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令和4年2月16日(水曜日)
午前10時10分から午前11時30分まで
高槻市総合センター6階 C604会議室 (インターネットWeb会議)
法務ガバナンス室
0人
松本会長、野田委員、福島委員、山本委員、小谷委員
高槻市情報公開条例の一部改正について
[担当課:総務部 法務ガバナンス室]
委員:はい。
実施機関:それでは、諮問事項1「審査請求があった場合等における諮問機関の在り方について」をご説明いたします。1ページをご覧ください。1枚ものにまとめた「諮問概要」もお送りしていますので、そちらについても適宜ご参照いただければと存じます。
まず、1の附属機関の設置方法の本文ですが、ここではご検討いただく上での前提(背景)をまとめています。審査会について言えば、改正法の施行に伴って、これまでは高槻市個人情報保護条例に基づいて設置されていた個人情報保護審査会の位置付けが変更されるというのがポイントでございます。また、審議会について言いますと、これまで本人情報の本人以外からの収集、目的外利用、目的外提供等の一定の場面においては、審議会への諮問が必要でしたが、改正法は個々の取扱いについて類型的に附属機関の意見を聴く手続を設けることは許容されないと解されるため、審議会の担任事務の量が減るというのがポイントでございます。
このような中で、4つのパターンで検討した内容をまとめていますので、順にご説明します。まず、1ページの現行維持型ですが、新たに定めることとなる仮称「個人情報保護法施行条例」において審議会と審査会を設置する旨を定めることとなるため、情報公開審査会についてはこれまでと何ら変わらず、高槻市情報公開条例に基づき設置・運営されることになります。
この場合、個人情報保護制度の体系としては分かりやすいですが、事務量が減ることとなる審議会を単独設置する必要性が課題であると考えます。また、点線の吹き出しに記載していますとおり、行政不服審査法(以下「行審法」という。)第81条第1項の機関が既存の「行政不服審査会」に加えて「個人情報保護審査会」の2つが設置されることとなります。この部分は、後ほどご説明いたしますが、本市としましては、2つの機関を設置することは望ましいとは考えておりません。
次に、2ページの審査会分離・統合型Aですが、個人情報保護審査会と情報公開審査会を統合する案です。この場合、国と同様の体系になります。また、本市両審査会の委員が同じとなるよう運営させていただいている関係上、統合後の運営もスムーズであると考えられます。そのほか、審議会に関する課題は先ほどの案と同様であること、両制度は密接に関連しているにもかかわらず、制度の重要事項に対する建議機能が別々の機関に分かれてしまうこと、委員の業務負担や報酬の在り方について検討が必要になること、そして、吹き出し部分として先ほどと同じように行審法第81条第1項の機関が複数となることが挙げられます。
次に、3ページの審査会分離・統合型Bですが、個人情報保護審査会、情報公開審査会のほか行政不服審査会を統合する案です。想定される効果と検討課題の一つ目のポツについて補足説明させていただきます。本市では個人情報保護制度と情報公開制度のいずれにおいても、不作為に対する審査請求は「審理員審理」を適用除外としていないことから、不作為に対する審査請求があった場合は、個人情報保護審査会ないし情報公開審査会ではなく、審理員審理・行政不服審査会の順で手続が進むことになります。しかし、この案では、改正法の施行に合わせて、処分と不作為の両方ともを仮称行政不服等審査会で担任することをイメージしているため、その結果、審査請求人にとって分かりやすい審査体系となるという意味でございます。2点目以降のポツですが、委員構成の関係上、統合後の運営がスムーズであると考えられること、審議会に関する課題は先ほどの案と同様であること、両制度の重要事項に対する建議機能が分かれてしまうこと、委員の業務負担や報酬の在り方について検討が必要となることが挙げられます。なお、この案では行審法第81条第1項の機関は一つだけ設置することとなります。
最後に、4ページの全統合型ですが、既存の個人情報保護審査会、情報公開審査会及び行政不服審査会並びに審議会を全て統合する案です。この案では、両制度に対する建議機能を同一の機関が担任するため、より両制度の調和を図ることが可能と考えます。その他の項目は一つ前の案と同じでございます。
以上の4パターンをご提示しておりますが、これらを踏まえまして、次の5ページの本市における附属機関の在り方についてご説明いたします。まず(1)ですが、先ほども少し触れましたが、本市における行審法第81条第1項の機関の考え方の部分でございます。
諮問書類の32ページの改正法をご覧ください。右側に「第四款 審査請求」とありますが、その下の第105条に「審査会への諮問」が定められています。少し読み上げますが、「開示決定等……について審査請求があったときは、当該審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長等は、……情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない。」とあります。ここでの情報公開・個人情報保護審査会とはいわゆる国の審査会です。改正法の施行後は、自治体が行う開示決定等は法に基づく処分ということになりますので、法で手当てをしなければ各自治体は審査請求があった場合には国の審査会に諮問することになってしまいます。そのような事態を避けるため、第1項の「行政機関の長等」から地方公共団体の機関を除くように、第104条第1項で定めた上で、33ページの第105条第3項において、自治体は各自治体が設置する「行審法第81条第1項の機関」に諮問することとなるよう、読み替え規定が置かれています。
その結果、個人情報保護制度における審査請求は、これまでの条例に基づき設置された個人情報保護審査会ではなく、「行審法第81条第1項の機関」において審査することとなります。本市の行審法第81条第1項の機関としては、ご承知のとおり既に「高槻市行政不服審査会」が設置されていますので、これとは別の機関をもう一つ設置するのかどうかということが問題になります。
国は、複数の81条機関を設置することもできる旨の見解を示していますが、本市といたしましては、国が異なる機関を設置するなどの対応を行っていない現状や、行審法の趣旨は、通常は権限に属せられた事項を担任する一の機関を設置することを想定していると解されることを踏まえ、一の機関において、高槻市個人情報保護審査会及び高槻市行政不服審査会の事務を担任することが望ましいと考えます。
次に(2)の情報公開審査会との関係ですが、個人情報保護制度と情報公開制度は、いわば車の両輪でございます。現に本市の実務におきましても、窓口で請求者がどのようなことをお求めになっているかによって、どちらの制度をご案内すべきかを判断しなければなりません。場合によっては両方の請求をされる方もおられますので、やはり両制度を一体的に運用している現状にあります。また、本市固有の事情として、委員の皆さまのご理解を得て、両審査会の委員を同じ委員で構成させていただき、同一日程で開催させていただいていることのほか、いわゆる「1案件」に関連する審査請求が両制度にまたがって行われるケースが度々生じてきたことがございます。
以上から、行審法第81条第1項の機関が個人情報保護審査会の事務を担任することとなるのに合わせ、情報公開審査会が担任している事務についても同機関の事務とすることが望ましいと考えます。
次に(3)の個人情報保護制度の運営に関する重要事項等の諮問事項の取扱いですが、冒頭で、これまでは審議会への諮問が必要でしたが、改正法は個々の取扱いについて類型的に附属機関の意見を聴く手続を設けることは許容されないと解されるため、審議会の担任事務の量が減るということをご説明しましたが、その部分の詳細でございます。改正法施行後は、審議会への諮問事項は2点に絞られる見込みです。一つは、いわゆるマイナンバー制度において個人番号を含む個人情報の集合体に係るシステムでの管理体制を自己評価した書類を審議会が第三者的に確認するというもの、もう一つは、個人情報保護制度の運営に関する重要事項に関する審査です。
しかし、これらの2つの担任事務は、諮問頻度が低いためこれらの事務のためだけに附属機関を一つ置くというのはどうなのか、という問題があります。そして、これは現在も言えることではありますが、個人情報保護制度の重要事項に係る建議機能が、審査会とは別の機関に担任されることとなると、問題が生じ得ると考えます。具体的には、制度運営に係るものとして「特定の書類に係る開示・不開示判断の定型化」などを審議会の承認の下で運用しているものがあります。例えば、市民課に対して弁護士や司法書士等の八業士の方々による住民票の職務上請求が頻繁に行われております。そのような場合にどの項目の情報を開示または非開示とするかという所を審議会に諮問して、定型的に定めているという実例がございまして、こういった審議会答申に沿った処分に対して審査請求がなされた場合、その妥当性について審査会が判断しなくてはならない状態になるというのは、制度運営上の混乱を招くおそれがあり、望ましいものではないと考えます。
したがいまして、「審議会その他の合議制の機関」が担任すべき事務についても、行審法第81条第1項の機関が担任することが望ましいと考えます。
大変長くなりましたが、以上から、情報公開審査会の担任事務のほか、審議会、個人情報保護審査会及び行政不服審査会の担任事務を合わせて所掌する新たな附属機関を行審法第81条第1項の機関として設置することとし、今後、情報公開条例中の情報公開審査会に関連する条項の削除のほか、現行のインカメラ審理等が引き続き担保されるよう、必要な規定整備を行うことを予定しています。
今回の見直しによりまして、情報公開審査会の現行の担任事務のほか、個人情報の重要事項等に関する事務が、新たに設置する附属機関の担任事務となりますが、各制度の適正かつ円滑な運営を確保するためには、当該附属機関委員の「事務負担の軽減」や「適正な委員報酬の在り方」も重要な論点となるため、これらの点についても併せて検討を進めてまいります。
なお、本改正は、今後パブリックコメントを経て、本年9月の市議会に条例議案として上程する予定であり、来年4月の施行に向けて、庁内調整等を進めていくこととなります。
諮問事項1に係るご説明は、以上でございます。
以上の説明の後、次の質疑が行われた。
委員:何か質問等はありませんか。
委員:諮問書6ページの(3)個人情報保護制度の運営に関する重要事項等の諮問事項の取扱いについて、審査会機能と審議会機能を統合した方がよいという説明の中で審議会の建議を受けて策定した基準に基づいた判断の妥当性が審査請求において争われている場合が挙げられており、この場合に(審議会と審査会の)相互調整が困難になるということだと思うが、普通に救済という面でみると、ある機関が策定した基準を別の機関がレビューするというのはプラスだと思うが、具体的にどのような事態が想定されているのでしょうか。
実施機関:先ほど具体的な例として、市民課を挙げさせていただいたところではありますが、委員の仰るように審査会として新たな目で判断することに意義があるという面についてはごもっともな御意見だと思います。事務を担当している立場としては、審議会も第三者で構成される機関であり、その機関から出された答申に基づいた運用に対し審査会が異なる判断をした場合に、そのケースに個別には対応できるが、その後、再度審議会へ審査会から指摘があったことを踏まえた今後の運用について諮問をする必要があったりと、内部の手続に時間を要することになってしまうため、1つの機関で審査請求の判断と制度の仕組みに係る建議機能を有している方がより良いのではないか、実際、情報公開制度においては審査会が2つの機能を有していることもあり、といったところでのご提案です。
実際のケースがあったわけではなく、窓口対応の中で、審議会の答申に基づき黒塗りをした部分について、不服があった場合に審査請求することは可能であるかという問合せを受けたことはありますが、審査請求に至ったことはありません。
委員:説明としては分かるが、ルールを作る機関とそれを判断する機関が一緒であることに気持ち悪さは感じる。ただ、実際のケースはなく組織関係をすっきりされたいというのであれば、これ以上は申しません。質問は以上です。
委員:先ほどの委員の質問は、今回の制度関係に関する極めて重要な指摘だったと思います。全体が事務的な負担軽減、効率性を狙っているのかなと感じている。制度として、改正しないと制度が良くならないというわけではなく、例えば、最初の審査会の統合の件、個人情報保護審査会と情報公開審査会と行政不服審査会を統合すると、これによって一元化が図られて効率的にわかりやすくなるという説明だったかと思うが、これまでもそのような運用をしてきており、制度が改正されても実態は変わらないのではないかと思います。その点で特別大きな違いは出てこないですよね。そこそこ、制度として違いが出てくるのは、先ほどの委員が指摘された個人情報保護審査会と審議会の統合でして、先ほどの指摘どおり理念の上において、大きな意味は持っていると思います。しかし、実態の上において統合したところでこれまでと大きな違いは出てこないということで、統合した方が事務的な効率は図られるということだと思います。そこをどう評価するかということでありますが、いかがでしょうか。
委員:先ほど申し上げたとおり、ガバナンス上本当は問題だと思います。ただ、ガバナンスを言うのであれば制度運用の簡便さもあるし、なんといっても、(審査会は)行政庁ではなく諮問機関なので、何とか説明はできるのではないかということで、徹底的に反対とまでは言えないです。ガバナンス上は、いい方向に行くとは言えないと感じています。
委員:仰るとおりだと思います。
委員:他にご意見がなければ、諮問事項1については、以上のとおりとしたいと思うがよろしいでしょうか。
(意見なし)
委員:それでは、諮問事項1については以上のとおりとし、続いて諮問事項2について説明をお願いします。
実施機関:それでは、諮問事項2の「不作為に対する審査請求に係る審査手続について」のご説明をいたします。1の個人情報保護制度との乖離についてですが、要するに、今のままですと、改正法の施行に伴って、情報公開制度における不作為事案の手続が、個人情報保護制度とは異なってしまうということでございます。
本件は、行審法や行政機関個人情報保護法の改正の沿革も関係しているため、まずその点についてご説明します。そもそも、行審法が平成28年4月に全面的に改正される前までは、行政機関個人情報保護法では、処分についての異議申立てや審査請求についてのみ、国の情報公開・個人情報保護審査会に諮問するように制度設計されており、不作為については審査庁のみで審査・裁決を行うこととなっていました。しかし、行審法の平成28年改正で、審理員審理が導入されることとなったタイミングに合わせて、国は「処分及び不作為の審査請求が機能的に類似することとなった」との考えから、行政機関個人情報保護法において不作為に係る審査請求についても審理員審理を適用除外とする旨の規定を設けました。このような流れを受けて、今回の改正法でも、処分と不作為の両方について審理員審理が適用除外とされており、自治体も同様の取扱いとなります。
一方、本市ではいわゆる旧行審法の時には、国と同じように処分のみを審査会に諮問することとしていました。加えて、行審法の平成28年改正時においても、審査会で不作為事案の実体的審査を行うことは困難だという考えから、処分のみを審理員審理の適用除外とし、不作為については審理員審理・行政不服審査会の順で審査するよう制度設計を行いました。そのため、今の制度体系のままで改正法が施行されますと、情報公開制度における不作為事案のみが審理員審理・行政不服審査会の審査という手続となり、両制度全体で見たときにいびつな構成となってしまいます。
その上で、このような状態を回避することについて検討した結果、不作為事案の審査という点では、不作為状態に至った経緯が、単純な手続上の問題として切り分けられるものではなく、情報公開制度の解釈・運用と密接に関連している場合には、「一定の処分(どんな処分)をすべきか否か」についても審査する必要が生じることが想定され、その点では「処分及び不作為の審査請求が機能的に類似することとなった」との国の解釈も合理的と言えると考えられます。
また、両制度の運用を合わせることは何より市民の方々にとって分かりやすい審査請求手続になると言えます。
以上から、本市においては、改正法の施行に合わせ、情報公開制度における不作為に対する審査請求に関しても「審理員の審理手続」を適用除外とし、審査事項1でご説明した内容との関係から、当該審査請求に対する裁決の実質的な調査審議を審理員ではなく「審査会」の担任事務とすることが望ましいと考えます。
なお、本改正についても、諮問事項1と同様のスケジュールを予定しており、実務上はなかなか想定しづらいものですけれども、改正法の施行期日と合わせて施行しようと考えております。
諮問事項2に係るご説明は、以上でございます。
委員:ありがとうございます。要するに、改正後は審理員の方が審査してくださる部分が今までよりも少なくなるということですよね。改正により個人情報保護制度の方は不作為の審査請求について審理員審理がされなくなるということだが、この機会に情報公開の方も審理員手続を除外して、審査会の方に一本化するというお考えということですね。審理員手続を除外し審査会に一本化するメリットとして、請求者、市民の方にとって分かりやすくなるという説明がありましたが、審理員手続が入っていることで分かりにくいと言われるような事は過去にありましたか。
実施機関:同一人物に対し、審理員を挟んでから行政不服審査会で対応する事案と情報公開審査会で直接対応する事案が発生したことがあったと思うが、その時は、審査請求人に審理の流れを掴んでもらうまでにだいぶ時間を要したことはありました。一方で、審理員審理と審査会での審査がどう違うのかということは、両制度を見て、処分の違いも見た上でないと見えてこないものでして、通常はどちらか一方ということにはなり、(両制度が並行する事案は)なかなかないとは思いますが、この数年間にわたって行われている事案につきましては文書の有無と処分そのものの妥当性の両方を審査請求される場合もあり、この場合に手続が異なることに対して理解を得ることが難しいこともあるかと思っています。
委員:両方の制度が手続面において違いがあるという所から分かりにくさが生じるとするのであれば、考え方として、全てを審査会に一本化するという考え方と、もう一つ全てを審理員手続と審査会手続に分けてやるという考え方もあると思うのですが、そちらは検討されなかったのでしょうか。
実施機関:個人情報保護法につきましては、法律上で審理員審理を適用除外する旨が規定されておりますので個人情報保護の観点で審理員審理を適用することができないような法令上の整備になっています。
委員:それはこれからの話ですよね。(先ほどの質問は)これまでの問題としてということですけれども。つまり、分かりにくいということが以前からあったのであれば、考え方としては、全てについて審理員手続を導入するというやり方もあり得たのではないかなと思うのですが、そのことよりも審理員手続を除外して審査会に一本化した方が色々な意味で便宜であるという所から審理員手続をこれまで個人情報保護制度及び情報公開制度で入れてこなかった経緯があったのではないかと思います。そうすると、分かりやすさをここで(理由として)出されると、為にする議論のようにも聞こえてしまいます。
実施機関:今までは、情報公開、個人情報における処分については審理員審理でやるよりは、これまで長年培われてきた審査ノウハウが審査会側にあるため審査会でご審査いただく方がより良いと考え、審理員手続を除外しています。不作為につきましては、情報公開、個人情報両方とも、なぜ処分をしなかったのかという議論になった場合で、仮に請求者の要件を具備しているので処分をするべきであるとなったときに、どのような処分をすべきかを行政庁が一次判断をしていない段階で審査会がインカメラで(対象文書等を)見て、ここは(高槻市情報公開条例第6条第1項)第1号、第2号部分か否かを判断するのは難しいのではないかと考え、不作為については両方(情報公開・個人情報)とも審理員手続に流れていくという整理をさせていただいておりました。
ところが、国の方は平成28年の行審法の改正の時に不作為についても審査会の方で審査するとなったわけです。その段階においても、不作為についての審査は事案としても(件数が)少ないでしょうし、実体審査は難しいのではないかというところで、その当時の判断としては審理員手続を執るとさせていただいておりました。
しかし、単純に期日を徒過したということであれば追加で処分をするでしょうし、行政庁において不作為が問題となるケースは解釈のところで行政庁と審査請求人に齟齬(そご)が出たときと考えますと、情報公開制度上の取扱いの仕方も関連をしてきて、単純に処分をすべきかすべきでないかという審理員手続よりは、今改めて検討する中では、例えば1つの請求に対して市長が処分をした場合に、「本来は教育長が処分をすべきである」と教育長の処分に係る不作為について争われるケースも想定しています。どの実施機関が処分すべきか、つまり、文書を持っている実施機関か、または補助執行の関係で本来権限者に係る実施機関が処分すべきかの入り組んだ話になってきますと、情報公開や個人情報保護制度の知見も合わせて検討しなければならないと考えまして、不作為についても審査会でご審査いただく方が良いと考えました。また、今取扱いを変更しないと、情報公開制度に係る不作為事案だけが異なる手続となってしまうということもあり、このご提案となりました。
委員:そうすると、一本化することで市民の側が分かりやすくなるというメリットが全くないとは申し上げませんが、それ以上に、処分と不作為(の審査請求に係る審査)を分けることが、それほど大きな意味を持たないと感じられるようになってきたということ、そして審理員手続を入れるよりは審査会の方に一本化した方が、手続としても円滑に進むといった理由が、大きいということですかね。
実施機関:仰るとおりです。
委員:他方で、審査会でやる場合であっても、行政の第1次的判断が下されているということが重要だと思っておりまして、審査会が更地で判断するというのは、審査会にとっても必要以上の負荷がかかる可能性があるのではないかと思います。審理員が間に入っているというのはそういう意味では、専門的判断が事前にあり、しかも、一定の限られたとはいえ第三者性がある程度保証された判断が入っているというのは、審査会がその後、事後的判断をする上でも重要ではないかなと思っておりましたので、そこを、審理員手続を仮に除外されるとしても今申し上げたような機能が確保できるということが大事かなと思います。
実施機関:はい。実際にご審査いただく上では、その点については更地でというのは実質難しい部分だと思います。やはり不作為については、全く処分をしない、この請求については一切何も対応しないということは通常なかなか考えにくいとは思っておりまして、先ほど申し上げましたような、処分をしているが、主体が違うから不作為であるといった話ぐらいしか実態として想定しにくいです。仮に処分をしないということがあったとして、諮問する時点で、仮にこれに対して処分をするとした場合にこのような判断になろうかと思う、といったようなことを添えてご審査いただかないと、円滑に進まないと考えています。
委員:その辺りは運用面において手当てされると考えてよろしいですかね。
実施機関:はい。
委員:分かりました。他にご意見がなければ、諮問事項2については、以上のとおりとさせていただきたいと思います。
実施機関:今後の流れですが、本日の議論を踏まえまして答申案を作成させていただこうと考えています。その中で、委員が諮問事項1について仰っておられました懸念の部分については、そこの部分を組み込んだ形で作らせていただいて、次回の審査会で御確認いただき、確定とさせていただけたらと思います。
委員:分かった。
以上で審議は終了した。