本文
怠る事実の違法確認等請求事件(住民訴訟)(土地建物使用貸借関係)
提訴日
令和6年6月28日
当事者
原告 市民
被告 高槻市長(担当課:アセットマネジメント推進室・公園課)
事案の概要
原告は、自治会が市の許可を得ず、市から借り受けている土地上に自動販売機1台及び防犯カメラ3台を設置したことは、自動販売機について土地建物使用貸借契約違反、防犯カメラについて都市公園法及び高槻市都市公園条例違反であるとして、市長が同自治会に対する土地建物の明渡請求をしないことが違法であることの確認並びに同土地建物の賃料相当額、自動販売機設置場所の貸付料相当額及び防犯カメラの使用料相当額の請求を求めて訴えを提起した。
争点
1 被告が本件土地建物の明渡請求をしないことが違法であるか
2 本市に当該自治会に対する損害賠償請求権が発生しているか
訴訟の経過【未確定】
第一審判決(市の勝訴)
【判決日】令和7年3月27日
【判決の要旨】
1 普通地方公共団体の長が、当該普通地方公共団体に属する財産の管理として、いかなる行為をするかまたはしないかは、地方自治法等に特に定めがある場合を除き、当該普通地方公共団体の長の合理的な裁量に委ねられているものと解される。そうすると、解除権の行使及び当該財産の返還を求めることが違法となるのは、普通地方公共団体の長が上記解除権の行使及び当該財産の返還請求をしないことが、その財産管理上の裁量権の範囲を逸脱しまたはこれを濫用するものと評価される場合に限られるものと解することが相当である。認定事実によれば、被告が本件使用貸借契約の解除及び本件土地建物の明渡請求を怠っていることが、裁量権の判断を逸脱しまたはこれを濫用するものとして違法であるとは認められない。
2 本件土地建物の賃料相当額及び自動販売機設置場所の貸付料相当額については、本市と自治会との本件使用貸借契約は解除されていないから、自治会は本件土地建物を無償で使用する権限を有していたといえる。また、防犯カメラの使用料相当額についても、防犯カメラの設置により被告に損害が発生したとは認められない。以上によれば、被告の自治会に対する損害賠償請求権が発生しているとは認められない。
控訴審審理中
【控訴日】令和7年4月4日