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【終了分】介護給付費返還国家賠償請求事件

ページID:075429 更新日:2022年9月13日更新 印刷ページ表示

提訴日

平成31年2月18日

当事者

原告 指定居宅サービス事業者
被告 高槻市(担当課:健康福祉部福祉指導課)

事案の概要

 原告事業者は、高槻市長から居宅サービス事業者等として指定を受け、指定居宅サービス事業等を営む法人であったところ、市職員による行政指導を受けて、平成28年、市及びそのサービスの利用者に対して、受領済みの居宅介護サービス費等合計約2000万円を返還した。
 原告事業者は、本市に対し、上記行政指導は、市職員が原告事業者に対して居宅介護サービス費等の返還を強要した点、介護保険法等の趣旨に反するものであったという点において違法なものであったなどとして、主位的に、国家賠償法第1条第1項に基づき損害賠償金2020万1697円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求め、予備的に、民法第703条に基づき不当利得金1978万7270円の支払いを求めて訴えを提起した。

争点

  1. 行政指導の違法性(任意性の有無)
  2. 行政指導の違法性(介護保険法の趣旨に反するか否か)
  3. 損害の発生の有無及び額
  4. 不当利得返還請求権の成否

訴訟の経過

平成31年4月12日  第1回口頭弁論期日
・原告 訴状、訴状訂正申立書
・被告 答弁書

令和元年5月30日 第1回弁論準備期日
・被告 準備書面1

令和元年7月24日 第2回弁論準備期日
・被告 準備書面2

令和元年9月18日 第3回弁論準備期日
・原告 第1準備書面
・被告 準備書面3

令和元年10月30日 第4回弁論準備期日
・原告 第2準備書面

令和元年12月11日 第5回弁論準備期日
・原告 第3準備書面
・被告 準備書面4

令和2年2月7日 第6回弁論準備期日
・原告 第4準備書面
・被告 準備書面5

令和2年6月19 第7回弁論準備期日
・原告 第5準備書面
・被告 準備書面6、7

令和2年9月1日 第8回弁論準備期日
・被告 準備書面8、9

令和2年10月16日 第9回弁論準備期日
・原告 第6準備書面

令和2年12月10日 第10回弁論準備期日
・被告 準備書面10

令和3年2月9日 第11回弁論準備期日
・原告 第7準備書面、訴えの変更申立書、人証申請→採用

令和3年3月9日 第12回弁論準備期日
・原告 第8準備書面
・被告 訴えの変更に対する答弁書、人証申請→採用

令和3年5月28日 第2回口頭弁論期日
・証人尋問

令和3年8月6日 第3回口頭弁論期日
・原告 第9準備書面
・被告 最終準備書面

令和3年11月4日 判決期日

結果【確定】

第一審判決(市の勝訴)

【判決の要旨】

  1. 原告事業者に対する行政指導は、介護保険法に係る介護給付費の不適正な請求の防止等の実現を図るための一環としてされたものであって、長期にわたって継続的に行われ、他方で原告事業所における書類の管理には多数且つ重大な不備が認められ、原告代表者もそのこと自体は認めたうえで協議に応じていたことからすると、本件行政指導が強制にわたるものであったということはできない。
  2. 本市職員が、1に記載の不備や違反がある場合に、そのサービスに係る居宅介護サービス費等を返還するよう指導することや、その返還方法等について指導することは介護保険法や本市条例の趣旨に沿うものであり、本件行政指導が、介護保険法等の趣旨に反するものであったということはできない。
  3. 本件行政指導が違法であるとは認められないことから、争点3について判断するまでもない。
  4. 原告事業者が、介護保険法及び本市条例に反する指定居宅サービス等を提供していたとして、受領済みの居宅介護サービス費等の返還を申し出て、本市がこれを受けて返還を受けることとし、原告事業者が実際に返還したものであるから、遅くとも原告事業者が本市に各金額を返還した時点までに、両者間に各金額を返還する旨の合意が成立していたと認められる。よって、不当利得返還請求権は認められない。