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固定資産評価審査決定取消等請求事件(令和5年12月5日提訴分)
提訴日
令和5年12月5日
当事者
原告/納税義務者A
被告/高槻市(担当課:総務部税制課)
事案の概要
令和4年度及び令和5年度の固定資産課税台帳に登録されている土地の評価額に不服があるとして、原告が固定資産評価審査委員会に対して審査の申出を行ったところ、同委員会が棄却等の決定を行ったことから、原告は、同棄却等の取消しを求めて訴えを提起した。併せて、令和4年度及び令和5年度の土地に係る固定資産税・都市計画税賦課決定処分の取消しを求めて訴えを提起した。
争点
- 本件住宅画地に係る価格評価の適法性
- 本件各土地の課税標準額の算定の適法性
訴訟の経過【未確定】
第一審判決(市の一部敗訴)
【判決日】令和7年3月27日
【判決の要旨】
1 令和4年度住宅画地登録価格は、評価基準の定める評価方法によって決定される価格を上回らないものと認められると同時に、本件各土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものではないと推認することができるから、令和4年度登録価格の決定は適法である。そして、これを据え置いた令和5年度登録価格決定も適法である。
2 高槻市長が、いわゆる「運用上のみなし方式」により計算した本件各土地の令和4年度の固定資産税等に係る課税標準額及び税額は、地方税法附則の各規定の定める方法により計算されたものではないから、かかる課税標準額及び税額を決定してされた令和4年度賦課決定処分は違法であり、取消しを免れない。また、令和5年度の固定資産税等に係る課税標準額及び税額は、違法に算出された令和4年度の課税標準額を基礎として算出されたものであるから、令和5年度賦課決定処分も違法であり、取消しを免れない。
控訴審判決(市の勝訴)
【控訴日】令和7年4月9日・同月10日
【判決日】令和7年10月28日
【判決の要旨】
1 課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は、この課税処分によって確定された税額の適否であり、課税処分の前提となる認定等に誤りがあっても、これにより確定された税額が総額において租税法規によって客観的に定まっている税額を上回らなければ、この課税処分は適法というべきである。
2 運用上のみなし方式を適用して確定された本件各賦課決定処分における税額は、地方税法附則によって定められた類似土地選定方式の定める方法によって算定される税額を上回るものではなく、このことは原告に対してされた令和4年度及び5年度の各固定資産税等賦課決定処分全体の税額について見ても同様であるから、本件各賦課決定処分は、いずれも適法であると認められる。

