○高槻市農林業の活性化に関する条例

平成22年6月29日

条例第18号

農地や森林は、古くから太陽、土、水などの自然からの恩恵と農林業者のたゆまぬ活動により、食料、木材等の農林産物の生産機能のみならず、国土や環境の保全、良好な景観の形成、市民の交流、教育及びレクリエーションの場などの多面的な機能を有し、多くのめぐみをもたらしてきた。

しかし、農林業者の高齢化や後継者不足の深刻化等による農地の減少や放置森林の増加等に見られるように、近年の農地や森林を取り巻く環境は、非常に厳しい状況にある。

このような状況において、本市が安らぎと潤いのある、豊かで暮らしやすい、風格ある都市であるためには、農林業を積極的に守り育て、農地や森林が有する様々な機能の維持増進を図らなければならない。

そのためには、農林業者が継続して農林業を営み、農地や森林を保全し、育成することに誇りを持つことができる取組を進めるとともに、広く市民が農林業、農地や森林の重要性について理解を深めることが求められている。

これらの実現に向けて、市、市民、農林業者等、農林業団体及び各種団体等が一体となって農地や森林の保全と利活用に取り組み、農林業の持続的な発展を図ることにより、市民の健康で文化的な生活を確保し、潤いと活気のあるまちづくりを推進するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、農林業について、その基本理念を定め、市の責務並びに市民、農林業者等、農林業団体及び各種団体等(以下「市民等」という。)の役割を明らかにし、農林業の活性化を図るための施策(以下「農林業活性化施策」という。)を総合的かつ計画的に推進することにより、農林業の持続的な発展を図るとともに、農地及び森林を保全し、もって健康で豊かな市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 自然循環機能 農業生産活動が自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能をいう。

(2) 農業の有する多面的機能 国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観形成、文化の伝承等農業生産活動が行われることにより生ずる農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能をいう。

(3) 森林の有する多面的機能 国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能をいう。

(4) 地産地消 地元農林産物の活用と流通過程でのコストの低減を目指し、生産者と消費者との相互理解の下に、地元農林産物を市内で消費することをいう。

(5) 食育 農林産物の生育に関する知識を習得すること、食材を選択する力を養うこと、多様な調理法を知ること、味覚豊かな食生活を大切にすることその他の健全な心身を培うための食生活に関する様々な教育をいう。

(6) 農林業団体 農業協同組合、森林組合、土地改良区その他の農林業者で組織する本市の農林業振興に関係する団体をいう。

(7) 各種団体等 次に掲げるものをいう。

 農林業の活性化を図るために市民により組織された団体

 食品産業、木材等の流通又は加工を業として行う者等の農林産物を対象に事業活動を行う者

 農林業の活性化を図るための活動に賛同する企業

(基本理念)

第3条 農業は、農産物の供給を通じて市民の健康で豊かな生活を支えるものであり、多彩な農産物を生産し、生きものを育て、自然循環機能を活かす資源として、市民とともに農業を育むことにより、その持続的な発展が図られなければならない。

2 農業は、その活性化を図ることにより、農地を保全し、農業用水その他の農業施設が確保されるとともに、その有する多面的機能が市民生活の安全及び安心の基盤であり、すべての生物にとって欠くことのできない貴重な財産であることから、様々な担い手によってその生産活動が支えられることにより、その利活用が図られなければならない。

3 森林は、豊かな林産物を生産する場として、また、その有する多面的機能が市民生活の安全及び安心の基盤であり、すべての生物にとって欠くことのできない貴重な財産であることから、自然と人間とが共生する場として、長期的展望に立って保全し、管理されるともに、市民とのふれあいを通じて、その利活用が図られなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、農林業活性化施策を策定し、及び実施するものとする。

2 市は、国、大阪府その他の地方公共団体及び市民等との連携を図りながら、農林業活性化施策を実施するものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、農業及び森林の有する多面的機能の重要性を認識し、これらに対する理解を深めるとともに、市が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(農林業者等の役割)

第6条 農林業者は、新鮮で安全かつ安心な農林産物を供給する主体として、その役割並びに農業及び森林の有する多面的機能を十分に認識し、市が実施する施策に積極的に取り組むよう努めるものとする。

2 森林を所有し、又は森林を使用収益する権限を有する者は、森林の有する多面的機能を十分に認識し、森林の整備及び保全を図るとともに、市が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(農林業団体の役割)

第7条 農林業団体は、その事業活動を通じて、農林業者が行う農林業の活性化に向けた取組を支援するとともに、市が実施する施策に各種団体等と連携して協力するよう努めるものとする。

(各種団体等の役割)

第8条 各種団体等は、農林業者及び農林業団体との連携及び役割分担を図りながら、市が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

(施策の基本事項)

第9条 市は、第3条の基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、農林業活性化施策を策定するものとする。

(1) 新鮮で安全かつ安心な農林産物の生産及び供給に関すること。

(2) 地産地消及び食育の推進に関すること。

(3) 農地の保全、農業用水等の農業施設の確保に関すること。

(4) 間伐材その他未利用材の利活用に関すること。

(5) 森林の整備及び保全に関すること。

(6) 農林業後継者及び新たな担い手の育成及び確保に関すること。

(7) 農空間(農地、里山、集落及び水路、ため池等の農業施設が一体となって存する地域をいう。)及び森林を取り巻く良好な景観の形成に関すること。

(8) 農林業に係る学習、交流等の促進に関すること。

(9) その他農林業の活性化を図るために必要な事項

(基本計画)

第10条 市長は、農林業活性化施策を総合的かつ計画的に実施するため、農林業の活性化に向けた基本計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。

2 市長は、基本計画を定めるに当たっては、市民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講じるとともに、次条第1項の高槻市農林業活性化審議会の意見を聴かなければならない。

(農林業活性化審議会)

第11条 市に、高槻市農林業活性化審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、前条第2項に掲げるもののほか、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 基本計画の実施状況に関すること。

(2) その他農林業の活性化に関する重要事項に関すること。

3 審議会は、委員10人以内で組織する。

4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が任命する。

(1) 学識経験のある者

(2) 農林業者、農林業団体及び各種団体等を代表する者

(3) 市民

5 委員の任期は2年とし、再任されることを妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が定める。

1 この条例は、平成22年10月1日から施行する。

2 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(高槻市条例第328号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

高槻市農林業の活性化に関する条例

平成22年6月29日 条例第18号

(平成22年10月1日施行)