本文
令和3年8月6日(金曜日)午後3時00分、令和3年第8回高槻市教育委員会臨時会を教育委員会室に招集した。
出席者(5人)
樽井 弘三 教育長
美濃 律 委員
深堀 基子 委員
浦野 真彦 委員
岡本 華世 委員
説明のために出席した事務局職員の職、氏名
教育次長 土井 恵一
学校教育監 安田 信彦
教育次長代理 田中 宏和
教育政策官 中原 一行
参事 藤田 卓也
教育総務課長 田口 裕之
学校安全課長 今福 幸正
保健給食課長 橋長 忠司
教育指導課長 杉野 暁子
教育センター所長 丸山 みち子
教育総務課課長代理 高橋 直樹
学校安全課課長代理 矢野 幸広
教育指導課課長代理 小寺 基之
教育センター所長代理 中村 吉博
教育総務課主査 須増 摩耶
学校安全課主査 西野 耕平
議事日程
日程第1 承認第13号 高槻市附属機関設置条例中一部改正について
日程第2 承認第14号 令和3年度歳出補正予(第2号)教育費について
日程第3 承認第15号 高槻市学校事故調査委員会規則の制定について
日程第4 議案第19号 高槻市学校事故調査委員会委員の委嘱について
日程第5 議案第20号 教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価について
(午後3時00分開会)
樽井弘三教育長
ただいまから、令和3年第8回高槻市教育委員会臨時会を開会いたします。
なお、本日の会議に傍聴の希望がございましたので、許可をいたしております。
本日の会議の出席者は、5名でございます。なお、本日の会議の署名委員は、美濃委員、深堀委員にお願いいたします。
樽井弘三教育長
それでは、議事に入ります。
日程第1、承認第13号、「高槻市附属機関設置条例中一部改正について」、日程第2、承認第14号、「令和3年度歳出補正予算(第2号)教育費について」、日程第3、承認第15号、「高槻市学校事故調査委員会規則の制定について」、日程第4、議案第19号、「高槻市学校事故調査委員会委員の委嘱について」、これらは関連する内容ですので、一括して議題といたします。提案理由の説明を求めます。
教育次長(土井恵一)(提案理由説明)
ただいま上程されました、日程第1、承認第13号「高槻市附属機関設置条例中一部改正について」、日程第2、承認第14号「令和3年度歳出補正予算(第2号)教育費について」、日程第3、承認第15号「高槻市学校事故調査委員会規則の制定について」及び、日程第4、議案第19号「高槻市学校事故調査委員会委員の委嘱について」、提案理由のご説明を申し上げます。
まず、承認第13号及び承認第14号につきまして、ご説明申し上げます。
本年2月18日に市立小学校において発生した死亡事故については、文部科学省作成の「学校事故に関する指針」を参考に調査等の対応を行っているところです。
これまで原因が特定されていない中で、本指針にある詳細調査の実施は見合わせてまいりましたが、病理検査の結果が出たことが判明したことから、事故に至る過程や原因の調査を行うとともに、今後の学校事故予防などへの提言をいただくことで、より安全安心な学校づくりを推進できるよう、高槻市学校事故調査委員会を設置するものでございます。
なお、調査委員会から答申をいただき、各学校が持久走を計画する今年度後期の体育活動に反映するには、早期に調査を開始する必要があること、また、関係者への事情聴取や現場確認は、学校への影響に鑑みると、夏季休業期間に実施することが適切であり、教育委員会の議決を得る時間的猶予がございませんでした。そのため、教育長に対する事務委任等に関する規則第3条第2項の規定により、緊急やむを得ないものとして教育長が臨時代理として決裁し、先月20日に市長による専決処分がなされたものにつきまして、今般、ご承認をお願いするものでございます。
まず、承認第13号、「高槻市附属機関設置条例中一部改正について」でございますが、新たに教育委員会の附属機関として、「高槻市学校事故調査委員会」を設置するもので、担任事務は詳細調査に関する事務とし、委員数は3名、学識経験のある者、その他教育委員会が適当と認める者で構成してまいります。
併せて、特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例を一部改正し、委員に対する報酬を、日額1万6千6百円とするものでございます。
続きまして、承認第14号、「令和3年度歳出補正予算(第2号)教育費について」ご説明申し上げます。
それでは議案書の1ページをお開きください。ここでは、全体の歳出額を記載しております。教育費の補正額は、表中最下段の歳出合計にございますとおり、45万7千円を増額いたすものでございます。
次に、2ページ上段をご覧ください。学校事故調査委員会の委員報酬として、34万9千円を増額するものでございます。
中段をご覧ください。調査の過程で、委員以外の専門的知識を有する者から、意見を聴取するための報償費として、10万8千円の増額を行うものでございます。
次に、承認第15号、「高槻市学校事故調査委員会規則の制定について」でございますが、本調査委員会の設置に併せまして、委員長の選出や会議の招集など、所要の事項を定めた高槻市学校事故調査委員会規則を、教育長に対する事務委任等に関する規則第3条第2項に基づいて、教育長が臨時代理として決裁し制定いたしましたので、ご承認をお願いするものでございます。
最後に、議案第19号「高槻市学校事故調査委員会委員の委嘱」についてですが、文部科学省の指針によると、詳細調査に係る調査委員会の構成については、学識経験者や医師、弁護士、学校事故対応の専門家等の専門的知識及び経験を有する者であって、調査対象となる事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者とされており、公平性、中立性を確保することが求められております。そこで、これまで本市と接点がなく、本件事故に関して専門的知識を有する方を大阪府教育委員会から助言いただいた上で、お手元の委嘱委員名簿の方々を学校事故調査委員会委員として委嘱するものです。
なお、委嘱期間はご可決いただいた日から調査が終了する日までとするものでございます。
以上、誠に簡単な説明ではございますが、よろしくご審議の上、ご可決賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
樽井弘三教育長
ただいま、提案理由の説明が終わりましたが、委員の皆さん何かご質問はございませんでしょうか。
美濃律委員
委員の構成で発達教育学部の学識経験者が2名となっていて偏りがあるように思うのですがいかがでしょうか。また、医師が入っていない理由があれば教えていただきたいです。
学校安全課長(今福幸正)
委嘱予定の3名の委員各々の専門につきましては、小学校体育の授業全般に精通されている方、今回事故発生時に行っていました5分間走が該当します「体つくり運動」の研究をされている方、そして事故後の対応などに関連する学校保健を専門にされている方となっております。
このうち2名の方は、委員仰せの通り、発達教育学部の方でございますが、今回の調査目的が、安全安心な教育活動を行うためであることから、教育の視点で、大阪府教育委員会から人選の助言をいただき選任しております。
なお、調査が進められる過程で、調査委員会において他の専門家の意見が必要と判断された場合は、委員以外の専門家から意見を伺うことも想定しております。
医師が入らないのかというお尋ねでございますが、ご遺族から医療機関による病理検査の結果が判明したことをお聞きしており、現時点で、委員に医師を含める必要はないと判断しておりますが、先程申し上げましたとおり、調査を進める上で、調査委員会の判断によっては、必要に応じて、医師からの意見を聴取することも想定して、今回予算を確保しております。
樽井弘三教育長
他に何かございませんでしょうか。
浦野真彦委員
委員の決め方について確認なのですが、今回、第三者委員会ということで高槻市が探して見つけるということはできないと思うのですが、先程の説明の中で、専門的知識を有する方を、大阪府教育委員会から助言をいただいた上で、とありましたが、大阪府教育委員会からリストを出してもらって、その中から選ぶということでよろしいでしょうか。あと、必要であれば医師の方にもと言うことだったのですが、そのような場合もリストの中からお願いするということなのでしょうか。
学校安全課長(今福幸正)
委員の委嘱の選任についてのお尋ねですが、大阪府教育委員会から市の調査目的に合ったリストをいただきました。その中で市との接点がない方を今回選任しております。また、医師が必要となった場合につきましては、調査委員会を進める中で、どういった方にお願いしていくかも含めてご審議いただくことになると考えております。
樽井弘三教育長
他に何かございませんでしょうか。
深堀基子委員
報道で、事故とマスクの関係が注目されていますが、マスクに関することは審議するのでしょうか。また、調査結果は公表するのでしょうか。
学校安全課長(今福幸正)
まず、調査内容の詳細につきましては、調査委員会で決定されることになりますが、マスクの運用が適切に指導されていたかなど、マスクについても調査の対象になると考えております。
次に調査結果の公表につきましては、ご遺族へ説明させていただくとともに、国や府へ報告いたします。ただ、広く公表することにつきましては、今回極めて秘匿性の高い情報もあることから、個人情報の取り扱いには最大限留意しながら、慎重に対応してきたいと考えております。
樽井弘三教育長
他に委員の皆さん何かございませんでしょうか。
岡本華世委員
調査委員会の審議内容について教えてください。
学校安全課長(今福幸正)
調査委員会でご検討いただくことになりますが、今回の調査委員会につきましては、事故を受けまして、指導計画・指導方法・事後の対応について検証し、そして学校事故予防などへの提言をいただくことで、安全安心な学校づくりを推進することを目的に設置いたしました。
具体的な審議内容については、教育委員会から調査委員会へ、調査委員会の設置目的を諮問としてお伝えし、事故後に行った基本的な調査をまずは確認していただきまして、その内容を踏まえて、その後に必要な内容を調査委員会において検討されることとなるかと考えております。
樽井弘三教育長
他に何かございませんでしょうか。
美濃律委員
病理検査結果が出たとのことですが、簡単で結構ですのでご説明いただけないかと思うのですが、いかがでしょうか。
学校安全課長(今福幸正)
病理検査の結果につきましては、教育委員会の職員が、ご遺族より口頭でお伺いしておりますが、個人情報に該当いたしますので、この場で内容をお答えすることは差し控えさせていただきます。
なお、病理検査の結果が、調査において必要と判断された場合は、調査委員会から正式に提供を依頼することも考えられます。
樽井弘三教育長
他に何かございませんでしょうか。
岡本華世委員
後期の持久走の授業に間に合わせるとのことだが、どういったスケジュールで進められるのか。また、調査委員会の結果を、どう学校現場へ反映していくのか教えてください。
学校安全課長(今福幸正)
事務局としましては、この委員の委嘱をご可決いただいた後、速やかに調査委員会を開催し、学校関係者の事情聴取や現場確認などを、学校の夏季休業期間中に実施していただきたいと考えております。9月以降につきましても、基本調査や現地の確認を踏まえた調査が円滑に行われるよう支援し、年内に調査委員会から答申をいただきたいと考えております。
いただいた答申を踏まえ、冬場の5分間走が行われる時期までには、事故予防策を策定し、校長会や学校安全推進責任者会議等を通じて、また体育授業に関わる先生方に周知徹底し、安全安心な学校づくりを推進していきたいと考えております。
樽井弘三教育長
他に何かございませんでしょうか。
それでは、無いようですので、採決に入ります。承認第13号、「高槻市附属機関設置条例中一部改正について」を原案どおり承認してご異議ございませんか。
(異議なし)
樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、承認第13号は、原案どおり承認されました。
続きまして、承認第14号の採決に入ります。「令和3年度歳出補正予算(第2号)教育費について」を原案どおり承認してご異議ございませんか。
(異議なし)
樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、承認第14号は、原案どおり承認されました。
続きまして、承認第15号の採決に入ります。「高槻市学校事故調査委員会規則の制定について」を原案どおり承認してご異議ございませんか。
(異議なし)
樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、承認第15号は、原案どおり承認されました。
続きまして、議案第19号の採決に入ります。「高槻市学校事故調査委員会委員の委嘱について」を原案どおり可決してご異議ございませんか。
(異議なし)
樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、本件は原案どおり可決されました。
続きまして、日程第5、議案第20号、「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価について」を議題といたします。
学識経験者の先生をお迎えするため5分間休憩とします。
15時25分に議事を再開いたします。
(休憩)
樽井弘三教育長
それでは議事を再開いたします。
日程第5、議案第20号、「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価について」を議題といたします。提案理由の説明を求めます。
教育次長(土井恵一)(提案理由説明)
ただいま上程されました、日程第5、議案第20号、「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価」につきまして、提案理由のご説明を申し上げます。
まず、点検及び評価の概要でございますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第26条の規定におきまして、「教育委員会は、毎年、その権限に属する事務について点検及び評価を行い、議会に報告書を提出するとともに公表しなければならない」とされております。点検評価の対象は、教育諸事業全般でございます。
お手元の令和2年度高槻市教育委員会事務点検評価表の目次をご覧ください。
平成27年2月に策定された「高槻市教育振興基本計画」の実施計画として位置づけております令和2年度教育努力目標の具体的目標ごとの取組状況を踏まえ、点検評価表を作成いたしました。
次に、点検評価表の構成でございますが、3ページから86ページが点検評価表となっており、丸数字で示しております「教育努力目標」の小項目ごとに点検評価を実施いたしました。87ページからは参考資料でございます。
3ページから16ページ、「重点目標1 確かな学力の育成」につきまして、7項目の点検評価を行っております。
17ページから32ページ、「重点目標2 豊かな人間性の育成」につきまして、5項目の点検評価を行っております。
33ページから39ページ、「重点目標3 健やかな心身の育成」につきまして、4項目の点検評価を行っております。
40ページから66ページ、「重点目標4 学校力の向上」につきまして、7項目の点検評価を行っております。
67ページから71ページ、「重点目標5 家庭力の向上」につきまして、3項目の点検評価を行っております。
72ページから86ページ、「重点目標6 地域力の向上」につきまして、4項目の点検評価を行っております。
本日は、より重点的に議論を行うため、これらの重点目標のうち「重点目標1 確かな学力の育成」、「重点目標2 豊かな人間性の育成」、「重点目標3 健やかな心身の育成」に絞り意見聴取及び議論を行っていただきたいと考えております。
また、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第26条第2項の規定に基づき、教育に関し学識経験を有する者の知見を活用するため、本日は、2人の学識経験者の先生をお招きし、ご意見をいただきます。その後、教育委員の皆様のご議論を受け、報告書として取りまとめたいと考えております。
取りまとめた報告書は、「点検評価表」とあわせて9月市議会に提出し、市ホームページ等で公表してまいります。
以上、簡単な説明ではございますが、よろしくご審議いただき、令和2年度における「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価」につきまして、ご意見をいただき、原案をご可決賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
樽井弘三教育長
ただいま、提案理由の説明が終わりました。
本日の進行としまして、事務局から、今年度の点検評価については、重点目標1から重点目標3に絞って意見聴取及び議論を行うとの提案がございました。これにご異議はございませんか。
(異議なし)
樽井弘三教育長
ご異議がないようですので、それでは重点目標1から3の議論に移りたいと思います。
ここで、本点検評価にあたり、お招きしました学識経験者のご紹介をいたします。関西大学社会安全学部准教授 城下英行先生です。元若松小学校校長、小学校校長会会長 関由起子先生です。よろしくお願いいたします。
では、「令和2年度 高槻市教育委員会事務「点検・評価」表」についてご質問をお願いしたいと思います。
まず、最初に学識経験者の先生方のご質問をお願いしたいと思います。
学識経験者(城下英行氏)
私から二つ質問をしたいと思います。
まず一つ目ですが、手元の資料8ページ、「重点目標1 確かな学力の育成」、きめ細かな学習指導の充実、学習指導の多様な展開に関しまして、高槻市におかれましては、小学校全学年において35人学級を編制されているということで、また、今後中学校においても35人学級の編制に向けて研究を進めるということでございますが、小学校における35人の学級編制について、児童や保護者の声、具体的な感想など把握されているものがありましたら、お聞かせ願います。
教育指導課長(杉野暁子)
小学校で実施しているアンケートの調査では、児童からは、「先生に質問しやすく、勉強がよくわかる」、「集中して勉強することができる」、保護者からは、「教室がゆったりしていて、子どもたちが落ち着いて過ごせている」「丁寧に指導してもらっていて、安心する」などの肯定的な意見が多くございました。
1学級あたりの人数が減少することで、きめ細かな学習指導、生徒指導が実現できていると考えております。
学識経験者(城下英行氏)
ありがとうございます。では別の質問をさせていただきたいと思います。
続きまして、39ページ「重点目標3 健やかな心身の育成」、学校における安全教育の充実、1.安全教育の充実の成果といたしまして、防災教育教材「6.18 大阪府北部地震を語り継ぐ」を新たに作成したとありますが、どのような目的で作成され、どれくらいの学校が活用されたのでしょうか。教えてください。
学校安全課長(今福幸正)
防災教育教材についてのお尋ねですが、本市におきましては、毎年6月を「子どもの安全確保推進月間」と定め、市内全学校園を挙げて施設設備の総点検を実施するとともに、教職員及び児童生徒等の安全意識の高揚に努めています。
この防災教育教材は、平成30年に発生した大阪府北部地震の教訓を決して風化させることのないよう、この6月の月間の取組の一環として各学校における防災教育に活用できるよう作成したものです。
令和2年度につきましては、小学校26校及び中学校14校において、本教材を活用した授業が行われております。また、各校の独自教材や防災関係機関が作成した教材を活用した安全教育も実施しております。
また、現在、学校安全の3領域に関する安全教育の副読本について、来年度から小中学校で活用できるよう作成しているところです。
引き続き、児童生徒の安全に関する資質・能力を育んでいくため、安全教育を推進してまいります。
樽井弘三教育長
他に何かございませんでしょうか。
学識経験者(関由起子氏)
私の方からは3点質問させていただきます。
昨年度は新型コロナウイルス感染予防の観点で、研修などもかなり減ったことと思われますが、リモート研修など行っておられたのでしょうか。
教育センター所長(丸山みち子)
研修についてのお尋ねでございますが、昨年度、緊急事態宣言下において、教育センターの教職員研修は中止、または可能な限り年度後半に延期しました。
初任者研修等法定研修については、動画配信など集合を避けて実施し、外部講師を招聘しての研修も可能なものはオンラインで行いました。
学識経験者(関由起子氏)
2点目ですが、キャリア・パスポートの全児童配付についてです。
9年間を通しての指導は大変なことと思いますが、児童生徒にとっては意義のある取組と思われます。このことについて、保護者との連携はどのような形で行われているのでしょうか。
教育指導課長(杉野暁子)
キャリア・パスポートは、特別活動の時間を中心としたキャリア教育に関わる活動について、子どもたちが活動を記録し蓄積する教材です。
児童生徒が自己有用感を高め、直面する課題に柔軟かつたくましく対応できる力を養うためには、教職員や保護者などの児童生徒に関わる大人たちが、キャリア・パスポートに記述した内容について、肯定的な声掛けをしたり、記述等を行うなど対話的に関わることが大事であり、保護者にもご協力をお願いしております。
学識経験者(関由起子氏)
ゲストティーチャーを招いての職業講話を実施とありますが、具体的にはどのような方にお願いしたのでしょうか。また、新型コロナウイルス感染症の影響でゲストティーチャーを招くことができなかった学校は、どのように対応されたのでしょうか。
教育指導課長(杉野暁子)
職業体験は昨年度はやりづらい状況にございました。学校によっては、地域の方に協力をいただくなどして職業講話を実施しました。例えば、幼稚園、消防署、法律事務所、新聞社、旅行会社、パン屋、洋菓子屋、ガラス工芸の工房等で勤務する方からの講話をいただきました。
また、ゲストティーチャーによる職業講話を実施できなかった学校については、学校図書館を活用した職業調べなどを実施しました。
樽井弘三教育長
学識経験者の先生方よろしいでしょうか。
それでは、次に委員の皆様からのご質問をお願いしたいと思います。
浦野真彦委員
休業期間には、オンライン、プリント等、通常の授業以外にどのような学習があったのでしょうか。また、それらの学習を行うことで、児童生徒に影響はあったのでしょうか。
教育指導課長(杉野暁子)
臨時休業期間中は、プリント課題を配付する他、リコーダー練習やなわとびといった家庭でできる簡単な実技課題を提示するなど、各学校で工夫しながら児童生徒の学習を支援しました。また、大阪府教育センターのホームページにアップされている学習課題や高槻市教育センターが作成した学習動画等も活用し学習保障に努めました。
児童生徒が、不安を感じることがないように、学習内容は既習事項の復習を中心とし、未指導の学習内容を課す場合も、教科書と併用できる適切な教材を準備し、児童生徒が意欲をもって取り組める内容になるよう十分配慮しました。また、児童生徒が規則正しい生活を送ることができるように、1週間ごとに起床時間や学習内容を書き込める家庭学習カードを各学校で配付し、登校日に教員が一人ずつの学習状況を確認するなどの支援を続けました。
臨時休業後は、児童生徒の学習の定着状況を把握し、必要に応じて家庭と連携して、個別の学習支援を行っております。
樽井弘三教育長
他にご質問ございませんでしょうか。
深堀基子委員
昨年度は新学期早々からの臨時休業でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響が大きかったのはどのような点だったのでしょうか。
教育指導課長(杉野暁子)
臨時休業による授業時数の確保のため、各学校では、学校行事等の見直しを行いました。特に実技を伴う音楽科や技術・家庭科、体育科や保健体育科等において、感染状況によっては実施ができない教育活動もございましたので、指導順や学習内容を変更するなど、実技教科については影響が大きかったと考えております。
教育センター所長(丸山みち子)
学援隊事業の活用件数につきましては、令和元年度は14,117件であったものが、令和2年度は8,565件と、約4割減少しております。
感染拡大防止のため、地域の方をはじめとしたボランティアの方に、学校への来校を控えていただいたことが、減少の理由でございます。
樽井弘三教育長
他に何かございませんでしょうか。
美濃律委員
教科となった道徳ですが、正解のない問題を考えるようなところがあると思います。授業の進め方や評価などについて、教員はどのように感じられていますか。また、児童生徒は、自身の評価、道徳の授業について戸惑いはなかったのでしょうか。
教育指導課長(杉野暁子)
道徳の評価や授業づくりについては、平成30年度に評価文例集を作成し、配付をしております。そして、毎年、道徳教育推進教師連絡会において講師を招聘し、道徳科の授業づくりについて講演いただくなど、教員に対して評価や授業づくりについての具体的なモデルを示してきました。各学校においては、「考え議論する道徳」の授業実践が毎年少しずつ積み上がり、教員にとっても、児童生徒にとっても、道徳が教科として、定着してきたと考えています。
また、評価についてですが、児童生徒の学習の状況や成長の様子に着目しながら励ます評価であることが大切です。児童生徒自身が評価に対して戸惑いを感じているという報告は受けておりませんが、今後も、児童生徒の学習意欲の向上につながるような評価を、教員が行うことができるよう支援してまいります。
樽井弘三教育長
他に何かございませんでしょうか。
岡本華世委員
P25(4)の1.生徒指導体制(組織的な対応)の充実についてですが、児童生徒や保護者に対応する際のやり取りでその先の学校生活が大きく変わってくると思います。
生徒指導に関する学校ヒアリングを年2回実施とありますが、方向性が高槻市全体としてほぼぶれること無く統一されることを望みます。先生方の悩み相談はどのように対応されていますか。
教育指導課長(杉野暁子)
まず、年2回のヒアリングだけでなく、生徒指導担当者連絡会等での情報共有や、学校から教育指導課に寄せられる報告等によって、学校の状況を常に把握できるように努めております。
具体的な対応については、報告を受けた内容に応じて、担当の指導主事を学校に派遣したり、校内の教職員等で実施するケース会議等に参加をすることもございます。また、学校が抱える課題に具体的な方策を示すため、指導主事が、校内研修会の講師を務めることもございます。今後も、生徒指導の充実に努めてまいりたいと思います。
樽井弘三教育長
他に何かございませんでしょうか。
浦野真彦委員
タブレットを活用した授業はどの程度行われたのでしょうか。また、児童生徒及び教員の感想、反応が分かれば教えてください。
教育センター所長(丸山みち子)
昨年度におきましては、令和3年2月末に全学校に端末整備を完了し、その後、各学校において試行的に端末利用を行いました。昨年度の端末を活用した授業の頻度につきましては、把握しておりませんが、今年度は、アクセス数等から徐々に端末活用が進んでいることを把握しております。
次に、児童生徒及び教員の感想や反応についてですが、児童生徒については、「自分の考えを伝えやすく、友達の考えもすぐに知ることができ、集中して学習できた」など、教師については、「一人ひとりの子どもの学習状況や考えを端末上で把握することができるので、適切な支援ができ、また全体で考えを共有する場面で有効である」との感想や反応を聞いております。
今後も、端末の効果的な活用方法を研究している新時代の学び実践教員による研究を引き続き進め、各学校での端末を活用した授業の中で効果的に活用できるよう発信してまいりたいと考えております。
樽井弘三教育長
他に何かございませんでしょうか。
それでは次に、学識経験者のお二人のご意見をそれぞれ述べていただきたいと思います。城下先生よろしくお願いいたします。
学識経験者(城下英行氏)
教育委員会事務点検評価の意見ということで、先程も今年度の点検評価は重点目標1から重点目標3に絞っての意見聴取を行うということでございましたので、重点目標1から3につきまして、意見を申し上げたいと存じます。
まず一つ目の重点目標1「確かな学力の育成」ですが、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症による臨時休業から開始される異例の事態となったにも関わらず、夏季・冬季休業期間の短縮、行事の精選等を実施されたことで、概ね全校において標準授業時数の確保を行うなど、困難な中にあっても学校教育を継続されたことは、高く評価できます。特に随時の見直しが行われている新型コロナウイルス感染症対応「学校生活ガイドライン」は、学習指導はもちろんのこと、保健管理や心のケア、教職員の勤務に関することまで網羅的に情報が掲載されており、各学校で大いに活用されていると推察されます。引き続き、新型コロナウイルスの感染状況やワクチンの接種状況等を鑑みながら、不断に更新されることを期待しています。
令和2年度は、小学校において新学習指導要領が完全実施される年度であったことから、新たな学力観に基づく、教育活動の展開を開始する必要がありました。今述べたとおり臨時休業もある中で、各学校で、児童・生徒へのアンケート調査を含め、新学習指導要領に沿った学習指導と学習評価に取り組まれたことは評価できます。
全国的には令和7年度に完全実施される小学校における35人学級を高槻市独自の政策として実施していることは、評価できます。35人以下の環境を生かした教育活動の一層の展開を期待したいと思います。また、今後、中学校における35人学級の実施に向けた研究を行うとのことですが、現状においても学校や学年によっては、結果として20人台の学級編制となっている学校もあります。そうした学校や学年における現状も分析した上で、35人以下の学級編制とすることの教育的意義についての研究を期待しています。
大学においても理数離れが課題となっており、理数教育の充実は極めて重要な課題です。小中学校段階で算数・数学、理科への興味を持つような教育活動のさらなる展開を期待しています。
次に、重点目標2「豊かな人間性の育成」について意見を述べたいと思います。
道徳教育は、学校教育の基盤であると考えます。それゆえ、道徳科を要として、学校教育全体で道徳教育を推進されていることは評価できます。道徳のような「答えが一つではない問題」は、様々な分野で共通にみられる問題ともいえ、そうした問題へのアプローチは、「主体的・対話的で深い学び」と大いに関連があると思われます。引き続き、包括的な道徳教育が展開されることを期待します。
キャリア教育については、世の中にどのような職業があるのか、その多様さを示すことが重要であると思います。特にBtoB企業については、日頃、接点がないために見落とされがちです。子どもたち自らがキャリアを探求するための手がかりを可能な限りたくさん提供いただくことを期待しています。
重点目標3「健やかな心身の育成」についてですが、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、体育活動が制限されています。体力を向上させることは、健康維持にもつながると思われますので、引き続き、感染予防と体育活動の両立を図っていただきたいと思います。
安全は、学校教育の基盤ともいえます。高槻市では、2018年に大阪府北部地震と台風21号によって大きな被害を受けたことから、自然災害への関心が高まっていると思われます。一般に、自然災害は発生間隔が長いことから、防災に関心を持つことが難しいと言われますので、こうした最近の災害の経験に学ぶことは重要です。その点で、防災教育教材「6.18 大阪府北部地震を語り継ぐ」を作成されたことは高く評価できます。とはいえ、自然災害は地震災害だけではありませんので、地震以外の災害に対しても目を向けることも重要です。また、学校安全の観点で言えば、生活安全、交通安全、災害安全の3領域を、バランスを考慮しながら取り上げることが肝要です。さらに、新型コロナウイルス感染症対策についても安全の枠組みの中で取り上げる必要があると思われます。
樽井弘三教育長
ありがとうございました。
続きまして、関先生お願いいたします。
学識経験者(関由起子氏)
まず、全体を通しての意見を述べさせていただきます。
4月当初より、臨時休業となり児童生徒及び保護者の不安が高まる中、事務局と学校園の教職員が一丸となり、安全安心な学校を維持していくとともに児童生徒の成長を促す取組を進めてこられたことを評価します。
新型コロナウイルス感染症拡大防止の影響で変則的になった学校の登校期間の中で、一年間のカリキュラムを立て、教育課程を未履修なく行うことだけでも例年とは異なる状況であります。この状況下で、さらに新型コロナウイルス感染予防の取組が加わり、多忙を極める中、疲弊する学校現場を事務局が支えてこられたことと思います。
学校においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の状況下において、参観日、懇談会、家庭訪問がずいぶん減らされていることと思われます。また、保護者に子どもの事案を伝えなければならない時も、今までならば対面で保護者と学校が話し合っていたことも、電話で行わざるを得ない場面が増えていることと思います。このような状況だからこそ学校は、保護者とより一層丁寧な関わりを持つことにより信頼関係の構築を図る必要があると考えます。
次に、1「確かな学力の育成」についてです。「学校生活ガイドライン」の作成により、学校現場も感染リスクを踏まえ、自校で適切な教育活動を行っていく上での参考になったと考えられます。今後も、コロナ感染状況の変化に応じて「学校生活ガイドライン」の点検見直しを行い、教職員の負担軽減も考慮しつつ、より安全安心な学校生活を送ることができるよう、学校及び事務局が一丸となって、取組を進めることを期待しています。
小中一貫した教育を推進するにあたっては、中学校区の教職員が連携し、コミュニケーションを取る必要性があると考えられます。リモート会議をより積極的に行うなど、中学校区教職員の連携及び意思疎通の更なる促進をお願いします。
新型コロナウイルス感染症拡大防止の状況下、児童生徒同士が向き合って主体的に進めていくという学習形態がとりにくくなっているのは事実です。そのような中、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善をさらに進めていけるよう、事務局による指導助言を継続する必要があると考えます。
また、GIGAスクール構想については、「新時代の学び実践教員」による、1人1台端末の効果的な活用方法の研究を引き続き行うことで、各校での端末を活用した効果的な授業展開を期待します。
2「豊かな人間性の育成」。児童生徒の豊かな人間性を育成するために、集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ、様々な集団活動に自主的・実践的に取り組む機会を設けることが重要であると考えます。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、集団活動についても机上の指導になってしまうなど、密を避けた取組に変更せざるを得ない状況です。また、子どもたち同士のつながりを深める遠足や宿泊行事、体育祭なども各学校で創意工夫しながらできる範囲で行われていると思いますが、ダイナミックな取組には至らないと想像できます。このような状況下においても、子どもたち同士のつながりを深める新たな活動を考えるなど、子どもたちの豊かな人間性が育まれることを望みます。
道徳教育、キャリア教育、シティズンシップ教育等豊かな人間性を育成する取組を各学校で保護者、地域住民等と連携しながら進めておられることと思います。残念ながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止の影響で実施できなかった外部講師の招聘や職場体験授業もあったようです。子どもたちが様々な方の話を聞く機会や体験する機会が、失われることのないよう、リモートで外部の方や地域の方にお話ししていただくなど、多彩な取組を創意工夫して行うことが必要であると考えます。また、身近な問題から世界に関わる問題まで、人権問題はこれからを生きていく子どもたちには絶対に避けられないものです。豊かな人間性の育成が、人権感覚と人権意識を育むことにつながります。子どもたちや保護者、地域の実態に応じた指導の一層の充実を望みます。
3「健やかな心身の育成」。「密を避ける」ことなどで、体育の授業のみならず学校生活の中で子どもたちがのびのびと身体を動かして活動することが減ってきていると思います。また、駅伝大会やサッカー大会、バスケット大会も中止となり、スポーツを通して様々な人とのつながりや経験を増やす機会が減りました。今後、できる範囲で子どもたちが運動に親しみ、主体的に体を動かすことのできる機会の充実を図ることができるよう望みます。
樽井弘三教育長
ありがとうございました。
続きまして、教育委員の皆様からご意見を述べていただきたいと思います。岡本委員お願いいたします。
岡本華世委員
重点目標1「確かな学力の育成」について述べさせていただきます。令和2年度は新型コロナウイルス感染症拡大により学校園生活が大きく変わった年度だったと思いますが、教育委員会事務局はじめ学校園の先生方も慣れない環境の中、児童生徒・保護者に寄り添い、尽力されてきたことに感謝しております。
小中一貫教育の推進に伴い、中学校区の教職員はもちろんのこと学校と地域、保護者との連携も大切です。今年度はコロナ禍であったため、なかなか実践はできなかったと思いますが、引き続き校区内での連携をそれぞれが必要と感じ、子どもたちにとってよりよい環境の基盤となることを望みます。
近年ではALTの全校配置等により子どもたちにとって外国語・英語が身近なものになっていると思います。先生のご意見にもあるように、理数離れが課題であると感じます。新学習指導要領に基づき、プログラミング教育等がはじまることから理数科目への興味や好奇心が育まれるよう期待しています。
続いて、重点目標2「豊かな人間性の育成」について述べさせていただきます。例年はキャリア教育として職業体験で実際に仕事に関わり学ぶ機会や、地域の様々な職業をもつ方々からお話を聞く機会があったと思いますが、今年度は密を避けなければならず実施されなかったことが多かったと思います。仕事に関わる内容はもちろんですが、やはり子どもたちには、人と人とのつながり・関わりがどれだけ今後の力になるか、という事柄も含めて感じ取ってもらいたい授業の一つです。先生のご意見にもありましたが、コロナ禍だからこそコミュニケーション不足にならないようリモート等の工夫をしていただき、子どもたちが知って学べる機会の確保をお願いいたします。
いじめ・不登校の未然防止のため対策協議会の開催や学校問題解決チームの派遣等、教育委員会としては様々な対策はされていると思います。しかしこれらが学校全体に浸透しているかと言えば、とても難しい問題になると思います。高槻市全体として、学校や教職員は児童・生徒・保護者に、教育委員会は学校・先生方に真摯に向き合い、寄り添い、子どもたちが安心して登校できる環境づくりを望みます。
最後に、重点目標3「健やかな心身の育成」について述べさせていただきます。高槻市は早い時期から全小中学校で給食となり、現在に至るまで食育を継続的に推進していただいていることに感謝します。地産地消の取組も子どもたちの学びにつながっていると思います。
安全教育の充実については、大阪府北部地震後に高槻市がひとつとなり、大人の目線で子どもたちの安全・安心を守るため計画された通学路危険個所の点検は毎年行われています。今後は子どもたち自身にも一緒に把握できるようつなげていただければと思います。
樽井弘三教育長
ありがとうございました。
それでは浦野委員お願いいたします。
浦野真彦委員
「確かな学力の育成」について。新型コロナウイルス感染症による長期の休業、感染者が出た際の臨時休業など、これまで経験したことがない困難の中、プリントや家庭学習カードの配付、学習動画の活用等、できることを臨機応変に取り入れて学習を進めた点は、大いに評価できると思います。
日々何が起こるか分からない緊張感で苦労も多かったと思いますが、学びを止めないよう尽力された教職員に心から敬意を表したいと思います。
学びup↑講座については、実施できる期間が減少したにもかかわらず、令和元年度に比べて、実施数、参加者数ともに増加しています。また、再チャレンジ教室につきましても、全学年を対象にするなど、活用を拡充して参加者数が増加しました。授業以外の学習でサポートしていく、学びup↑講座、再チャレンジ教室は、児童生徒にとってなくてはならない場所になっていると思いますので、今後も継続をお願いします。
ICT機器を使った授業についてですが、若い教員の皆さんは子どものころからパソコンや携帯電話に触れていた世代であり、順応しやすいのではないかと期待しています。ICT機器をどのように活用していくのか、試行錯誤を重ねていくことになると思いますが、1人1台の状態になったことは大きなチャンスであり、より良い活用について、検証、研究をお願いします。
次に「豊かな人間性の育成」について。道徳についてですが、全校において別葉が作成され、全教科との関連についての取組も、各学校で様々な工夫があったと推察します。道徳ははっきりとした答えがあるわけではなく、授業の進め方や評価の難しい教科ですが、児童生徒の人間性の育成につながるよう、今後も授業、評価の分析、研究をお願いします。
いじめ、不登校の問題ですが、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門家の派遣、ヒアリングなどにより、早期発見から解決につながったケースも多かったと思います。ただ、それらは問題のすべてではありません。今も悩んでいる児童生徒には、とにかく早く相談してもらいたいと思います。そのためにも、相談すれば助けてもらえる、解決することができる、そう思ってもらえるような雰囲気づくり、より効果的な方策、工夫をお願いします。
ゲストティーチャーによる職業講話ですが、様々なところで働いている方の経験を聞くことは、児童生徒にとって良い刺激になると思います。現在は職場見学が難しい状況でもあり、その代わりとなる職業講話を続けていただければと思います。
最後に、「健やかな心身の育成」について。体育の授業については質問紙調査から課題があると分かっています。国立教育政策研究所の委嘱を受けて保健体育科の授業改善に取組、研究してきたということですが、今後、その成果により全学校で授業改善が進むことを期待します。
クラブ活動において、近畿大会や全国大会に出場する選手に対して交通費等の支援がありました。これは平成7年度から行われているそうですが、保護者、児童生徒にとっては、経済的な不安が緩和され、応援してもらっているという実感からモチベーションも上がり、大変良いことだと思いますので、今後も継続をお願いします。
新型コロナウイルス感染症によって学校では行事やクラブ活動の中止などがあり、それは今も続いています。いつもとは違う日常に不安を感じ、心身の不調を訴える児童生徒がいないか、注意深く見守っていくことをお願いします。
樽井弘三教育長
ありがとうございました。
次に深堀委員お願いいたします。
深堀基子委員
点検評価の意見を述べさせていただきます。
令和2年度は、コロナ禍でのスタートとなり新学期早々の臨時休業となりました。日常の業務の上に新型コロナウイルス感染症予防対策が加わり学校現場は多忙を極めたことだと思います。
そして、行事の縮小により修学旅行や水泳授業の中止、体育祭、運動会は形を変えた物となり、例年通りとはならず学校現場はもちろんのこと、児童生徒達にも戸惑いがあったことだと思います。
その中でも、休業期間の短縮や時間割編制の工夫、学校行事の重点化を行い、ほぼすべての学校で標準授業時間の確保、教育課程を年度内に終えることができたこと、また、例年通りの施策の取組を行ったことには、教育委員会はじめ各校の教職員の皆さんのご努力によるもので大変感謝し評価したいと思います。
1「確かな学力の育成」では、小学校全学年において35人学級の実施や習熟度別指導やティームティーチングなど、児童生徒一人ひとりに、より丁寧な学習指導や生徒指導を行う事ができたこと。また、「再チャレンジ教室事業」の全校実施、「学びup↑講座」の取組は、学力格差をなくすためにも効果的だと評価します。今後もさらなる充実を期待します。
「キャリア・パスポート」の活用の開始により、小中学校9年間のキャリア教育の取組を蓄積できる仕組みを整えられたことで、今後のキャリア教育に期待します。
外国語教育の教科化やプログラミング教育の実施など、子ども達に適した資質・能力は変化します。教員は、新たな課題に対応できる力をつけるためにも、引き続き指導力の向上に向けた研修等の取組をお願いします。
学識経験者の先生のご意見にもありましたが、1人1台の端末の効果的な活用の為に、教員のICT活用のスキルアップ、や児童生徒の情報活用能力の育成につながっていくことも今後期待しています。
2「豊かな人間性の育成」では、道徳教育により、児童生徒が、生命を大切にする心や他人を思いやる心、善悪の判断などの規範意識等の道徳性を身に付けることがとても重要だと思います。道徳教育の充実によりいじめや問題行動が減少することを期待しています。
また、いじめについては、アンケートを複数回実施、さらに個別の面談、家庭訪問等、複数の方法により把握に努められていることで、認知件数は増えていますが、うち約8割は解消しています。今後もいじめを許さない学級集団づくりなど、いじめ未然防止や早期発見・早期解決に向けての迅速かつ組織的な対応をお願いします。
不登校の児童生徒が増加する中で、不登校等支援員の全中学校配置やスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの派遣等による支援を行っていますが、「魅力ある学校づくり」の取組により、不登校の児童生徒の教室復帰・学校復帰につながることを期待しています。
3「健やかな心身の育成」では、新型コロナウイルス感染症拡大防止の影響等により、中学校の部活動や大会、小学校の駅伝大会が中止になりました。運動機会の減少により体力低下が懸念される中、「体力づくり推進計画(アクションプラン)」を策定することにより、児童生徒の体力向上の推進や運動習慣の改善、見直しを図ることで、今後も児童生徒の体力向上を期待しています。
また、朝食を毎日食べる児童生徒は、朝食を食べない児童生徒と比較して体力があると言われていますので、食育にも力を入れる必要があると思います。
安全教育の充実では、今後起こりうる災害・火災に対して、児童生徒自身が自ら危険を予測し、その危機を回避する資質・能力の育成が重要だと思います。今後も児童生徒の安全意識向上を目指し、組織的かつ計画的に進められていくことを期待しています。
将来、今回と同様の事態が再び生じ、学校が通常の教育活動を行えなくなった場合でも、子どもたちの学びを確実に保障し得る環境を構築し、高槻の子どもたちの未来のために、教育委員会が一丸となって取り組んでいかなければならないと思います。
樽井弘三教育長
ありがとうございました。
それでは美濃委員お願いいたします。
美濃律委員
まず、1「確かな学力の育成」についてですが、新型コロナウイルス感染症による臨時休業等の状況の中においても休業期間の短縮、時間割の工夫等の現場の教職員の方々のご苦労により、ほぼ全ての学校で標準授業時数の確保、令和2年度予定の教育課程を年度内に終えられたことはとても評価されることと思います。
そのような中、令和2年度・3年度から実施される新学習指導要領に対して、指導計画作成、実践検討等により、各学校での理解を進めてこられました。今後も評価、研究を推進していただきたいと思います。
小学校において習熟度別指導、ティームティーチング、効果的なICTの活用や研修を行われた取組は授業改善につながり、ひいては児童生徒の学力の向上に寄与すると思います。
新型コロナウイルス感染症による臨時休業中での学習状況の個人差の拡大等に対して「再チャレンジ教室」の全小中学校での実施、全中学校での「学びup↑講座」の実施により個々の児童生徒の学習支援につながっていると思います。まだまだ大変な状況ではありますが、今後もこの様な取組を計画的に継続していただき、学習習慣の定着、自学自習力の向上に効果が現れてきますことを願います。
続いて、2「豊かな人間性の育成」に関してですが、日頃から教職員の方々、教育委員会事務の方々が多様化する児童生徒の課題に対し、あらゆる角度から組織的、専門的に取り組まれていることは評価されることと思っております。
道徳教育と教科、領域等の関連を示した「別葉」の作成や中学校区で9年間の系統性のある全体計画、年間指導計画の作成、社会的・職業的自立に向けた「キャリア教育全体計画」に基づいた取組、全児童生徒が9年間のキャリア教育の取組を蓄積できる「キャリア・パスポート」の活用を行い、教育活動全体を通した道徳教育や全教科で道徳との関連を明確にし、学校として組織的な道徳教育を行うことや家庭や地域と協働し共通理解を深めることが実践されて、児童生徒の道徳的心情や判断力が育まれ、人間としてのあり方や生き方について各自が考えを深め、よりよく生きるための基盤となる道徳性が養われると考えます。
それらの育まれた道徳性により、いじめ、問題行動、不登校等の問題の減少、障がい者への理解など、将来にわたり自分の生き方を確かなものにしていくと思います。
また、キャリア教育、シティズンシップ教育を進めていただき、学校問題解決チームの活用等により、社会の中での自分の役割、社会人としての自立、社会の形成に自主的、主体的、積極的に参画する能力が養われ、人権尊重に根ざした「ともに学び ともに育つ」教育活動の更なる充実に向け、自らの将来の目的意識を持ち、進路を自ら選択できるようになることを望みます。
3「健やかな心身の育成」に関してですが、令和2年度は、コロナ禍により実施されませんでしたが、これまでの全国体力・運動能力、運動習慣等調査において、朝食の摂取率、睡眠時間、1週間の運動総時間のいずれもが全国平均を下回っているとあります。生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の向上を図っていくことは、健やかな心身の育成につながり、生活習慣の乱れ、生活習慣病、心の健康問題の改善に効果的であると考えます。そのためには児童生徒が自らいろいろな運動の楽しさに気付くことが最も重要であると思います。あらゆる運動を体験し、その楽しさを見出せる能力を育むため、9年間の指導計画の作成、「保健体育研究推進連絡会」の開催、「小学校なわとび検定」の取組、専門的外部指導者の派遣、全小学校での「体力づくり推進計画(アクションプラン)」の策定等が行われていますが、今後ますますこれらの取組を進めていただきき、指導に活かしていただきたいと思います。
食育に関しましては地域との連携による小学校5年生の農業体験はすばらしい取組だと思いますので今後さらに他の学年でも進めていただければと思います。また、地産地消の取組を家庭や地域との連携を図り継続していただきたいと思います。
安全教育の充実に関しまして、防災、火災に関する避難訓練の実施には学校によって実施回数のばらつきがあるようですが、交通安全教室を含め各校でのばらつきのない実施をお願いしたいと思います。
樽井弘三教育長
ありがとうございました。
ただいま、学識経験者の先生方そして教育委員の皆様からご意見をいただきました。それらを踏まえまして、私から確認も含めて整理をさせていただきたいと思います。
まず、令和2年度は、大きく3つの課題があったと考えております。
一つ目は、「第1期 高槻市教育振興基本計画」の総括と、「第2期 高槻市教育振興基本計画」の策定でございます。子どもたちの社会参画力を育むために、平成27年度から6年間にわたって、様々な教育施策を展開してまいりました。その成果と課題を明らかにした上で、これからの高槻の教育を展望する。そういう、大きな節目の年であったといえます。第2期高槻市教育振興基本計画では、安全安心の学校づくり、小中一貫教育の枠組みの強化、新しい学校運営システムの構築、ICT機器の有効活用、教職員の資質能力の向上、この5点を、今後10年の重点施策として掲げています。
二つ目は、新学習指導要領の小学校での全面実施でございます。「よりよい学校教育を通してよりよい社会を創る」という基本理念を実現するために、「社会に開かれた教育課程」を展開しなければなりません。各学校では、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を進めることが求められています。
三つ目は、新型コロナウイルス感染症の対応であります。令和2年度は、臨時休業から始まりました。それは5月まで続き、正常に戻るのは、6月半ばになってからのことでございます。夏休みは、8月8日から8月17日までの、10日間に縮小されました。各学校では、感染リスクを低減しながら、教育活動を続けるという、大変難しい対応が求められました。これは今も続いているところでございます。
今申し上げた3つの課題について、大変困難な状況ではありましたが、それぞれ適切に取組が進んだと考えております。
以上の課題を鑑みた上で、昨年度の3つの重点目標について、意見を述べておきたいと思います。
まず、「確かな学力の育成」については、学力格差の課題を上げておきます。
コロナ禍にあって、格差のさらなる広がりを懸念しております。不利な家庭環境にある子どもに社会移動できる力をつけることは、公教育の大きな役割の一つであります。子どもにとって、最も影響力の大きい教育環境は、教員をおいてほかにありません。一人の優れた教員は、不利な家庭環境をも克服させる力を持っています。その場が授業になります。
各学校では「主体的、対話的で深い学び」による授業改善が進められています。授業の始まりと終わりで、子どもたちにどのような知的付加価値をつけることができたのか。それが問われます。
教員の授業力を高めることや、小学校高学年における教科担任制を推進することが、今後の課題であります。
次に、「豊かな人間性の育成」については、不登校児童生徒の増加を懸念しています。平成28年度から、令和2年度にかけて、大幅に増加しています。とりわけ、小学校が深刻な状況にあります。子どもたちは、学校という場で仲間と触れ合い、人格を形成し、学力を身につけていきます。学校には、そのためのカリキュラムが用意され、そして教える専門家である教員が配置されています。スクールカウンセラーや、スクールソーシャルワーカーなど、学校には様々な専門家が配置されていますが、子どもにとって最も影響力があるのは、教育の専門家である教員の存在であります。
今後、不登校についての正確な状況分析を行い、学習指導の視点を加えた、施策展開をする必要があると考えています。
最後に、「健やかな心身の育成」については、安全教育の推進を柱とする、安全安心の学校づくりが重要であると考えています。
安全教育の究極の目標は、子どもたちに「一人で、そしてみんなで、生き延びる力」をつけることでございます。その実現に向けて、カリキュラムマネジメントに基づく、系統的、体系的な安全教育を推進する必要があると考えています。
昨年度、寿栄小学校が、セーフティプロモーションスクールの認証を受けました。この知見を、本市のすべての小中学校に広げ、安全安心の学校づくりを進めることが、大阪北部地震を経験した私たちの重要な役割であると考えております。
これで学識経験者の先生方と全委員のご意見が出揃いましたので、本日いただきましたご意見をもとに、事務局で報告書を取りまとめ、次回の教育委員会定例会で報告するものとします。
採決に入ります。議案第20号、「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価について」、「本日の議論をもって、点検及び評価の報告書の作成を行う」ということで、可決してご異議ございませんか。
(異議なし)
樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、議案第20号は、可決されました。
以上で、本日の日程がすべて終了いたしましたので、閉会といたします。
(午後4時27分閉会)