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【終了分】公文書部分公開決定処分取消請求事件(既往使用料)

ページID:074506 更新日:2022年10月31日更新 印刷ページ表示

提訴日

令和3年9月6日

当事者

原告/被控訴人/被申立人 市民A
​被告/控訴人/申立人   高槻市(担当課:都市創造部管理課)

事案の概要

 平成31年3月14日、市民Aは、「私有地の不法占有に関連して特定の市民に対して請求した使用料相当額の算定根拠が分かる文書等」を対象文書として情報公開請求を行った。これに対し、市は、保有する「既往使用料の請求について」を文書特定したうえで、「占用期間」、「占用面積」、「請求対象期間」、「指定期限」の各欄の情報を(1)個人の法益侵害情報(情報公開条例第6条第1項第1号)、(2)公開することにより事務に支障が生じる情報(条例第6条第1項第4号)に該当するなどとして非公開としたところ、市民Aはこれを不服として、この決定処分の取消を求めて訴えを提起した事案である。

争点

  1. 本件非公開部分が条例6条1項1号本文に定める非公開情報に該当するか
  2. 本件非公開部分が条例6条1項4号に定める非公開情報に該当するか
  3. 本件非公開部分の部分公開義務の存否

訴訟の経過

第一審

令和3年2月5日 第1回口頭弁論期日
・原告 訴状
・被告 答弁書

令和3年4月13日 第2回口頭弁論期日

令和3年5月11日 第3回口頭弁論期日
・原告 準備書面2 

令和3年6月18日 第4回口頭弁論期日
・被告 第1準備書面

令和3年9月16日 判決期日

控訴審

令和3年9月29日 被告控訴

令和4年1月12日 第1回口頭弁論期日
・控訴人(被告) 控訴状、控訴理由書
・被控訴人(原告) 控訴答弁書

令和4年3月25日 判決期日

上告審

令和4年4月7日 控訴人(被告)上告受理申立て

令和4年9月28日 不受理決定

結果【確定】

第一審判決(市の敗訴)

【判決の要旨】

  1. 本件特定の市民の氏名及び住所はそれ自体が個人識別情報であるところ、本件非公開部分についても、不法占有に係る請求の算定根拠や支払期限等が記載されたものであり、その市民の氏名、住所と共に一体の「個人に関する情報」を構成するものであって、「個人識別情報」に該当する(条例第6条第1項第1号の非公開情報に該当する。)。
  2. 非公開とした「占有期間」、「占用面積」、「請求対象期間」、「指定期限」の各欄が公開されることとなっても、市と市民との間の具体的な交渉経緯や交渉内容等が明らかになるわけではないから、これらが公開されることによって、市の既往使用料の徴収事務や不法占有状態の解消事務の遂行に実質的な支障が生ずる蓋然性があるということはできず、条例第6条第1項第4号に該当しない。
  3. 本件非公開部分を公開した場合に、特定の範疇に属する者が通常知り得る情報と照合するなどして、本件特定の市民を識別したり、本件文書が本件不法占有問題に関するものであることを特定できるようになるとは認められず、個人の権利利益を害するおそれもない。そして、本件非公開部分をその余の部分から分離することは容易であり、本件情報公開請求の趣旨を損なうものではない。
  4. よって、市は、条例第7条第1項及び第2項により、本件非公開部分を部分公開すべきと認められるから、これを非公開とした点において、違法である。

控訴審判決(市の敗訴)

【判決の要旨】

 第一審判決を是認したうえで、控訴審における控訴人の主張((1)本件非公開部分の条例第6条第1項第4号該当性、(2)本件非公開部分の個人識別性)について、(1)本件非公開部分を開示したからといって、本件不法占用問題に解決に向けた合意形成に実質的な支障が生ずる蓋然性は認められないし、事業の適正な遂行に支障が生じるといった主張も採用できない。また、(2)本件各非公開部分が分かっただけでは、これにより本件特定の個人を識別することはできないというべきであり、そうすると市は条例第7条第2項により本件非公開部分を個人識別情報に含まれないものとみなし、公開すべきであった。
 これらと同旨の原判決は相当であり、控訴人の請求を棄却する。

最高裁決定(市の敗訴)

【決定の要旨】

 本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。