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こんにちは。水道部長の船本です。
連日厳しい暑さが続いていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。適切な冷房の活用や、こまめに水道水を飲んでいただくなど、熱中症対策をお願いします。
さて、先日の広報誌 たかつきDAYS7月号と同時に、各家庭にお届けした水道部からのお知らせチラシをご覧いただけましたでしょうか。
改めて、このお知らせチラシに込めた思いやポイント、また先日、高槻阪急スクエアにて開催した「今、知ってほしい!たかつきの水道」イベントの様子、8月・9月の同イベントの予定などを紹介します。
水道管を地震に強いものに替えたり、古くなった施設を新しくしたりするには多額の費用が必要となるなど水道事業を取り巻く経営環境が一層厳しさを増しているため、将来にわたる安定経営に向け、令和5年8月に学識経験者や市民代表などによる「高槻市水道事業審議会」に諮問を行い、審議を進めてきました。その結果が今年の5月に答申としてまとめられ、市長に提出されました。
この審議会の答申には、高槻の水道の将来を考えていく上で、皆さまに知っていただきたい大切な内容が盛り込まれていますので、わかりやすくお伝えすべく、Q&A方式にまとめたお知らせチラシ「将来にわたる安定経営に向けて」を製作し、広報誌7月号と同時宅配で各ご家庭へお届けしました。
お知らせチラシの表紙にも採用し、このページのタイトルにもあるように「蛇口から水が飲める“あたりまえ”を続けていくために」というメッセージに込めた思いを少しお話しさせていただきます。
突然ですが、私たちは一人当たり1日にどのくらいの水道水を使っているのか考えたことはありますか?
実は、一人当たり1日に約300リットルもの水道水を使っているんです。そのうち約230リットルが家庭内で、残りは家庭外の学校や会社、飲食店や公園などで使われている水の量です。普段何気なく使用している水道水も、使用水量を実際に数字で聞くと、意外と多いんだなと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
関連ページ:意外と知らない!?「水道」のこと
また、世界中で水道水をそのまま飲める国は、日本を含めてわずか11ヵ国しかなく、蛇口をひねれば、いつでも水が飲める・・・これは、“あたりまえ”のようで、実はとても恵まれていることなのです。お知らせチラシを開いた中面でも大きく紹介していますが、この“あたりまえ”を支えるため、蛇口の向こう側には水道管を始めとした、たくさんの水道施設が日々稼働していて、私たち水道部はこの“あたりまえ”を続けていくため、日々努力しています。
関連ページ:水道施設のご紹介
水源から家庭に水道水が届くまで
皆さまの財産ともいえる、“あたりまえ”に水が飲める恵まれた環境を将来世代にわたり着実に引き継いでいく、そんな思いを込めて「蛇口から水が飲める“あたりまえ”を続けていくために」というメッセージを表紙に採用しました。
しかし、記憶に新しい令和6年能登半島地震ではこの“あたりまえ”が大きく揺らぐ事態となりました。地震発生直後、石川県内ではおよそ11万戸の大規模な断水が確認され、2週間経過後もなお5万戸超で断水が続くなど、ライフラインである水道に甚大な被害が生じました。
この災害に対し、全国の水道事業者などにより応急給水や復旧活動が行われ、本市水道部職員も現地で活動を行いました。
給水支援では、穴水町にある断水した社会福祉施設の受水槽やタンクなどに給水車で何度も給水する応急活動を行いました。
復旧支援では、能登町にて余震や屋根からの落雪がある中、倒壊した家屋や雪に埋もれた水道メーターを一つずつ探しあて、通水に向けた作業をしたり、漏水探知機を用いて漏水箇所を探す調査をしたりしました。
これらの経験から、身をもって蛇口から水が飲める“あたりまえ”を守るための水道管の耐震化の必要性を改めて痛感したところです。
関連ページ:(能登半島地震)断水に伴う応急給水・応急復旧支援
さてここからは、お知らせチラシにも掲載した答申の3つのポイントについてお話します。
なお、答申「将来にわたり安定した経営を行うための方策」を受けて、今後市では具体的な検討を進めていきます。
その検討結果については、また改めて広く水道をご利用の皆さまへお知らせさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
皆さまの財産である水道施設を次の世代に継承し、将来発生が予想される南海トラフ地震などの大規模災害時でも、安全で良質な水を安定してお届けし続けるためには、水道管を計画的に地震に強いものに更新していく必要があります。
また、先ほどの能登半島地震での甚大な被害(広範囲・長期の断水)からも、その必要性はさらに高まっていて、被害を受けると断水の影響が広範囲となってしまう大きな管路(基幹管路)や災害時に特に水を必要とする拠点病院や救護所に至る管路(重要給水施設管路)を優先的に地震に強い管に着実に更新していくことが必要です。
関連ページ:管路の耐震化に取り組んでいます
水道事業がどんな資金で運営されているかご存知ですか?市の税金で運営されていると思う方もいらっしゃるのではないかと思いますが、実は税金ではなく、皆さまからいただく「水道料金」でやりくりしています。
関連ページ:水道事業経営の「いま」
高槻市では、消費税率の引上げによる改定を除くと平成28(2016)年度の改定以降、水道料金の見直しは行っておらず、一般家庭で主に使用されている口径20mmの水道料金は大阪府内の他の市よりも安く、特に1か月10立方メートル使用時では、大阪府内各市で最も安くなっています。
しかしながら、先ほどのポイント1の水道管の強靭化を実現するためには、水道管1キロメートルを更新するのに約2億円と多額の工事費用がかかります。最近では、原材料価格の高騰により、その工事費用も増大傾向にあります。一方でその費用をまかなう水道料金収入は人口減少や節水機器の普及、ライフスタイルの変化による使用水量の減少により、将来的に減少していく見込みです。水道管の強靭化を着実に進めるためにもできるだけ早く水道料金の見直しが必要です。
企業債とは、水道事業が借り入れる借金のことです。答申では、ポイント1の水道管の強靭化を実現するため、ポイント2の水道料金の見直しに加えて、企業債の借入れについても示されました。
借金と聞くと、悪いイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、「借金=悪」というわけではありません。例えば、住宅ローンをイメージしてみてください。一気に費用を支払うとなると厳しいけれども、何十年にわたり費用を平準化することができる効果があります。
水道管の耐震化など、現役世代だけではなく将来世代にも役に立つような事業を行うわけですから、現役世代の負担ですべて賄うのではなく、企業債を活用し、後年度に必要な返済額を将来世代にも同じように負担をお願いするということは、世代間負担の公平性の観点からも有効な手段ともなりえます。
もちろん借りすぎると利息額も大きくなりますので、そのあたりはバランスを取りながら慎重な検討が必要です。
7月27日(土曜日)、28日(日曜日)に高槻阪急スクエア1Fの特設ブースにて、「今、知ってほしい!たかつきの水道」イベントを開催しました。ご家族連れを中心にお買い物途中にもかかわらず、多くの方にお立ち寄りいただきました。
イベントでは、先ほどお話しした3つのポイントの内容に加え、水に関する災害の備えなど、水道に関する様々なことを学んでいただけるパネル展示やクイズ企画を実施し、普段何気なく使用している水道について、少しでも考えていただくきっかけになったのではないかと思います。
同様のイベントを8月10日(土曜日)、11日(日曜日)には安満遺跡公園のパークセンター内にて、9月14日(土曜日)、15日(日曜日)にはイオン高槻店の1Fスタジアムコート横にて開催を予定しています(いずれの日も10時から16時頃までを予定)。
関連ページ:「知れる」「学べる」水道イベントを開催!(8月10日・11日)
蛇口から水が飲める“あたりまえ”を続けていくために、水道について一緒に考えてみませんか?
イベント当日、クイズに参加いただくと、水道はにたんグッズのプレゼントもあります!
お近くまで来られた際はぜひお立ち寄りください!
船本 松雄
2023年(令和5年)から現職。趣味は、読書とドライブ。