍では図をはっきりと見やすくするための工夫がみられました。一般図には土地利用もこれまで地図帳で用いていた地形の陰影の表現をなくし、必要な情報のみを見やすく改善するとともに、日本の100万分の1の地図には、田、畑、果樹園などの地図記号を入れて各地の土地のすがたがわかるように工夫されております。
 帝国書院では図が見やすく土地の位置や空間の広がりが判別しやすいことが特徴です。独自開発の緑色を採用した5色刷りで、すべての児童にとって視認性が高くなるよう工夫されております。また、日本地図において、100万分の1の縮尺の他にも、160万分の1の地方ごとに広く見渡す地図を掲載し、20万分の1・30万分の1の詳しく見る地図など4種類の縮尺の地図を多く掲載していることで、資料活用能力を高める工夫がされております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 高槻に住む児童が学びやすいという視点でみたとき、両発行者に特徴はありますか。

教育センター所長(丸山みち子)
 地域性を考慮して大阪府や近畿周辺の取扱いが多い方が学習を進めるにあたってふさわしいと考えておりますが、両発行者とも同様で、全ての都道府県が網羅されています。また、両発行者とも大阪については、詳しく掲載されており、高槻市についても教科書の折り目にあたらず表記されております。
 東京書籍では近畿地方のページが縮尺50万分の1で表記されており、阿武山古墳や芥川城跡が記載されています。
 帝国書院では近畿地方のページが縮尺100万分の1、50万分の1、20万分の1の3段階で、より詳しく高槻市の土地の位置や様子がわかるように表記されており、鵜殿の葦原が記載されています。また、淀川についての特徴がわかるイラストが複数掲載されており、親しみを持って住んでいる地域から、さらに広域について空間認識を広げる工夫がされております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 高槻市は、第2次高槻市教育振興基本計画において、「安全・安心な学校づくり」を重点施策として掲げています。これからも起こるであろう自然災害に対応していくために、他の教科とも関連して地図帳を活用しながら防災教育を充実させいくことも必要だと考えています。そこで「防災教育」への対応という観点から両発行者の取り扱いはどのようになっていますか。

教育センター所長(丸山みち子)
 両発行者の地図帳には防災についての特集ページがあり、自然災害に関する理解を深めることができるものとなっています。
 東京書籍では日本列島全体の自然災害地図と主な災害の写真を掲載し、また、ハザードマップ(防災マップ)の例を示して、自分の地域における防災について理解を深められるようにしております。また、平成30年の「大阪北部地震」について掲載されております。
 帝国書院では防災意識が高められるように、日本列島で起こった自然災害の事例と、防災・減災に取り組む人々の努力を学ぶページを設けています。また、自然災害に備え、子どもが自らの命を守るために何ができるかを考える学校のまわりの「防災マップづくり」を通して、地図を活用して自らの行動について児童が主体的に考え、取り組める内容になっております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 地図帳は3年生から主に社会科で活用されますが、初めて地図帳を使う3年生の子どもたちにとって地図の仕組みや地図帳の使い方をわかりやすく解説するような両発行者の工夫を教えてください。

教育センター所長(丸山みち子)
 両発行者とも4年間を通じて使用する教材のため、児童の発達段階に応じた地図表現・配列などについての工夫がなされております。
 東京書籍では地図帳の導入として、3年生にも無理なく「地図の仕組み」と「約束事」がわかるように、親しみやすいキャラクターがガイドしながら、巻頭で8ページにわたって地図の基本を丁寧に学べるように工夫されております。
 帝国書院では発達段階に配慮して、3年生でも読み取りやすい要素を精選した地図から4年生以上向けの詳しい地図まで、学年ごとに使い分けができる工夫されております。また、生涯にわたって地図を使いこなすための基礎や基本を身につけられるように、「地図のやくそく」「地図帳の使い方」を巻頭で、14ページにわたりスモールステップで丁寧に学べるように工夫されております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 テレビや新聞のニュースなどで、初めて見聞きした国や都市などについて知らないことがあれば、今は簡単にインターネットで調べることができます。授業では1人1台の端末を活用していますが、小学生にとっては情報量が多すぎて、調べにくいこともあると思います。そういう点でいうと必要な資料や情報が適切にまとめられているのが地図帳です。1つのことを調べる中で、他の地域や資料も目に入り、関心を持つきっかけにもなります。おおいに地図帳を活用して、様々なことを調べてほしいと思いますが、児童が地図帳を家で自らひらくなど、自学自習力が育つような工夫があれば教えてください。

教育センター所長(丸山みち子)
 両発行者とも小学生にとって適切な情報量や配列で表記するなど3年生から6年生までの発達段階に配慮された内容で児童が理解しやすいものとなっており、児童が地図帳を自ら開いて、楽しみながら土地の「位置や空間的な広がり」に着目して自学自習力を育成する工夫がみられます。
 東京書籍では問いと作業のコーナー「ホップ↑ステップ↑マップでジャンプ↑」を新設し、地図を見ながらクイズや作業に取り組み、楽しみながら地図学習ができるようになっています。また、児童がオリジナルの地図記号を考える学習活動など、地図への興味を喚起する工夫があり、授業で学んだことを生かして家庭でも自学自習を進めていく工夫がなされています。
 帝国書院では図に対する興味・関心をひきつけ、地図を活用する技能や知識が身につけられるような問いを全100問掲載した「地図マスターへの道」のコーナーを各所に配置しています。また巻末に取組を記録できるページを設け、地図活用の成果を積み上げ、児童の達成感を得ることができるなど、主体的に地図帳を活用して自学自習を進めていく工夫がなされています。

樽井弘三教育長
 地図帳は小学校3年生から少なくとも4年間使用し、それ以降も地図帳は手元に残して見るものだと思います。内容も3年生から6年生、そして中学校に入ってからでも長い間興味・関心を持てる工夫がされているのか。
 また、長期間使えるような材質の工夫も教えてください。

教育センター所長(丸山みち子)
 まず、興味・関心についてですが、両発行者ともに児童の興味・関心をかきたてる工夫がなされています。3年生からの学習に詳しく地図の仕組みからわかるような構成となっております。
 東京書籍では3年生から活用できるイラストが入った世界地図を掲載されております。各国の有名なものや民族衣装を着た人々のイラストなどを入れて、世界の文化に関心を広げられるようにするとともに、6年生まで活用できるようにすべての国名が表記されております。
 帝国書院では「地図のやくそく」や「地図の使い方」などが詳しく記載されており、地図に親しみやすい工夫がされております。また、「広く見わたす地図」など3年生から取り組みやすい構成となっていることが特徴でございます。
 耐久性につきましては、両発行者とも4年間の使用に耐える丈夫な製本仕様となっております。
 東京書籍ではすっきりと見やすいだけではなく、児童が直接地図帳に書き込みをしやすくなっております。
 帝国書院では持ち運びの際の、子どもの体への負担に考慮し、軽くて丈夫な地図専用の用紙を使用しております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、地図について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

浦野真彦委員
 地図は2者ですが、それぞれ見やすい色を使い、地形の特徴が理解しやすいよう工夫されていると感じました。
 帝国書院には、記載する地図記号や名称などを絞り込んで、3年生でも読み取りやすくした地図が掲載されているほか、地方によっては「広く見渡す地図」など3種類の地図があり、発達段階にあわせたもので学ぶことができます。
 また、「地図マスターへの道」は、楽しみながら、地図を活用する技能や主体的に地図帳を活用しようとする意欲の向上に期待が持てます。
 これらの点や、先ほどの審議からも帝国書院が良いと考えますがいかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、浦野委員から帝国書院が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、地図については、帝国書院を採択することに決します。
 それでは、次に算数について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【5.算数】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 新編 新しい算数
 単元末の「つないでいこう 算数の目」では、数学的な見方・考え方に焦点をあてた振り返りを設定することで、統合的に考察する力を養えるようになっている。6年生最終単元に「算数のしあげ」を設定し、中学校への円滑な接続ができるようになっている。

 大日本図書 新版 たのしい算数
 「算数の大切な考え方」を巻頭に載せ、数学的な見方・考え方をまとめるページが設定されており、基礎的・基本的な事項の理解につなげている。「なるほど算数教室」では、数学的活動を楽しみながら、数学的な見方や考え方を働かせ、発展的な考察が行えるようになっている。

 学校図書 みんなと学ぶ小学校算数
 巻頭に「考え方モンスター」を示しており、児童が継続して見方・考え方を働かせ、基本的な事項が理解できるようになっている。下学年の学習を振り返るデジタルコンテンツや、6年生に別冊「中学へのかけ橋」が用意されており、下学年の学習の補充と中学校への接続について配慮されている。

 教育出版 小学算数
 単元末に4コママンガでまとめが書かれ、学んだことや見方・考え方を児童が振り返り、統合的に考察しやすいようになっている。6年生の巻末に4コママンガが系統別に再び掲載され、6年間を振り返りやすいようになっている。

 新興出版社啓林館 わくわく算数
 価値づけたい数学的な見方・考え方には色付けで強調されており、基礎的・基本的な概念や性質が理解できるように工夫されている。すべての時間で「めあて」に対応して「まとめ」があることで、児童自身が見通しをもって考察する力を養うことができるようになっている。

 日本文教出版 小学算数
 巻頭に「学び方の4ステップ」「算数ノートをつくろう」が示されており、数学的な見方・考え方を働かせながら、基本的な事項が身につくように工夫されている。巻末に「算数で使いたい見方・考え方」が示されており、統合的・発展的に考察する力を養えるようになっている。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 調査報告書にある各発行者の説明の中では、「数学的な見方・考え方」について述べられています。子どもたちが「数学的な見方・考え方」を働かせながら取り組むことができるよう、どのような工夫があるのか教えてください。

教育指導課課長代理(西田大世)
 学習指導要領解説には、「数学的な見方・考え方」について「事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え、根拠をもとに筋道を立てて考え、統合的・発展的に考えること」として整理できると記載があり、算数の学習が創造的に行われるために欠かせないものとなります。各者ともそれぞれ工夫を行い、数学的な見方・考え方を働かせられるようにしています。
 特に特徴的なものをとりあげると、大日本図書では、書き込み式で見方・考え方を確認するページがあります。低学年では、「ひらめきアイテム」というシールがあり、楽しみながら数学的な見方・考え方に触れられるように工夫されています。
 学校図書では、「考え方モンスター」というキャラクターを用いており、教科書の随所に登場し、児童が「考え方モンスター」を見付けることで数学的な見方・考え方に気付き、見方・考え方が身につくよう工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 子どもたちにとって興味・関心がわくかどうかということは、学習始める上で大切なことだと思うが、単元の導入の場面で工夫されていることとして、どのようなものがありますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 各者とも、単元の導入は特に工夫されています。特に特徴的なものを3者、説明いたします。
 東京書籍、大日本図書では、タブレットを活用して、QRコンテンツから動画を読み込み単元の導入部分を見ることができ、興味・関心を持たせ、児童自身が疑問や課題を見出す仕掛けになっています。
 学校図書では、単元の導入がイラスト形式の読み物になっており、自然な流れで疑問を持ちやすくなっています。また、1時間ごとの終わりに、次の時間の学習につながる疑問が持てるように工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 算数は得意、不得意が大きく分かれる教科だと思いますが、算数に苦手意識のある児童や、支援を要する児童に対して、どのような配慮や工夫がされているか特徴的なものを教えてください。
教育指導課課長代理(西田大世)
 各者とも支援を要する児童に対して配慮や工夫がされています。
 大日本図書では問題や説明の文は読みやすいよう改行の位置を工夫し、色覚的にも見分けやすい色を多く取り入れ、主体的に取り組みやすい配慮がされています。
 学校図書では量感がとらえやすいようなブロックなどの図があり、算数に苦手意識がある児童の手助けになります。また、紙面が広く、見やすいよう工夫されており、書き込むコーナーが多く用意されており、児童にとっても作業しやすくなっています。文章題では4マス関係図やテープ図など複数の手段で考えることができるようになっています。
 教育出版では4コママンガで単元のまとめが書かれており、児童の興味関心を引くよう工夫されています。
 新興出版社啓林館ではデジタルコンテンツに「解説動画」を確認するコンテンツを視聴できるようになっており、各自で確認しながら学習できるようになっています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 学習を進める上で家庭学習も大切になってくると思うが、家庭学習について工夫されている会社の特徴はありますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 学校図書では間違いやすい単元の単元末に「算数パトロール隊」が掲載されており、「よくあるまちがい」に対する注意事項の記載があり、児童が家庭で問題を解く際の手がかりになります。また、単元末に「考え方モンスターでふりかえろう」のページがあり、重要な考え方をふりかえることができるようになっています。
 教育出版では単元末の「たしかめよう」では「考えるヒント」の記載があり、児童が問題を解く際の参考になります。
 新興出版社啓林館ではデジタルコンテンツ「解説動画」があり、予習や復習での活用とともに欠席したときなどに視聴することで授業内容を理解できる内容となっています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 1人1台端末が整備されておりますが算数におけるプログラミング教育についてはどのような扱いになっていますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 小学校学習指導要領解説には「児童がプログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けさるための学習活動」を計画的に実施することが示されています。また、第五学年の図形の「正多角形」の作図を行う学習に関連してプログラミングを体験できるとの例示があり、各者とも正多角形の作図をプログラミングで体験できるようになっております。
 他にも各者ともにプログラミングに関わる題材は用意されていますが、とくに低学年での学習において特徴的な工夫が見られた三者について説明いたします。
 大日本図書と学校図書では低学年では巻末の図を切り取って、実際に紙を並べ変える方法でプログラミングを学習する教材があります。
 日本文教出版では、プログラミングの考え方を「歯をみがく」などの日常の動作を題材として記述されており、低学年の児童でも理解しやすくなっております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 全国学力・学習状況調査の結果については、詳しく分析していると思います。その中で分かった高槻市の児童の課題を克服するために、適した教科書があれば教えてください。

教育指導課課長代理(西田大世)
 令和4年度の全国学力・学習状況調査の結果からは概ね全国や大阪府の平均正答率を上回っていましたが、「割合」の単元で全国や大阪府との平均正答率が下回っており、「データの活用」の領域では無回答率が全国とも大阪府とも上回っており、課題がみられました。
 「割合」の単元については特に特徴的なものとしましては、学校図書では割合の考えで大切な、「もとにする量」を重視した学習を低学年から取り扱っています。割合の単元とそれにつながる「単位量当たりの大きさ」の学習などが分けられており、繰り返し学習することによって一層定着するよう工夫されています。
 新興出版社啓林館でも割合の単元を3つに分けて、繰り返し学習することにより理解の定着に繋がる工夫がされています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、算数について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

浦野真彦委員
 6者すべての教科書を拝見しましたが、私は学校図書の教科書が良いと思いました。
 まず、本のサイズが横に広いことで、文字やイラストの量と余白のバランスが良く、見やすくなっています。
 教科書の様々なところで登場する「考え方モンスター」では、考え方や理解するためのヒントがわかりやすい表現で示されており、児童が数学的な見方・考え方を働かせられるように工夫されています。また、モンスターには親しみやすいキャラクターが使われており、楽しみながら学ぶことができると思います。
 間違いやすい単元には「よくある間違い」に対する注意事項の記載がある点や、算数から数学になることへの不安を軽減する別冊の「中学校へのかけはし」がある点から、算数に苦手意識のある児童への配慮もよくされているのではないでしょうか。
 以上のことや、この場の審議から、学校図書が良いと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、浦野委員から学校図書が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、算数については、学校図書を採択することに決します。
 それでは、次に理科について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【6.理科】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 新編 新しい理科
 巻頭に「理科の学び方」を掲載し、見通しをもって観察・実験などを行い、問題解決の能力を育てる工夫がある。「デジ活」では実験の計画や条件整理などの学習活動について、自分の考えを整理したり互いの考えを伝え合ったりするように促す工夫がある。単元の学習を通して「学ぶ前に」や「学んだ後に」を確認し、自分の成長を実感したり、学び方を改善したりできる工夫がある。

 大日本図書 新版 たのしい理科
 巻頭に「理科の学び方」や「〇年では、特にココ!」が示されており、身につけさせたい理科の見方・考え方が示され、問題解決の能力を育てる工夫がある。表紙を見ると、年間の学習内容が分かるようになっている。単元末には「ふり返ろう」で学習を振り返り、自分の成長が確認できる工夫がある。

 学校図書 みんなと学ぶ 小学校理科
 巻頭に「科学の芽を育てよう」が掲載され、理科の問題解決の過程を示している。観察・実験を見開き1ページで構成するなど見通しをもって学習できる工夫がある。デジタルコンテンツや写真などを見ながら個々の学びが進められる工夫、イラスト等で対話する場面などの工夫がある。

 教育出版 未来をひらく 小学理科
 巻頭に「学習の進め方」やそれぞれの学年で主に児童に身につけさせたい理科の見方・考え方が示されている。問題解決の流れが一本のラインで整理され、問題解決の能力を育てる工夫がある。実験の計画は複数の方法を記載し、それぞれの学習状況にあった学びを促す工夫がある。

 新興出版社啓林館 わくわく理科
 巻頭に学年で大切にしてほしい問題解決の過程や、「問題」「予想」「結果」「考察しよう」「まとめ」のサイクルによって学習の流れが示されており、見通しをもって取り組める工夫がある。「はじめに考えよう」「もう一度考えよう」で、自分なりの認知の変容や成長を実感できるような工夫がある。

 なお、信州教育出版社 楽しい理科については、見本本の送付がないため調査を行っておりません。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

松村洋子委員
 理科では、見通しをもって観察、実験を行うこと等を通して、自然の事物・現象についての問題を科学的に解決するために必要な資質・能力を育成することが大切だと言われていますが、児童が「見通しをもって」学習できるような工夫はされていますか。

教育センター所長(丸山みち子)
 全発行者において、問題解決の過程をわかりやすく示すなど見通しを持ちやすい工夫がされております。
 例えば、東京書籍では巻頭に「理科の学び方」を示し、問題解決の過程をページの左端に黒色の矢印で示すことで、学びの流れをわかりやすくしています。また、実験の場面では様々なキャラクターが予想したり、方法を考えたりするイラストが見られます。
 学校図書では、巻頭に「理科の世界をぼうけんしよう」を示し、理科モンスターと冒険に出るイメージで学べるような工夫や、「理科の芽を育てよう」において、問題解決の流れを示しております。
 新興出版社啓林館では、巻頭に「理科の楽しみ方」を学びのサイクルとして示し、各ページの問題解決の過程を青色の点線でつなぐ工夫が見られます。また、会話のイラストの場面では見方・考え方を意識できるような工夫があります。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 理科の実験については、事故等が起きることのないように、安全配慮や安全指導について十分注意する必要がありますが、先生や児童にとって注意すべきことがわかりやすく示されるなど工夫されている点があれば、教えてください。

教育センター所長(丸山みち子)
 各発行者とも、安全配慮や安全指導についてはわかりやすく掲載されております。
 例えば、東京書籍では、巻末に「理科室の使い方」が掲載されており、続いて実験器具や薬品等の取り扱いについて触れています。また、それぞれの実験や活動で危険なことには、「きけん」マークに加え、してはいけないことや気を付けることを示しています。
 教育出版では、裏表紙一面に「理科の安全の手引き」を示し、注意することや危険なことについて示しています。また、巻末の「理科室の使い方」において、安全の確保や理科室での活動の配慮事項が示されています。実験を行うページにも、「注意」「危険」マークで注意喚起しています。
 新興出版社啓林館では、理科室の使い方や実験時の注意を、単元の途中に記載しております。実験の場面では、「注意」マークで、気を付けることが示されています。また、場面に応じて、「保護眼鏡」「かん気」「はい液」「けが」「やけど」「強い光」のマークも示しています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 理科の授業においては、観察・実験だけではなく、自然に触れたり、実際にやって経験したりすることも大切だと思います。高槻市は比較的自然豊かな地域であると思いますが、例えば、身近に紹介されている場所や施設を取り上げている教科書があれば教えてください。

教育センター所長(丸山みち子)
 大阪府内の写真については、各発行者で見られましたが、高槻市に限ってみると、東京書籍では、5年生の教科書にある、自分でテーマを決めて研究する「わたしの研究」というコーナーにおいて、調べ方の工夫について掲載している場面で、「高槻市立自然博物館(あくあぴあ芥川)」の紹介がありました。
 大日本図書では、5年生の流れる水のはたらきと土地の変化の単元にあるコラム「サイエンスワールド」において、自然を考えた川づくりの取組を紹介する場面で、「芥川の魚道(ぎょどう)」がありました。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 小中連携の視点で工夫されている点や、習ってきたことを生かして学びのつながりがわかるような工夫があれば教えてください。

教育センター所長(丸山みち子)
 どの発行者とも、先の学年や中学校で学ぶ内容には「はってん」等のマークがあり、児童も教員も中学校の内容とのつながりや見通しを持てるような工夫があります。また、単元の最初のページには、既習事項とのつながりを意識させる工夫が見られます。
 東京書籍では、巻末の「1年間をふり返ろう」で、系統的につながる中学校の学習内容が示されています。また、「中学生になったら…」では、SDGsに関連させて、中学校の学習内容に関する写真を掲載し、学習のイメージをふくらませる工夫がされています。
 大日本図書では、コラム「サイエンスワールド」で、「中学校で学ぶこと」を取り上げています。また、巻末の「中学生になったら…」では、中学校で学習する内容を紹介して、興味・関心を高めるように配慮しています。
 教育出版では、発展的な学習や「学習のつながり」で関連する中学校の内容の掲載があり、6年の巻末にある「6年で学んだこと」を振り返るページには、中学校の学習につなげようというメッセージが記載されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 高槻市は、安全・安心な学校づくりを進めるうえでも、防災教育に力を入れているところだと思います。理科では地震や台風などについて学ぶことがあると思うのですが、防災教育ついては、各発行者はどのような配慮や工夫がされていますか

教育センター所長(丸山みち子)
 どの発行者も災害に関する基礎的な理解を通して、防災・減災を考える内容を掲載しています。また、東京書籍、学校図書、教育出版、新興出版社啓林館は単元の初めに、「この単元では、地震や津波、火山の噴火によって起きた災害の写真を扱っています。ご指導の際には、配慮をお願いします。」など、児童の心的負担に配慮した記述があります。その他、特徴的なものを説明させていただきます。
 東京書籍では、防災・減災を自分自身の問題として捉えられるように構成され、地震や火山の噴火によってどのような災害が想定されるか、災害から生命を守るために自分たちにできることを考える場面が設定されています。
 学校図書では、自然災害の備えを日ごろからできるような活動が設けられたり、単元のあとに、学習と防災がつながる記事を掲載していて、安全・防災意識を高めたりする工夫があります。
 新興出版社啓林館では、QRコードで防災クイズをしたり、各学年の学習内容に応じた防災について「ウィズアース」というコラムを通して考えたりできる工夫があります。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 この数年での大きな変化の一つに、児童1人1台タブレット端末が普及したことだと思います。今回の教科書では端末を活用するような場面など何か特徴は見られますか。また、ICTの良さを感じられる工夫があれば教えてください。

教育センター所長(丸山みち子)
 GIGAスクール構想による児童1人1台端末の整備が全国的に進み、いずれの発行者におきましても、QRコードの掲載が多くなっています。動画等のコンテンツにいつでもアクセスして学ぶことができたり、実験を振り返りながら復習したりできる良さがあります。特徴的なものをあげます。
 東京書籍では、実験のページにおいて、実験のやり方を動画にしたコンテンツや学んできたことを動画から問題に答える「デジ問」などがQRコードでアクセスできるようになっています。QRコードの横には、コンテンツの内容を示した「やり方」や「デジ活」、「話し合いの例」などが記載されています。
 大日本図書では、各ページに関連する内容について動画で紹介したり、実験の準備物をチェックリストで確認できるようになっており、アクセスするためのQRコードはページの下方に固定され、コンテンツの内容も併せて記載されています。
 新興出版社啓林館では、実験の方法や問題の解説動画、関連する資料にアクセスできるようにQRコードが示されています。また、単元の終わりに、わからなかった問題を解説動画で見て学べる「スマート解説」があります。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、理科について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

松村洋子委員
 どの教科書も理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって取り組むために、さまざまな工夫がされていると感じました。その中でも導入部分に大きな写真などを用い、児童の興味を引く構成になっていることや、また、デジタルコンテンツの工夫などを考えますと、東京書籍の「新編 新しい理科」が良いと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、松村委員から東京書籍が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、理科については、東京書籍を採択することに決します。
 それでは、次に生活について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【7.生活】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 新編 新しい生活
 児童の状況に応じて、発展的、選択的に活用できる「やってみよう」が設けられており、児童の経験、生活及び興味・関心に対する配慮がなされている。豊富な資料等により、社会や自然に自分からかかわろうとする活動意欲につながる工夫や表現がなされている。

 大日本図書 新版 たのしいせいかつ
 クイズ要素が取り入れられるなど、社会や自然に自分から関わろうとする活動意欲につながる工夫がなされている。巻末の「がくしゅうどうぐばこ」では「地図を作ろう」で写真や絵をはりつけた地図の作り方、「学び方名人」で話し合い方や発表の仕方が示されている。

 学校図書 みんなとまなぶ しょうがっこう せいかつ
 キャラクターを設定し、ストーリー性をもたせるなど児童の経験、生活及び興味・関心に対する配慮がなされている。巻末の「まなびかたずかん」では、「書く」で作文や手紙の書き方などが示されている。なおQRコードがあるところでは、学習に役立つ情報をウェブサイトで見ることができる。

 教育出版 せいかつ
 児童の状況に応じて活用できる「はってん」というコラムが設けられており、児童の経験、生活及び興味・関心に対する配慮がなされている。各単元の扉に「わくわくスイッチ」が設けられており、社会や自然に自分から関わろうとする活動意欲につながる工夫がなされている。

 光村図書出版 せいかつ たんけんたい
 探検をテーマに、気づいたことをもとに考えられるような問いかけや見方、考え方のポイントが示され、児童の経験、生活及び興味・関心に対する配慮がなされている。児童の状況に応じて活用できる巻末の「ひろがるせいかつじてん」では豊富な資料が記載されている。

 新興出版社啓林館 せいかつ
 児童の状況に応じて、発展的、選択的に活用できる「びっくりずかん」等が設けられており、児童の経験、生活及び興味・関心に対する配慮がなされている。子どもの知的好奇心に応えるデジタルの図鑑が閲覧できるようになっており、社会や自然に自分からかかわろうとする活動意欲につながる工夫や表現がなされている。

 なお、信州教育出版社 せいかつについては、見本本の送付がないため調査を行っておりません。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

岡本華世委員
 1、2年生で学ぶ生活科の内容が、3年生から学ぶ理科や社会科につながるのだと思いますが、具体的な内容や工夫のある発行者があれば教えてください。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 3年生から学ぶ教科とのつながりについても、各発行者で様々工夫がなされております。理科との接続を例に挙げると、生活科には、「動植物の飼育・栽培」の内容において、あさがおを育てる単元があります。
 例えば、新興出版社啓林館では、見開きで、はなを育てたことがあるか?→どんな花を育てたいか?→種をまく→世話をする→花を観察する→種をとる→伝える→たねのふしぎを知る・考えるといった細かいステップを踏みながら学習が進められております。こういった学習過程が細分化されていることで、理科の観察や実験を行って問題解決を図るなどの資質・能力を育成し、子どもたちが理科の学習にスムーズに進むことができるようになっています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 高槻市において、本年度の教育努力目標の中に「幼児教育と小学校教育の円滑な接続」が掲げられていますが、各発行者においての「幼児教育と小学校教育の円滑な接続」の取扱いについて、特徴的な発行者を教えてください。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 学習指導要領総則には、「第1学年入学当初においては、幼児期の遊びを通じて育まれてきたことが、小学校での学習に円滑に接続されるよう生活科を中心としたスタートカリキュラムを編成すること」と示されています。今回の改訂においても、どの発行者も児童が小学校での学びにスムーズに入っていくことができるよう、工夫された学習内容が掲載されております。
 なかでも、大日本図書は、入学式から最初の三日間のカリキュラムに対応したページが設けられておりました。児童が入学して最初に戸惑うことが予想される学校内の様子や一日の流れ、学校生活のきまりについてまとめられていて、安心して小学校生活が始められるよう工夫されております。
 他にも、新興出版社啓林館は、スタートカリキュラムとして位置付けているページ数が17ページと最も多く、幼児期の写真を豊富に取りあげながら、これまでの活動を振り返りつつ進めていけるのが特徴です。子どもたちが幼小のつながりを感じられるよう工夫されております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 学習指導要領では、知識及び技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等の3つの資質・能力の育成をめざしています。子どもたちの資質・能力を高めていくという視点で、工夫がある発行者を教えてください。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 生活科では、具体的な活動や体験を通して、身近な生活に関わる見方・考え方を生かし、自立した生活を豊かにしていくための資質・能力を養うことを目標としております。
 そのために、どの発行者でも、学校と生活、家庭と生活、地域と生活、公共物や公共施設の利用、季節の変化と生活、自然や物を使った遊び、動植物の飼育・栽培、生活や出来事の交流、自分の成長の9つの内容が取り扱われております。
 なかでも、東京書籍は、活動や体験のヒントや学びのプロセスが具体的に例示されており、気づきや深い学びを促すような工夫がなされています。また、めあてとともに、生活科を通して養いたい3つの資質・能力のマークが明記されています。どんな活動をするのか、どんな力をつけるのかが明確に示されております。
 他にも、新興出版社啓林館は、9つのうち6つの内容において最も多いページで取り扱われていることが特徴です。また、学習過程という視点で、各単元が「わくわく」「いきいき」「ぐんぐん」の三段階で構成されており、スモールステップで学習を進めていくことができるよう工夫されております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 今回の改訂における全体の特徴について教えてください。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 今回の採択にあたっての教科書発行者は、東京書籍、大日本図書、学校図書、教育出版、光村図書出版、新興出版社啓林館の6者です。現在使用している日本文教出版は、今回はありませんでした。
 どの発行者においても、前回の改訂に引き続き、幼児期の教育との円滑な接続を意図したスタートカリキュラム、他教科との関連、中学年以降の総合的な学習、社会科、理科とのつながりや広がりという点が充実しております。
 特に顕著な特徴としては、QRコードが多く記載され、補充的・補助的なデジタルコンテンツが充実している点、知識及び技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等の3つの資質・能力が着実に養えるような学習過程が工夫されている点が挙げられます。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 デジタル端末の活用という視点で、特徴的な発行者があれば教えてください。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 どの発行者も今回の改訂では、デジタルコンテンツが充実しておりました。QRコードを読み込むことで、図鑑を見ることができたり、活動や学び方のヒントができたりといった、補充的・補助的な教材として位置づけられております。
 なかでも教育出版は、多くのページで、見開きに1つずつQRコードが掲載されております。このQRコードは「まなびりんく」というワークシートやドリル、デジタルずかん、学び方の手順等がそれぞれ示されており、補充的・補助的な教材としての位置づけとして充実しています。
 他にも新興出版社啓林館は「音」にこだわった動画コンテンツが特徴的です。アブラゼミやクマゼミ、ミンミンゼミといった数種類のセミの鳴き声を聴き比べられるように「音」にこだわった動画コンテンツを作成しています。また、図鑑の発行者が監修している「びっくりずかんLIVE」では、実寸大の植物が掲載されており、デジタル端末だけでなく、紙ベースの図鑑も充実しています。「紙」と「デジタル」のバランスやそれぞれの良さをいかしています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 防災教育や安全教育については、どのように取り扱われていますか。特徴的な工夫がみられる発行者があれば教えてください。

教育センター所長代理(山本由紀子)
 どの発行者でも取り扱われております。
 なかでも光村図書出版は、児童の健康や安全にかかわる「気をつけよう」のコーナーでは必ずQRコードを設置し、画像や映像を確認しながら学習を進められるようになっております。
 他にも新興出版社啓林館ではスタートカリキュラムとして登下校の安全面に触れられております。また、巻末資料でも災害時の身の守り方、避難の仕方などのページが設けられております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、生活について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

岡本華世委員
 どの発行者もイラストや写真を用いて、子どもたちが親しみやすく興味をもてるよう工夫されていると思いました。他教科へのつながりや、学習の見通しの捉えやすさという観点から、新興出版社啓林館の「わくわくせいかつ・いきいきせいかつ」がよいと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、岡本委員から新興出版社啓林館が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、生活については、新興出版社啓林館を採択することに決します。
樽井弘三教育長
 ここで、午後3時10分まで休憩をはさみたいと思います。よろしくお願いします。

 

(午後3時00分休憩)

(午後3時10分再開)

 

樽井弘三教育長
 それでは、会議を再開したいと思います。
 次に音楽について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【8.音楽】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 教育出版 小学音楽 音楽のおくりもの
 我が国及び諸外国の音楽から、音楽の持つ多様な良さや面白さを感じ取り、音楽と社会や生活の関わりに関心を持ち、生涯にわたり音楽文化に親しむ態度を育むものとなっている。各題材内の教材は、その特徴を生かして設定されており、表現活動と鑑賞活動を効果的に組み合わせた組織・配列となっている。

 教育芸術社 小学生の音楽
 授業で学んだことを学校や家庭、地域社会での生活で生かせるよう、我が国の伝統的な音楽や郷土の民謡や芸能を取り上げ、音楽で社会や身近な人々とつながる学びを促し、音楽で生活を豊かにする心を育む内容になっている。QRコードを読み取ることで、楽器の奏法や解説動画、音源を聴くことができ、音楽づくりも端末上で行えるなど、個の考えを深めやすいよう工夫されている。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

美濃律委員
 GIGAスクール構想により、1人1台端末が整備され、各学校での活用が進んでいるところだと思いますが、今回の教科書でICTを活用するような工夫はありますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 両発行者とも、各所にQRコードが示され、児童がタブレット端末から学習内容に沿ったWebコンテンツにアクセスすることができます。
 教育出版では「まなびリンク」のマークで示されており、楽器の奏法や内容解説についての動画のほかに、音源も用意されております。例えば、歌唱教材『とんび』の中で、実際のとんびの鳴き声を音源として聞くことができるようになっています。このほか、ワークシートのPDFやWordのデータも提供しており、授業で活用できるようになっております。
 教育芸術社では教科書掲載のキャラクター名を活用して「ムーブの部屋」につながるQRコードが示されています。楽器の奏法や学習内容の解説についての動画のほか、曲の参考となる音源を聴くことができるようになっており、児童が自分の学び方に合わせて曲の雰囲気を捉えやすくなっています。
 また、児童がタブレットを操作しながら学ぶことができる教材コンテンツが用意されていることも特徴の一つです。3年生の音楽づくり教材「クロックミュージック」では、グループでタブレットを用いて音楽づくりに取り組むことができます。中学校の「創作」へのつながりがあり、系統的に構成されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 学習指導要領では、各教科等の学びを通じて資質・能力を身につける過程で働かせる「見方・考え方」が重要とされていますが、各発行者で音楽科の「見方・考え方」を働かせることについて、どのような工夫がありますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 音楽的な見方・考え方とは、音楽を美しいなどと感じる感性を働かせ、音楽を形づくっているリズムなどの要素と、それが生み出す面白さや美しさといった働きをとらえ、自己のイメージや感情、生活や文化などと関連付けることです。特に「音楽を形づくっている要素とそのはたらき」について、両発行者の特徴を挙げます。
 教育出版では「音楽を形づくっている要素」であるリズムや速度、反復などを「音楽のもと」として示し、教材や活動に関連するものを見開きごとに明記しています。児童がその働きを意識して思考したり、話し合ったりすることができるよう配慮されています。また、中学年以降は自ら見つけた要素等を書き込む「メモ欄」が配置されており、見方・考え方を働かせることができるよう、工夫されています。
 教育芸術社では音楽活動を通して無理なく音楽を形づくっている要素をとらえたり、それを生かして表現や鑑賞の活動が進められたりできるように、題材が系統的に構成されています。また、音楽を形づくっている要素に関する内容は見開きページの右端下段に示されており、音楽を形づくっている要素とそのはたらきから音や音楽を捉えやすくなっています。音楽と豊かにかかわりながら、見方・考え方をはたらかせることができるよう、配慮されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 低学年の児童が、音や音楽に親しむことができるよう、歌唱や演奏以外で音楽に親しむような活動は各発行者にありますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 両発行者とも、気持ちや体をほぐして授業に入ることができるよう、授業開始時の数分間を使って活動を積み重ねる常時活動を適切に取り入れています。また、歌唱や演奏以外にも、曲に合わせて体を動かして音楽に親しむ内容の取扱いも、各発行者に見られました。
 教育出版では1年生「ドレミの体操」は音の高さにあわせて体を動かします。以降のページや学年でも活用することができる汎用性の高い活動です。また、常時活動はスキルアップコーナーで示されていて、2年生「手拍子リレーであそぼう」では、音楽づくりとして手拍子で色々な音を出して即興的に表現する活動が取り扱われています。
 教育芸術社では1年生「おちゃらかほい」では、日本で古くから親しまれているわらべ歌として「おちゃらかほい」のリズムに合わせて手遊びをします。体を動かしながら、音楽に親しむことができます。また、常時活動は「そだてよう」のコーナーで示されており、3年生「リズムでなかよくなろう」では、拍にのって手拍子をまねする表現活動が取り扱われています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 音楽科の目標は、「音楽的な見方・考え方を働かせ、生活や社会の中の音や音楽と豊かに関わる資質・能力」の育成とされています。音楽と生活や社会とのつながりについては、各発行者にどのような特徴がありますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 教育出版では2年生の地方のお祭りの音楽から3年生では世界のこどもの歌へと広がり、6年生では、声の表現や楽器のひびきを取り扱うことで、音や音楽と生活とのつながりについて系統的に学べるよう工夫されています。他にも、世界的に有名な音楽家の音楽への思いやストリートピアノを取り上げ、音楽のもっている力や役割を紹介することで音楽と生活や社会とのつながりについて考えられるように工夫されています。
 教育芸術社では1年生では身近な学校の中で聞こえる音を見つける活動から、2年生では家や学校のまわりで聞こえる音を見つける活動に広がり、3年生からは地域の音楽へと広がり、6年生では世界のさまざまな音楽を取り扱うことで、発達段階に応じながら、音や音楽と生活とのつながりについて系統的に学べるよう工夫されています。他にも、社会で活躍する演奏家や歌手、世界的に有名な音楽家の考え方を掲載したり、コラムで音楽のもっている力や役割を紹介したりすることで、音楽と生活や社会とのつながりについて考えられるように工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 通常の学級においても支援を必要としている児童がいると思いますが、視覚的な支援も含めた、ユニバーサルデザインの視点で両発行者の特徴を教えてください。

教育指導課課長代理(西田大世)
 教育出版では色覚等への特性を踏まえた判別しやすい配色やカラーユニバーサルデザイン、ユニバーサルフォントの使用などの配慮がされております。また、大判で見やすい写真が掲載されている紙面が多く、視覚的に情報が取得しやすくなっています。
 教育芸術社では色覚等への特性を踏まえ、教科書紙面全体として、区別しやすい配色を用いております。学習上の必要に応じて、形状や濃度、文字枠などを変えるなどして、確実に識別できるよう配慮されております。レイアウトについては、学習上必要な情報に確実に注目することができるよう、シンプルなデザインが採用され、色や枠で各情報が区別されております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 「何を学ぶのか」や「何を学んだのか」ということがはっきりしている授業はわかりやすいイメージがあります。「だれもがわかる授業づくり」を実践するための、「学習のめあて」や「ふりかえり」については、各発行者にどのような工夫がありますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 教育出版では教材のめあてが最上段に文で示されています。学習の年間の見通しは学習マップで示されています。
 教育芸術社では題材のめあては見開きページの左端に示されており、教材のめあては最上段に文で示されています。ふりかえりについては、題材の最後に振り返りのポイントを明確に示しています。学習の年間の見通しを学習マップで示し、年間の振り返りを巻末ページに掲載することで、見通しと振り返りが個別に確認できるように工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、音楽について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

美濃律委員
 どちらの教科書もQRコードを用いて、楽器の奏法、解説動画、音源を視聴できるなど現代の児童に受け入れられやすい工夫が見られます。
 表現及び鑑賞の活動を通して、音楽的な見方・考え方を働かせ、生活や社会の中の音や音楽と豊かに関わる資質・能力を育成するために、この場の審議を含め、教育芸術社の教科書は音楽づくりも端末で行え、個人の考えを深めやすくなっていたり、学んだことを生活に生かせるよう工夫されていたり、生活を豊かにする心を育む内容になっていたり、教材性を生かした効果的な学習が配列され、目次にもわかりやすく表記されている教育芸術社の「小学生の音楽」が良いと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、美濃委員から教育芸術社が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、音楽については、教育芸術社を採択することに決します。
 それでは、次に図画工作について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【9.図画工作】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 開隆堂出版 図画工作
 構想の段階で児童一人一人が自分なりのイメージをもって作品作りに取り組めるようになっていたり、友だちと協働的に取り組めるようになっていたりしている。また、日常に存在している様々な造形物が鮮やかな写真とともに掲載され、作品やその製作を通して、生活を楽しく豊かなものにしようとする態度を養うことができる。

 日本文教出版 図画工作
 学習を深めたり、共同活動を進めたりするためのヒントが示されており、言語活動を通して、発想を広げることができるように工夫されている。また、児童にとって身近なものを使って作品作りや造形遊びができる展開になっており、実際に触った感じなど、児童が自分の感覚を通して見方や感じ方を広げることができるように工夫されている。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

松村洋子委員
 図画工作では、児童が絵を描いたり、工作をしたり様々な表現活動や鑑賞を行うと思います。そのような図画工作の授業において、子ども達が学習のめあてを意識して活動できるように、各発行者がどんな工夫をされていますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 どちらの発行者も児童に親しみやすい文章表現を使って題材ごとに「学習のめあて」を示しています。また、育てたい資質・能力について3観点で示しています。児童が学習のめあてを意識して活動しやすいようにそれぞれ工夫されています。
 開隆堂出版では、児童が自分たちのめあてを意識して活動しやすいように各題材において、3観点に対応したキャラクターが設定されています。
くふうさん…「知識及び技能」
ひらめきさん…「思考力、判断力、表現力等」
こころさん…「学びに向かう力、人間性等」
 また、3つの目標の中で中心的なものを強調して示しています。
 日本文教出版でも同様に目標が示され、資質・能力に合わせてマークが設定されています。めあてを3観点で示すだけではなく5項目に細分化して育てたい力がより明確になるように示しています。「手のひらマーク」では、知識と技能それぞれのめあてが示されています。特に「電球のマーク」で示されている「思考力、判断力、表現力等」は、表現と鑑賞の両方のめあてが示されており、表現と鑑賞を往還しながら活動できるように工夫されています。めあてと3観点が明確に示されていることで、指導することと評価が明確になり、授業者が指導と評価の一体化を意識して学習を進めることができるように配慮されています。また、各題材で「めあてのヒント」として赤で囲われている部分があり、どのように活動すればよいかがわかりやすく提示されているので、子どもたち自身が目標を意識して学びを深めることができます。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 図画工作では、こつこつとねばり強く作品づくりに取組む姿勢が大切な一方で、共同で作業したり、友達と作品を見せ合うことによって、様々な感性や表現方法に触れながら、自らの表現力を育む楽しさもあると思います。そういった観点で、各発行者で設定している題材にはどのような特徴がありますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 どちらの教科書も共同で作業したり、友達と作品を見せ合ったりして、様々な感性や表現方法に触れながら、自らの表現力を育むことも大切にされています。
 開隆堂出版ではみんなで作業し、共同で作品作りに取り組む題材があります。友だちと相談しながら、一つの作品を作り上げることで、楽しみながら様々な感性や表現方法に触れ、自らの表現力を育むことができるようになっています。
 日本文教出版でも、友だちと共同で作品作りに取り組む題材が用意されています。開隆堂出版との違いは、まず一人で作品について構想を立てたり、表現を工夫したりする活動が設定されていることです。自分の作品を作ったうえで、友だちの作品と合わせていくような学習の流れが設定されています。共同で作る作品についても、自分の作品に対してこつこつとねばり強く、作品づくりに取組む姿勢を大切にしていることがわかります。一方で教室を大きく使う作品作りなど、共同で行うことを中心に作業を進めることが意図された題材も設定されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 図画工作では作品をつくるにあたって、さまざまな道具や材料に触れる機会があると思います。中にはカッターナイフや彫刻等といった危険なものや、ラジオペンチなどあまり子どもになじみのないものなどもありますが、用具の使い方については、どのようにとりあげられていますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 どちらの発行者も、巻末に材料・用具の扱い方について、イラストや写真で分かりやすく提示しています。また、各題材で使用する材料や用具について、見開き1ページの左下にQRコードが示してあり、必要に応じて動画で確認できるようになっています。
 日本文教出版では「わざのひきだし」というコラムがあり、用具の発展的な使い方が紹介されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 図画工作では、ものをつくる喜びが感じられる教科であり、ものをつくる仕事にもつながるものだと思います。そういったキャリア教育観点で、何か工夫されているところがあれば教えてください。

教育指導課課長代理(西田大世)
 開隆堂出版では、社会で活躍する人を巻頭で大きく取り上げられている特徴があります。巻頭で、オリンピック・パラリンピックなどで活躍したアーティストが取り上げられていたり、竹工芸家、廃材アーティストなど普段なかなか知ることができないような職業の方が取り上げられていたり、児童の職業観や、勤労観の育成につながるように配慮されています。
 日本文教出版では、図工の時間に作ったものを家で活用している様子や日常生活の中にも造形的な見方ができるような活動が取り入れられています。また、QRコンテンツには木工デザイナーやスポーツ用義肢装具などをデザインされている方など多様な方のメッセージ動画を見ることができます。図画工作での学びが未来の自分にどうつながっていくのか考えられるように工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 図画工作で学習する内容には、美術作品や伝統工芸などを「鑑賞する」ことも含まれていると思いますが、「鑑賞」についてはどのように取り上げられていますか。

教育指導課課長代理(西田大世)
 開隆堂出版では、「小さな美術館」や「みんなのギャラリー」に鑑賞の対象となる作品が掲載されています。幅広い授業展開が可能な題材、伝統や地域の方とのふれあいを大切にした題材で構成されています。世界の様々な美術作品を取り上げており、各国の文化を尊重する態度につながると考えられます。また、巻末にある「ひらめきショートチャレンジ」では、児童が対話的に造形的な見方や感じ方を深めることができるように配慮されています。
 日本文教出版では、「教科書美術館」に、鑑賞の対象となる作品が掲載されています。また、QRコードを読み取り「みんなの図工ギャラリー」にアクセスすると日本全国の児童の作品を鑑賞することができます。他にも作家からのメッセージ動画を見ることで作品に込めた思いを知ることができ、より深く作品を鑑賞できるようになっています。また、全ての教材のページにおいて「虫メガネマーク」で、鑑賞のヒントが示されています。ヒントをもとに児童が対話し、作品に対する自分の見方や感じ方を深めることができるようになっています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、図画工作について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

松村洋子委員
 開隆堂・日本文教出版ともとてもよく工夫がされていると感じました。
 身の回りにある材料がたくさん載っているなど、児童が図工を身近に感じ学びを生活や社会につなげて取り組めるというところから、日本文教出版の「図画工作」が良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、松村委員から日本文教出版が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、図画工作については、日本文教出版を採択することに決します。
 それでは、次に家庭について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【10.家庭】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 新編 新しい家庭 私がつくる みんなでつくる 明日をつくる
 家庭科の見方・考え方を働かせ、実践的・体験的な活動が行えるように、各題材の導入に「家庭科の窓」が設定され、実際の生活を意識して学習に取り組む工夫がされている。また、全ての題材がステップ1から3の問題解決の流れで展開されており、基礎的・基本的な知識・技能を習得できるように工夫されている。

 開隆堂出版 わたしたちの家庭科
 家庭科の見方・考え方が、各題材の初めに示され、題材を通して見方・考え方を働かせる工夫がされている。5年生では生活を見つめ、課題に気付き、6年生では生活に生かす基礎的・基本的な知識・技能を身に付けられるような、系統性のある内容になっている。「キャリアインタビュー」の形で児童に向けたメッセージが掲載され、生活が様々な方に支えられていることに、児童が気付くように工夫されている。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

岡本華世委員
 1人1台端末など、ICTを効果的に活用するコンテンツはどのようなものがあるでしょうか。

教育センター副主幹(尾崎元)
 東京書籍、開隆堂出版のどちらも、教科書に掲載されているQRコードを読み取り、タブレット端末等で学習活動と関連させる資料が豊富に掲載されています。
 東京書籍は194のデジタルコンテンツが掲載されています。導入の活動で意見を端末に入力して思考を整理できるデジタル思考ツールのシートを活用したり、調理実習や製作実習の動画コンテンツを使って、実習前に作業を確認したりすることができます。また左利きの基礎技能動画も用意されています。
 開隆堂出版は野菜や果物、商品選択の情報となるさまざまなマークなど、学びを広げ、深める資料が収録されています。動画のコンテンツは300以上あり、ナレーションにより技能手順が分かるようなっています。左利き用のじゃがいもの皮むき動画なども用意されています。各実習では全体を通した動画だけでなく、手順ごとに切り取った場面の動画も収録され、実際に自分が行う役割を確認して実習に臨める工夫もされています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 子どもたちにとって毎日の食事は欠かせないものです。家庭科の学習指導要領にも、食育を推進する重要性や、日本の伝統的な食文化の大切さに気付くことができるように記載されています。そういった点について、教科書ではどのように扱われているのでしょうか。

教育センター副主幹(尾崎元)
 東京書籍、開隆堂出版ともに、米飯とみそ汁の調理やだしの役割など、日本の伝統的な食文化の大切さに気付くための内容が記載されています。
 他にも東京書籍は、日本人の伝統的な食文化である和食が、ユネスコ無形文化遺産であることを紹介しています。また、旬、食事のマナー、日本の伝統的な郷土料理を取り上げるなど、「日本の伝統」マークを用いて、日本の食文化や伝統文化を扱うなどして、伝統的な食文化の大切さに気付く工夫がされています。
 開隆堂出版は「和食」や「一汁三菜」にも触れられており、地域の食材を取り入れた調理にも対応できるように、郷土食や伝統的な食文化が具体的に示されています。また、教科書全体を通し、47都道府県すべての食文化や伝統料理に関する内容を掲載するなど、自分の住んでいる地域を身近に感じ、興味をもって家庭科を学ぶことができる工夫がされています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 現在、食品ロスの削減や、地産地消の推進など、食をめぐる諸課題への取組が重視されていますが、そのような点については、教科書ではどのような内容が書かれているでしょうか。

教育センター副主幹(尾崎元)
 どちらの発行者も、地域食材を大切にする内容が掲載されています。
 学習指導要領には、調理に用いる食品については、ゆでる材料として青菜やじゃがいも、伝統的な日常食として米飯及びみそ汁の調理の仕方について記載されています。それ以外の食品については、児童の扱いやすさや、地域の特産、季節、成長期にある児童の栄養などを考慮して選択するように記載されています。
 その中で東京書籍は、1食の献立を考える学習で、地元で生産された食品の利用についても考えるよう記載されています。また、QRコードを読み取ると、千葉県の農産物直売所で行われている地産地消の取組みが紹介されていたり、学校給食に地元でとれた野菜が使われていたりする動画を見たりすることができます。
 開隆堂出版は、自分の住んでいる地域など、身近なところから興味をもって家庭科を学べるように、地域の野菜をゆでて調理する実践例が掲載されています。また、東京で野菜を生産されている方へのインタビューを掲載し、育てた野菜を出荷している小学校に授業をしにいくエピソードを紹介するなど、子どもたちが身近な畑で作られている身近な野菜に目を向けるための工夫がされています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 調理実習を行う際、食物アレルギーのある児童への配慮としてどのような記載があるか教えてください。

教育センター副主幹(尾崎元)
 東京書籍、開隆堂出版ともに、卵をゆでる学習のページで、安全マークとともに、卵アレルギーに関する注意事項を促すなど、食物アレルギーについて記載されているページがございます。
 他にも、東京書籍では、巻頭の「いつも確かめよう」に、食物アレルギーの症状について記載し、注意を促しています。
 また、開隆堂出版では、QRコードを読み取ると、「食物アレルギーに気を付けよう」という資料が掲載され、アレルギーが起こりやすい食べ物の一覧や、食物アレルギーを有する児童が、アレルギーを引き起こす食品を誤って体につけてしまったり、口に入れてしまったりした場合の対応について紹介されています。また、アレルギー対応について元栄養教諭へのインタビューを掲載するなど、誤食を防ぐ取組の理解を促しています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 令和4年より成年年齢が18歳に引き下げられました。それによって成人になったばかりの若者が、消費者トラブルに巻きまれる可能性も心配されています。その中で、消費者教育の推進が必要とされていますが、小学校の家庭科の教科書ではどのように扱われているのでしょうか。

教育センター副主幹(尾崎元)
 消費生活について学習する点においては、両者とも工夫が見られます。
 東京書籍では、「持続可能な社会の構築」を消費者教育と合わせて1つの題材として大きく扱い、物やお金を上手に使えるようにするための学習を深める工夫がされています。物を選ぶときや買い物をするとき、どのように環境や資源に配慮しているかを投げかけ、子ども達の考えをカードにまとめて発信する実践例などが紹介されています。
 開隆堂出版では、資源を生かす物の使い方、物とお金の関係、買い物の仕方とその社会への影響などを、自然な流れで学び、身に付けていけるような、展開になっています。成人として知っておくべき売買契約の基礎の学習だけでなく、消費社会がもたらす影響「エシカル消費」についても記載され、消費者として、人や社会、環境に配慮した消費行動を行う重要性についてもふれられています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 家庭科の学習では、日常生活の中で感じる様々な課題を解決する力を養うことが必要であると思います。今回の教科書では、身に付けた力を生かして、日常生活から生まれる課題を解決することができるように、どのような工夫があるのでしょうか。

教育センター副主幹(尾崎元)
 東京書籍、開隆堂出版ともに、課題を見つけ、実践し、生活に生かすという3つのステップですべての題材が展開され、課題を解決する力を養う工夫がされています。
 東京書籍は「1.見つめよう」「2.計画しよう・実践しよう」「3.生活に生かそう・新しい課題を見つけよう」という流れで、生活の中の課題を発見し、家庭生活に生かしていく構成となっています。各題材の最後には「成長の記録」や学年末の「まとめ」自分の学びを振り返り、成長を実感できるように工夫されています。
 開隆堂出版は「1.気づく・見つける」「2.わかる・できる」「3.生かす・深める」という流れで、課題を見つけ、生活に生かす構成となっています。題材の初めには、児童の興味・関心を大切にし、自分のめあてを記述できるスペースを設け、自ら進んで学習に取り組める構成となっています。また、学習の最後には、「学習をふり返ろう」「生活に生かそう」が設定され、わかったことや、できるようになったことを記述し共有することで、家庭での実践につなげられるよう配慮されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、家庭について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

岡本華世委員
 どちらの発行者もイラストや写真も多く使われ、興味をもつ内容になっていると思いました。私は単元ごとに児童に対する投げかけがあり、その都度考えられるところや、「キャリアインタビュー」も随所にあり、自分たちの生活が様々な人たちに支えられているということも学べるという視点から、開隆堂出版の「わたしたちの家庭科」がよいと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、岡本委員から開隆堂出版が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、家庭については、開隆堂出版を採択することに決します。
 それでは、次に保健について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【11.保健】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 新編 新しい保健
 単元ごとに、4つのステップで構成されており、最初の「気づく・見つける」では、実際の生活との関連を考えさせる問いが設定され、その後のステップを自分事にして学ぶことができる。「資料」「はってん」の項目では、写真やデータなど根拠に基づいた資料が多く、より生活と関連づけることで、単元で学習した内容の習得を深めることができる。

 大日本図書 新版 たのしい保健
 単元ごとに「見つける」「考えてやってみる」「まとめる」「広げる深める」の流れで構成され、学習の流れが明確である。「ミニちしき」や「もっと知りたい!」を活用することで、十分な知識を習得することができる。またウェブクイズで学習した内容を個人のペースで習得することができる。

 大修館書店 新 小学校保健
 単元ごとに、課題をつかむ、課題解決の活動、まとめの流れで構成されており、学習の見通しが持てる。単元に応じた「豆知識」がある。また「資料」のページを活用することで、十分な知識を習得することができる。

 文教社 新わたしたちの保健
 単元ごとに、「Mission」と「もう一歩先の自分へ」の流れで構成されており、「もう一歩先の自分へ」では、自分の生活を振り返る活動が取り扱われている。「もっと考えよう課」「もっと知っとこう課」の項目は単元に応じて、知識の幅を広げ、活用することができる。

光文書院 小学保健
 単元ごとに、4つのパートが決まった流れで構成されており、最初の「見つけよう」では、自分事ととらえて進めることができる課題が取り扱われている。「まめちしき」や教科等横断的な視点(学年・教科)が記載されていることで、知識と知識をつなげて学習することができる。

 学研 新・みんなの保健
 単元ごとに、課題をつかむ、課題の解決に取り組む、課題を解決する、の流れで構成されており、課題を解決するでは、自分の生活を振り返る活動が取り扱われている。「ほけんのはこ」のページがあり、相談窓口や実際のデータなどが詳しく記載され、知識を深めることができる。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

美濃律委員
 実際に体を動かすことが多い体育に比べると、保健はあまり楽しくないと感じる児童が多いと思いますが、楽しく、意欲的に取り組めるための学び方の工夫など特徴があれば教えてください。

教育指導課長(小寺基之)
 どの発行者も児童にとって興味や関心がもてるように、学び方の工夫に力を入れています。特徴的なものをあげますと、東京書籍では、交通事故の防止の単元において、交通事故の原因を理解し、危険を回避するための対策を考えさせる際に、実際に身近で起きそうなシチュエーションを設定しています。また、QRコードを読み取ると、アニメーションが流れ、疑似体験しているかのように、自分のこととして考えられるように構成されています。
 学研では、「ふり返る」「けいけんをもとに話し合う」「学びに生かす」の3段階で単元が構成されています。単元によって少し違いがありますが、どの単元も、「自分で考える」「友達やみんなと考える」「身に付けたことを生かす」という構成とすることで、保健の見方・考え方を働かせて課題を見付け、その課題解決に向けた学習過程を通して、生涯にわたって健康を保持増進する資質・能力を育成できるよう工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 小学校では、思春期の心や体の変化について指導しているかと思いますが、そういった指導する際に、「性の多様性」についての配慮はされているのでしょうか。

教育指導課長(小寺基之)
 どの発行者も3・4年生の教科書で「性の多様性」について取り扱われています。
 東京書籍では、体つきの変化やプライベートゾーンについて、QRコードから動画で分かりやすく説明されています。また、人には体の性以外にも、いろいろな性のものさし、気持ちや考え方があることにふれ、「性」の多様性について配慮がされています。
 大日本図書では、さまざまな性について「個人差」を尊重するページがあり、LGBTにも触れています。
 大修館書店では、「みんなちがってみんないい」という多様性を、子どもたちが受け入れることができるよう配慮がされています。
 文教社では、「その人らしさを大切に」という言葉とともに、互いの個性を認め合うことができるよう配慮されています。具体的には、今はさまざまな色のランドセルがあることや、好きな趣味を楽しむこと、自分に合った仕事をめざすこと」などがイラストで紹介されています。
 光文書院では、「体の性と心の性がちがう気がする」と感じる人など、「性についての悩み」について記載があり、児童が性の多様性を考えることができるよう配慮がされています。
 学研では、思春期の体の変化の個人差によって悩んでいる友達に対してどんな声かけをしたらいいか?という問いがあり、学んだことを生かして説明する実践的な問いがあります。また、自分の性と心の性が一致しないこともあることにふれ、不安があるときは保健室の先生などに相談することや、身近な人に相談しにくい場合の、具体的な相談窓口が示されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 大阪北部地震の記憶は本市にとっては、忘れてはならないものであり、地震や台風、大雨などの災害が今後も起こることが懸念されます。防災教育については、教科横断的に取り組まれる内容だと思いますが、保健分野においては、自然災害についてどのように取り扱われているか教えてください。

教育指導課長(小寺基之)
 どの発行者も5・6年生の「けがの防止」の中で扱われています。
 特徴的なものをあげますと、東京書籍では、地震による災害にはどんなものがあるかが紹介されており、QRコードを読み取ると、動画でも確認することができます。また、イラストから地震によって、どんな危険が潜んでいるかを考えたり、交流できるように工夫されています。
 光文書院では、様々な自然災害の紹介があり、「緊急地震速報」が発表されたら、どのように行動したらよいかを交流できるように工夫されています。またQRコードを読み取ると、地域での対策や、家庭でできる対策を動画で確認することができます。
 学研では、自然災害や緊急事態に備えて、具体的な行動を紹介したり、日ごろからの備えの例を、イラストを活用しながら学ぶことができるよう工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 新型コロナウイルス感染症によって教科書で変わった部分や取り扱いについて特徴があれば教えてください。

教育指導課長(小寺基之)
 どの発行者も、新型コロナウイルス感染症についての内容が盛り込まれており、感染症を予防するための方法や、マスクのつけ方、予防接種についてなどが扱われています。
 特徴的なものをあげますと、大日本図書では、感染拡大に関する当時の新聞記事を取り上げ、新型コロナウイルス感染症と暮らしの変化について扱われています。また、感染症対策についても、イラストだけでなくQRコードから手の洗い方やアルコール消毒の使い方も見ることができます。
 光文書院では、病気から体を守る働きについて、具体的なイラストが掲載されています。感染症としての知識、予防の方法だけでなく、感染症に関する差別をなくすために、正しい情報を確認して、思いやりをもって行動することについてもふれられています。
 学研では、「ほけんのはこ」というコーナーに、マスクの着用や手洗いなどの感染防止の基本が分かりやすく掲載されています。また、新型コロナウイルス感染症といった新しい病気に対しては、最新の確かな情報に基づいて予防する必要があることが示されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 高槻市には「たかつき安全NOTE」があると思いますが、各発行者関連づけて指導することができますか。

教育指導課長(小寺基之)
 どの発行者も「たかつき安全NOTE」と関連付けて指導することができると考えています。
 「たかつき安全NOTE」は、5、6年生の保健領域で扱う、「交通事故」や「犯罪被害」の防止、「自然災害」などと関連付けて指導を進めることができます。
 具体的には、「自然災害」の学習を保健領域で取り扱う際には、「たかつき安全NOTE」の「高槻市の自然災害」を活用することで、高槻市の地形や実際に起きた災害を見ることができます。
 「たかつき安全NOTE」を活用することで、自分たちの地域のイラストや資料が見ることができるので、より身近なものとして学習を進めることができると考えています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 現在、全国的に非常に暑い日が多く、体育の授業や運動会等で熱中症の症状で病院に搬送される例が多く聞かれますが、熱中症についてはどのように取り扱っていますか。

教育指導課長(小寺基之)
 どの発行者も5、6年生の「けがの防止」の中で扱われています。
 特徴的なものをあげますと、東京書籍では、「熱中症の予防と手当」のページがあり、運動をする場合の注意点や、体を冷やす方法などが記載されており、QRコードを読み取ると、猛暑と熱中症をテーマにした動画や、熱中症警戒アラートのサイトを見ることができます。
 文教社では、熱中症の危険を感じた時の対応フローがあり、視覚的に理解しやすい工夫がされています。
 光文書院では、「学校医に聞く」というページがあり、熱中症の症状、予防の仕方、手当の仕方が具体的に記載されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 内閣府による令和4年の交通安全白書によると、交通事故により小学生が被害にあう最も多い状況は、歩行時であり、次いで自転車運転時となっています。時折報道等でも自転車による大きな事故を見聞きしますが、そういった自転車交通事故の防止については、どのように扱っていますか。

教育指導課長(小寺基之)
 どの発行者も取り扱われています。
 特に、大日本図書では、自動車の内輪差や死角について、イラストを活用して分かりやすく説明されています。また、発展的な内容として1件の大きな事故には29件の小さな事故と300件のヒヤリハットがあるなどが紹介されています。
 大修館書店では、「安全な自転車の乗り方」のページがあり、「ながら運転」や「ならんでの走行禁止」など具体的な注意事項が示されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、保健について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

美濃律委員
 小学校における保健教育は、生涯を通じて健康な生活を送る基礎を培うことを目指した学校における保健教育を推進することが重要であり、体育科や特別活動を中心に各教科等において、それらを相互に関連させる指導を一層充実させることで子どもたちの健康に関する資質・能力を育成することにつながると言われています。
 この事や審議の内容も含め、運動領域とのつながり、生活との結びつき方で、実験や体験的な学習活動が多く取り入れられているところなどからも学研の「新・みんなの保健」が良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、美濃委員から学研が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、保健については、学研を採択することに決します。
 それでは、次に英語について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【12.英語】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 NEW HORIZON Elementary English Course /My Picture Dictionary
 スモールステップを意識した単元構成になっており、音声や映像を視聴しながら、学習内容に慣れ親しむ聞く活動から、ペアやグループでのやりとりの活動で単元の学習内容を振り返り、自分の考えや思いを表現する活動へ広げる構成になっている。

 開隆堂出版 Junior Sunshine /Word Book
 「Let’s Watch and Think」で映像や音声を通して、単元の見通しを持つことから始まり、「Let’s Play」で話すことのやり取り、「Let’s Listen」で聞く活動、「Let’s Try」で発表や発展的なやり取りのあとに、「Let’s Write」で書くという内容で構成されており、「Activity」で児童の意欲をさらに高める構成となっている。

 三省堂 CROWN Jr. / My Dictionary
 「Small Talk」や「Let’s Talk」などで、ペアワークやグループワークが設定され、気持ちや考えを、自分で選んだ表現を使って活動ができるようになっており、他者との協働を通して学んだことを活用しながら定着につながるよう工夫されている。

 教育出版 ONE WORLD Smiles
 映像を見ながら、「聞くこと」を通したインプットから始まり、音声を聞くこと、歌やリズムに合わせた口慣らしを通して表現に慣れ親しむこと、学んだ表現を使ったやり取りを経て、「話すこと」というアウトプットへ展開されている。

 光村図書出版 Here We Go!
 ゴールまでの流れが分かりやすく示され、単元の構成が工夫されており、「Hop!」「Step1」「Step2」「Jump!」の流れで、聞く活動から、徐々に話す・書く・読む活動へと進められるようになっている。単元の「Step」のパートには、学んだ表現を使って活動する「Let’s try」があり、ペアやグループでの言語活動が中心になっている。

 新興出版社啓林館 Blue Sky elementary
 各単元の「Activity」で、ペアワークやグループワークが設定され、単元で学んだことを活用して、友だちと尋ね合ったり、自分の意見を発表したりして、友だちとのやり取りから気づきを促し、学びを深められるよう工夫されている。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

美濃律委員
 外国語科が正式に教科となり4年が経ちましたが、今回の教科書で大きく変わった点や特徴的な点はありますか。

教育センター副主幹(川端清史)
 全ての発行者に関わる大きな特徴として3点ございます。
 1点目は、習った表現を使って活用する場面を意識的に多く取り入れる中で、学習の定着につなげるような構成になっています。
 2点目は、学習到達目標であるCAN-DOリストが掲載され、見通しと振り返りを意識した構成になっています。各単元で「できるようになること」が明確になり、児童が単元末の振り返りのコーナーも活用しながら自己評価し、次の目標を明確にして学習を進めることができるようになっています。
 3点目は、各発行者が学習者用デジタル教科書の内容に工夫を凝らし、1人1台端末を活用した授業づくりが想定されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 令和6年度から英語のデジタル教科書が提供されるとのことですが、デジタル教科書について、特徴的なものがあれば教えてください。

教育センター副主幹(川端清史)
 各発行者とも工夫を凝らし、児童一人ひとりに合ったペースで学べるよう工夫されています。
 特徴的なものとしては、「聞くこと」と「書くこと」に関するものがそれぞれあります。
 「聞くこと」に関しては、自分が聞き取れる速さを選んで再生することができることです。自学自習の場面はもちろん、授業内でも必要に応じて、ネイティブの音声教材をいつでもくり返し聞くことができるので、表現の定着に効果的です。
 開隆堂出版では、「Song Box」や「Chant Box」など楽しみながら英語の音声やリズムに何度も触れることができます。また、光村図書出版では、各単元で動画のキャラクターとのやりとりを通して、様々な表現や対話の続け方を学ぶことができるスモールトークが設定され、再生スピードも選べるので児童が自分のペースで何度も聞いて、練習することができます。
 「書くこと」に関しては、端末上でモデルを見ながら記入欄に繰り返し書いたり、消したりすることができるのが特徴です。
 東京書籍や三省堂では、書き込み欄をタップすると、枠が全面に拡大されるようになっています。大きな文字で1字1字を正しく書いたり、消したりすることが簡単になり、くり返し練習に取り組むことができます。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 今の英語教育は、「コミュニケーション」が重要視されているようですが、児童が意欲的にコミュニケーションに取り組むという点で、どのような工夫がされていますか。

教育センター副主幹(川端清史)
 どの発行者においても、4技能5領域がバランスよく配置されており、相手に伝えたい気持ちが高まるような、身近な場面でコミュニケーションに取り組めるよう、単元のゴールが設定されています。
 いずれの発行者においても、単元の前半では新しく習った表現をくり返し使って練習し、後半から終盤にかけて、相手を意識しながら、自分の考えを伝えるために知識、技能を活用するための活動や、さまざまな場面での言語活動を通して気持ちや考えを伝え合う取組が多く含まれています。
 例えば、東京書籍では各単元のLet's Tryにおいて、ペアで慣れ親しんだ表現をくり返し活用して取り組む活動が中心になっています。そのあとの、「Enjoy Communication」では、単元で学んだことを振り返りながら、自分の考えや思いをペアやグループで伝え合い、内容を深めていけるようになっています。
 光村図書出版では各単元の「Let's Try」において、ペアやグループの活動が中心になっています。さらにその続きに「Plus One」の活動があり、「Let's Try」の話題で相手を代えて取り組んだり、詳しく内容を尋ねて深めたりするような活動が設定されています。また、単元の場面や状況の設定が具体的にされており、コミュニケーションに意欲的に取り組めるような工夫がされています。
 新興出版社啓林館では各単元の「Activity」において、ペアやグループワークの活動が中心になっています。友だちと尋ねあったり、自分の意見を発表したりして、友だちとのやりとりから気づきを促し、学びが深められるようになっています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 高学年から「読むこと」と「書くこと」の指導が始まりますが、英語が苦手だと感じるのは文字の指導が始まってからだと思います。各発行者ではどのように扱われていますか。

教育センター副主幹(川端清史)
 まず、「読むこと」についてですが、各発行者とも、アルファベットの大文字と小文字の形を丁寧に導入するとともに、音と文字の関係を認識する活動やイラストなどを見て単語の読み方を推測する力を養えるような工夫が見られます。
 また、「書くこと」に関しては、学習指導要領では「語順を意識しながら音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を書き写すことができる」また、自分のことや身近で簡単な事柄について、例文を参考に音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を用いて書くことができる」となっており、児童にとって音声と文字のつながりに気付き、少しずつ慣れ親しんでいくことが大切です。
 例えば、開隆堂出版では音声から文字の学びのつながりを重視したコーナーとして、各単元に「Song Box」「Chant Box」 「Sounds and Letters」などがあります。
 三省堂の「Fun Box」では楽しみながら文字や音声に親しむことができます。
 光村図書出版では2年間をかけて段階的に音と文字のつながりに気付き、慣れ親しむための「Alphabet Time」が13か所設けられています。また、単語や文を書くときの適切な間隔などに関する基本的な書き方についてイラストや例文を使ってわかりやすく示されています。
 新興出版社啓林館では「Let's Read and Write」で文字の音と形を意識して読んで書く活動があります。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 児童が学んだことを実感し、振り返るとともに自身の課題を整理して、次の学びに生かすことができるように工夫されていることはありますか。特徴的なものがあれば教えてください。

教育センター副主幹(川端清史)
 どの発行者においても、児童自身が単元の目標を明確に掴めるよう学習目標や単元の流れ、振り返りが工夫されています。また、ほとんどの発行者で学習到達目標、いわゆるCAN-DOリストの一覧があり、1年を通してどのような力をつけるのか、次の学年にどのようにつながっていくのかを意識しながら取り組めるようになっています。
 例えば、東京書籍では単元のはじめに目標を示し、それぞれの活動後に学習を振り返る設定があるため、「何ができるようになって、次にどんなことをがんばりたいのか」を児童も教員も意識しながら取り組むことができるようになっています。
 開隆堂出版では 巻末に単元の内容を振り返る「CAN-DOチェック」があり、学年の目標はCAN-DO形式で一覧にまとめられています。リストを活用して定期的に振り返り、自己調整を図ることができるようになっています。
 光村図書出版では単元ごとに重点領域が明確に示されており、1時間ごとにめあてを意識して活動を進めることができるようになっています。学年の目標はCAN-DO形式で一覧に示されており、単元や教材ごとに自己評価がつけられるようになっています。各単元と各領域の目標を一覧で確認できるので、年間の見通しを立てて自己調整につながるような工夫がされています。

樽井弘三教育長
 3・4年生は外国語活動、5・6年生は外国語科、中学でも外国語科という教科になります。外国語活動から教科への接続、小学校から中学校への接続については、どのように扱われていますか。

教育センター副主幹(川端清史)
 どの発行者においても、5年生の冒頭で3、4年生を振り返ることから学習が始まっており、外国語活動で学んだことを振り返りながらスムーズに5年生の学習につながるようになっています。また、デジタル教科書では、既習事項の表現について音声で確認しながら、様々な場面で活用できるよう工夫がされています。
 例えば、東京書籍の5年「Let's Start!」では、学校生活のイラストを通じて聞いたり、話したりすることでスムーズに5年生の内容に入れるよう工夫されています。
 三省堂の5年「英語で言ってみよう」では、お店や部屋のイラストから好きなものや持っているものを伝え合うことで、3・4年生で学んだ内容を振り返ることができるようになっています。
 新興出版社啓林館の5年「Pre Unit」では、学校生活のイラストや動画から話されている内容を聞き取ることで、学んだことを復習して、5年生の学習に入るように工夫されています。
 中学校への接続につきましては、6年生の後半からは、中学校での学習へ無理なくつながるよう、文の構造への気づきを促す活動が盛り込まれています。また、学年末の単元は、中学校につながる内容として、自分をテーマに夢や思い出を語るスピーチが設定されています。
 開隆堂出版では進学する中学校の先輩から学校生活についての話を聞いて、中学校でしたいことやがんばりたいことを発表するなど、中学校への接続を意識した内容があります。
 教育出版ではクラスの思い出や、将来の夢を書いたシートを作成し、最後に中学校でしたいことを発表するスピーチの場面が設定されています。
 光村図書出版では小学校生活の思い出を伝え合ったり、自分の進路や将来について考え、夢宣言をしたりする場面が設定されています。また、中学校の学習内容の紹介もされています。

樽井弘三教育長
 同じ言語系教科の国語との関連は大変大事だと思いますが、その点はどうでしょうか。

教育センター副主幹(川端清史)
 日本語と外国語との音声の違いへの気づきにとどまらず、文字・語彙・表現・文構造・言葉のはたらきなどについても日本語との違いに気づき、コミュニケーションの際に活用される「生きて働く知識」を身に着けていくことが求められています。
 例えば、三省堂では「ABC Fun Box」や「ことばのふしぎ」にて日本語と英語のアクセントや語順の違い、昔の日本人の英語の学び方について考えることができるコーナーがあります。
 教育出版では「Sounds and Letters」で日本語との音の違いについて考えるコーナーがあり、6年生では色の違うカードを並べ替える活動を通して、日本語との語順の違いに気づくことができるようになっております。
 光村図書出版では「言葉について考えよう1」にて、家族や自分を表す言葉を通じて日本語と英語の違いについて考えます。また、「言葉について考えよう2」では日本語と英語の語順の違い、さらに中国語と韓国語との違いについても触れ、英語だけでなく日本語の理解も深められるようになっております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、英語について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

美濃律委員
 聞くこと、読むこと、話すこと、書くことのそれぞれの領域別に設定する目標の実現を目指した指導を通して、自分のことや身近で簡単な事柄について簡単な語句や基本的な表現を聞き取ることができる資質・能力を一体的に育成するとともに、基本的な表現を用いて指示、依頼をしたり、それらに応じたりする資質・能力を育成するためには、この場の審議を考慮した上で、聞くことから徐々に話す、書く、読むことへ進められる工夫があったり、同じ話題で相手を何度も変えながら詳しく聞きあうように設定され、学習の定着につながる工夫、またデジタル教科書では再生のスピードを変えることにより、自分のペースに合わせて反復学習が出来る工夫がある光村図書出版の「Here We Go!」が良いように考えますがいかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、美濃委員から光村図書出版が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、英語については、光村図書出版を採択することに決します。
 それでは、次に道徳について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

 

【13.道徳】
教育指導課副主幹(直原考志)
 各発行者の総合所見の中から特徴的な事項を抜粋にてお伝えいたします。

 東京書籍 新編 新しい道徳
 教育活動全体で向き合うべき課題に対して、教材を要としながら有機的に組み合わせ、児童が主体的に考えていくことができるよう工夫がされている。教材は「安心安全」「いじめ」など多岐に渡り、身近な生活の中から課題を見出し解決していく問題解決的な学習、道徳的行為を動作化してみる体験的な学習により、多面的・多角的に考えを深めることができるように取り扱われている。

 教育出版 小学道徳 はばたこう明日へ
 教材の終末では、児童が考え、議論しながら、考えを深められる発問で構成されており、「やってみよう」等の発問を活用することで、多面的・多角的に考えることができるよう工夫されている。児童が道徳的価値について考える発問「考えよう」や、自分事として考えたり、考えたことをまとめたりするための発問「深めよう」が設定されており、児童が自己の生き方について考えを深められる。

 光村図書出版 道徳 きみがいちばん ひかるとき
 全学年を通して、教材末に学習のてびき「考えよう・話し合おう」が設けられており、多面的・多角的に考えられるように配慮されている。教材の冒頭にはキャラクターによる呼びかけの言葉が示されており、「自分ならどうするだろう、どう考えるだろう」と主体的な姿勢で学習に取り組めるように配慮されている。

 日本文教出版 小学道徳 生きる力 /道徳ノート
 様々な人々の生き方を教材として取り上げることで、児童が自己を見つめ、人としての生き方について深く考えられるように配慮されている。問題解決的な学習方法を用いると効果的な教材には、「ぐっと深める」が挿入されており、児童が道徳的価値について深く考えることができるようになっている。

 光文書院 小学道徳 ゆたかな心
 教科書冒頭で、児童が自己の生き方について考えるきっかけが提示されていたり、授業の終末で、学習した内容を振り返るポイントを提示したりすることで、児童が自己の生き方について考えを深められるようになっている。キャラクターが児童に考えるポイントについて問いかけるなど、児童が深く考えることができるようになっている。

 学研 新版みんなの道徳
 各教材に設けられている「考えよう」では、自己を見つめて考えるきっかけとなる工夫がされ、学んだ道徳的価値を深く考えたり、学びを深めたり、多面的・多角的に考えられるように取り扱われている。児童と同じ年頃や親しみをもてる登場人物を描いた教材から学ぶことで、悩みや葛藤などの心の揺れ、人間関係の理解などの課題に対して、深く考えることができるよう取り扱われている。

樽井弘三教育長
 委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

松村洋子委員
 小学校では平成30年度から、教科書を使った道徳科の授業が実施されていますが、教科化された道徳の授業づくりのポイントとして、当初から「考え、議論する道徳」ということが言われていました。この「考え、議論する」道徳の視点から見て、各発行者にどのような工夫がありますか。

教育指導課長(小寺基之)
 「考え、議論する」道徳の実施に向けた工夫については、各発行者にそれぞれの工夫があります。特徴的なものをあげます。
 東京書籍では、体験的な学習や問題解決的な学習など積極的に議論することを促し、児童の様々な考えを引き出せるよう工夫されています。また「心情円」という自分の考えを深めるためのツールも取り入れられています。
 教育出版では、教材文の終わり方を工夫することで、登場人物の悩みや葛藤、心の揺れなどに対する児童の多様な意見を引き出し、議論が活発になるようにしています。
 学研では、教材へ没頭していけるようキーフレーズが表示され、主体的に課題を発見できるよう工夫されている。多様な教材を配列し、教材ごとに設定された「考えよう」により、議論しやすくなっています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

浦野真彦委員
 学習指導要領の道徳科の目標には、「自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方について考えを深める」とあります。道徳科において児童それぞれの考えを深めたり、広げたりするための学び方の工夫について、各発行者にどのような特色がありますか。

教育指導課長(小寺基之)
 児童の考えを深めたり、広げたりするための学び方の工夫については各発行者にそれぞれ特色があります。特徴的なものをあげます。
 東京書籍では、教材の最後にある「考えよう」では、主となる発問と補助的な発問の2つにしぼり、45分間の中で、児童一人一人の考えを深めることができるよう工夫されています。
 光村図書出版では、「考えよう・話し合おう」が教材ごとに設けられており、自己の学びや他者の学びを振り返ることができるよう工夫されています。
 日本文教出版では、教材の最後に「考えてみよう」や「見つめよう・生かそう」が設けられており、児童の考えを深めたり、広げたりできるよう工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 先程の質問に関連して、考えを深めたり、広げたりすることに加え、その学びをより確かな学びにつなげるための学習について、各発行者にどのような工夫がありますか。

教育指導課長(小寺基之)
 児童の学びをより確かな学びにつなげるための工夫については、各発行者にそれぞれ特色があります。特徴的なものをあげます。
 東京書籍では、巻頭にて児童が自ら学んでいくための方法を示したり、他の学習や普段の生活との関連をはかる「つながる・ひろがる」も設けられています。
 教育出版では、各教材末のコラムで、家庭や地域とのかかわりを持たせた活動が提示されており、学習したことを実生活に生かすことができるように工夫されています。
 光文書院では、ユニット末のコラムや「考えるヒント」を活用することで、児童の認識をさらに深めたり、考えを広げたりすることができるよう工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

岡本華世委員
 いじめを許さない心や、いじめ行為に気づいた時に、どのような行動をとるかについて、道徳科が大きな役割を担っていると思います。いじめの問題について、各発行者はどのように扱われていますか。

教育指導課長(小寺基之)
 どの発行者もいじめを許さない心や、いじめ行為に気づいた時の行動について、いずれの学年においても複数の教材の取扱があります。
 東京書籍では、いじめ防止に関わる「いじめ」「いのち」「じぶん」について扉のページが設けられており、これから学ぶ内容について意識を高める仕掛けや、いじめを直接的に扱う教材と間接的に扱う教材を組み合わせたユニットとともに、「いじめ」についてのコラムなどにより、児童の視野を広げる工夫がされています。
 光村図書出版では、全学年に配置された「いじめ問題」のユニットは、発達段階に配慮した内容であると同時に、いずれも学年の前半に配当されており、学級づくり、人間関係づくりに生かされるように工夫されています。
 日本文教出版では、いじめ防止をテーマとしたユニット「人との関わり」が、年間3回配置され、この問題を繰り返し重点的に取り扱われるようになっています。
 学研では、最重点テーマを「いのちの教育」とし、内容項目「生命の尊さ」で学んだことを土台としながら、「いじめ防止に関連する教材」「多様性に関する教材」をバランスよく配置されています。
 また、教育出版、光文書院では、すべての学年で重点テーマとして取り扱われています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

松村洋子委員
 道徳科の授業を行う上で、児童の発達段階を考慮することが大切であると思いますが、児童の発達段階における考慮について、各発行者は具体的にどのような工夫がありますか。

教育指導課長(小寺基之)
 児童の発達段階における考慮については、各発行者とも工夫がなされています。特徴的なものをあげます。
 日本文教出版では、教材のイラストや写真といった視覚的な情報が、学年が進むにつれて少なくなり、それに反比例して文章による情報が増えている。人物教材についても、学年が上がるにつれて、取り扱われている人物も増えており、発達段階に応じて配慮されています。
 光文書院では、「いじめ防止」「生命の尊重」について、長期的な見通しをもって育むことができるよう連続的に扱い、児童の発達の段階に応じて系統的に指導できるように配慮されています。
 学研では、「いじめ防止」「じぶん」に関する内容について、「心のパスポート」で学びを補充しており、発達段階における配慮がなされている。低学年ではロールプレイやワークショップが多く、高学年では人物のコラムや身近な課題について触れられています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。

美濃律委員
 児童の道徳心を育むためには家庭や地域の関わりも欠かせないと思いますが、各発行者に児童が家庭の中で道徳心を育めるような工夫がありますか。

教育指導課長(小寺基之)
 学校と家庭や地域が一緒になって、児童の道徳心を育むことが大切であると考えています。児童が、より家庭や地域を意識できるよう各発行者に工夫が見られます。特徴的なものをあげます。
 教育出版では、教材末尾にコラムがあり、その発問の中に、家庭や地域とかかわりを持たせた活動が提示されており、学習を実生活につなげることができるよう工夫されています。
 光村図書出版では、長期休み前に「環境」「共生」等を扱ったコラムがあり、長期休みの間に家庭での自主的な学びに生かすことができるように工夫されています。
 光文書院では、どの学年でも「家庭生活の充実」を扱う教材が設定されており、児童が学習したことを実生活に生かせるよう工夫されています。

樽井弘三教育長
 道徳については、子どもの道徳的な判断力・心情・実践力をどのように育むのかが大きな目標であります。そのためには、心に響く、力のある教材が欠かせないと思います。そのような視点で見たときに特徴的な教材はありますか。

教育指導課長(小寺基之)
 過去の偉人や、より子どもたちにとって身近な人物を取り上げることで、子どもたちが自分のこととして、道徳について考えられるよう各発行者において工夫されています。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 特に無いようですので、道徳について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

松村洋子委員
 児童一人一人が問題意識をもって多面的・多角的に考えることができ、感動を覚えたりするような題材が取り上げられていて、また、その学習によって考えを深める工夫がされているという点から、東京書籍の「新編 新しい道徳」が良いと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
 ただいま、松村委員から東京書籍が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議が無いようですので、道徳については、東京書籍を採択することに決します。
 それでは、次に令和6年度に特別支援学級において使用する学校教育法附則第9条関係教科用図書について審議いたします。
 選定委員長より答申の朗読をお願いします。

選定委員長(桑原綾)               (答申について理由説明)
 令和6年度に特別支援学級において使用する学校教育法附則第9条関係教科用図書について答申いたします。
 障がいのある児童生徒の社会参加や自立を実現させる観点に立ち、特別支援学級に在籍する児童生徒と通常の学級に在籍する児童生徒が、共に学び、共に育つために、高槻市では、個別の指導計画に基づき通常の学級での交流及び共同学習を進めています。そのため、特別支援学級の児童生徒も附則9条本ではなく「検定教科書」を使用することが望ましいと考えます。
 しかし、特別支援学級に在籍する児童生徒のうち、弱視児童生徒等につきましては、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」第1条及び第2条に基づき、実態に応じて令和6年度使用教科用図書として採択された発行者の教科用図書と同じ内容の「点字教科書」および「拡大教科書」を使用することが望ましいと考えます。

樽井弘三教育長
 ただいま、選定委員長より答申の朗読が終わりました。視覚障がいのある児童生徒の附則9条本についてですが、何かご質問などはありませんでしょうか。

岡本華世委員
 昨年度、支援学級児童生徒の支援学級での授業時数について、文部科学省からの通知がありました。知的障がいのある児童生徒など、特別の教育課程を実施する児童生徒にとって、通常の学級の児童生徒が使う教科書と同じ内容では、学習が難しくなるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
 また、現在の一人一人に応じた授業ができているかも教えてください。

教育指導課長(小寺基之)
 本市においては、支援学級における指導のための教材を用意する予算を各学校に配当しております。各学校で支援学級児童生徒の実態に応じた教材を購入し、教科書の内容で支援学級の指導で活用しております。
 現在の状況につきましても、児童生徒の障がい状態に応じて、これらの教材を各学校で購入し活用することで、一人一人に応じた授業を行っております。

樽井弘三教育長
 他に何かございませんでしょうか。
 他に無いようですので、令和6年度使用教科用図書として採択された発行者の教科用図書と同一内容の「点字教科書」及び「拡大教科書」を、障がいの実態に応じて採択するということでよろしいでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 異議がないようですので、附則9条本については、令和6年度使用教科用図書として採択された発行者の教科用図書と同一内容の「点字教科書」及び「拡大教科書」を、障がいの実態に応じて採択することといたします。
 続きまして、令和6年度使用高槻市立義務教育諸学校教科用図書中学校の採択について審議いたします。事務局より説明をお願いします。

教育指導課課長代理(西田大世)
 小中学校用教科書については、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令第14条及び同法施行令第15条第1項に基づき、附則9条本を除き同一の教科書を採択する期間は4年となっております。
 先ほどの教育次長より説明がありました通り、中学校につきましては、令和2年度に新たに教科書の選定を行っております。そのため令和6年度につきましては、本日配付の参考資料にあります「令和5年度使用教科書」と同一の教科書を採択することとなっておりますので、よろしくお願いいたします。

樽井弘三教育長
 ただいま、説明が終わりましたが、委員の皆さん何かご質問はございませんでしょうか。
 特にないようですので、高槻市立中学校は参考資料のとおり、令和5年度と同一の教科書を採択することにしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

樽井弘三教育長
 ご異議がないようですので、高槻市立中学校は、令和5年度と同一の教科書を採択することといたしました。
 以上で、「令和6年度使用高槻市立義務教育諸学校教科用図書の採択について」は全て採択いたしました。
 これで本日の日程がすべて終了いたしましたので、閉会といたします。

 

 

(午後4時49分閉会)