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令和元年第8回高槻市教育委員会定例会会議録

ページID:004765 更新日:2022年3月22日更新 印刷ページ表示

令和元年8月20日(火曜日)午後1時00分、令和元年第8回高槻市教育委員会定例会を教育委員会室に招集した。

出席委員(5人)

樽井 弘三 教育長
中村 公美子 委員
八十 祐治 委員
深堀 基子 委員
美濃 律 委員

説明のために出席した事務局職員の職、氏名

教育次長 土井 恵一
学校教育監 横山 寛
教育次長代理 田中 宏和
教育政策官 中原 一行
参事兼城内公民館長 加納 彰
参事兼中央図書館長 境谷 圭太
参事 田中 健文
教育総務課長 田口 裕之
学校安全課長 今福 幸正
学校安全課主幹 川本 亨
保健給食課長 橋長 忠司
地域教育青少年課長 丹羽 正裕
教育指導課長 青野 淳
教職員課長 「桒」の画像原 雅彦
教職員課主幹 岩佐 知美
教育センター所長 藤田 卓也
教育総務課副主幹 堀内 久美子
学校安全課課長代理 矢野 幸広
保健給食課課長代理 松岡 創
保健給食課副主幹 北尾 利昭
地域教育青少年課課長代理 清水 章
地域教育青少年課副主幹 川口 隆志
教育指導課課長代理 丸山 みち子
教育指導課副主幹 武藤 亮
教育指導課副主幹 堀 晶恵
教育指導課副主幹 杉野 暁子
教職員課副主幹 喜久元 敬尚
教育センター所長代理 西田 太郎
教育センター副主幹 村上 良子
教育センター副主幹 山本 和子
教育指導課指導主事 直原 考志
子ども未来部長 万井 勝徳
子ども未来部部長代理 白石 有子
保育幼稚園総務課長 野谷 研介
保育幼稚園総務課課長代理 門屋 智博
保育幼稚園総務課副主幹 福嶋 葉子
文化財課長 宮崎 康雄
高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会委員長 上田 誠一
教育総務課副主幹 奥 博志

議事日程

日程第1 議案第32号 令和2年度使用高槻市立義務教育諸学校教科用図書の採択について

日程第2 承認第13号 高槻市教育委員会人事異動の承認について

日程第3 議案第33号 教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価について

日程第4 承認第14号 教職員人事の内申について

日程第5 議案第34号 令和元年度歳出補正予算(第2号)教育費原案について

( 午後1時00分開会 )

樽井弘三教育長
ただいまから、令和元年第8回高槻市教育委員会定例会を開会いたします。

なお、本日の会議に傍聴の希望がございましたので、許可をいたしております。

本日の会議の出席者は、5名でございます。なお、本日の会議の署名委員は、中村委員 八十委員にお願いいたします。

樽井弘三教育長
ここで、会議録の承認をお願いいたします。本日は、令和元年第7回定例会会議録の承認をお願いいたします。会議録の朗読を省略してご異議ございませんか。

(異議なし)

(署名委員 会議録署名)

樽井弘三教育長
それでは、議事に入ります。

日程第1、議案第32号、「令和2年度使用高槻市立義務教育諸学校教科用図書の採択について」を議題といたします。提案理由の説明を求めます。

学校教育監(横山寛)(提案理由説明)
ただいま上程されました、日程第1、議案第32号「令和2年度使用高槻市立義務教育諸学校教科用図書の採択について」の提案理由をご説明申し上げます。

「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」に基づき、教育委員会において、令和2年度に高槻市立小中学校で使用する教科用図書を採択することとなっております。
今年度は、小学校は、全ての教科書について、文部科学省の「小学校用教科書目録」に登載されている教科書のうちから、採択することになっております。
また、中学校においては、令和元年度は、「特別の教科 道徳」以外の教科書について、新たな採択を行う年度でございます。しかし、令和3年度学習指導要領の全面実施に伴い、令和2年度に新たな教科書を採択する必要があることと、さらに平成30年度の検定においては新たに合格した図書がなかったことから、基本的には前回の平成26年度検定合格図書の中から採択を行うことが可能とされております。本市においては、4年間の使用実績を踏まえ、平成27年度採択における調査研究の内容を活用し、採択を行っていただきたいと考えております。
なお、中学校の道徳につきましては、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律第14条、同法施行令第15条第2項及び第3項の規定により、令和元年度使用教科用図書と同一の教科書を採択しなければならないとなっております。

5月の教育委員会でご承認をいただきました、「高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会」でございますが、大阪府教育委員会が定めた教科用図書選定委員会運営要領、高槻市附属機関設置条例、及び高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会規則に則り、5月21日から7月10日にかけて4回開催されました。
同委員会では、教育委員会からの「小学校用の全ての教科用図書について調査審議し、答申すること」、「特別支援学級において使用する、学校教育法附則第9条関係教科用図書について答申すること」との諮問により、教科用図書の調査及び研究を行い、審議を重ねてまいりました。
7月18日に選定委員会委員長から「令和2年度使用義務教育諸学校教科用図書の選定について」の答申があり、樽井教育長に受理していただいたところでございます。

委員のみなさまにおかれましては、対象となる教科書や意見書等につきまして、すでに、ご覧いただいているところでございます。
本日は、答申を参考の上で、教科書目録に登載しております全発行者についてご審議いただき、高槻市立小中学校で使用する教科用図書を採択していただきたく、議案を上程いたします。
なお、選定委員会からの答申につきましては、「高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会」委員長からご説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

選定委員長(上田誠一)(答申について理由説明)
高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会は、高槻市附属機関設置条例及び高槻市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会規則に則り、令和元年5月15日付けで高槻市教育委員会より、令和2年度から小学校において使用する教科書について調査審議すること、また、令和2年度に特別支援学級において使用する学校教育法附則第9条関係教科用図書について調査審議するよう諮問を受けました。
その後、本委員会では、5月下旬から7月上旬までの約1ヶ月半にわたって教科書採択の公正かつ適正な実施をはかるため、それぞれの発行者の教科書見本について直接調査及び研究を行うとともに、各種目の調査員による調査報告書、大阪府の教科用図書選定資料や学校意見書、教科書展示会における意見書等も参考にしつつ調査研究を進めてまいりました。
選定委員である校長代表、各教科代表や教育委員会事務局職員は教育公務員としての専門的な立場から、また、保護者代表の委員は子どもが本市の小中学校に通学している市民としての立場から意見を出し合い、活発な審議を積み重ねてきたところです。
このような審議を踏まえ、令和2年度使用小学校教科用図書について調査審議を行った結果について、教育長へ答申いたしました。また、令和2年度に特別支援学級において使用する学校教育法附則第9条関係教科用図書についても答申いたしました。
本日の配付資料にあります答申をもとに、ご審議いただきますようお願いいたします。

樽井弘三教育長
ただいま、提案理由説明及び選定委員長から答申についての説明がありました。説明にありましたとおり、すでに教育委員会は、7月18日に選定委員長から選定委員会の答申を受理いたしております。
その後、教育委員の皆様には、答申書の写しとともに、選定委員会の調査員の調査報告書の写し等の資料をお渡ししており、教科書目録に登載されている教科書について調査いただいているところでございます。
本日は、選定委員会の答申をもとに、まずは小学校各種目の教科書の採択をしてまいりたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
それでは、各教科・種目ごとに審議をいたします。

最初に、国語について審議いたします。事務局で、調査審議結果についての報告をお願いします。

【1.国語】

教育指導課指導主事(直原考志)
各発行者の総合所見の中から特徴的な項目を抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 新しい国語
単元の冒頭の1ページを使って、これまでの学習とのつながりを振り返るためのページが明記されていたり、どのような活動を通して、どのような「言葉の力」を習得するかが示されたりしているため、子どもが学習を見通して取り組めるようになっている。

学校図書 みんなと学ぶ 小学校国語
仲間と対話する活動を通して、表現したり共感し合ったりする楽しさを実感できるように配慮されている。また、身の回りの出来事と言葉との関連を意識させて、言語生活を豊かにしていけるよう工夫されている。

教育出版 ひろがる言葉 小学国語
単元の冒頭に単元の学習目標が簡潔に明示され、振り返りの活動と対応させることで、子ども自身が学びを自覚できるようにつくられている。また、マークやユニバーサルデザインフォントの活用などにより統一感のある分かりやすい体裁になっている。

光村図書出版 国語
「情報の扱い方」に関わる単元の設定や、日常で活用していくための語彙の拡充に関わるページなど、学習指導要領改訂のポイントを十分にふまえた内容が盛り込まれている。また、その単元で何を学習するかがわかりやすく、年間の学習の見通しや振り返りにつながる工夫がされている。

樽井弘三教育長
事務局からの報告が終わりましたけれども、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

美濃律委員
高槻市の児童には、書く力に課題が見られるというようなことをよくお聞きしておりますが、書く力の育成にどのような工夫が見られますかというのを教えていただきたい。

教育センター所長(藤田卓也)
書く力の育成についてでございますが、各発行者ともに、日常生活に活きる汎用的な「書く力」の育成を意識しまして、例えば鑑賞文・意見文・報告文などといった様々な文種の教材を取り上げております。
特に、教育出版におきましては、「書くこと」の領域の指導における交流活動を重視しておりまして、文章の推敲や作品に対する自己評価・相互評価などの活動が充実するよう配慮されております。
また、光村図書におきましては、「書くこと」の領域の学習だけでなく「季節の言葉」や「漢字の広場」などの小単元におきましても、書く課題を設定いたしまして、年間を通じて書く機会が設定できるように、そういった工夫がされております。

中村公美子委員
筋道を立てて物事を考えたり、論理的に表現された文章を適切に理解したりするという力は、国語科の学習が基盤となって育まれていくものかと思うのですけれども、そのような力を育成するための工夫として特徴的なものを教えていただけますか。

教育センター所長(藤田卓也)
論理的思考力についてでございますが、論理的な思考力を育成する視点にもつながる「情報の扱い方」に関する事項が新学習指導要領において新設されたことに伴いまして、各発行者ともに工夫が見られます。
特に光村図書におきましては、「情報の扱い方」に特化した教材を配置しております。そこでは、情報の分類・比較・整理をするための思考ツールの活用を促したり、文章の全体と中心・原因と結果などの情報と情報との関係がつかめるような力の育成につなげたりと、子どもたちの論理的な読解に活きるスキルを身につけることができるような、こういった構成となっております。
また、学校図書におきましても、図化、図で表したり、表化、表で表す、またはKJ法・マッピングといった情報を整理する手法につきまして学ぶ機会が充実しているということが、特徴としてあげられるかと思います。

八十祐治委員
新学習指導要領における国語科の目標に「言葉による見方・考え方」を働かせるとありますけれども、子どもたちに「言葉の力」をつけるための手立てをどのように設定しているのか、説明していただければと思います。

教育センター所長(藤田卓也)
「言葉の力」についてでございますが、各発行者ともに学習した内容がどのような言葉の力につながるかを明らかにしております。
特に、東京書籍におきましては、単元のとびらにおきまして、どのような言葉の力をつけていくかを明示して、その後、単元の終わりにどのような言葉の力がついたかを振り返ることができる、そういったつくりになっております。
また、光村図書におきましては、「言葉の宝箱」などにおきまして、学習した語彙を一覧できるような工夫がされておりまして、獲得した語彙の活用の機会につなげる、そういった工夫がみられる、という特徴がわかります。

深堀基子委員
子どもたちの学習意欲向上の視点において工夫がされている発行者はありますでしょうか。

教育センター所長(藤田卓也)
学習意欲向上の視点についてでございますが、各発行者ともに学習過程を明示することで、例えば「何を」「どのように」学ぶのかという見通しを子どもが持てるような、そういった工夫がされております。
さらに「なぜ学ぶのか」という学習する意味を子どもと共有する工夫としましては、東京書籍の「活かそう」等のコーナーや、光村図書の「いかそう」「たいせつ」というコーナーが設定されておりまして、他教科や日常生活に学習内容がどのように活かされているのか、こういったことを知ることで、子どもたちの学習意欲につなげられるような、そういった工夫が見られます。
また、学校図書や教育出版につきましては、学習課題の難易度や情報量に配慮が見られまして、国語の学習が苦手な子どもたちにとっても学びやすい内容になっております。

中村公美子委員
今回の学習指導要領の改訂では、語彙指導というのが系統化されて、言語活動例が整理・均等化されました。そういった視点から各者工夫されているところを教えていただけますか。

教育センター所長(藤田卓也)
語彙指導ならびに言語活動についてでございます。語彙指導も習得した語彙を活かした言語活動、これらはどちらも日常に活きる国語の力を習得するという目標の下、系統的な指導を行うという方向性につきましては各者とも共通をしているところでございます。なお、各発行者ともに、語彙指導につきましてはさまざまな工夫が見られます。
例えば、東京書籍におきましては言葉の力を習得する中、言葉の力の習得をめざす中で、言葉集めというページを新設いたしまして、学年の段階に応じたさまざまな観点から言葉を集め文の中で使う、そういった練習ができるような工夫がされております。
学校図書につきましては、身の回りから語彙や出来事を書き溜める活動を各学年、上巻の巻頭で設定をしておりまして、言葉に対する発見・気づき、こういったものを味わえるような工夫がされております。
教育出版につきましては、語彙を増やすだけではなく、言葉をどんな場面で使うかという「言葉まとめ」というページで文型を示すことで学習をする、こういった工夫がされております。
光村図書につきましては、「言葉の宝箱」の中で、考えや気持ちを伝える言葉と学習に用いる言葉、これらを区別いたしまして、日常的な表現に活きる語彙と、国語科として習得されるべき学習用語とを一覧に示しております。それにより国語の学習のさまざまな場面で活用できる語彙の習得につなげるといった工夫が見られます。

八十祐治委員
高槻市では、連携型小中一貫教育の施策を進めているところではありますけれども、小中連携の視点から教科書の内容・構成や体裁を見たときに配慮されているところはあるのでしょうか、ご説明ください。

教育センター所長(藤田卓也)
連携についてでございますが、各発行者ともに学習した事柄が中学校で無理なく活用できるように、着実に習得するための丁寧な説明や、振り返りのステップを明確に位置づけております。
また、東京書籍と光村図書におきましては、高学年から分冊でなく1冊の形式を取っておりまして、一年の学びを実感したり、振り返ったりする、そういったことにもつなげられるような工夫が見られます。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは特に無いようですので、国語について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

中村公美子委員
どの教科書も作品ごとの学習の見通しが持ちやすく工夫されているというのがよくわかります。その中で、先ほどの質問でもありましたが、高槻市の子どもたちの課題として、書く力というのがあります。その点で各者ともに語彙を広げていく工夫は優れているのですけれども、その中で前の学習で身につけた力を活用して、次の学習に取り組み、しっかりと文章を書く、そういう単元が積極的に見受けられるというのが、光村図書の教科書ではないかなと。また学習指導要領の改訂で情報の扱い方に関する事項が新しく加わりました。そこでも情報の扱い方に特化した情報教材を系統化されているのが光村図書ということで、先ほどからの審議から考えましても、光村図書の教科書が良いと思いますけれども、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、中村委員から光村図書が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、国語につきましては、光村図書を採択することに決します。

続きまして、書写について審議いたします。審議結果について事務局から説明をお願いします。

【2.書写】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 新しい書写
「生活に広げよう」「学びを生かそう」が設けられ、連絡帳やメモ、読書記録カード、日記やポスターなどを取りあげ、日常生活や学校生活の様々な場面で活用できるようになっている。

学校図書 みんなと学ぶ 小学校書写
単元ごとに「確かめて書こう」「考えて書こう」「生かして書こう」という流れにより、習得した技能を示し、練習した上で別の文字に活用する内容になっており、イラストの吹き出しによって学習のポイントが示されている。

教育出版 小学 書写
「レッツ・トライ」「書いて伝え合おう」が設けられ、他教科のノート、社会見学に関するメモやお礼状、はがき、原稿用紙など、日常生活や学校生活の様々な場面で活用できるようになっている。

光村図書出版 書写
毛筆学習では「穂先の動き」について、朱墨の濃淡で説明されて、筆圧については、穂先を押さえた形と数字の大きさで示されている。毛筆学習の後に、「こう筆のまとめ」として硬筆課題を設け、学習したことを別の硬筆文字で練習するようになっている。

日本文教出版 小学書写
書き初めが全学年で取りあげられていること、1、2年生では「水書きシート」があることで、低学年のうちから毛筆学習につながる学習をすることで、硬筆に生かすことができるようになっている。

樽井弘三教育長
報告が終わりました。委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

中村公美子委員
新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」を重視されていますが、その実現に向けた工夫を教えていただけますか。

教育指導課副主幹(堀晶恵
どの発行者も、どのように学ぶのかを児童が見通しをもち、対話を通して学び、学んだことを他の文字や生活の中で活用できるようになっています。
東京書籍は、表紙裏に1年間の学びを見通すイラストマップ「集めて使おう、書写のかぎ」を示し、2年生以上では「書写の学び方」で学習のプロセスが示されています。対話的活動については、単元末の振り返り「ふり返って話そう」、活用力をつける「生活に広げよう」によってつなげられます。
学校図書は、巻頭に前の学年で学習したことを示し、「学習の進め方」により学習のプロセスを示しています。また、単元ごとに示された問いかけの吹き出しにより対話的活動につなげられています。
教育出版は、巻頭に前の学年で学習したことと併せて、この一年で学習することを示しています。また「学習の進め方」で学習のプロセスを示しています。活動の写真と書写の言葉により対話的活動につなげられます。
光村図書は、一年で学習したことを「たいせつ」として示し、3年生以上の巻頭に「学習の進め方」によって学習のプロセスを示しています。また、単元ごとに「話し合おう」という項目があり、対話的活動につなげられます。
日本文教出版は、表紙裏に前の学年で学習したことの手がかりとこの一年の目標が示されています。また、「書写学習の進め方」により学習のプロセスが示され、吹き出しによる問いかけにより対話的活動につなげられます。

八十祐治委員
学習指導要領改訂をうけて、現在使用している教科書と比べて何か変わった点について、あるのであれば説明していただきたいと思います。

教育指導課副主幹(堀晶恵
新学習指導要領では、第1学年及び第2学年で、適切に運筆する能力の向上につながるよう指導を工夫することと示されております。「水書用筆等を使用した運筆指導を取り入れるなど、早い段階から硬筆書写の能力を高めるための関連的な指導を工夫することが望ましい」とあります。水書用筆とは、水を筆につけて字を書くもので、穂先が柔軟であること、一定の太さもあるために、書き方を視覚的に捉えやすいと考えます。実際の指導場面では絵筆などに水をつけて使用することが想定されますが、各発行者とも、水書用筆を使用する単元が設定されています。
東京書籍と日本文教出版は、取り外して、何度も繰り返し使用できる「水書シート」が、1年生2年生の教科書についております。教育出版社と光村図書は1年生の教科書についております。

深堀基子委員
最近では、子どもたちもメール等を使用することが増え、手紙などを書く機会が少なくなっているかと思います。書写の時間に、子どもたちにとって「書くことが楽しい」と感じられることが大切だと思いますので、そのような点で、工夫されている教科書があれば教えてください。

教育指導課副主幹(堀晶恵
東京書籍は、巻頭に1年間の学びを見通すイラストマップ「あつめてつかおう、『書写のかぎ』」というページがあります。各単元の「書写のかぎ」を集めると自分の文字がもっとよくなるというイメージを持たせた上で、「整った文字を書くポイントが分かった」「自分の文字がよりよく変わった」という実感をもち、「もっと書きたい」という意欲につながるような工夫がされています。
学校図書は、児童が興味をもって、書写の学習に取り組めるように、「ふでじい先生」「えんぴつ先生」などのキャラクターにより、書写の基本的技能や用語の解説を示したり、児童の立場からの疑問や気付きなどを示され、親しみをもって学習ができるように工夫されています。
教育出版は、学習のはじめのためし書きと教科書の文字を比べることにより、何に気をつけて書くのかを把握し、学習の終わりのまとめ書きによってできるようになったことがわかります。また、ためし書きとまとめ書きの欄が並んでいることで、文字の変容をつかみやすくなっています。
光村図書は、低学年でのなぞり書きや空中に字を書く活動によって体を使って理解を深める学習を取り入れており、文字の整え方の決まりが発見しやすいような活動も学年が上がるにつれて取り入れられております。
日本文教出版は、イラストが示しているそのものの名前や部首や単語を考えて書く活動を取り入れるなど、意欲を持って学習活動に取り組めるように工夫されています。

美濃律委員
実際に指導される先生方にとって、特に使いやすさの点で工夫のある教科書はありますでしょうか。

教育指導課副主幹(堀晶恵
東京書籍は、3年生以上に、小学校書写で学習する要素を一覧にしたインデックスをページの端につけております。それによって小学校での学習内容が俯瞰できて、系統的に把握できるようになっています。
また、これはどの発行者にも言えますが、「姿勢」の指導の方法として、擬態語、例えば「ぺた」「ぴた」「とん」などですとか、文字を書くときのリズムや動きの特徴を「とん」「すう」「ぴたっ」などの擬態語で表しており、わかりやすく指導することができます。

八十祐治委員
国語の教科書との整合性という点で、何かあればご説明ください。

教育指導課副主幹(堀晶恵
特に必要はありません。どの発行者も学習指導要領に示された内容が盛り込まれており、国語科の目標達成に結びつく内容になっています。

美濃律委員
他教科との関連や生活に生かす、という観点で何か工夫はございますでしょうか。

教育指導課副主幹(堀晶恵
いずれの発行者とも、日常生活や他の教科の学習に役立つ内容が取り上げられています。
例えば東京書籍では、「生活に広げよう」において、連絡帳や他教科のノート、メモの書き方について。学校図書は、ノートやはがき、原稿用紙などの書き方などです。教育出版は、「レッツ・トライ」「書いて伝え合おう」で、他教科のノートやポスター、リーフレットなどの書き方です。光村図書も招待状の書き方や、横書きのノートの書き方。日本文教出版は「生活と書写」で、原稿用紙や手紙、掲示物の書き方などが取り上げられています。

中村公美子委員
東京書籍の書写は、総合所見でもあるように、日常生活や学校生活の様々な場面で活用できるというふうにあるように、すべての子どもの学びやすさのための工夫であったり、学びに向かうための工夫が優れているように思うのですけれども、自学自習力の育成という観点、そういった視点からみて、各者どうでしょうか、教えてください。

教育指導課副主幹(堀晶恵
どの発行者も、他の教科などと日常生活にも活用できる単元が設定されています。また単元ごとに学習する内容ですとか、学習の流れがわかりやすく示され、学習のおわりには児童自身が学びを振り返ることができるようになっております。
東京書籍は、課題を見つけそれを書写の鍵として自分で書き込み、ページはじめに設定されておりますインデックス欄と照らし合わせることで学習の内容と全体の関係が把握しやすいようになっております。
学校図書は筆の運びについて、例えば教材となる言葉全体で確かめるだけでなく、文字の一部の部分を示して把握しやすい工夫がされております。
教育出版は教材の文字とあわせて筆の運びがわかるように筆のイラストも示されております。
光村図書は、例えば文字の形と動物の姿勢が同じになるようなイラストが示されるなど、直感的に文字の形を把握できるようになっております。
日本文教出版は、単元の狙いが焦点化されて、それをキャラクターの吹き出しによってわかりやすく示されております。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
私から1つだけ、他の教科書と比べて書写というのは随分厚みが違うのですけれども、そのことで何か工夫されているところがあるのでしょうか。

教育指導課副主幹(堀晶恵
どの発行者もお手本としても使用しやすく、かつ、児童の鞄や机にしまえる程度の大きさです。
東京書籍はページ端にあるインデックス欄により、他の発行者と比べて少し大きくなっていますが、机にしまえる程度の大きさです。また、書写は他の教科と比べてページ数が少ないこともあり、全発行者とも綴じ具で製本されています。ですが、東京書籍と学校図書は、留めてある箇所が安全に使用できるよう金具が配慮されています。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
特に無いようですので、書写について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

深堀基子委員
先ほどの説明と教科書を見せていただいた中で、どの発行者もすごく工夫がなされているなと感じました。教科書が大きいからなのかわからないですが、東京書籍は内容が大変見やすかったと思います。巻末の資料の学習した漢字に読み方が書かれているのもいいなと思いました。それとインデックスを示し、今学習していることを6年間の学びと関連付けて捉えられるようになっているのもいい点かなと思いますので、私は、東京書籍の新しい書写の教科書が良いと思いますが、皆さんいかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、深堀委員から東京書籍が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、書写については、東京書籍を採択することに決します。
それでは、3つめです。社会について審議をいたします。審議結果について報告をお願いします。

【3.社会】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 新しい社会
「つかむ・調べる・まとめる・いかす」という問題解決的な学習を充実させ、「主体的・対話的で深い学び」を実現することができるように工夫されている。社会的な「見方・考え方」を働かせて学習するために、どのような視点や方法を働かせればよいかが明確にわかるようになっている。

教育出版 小学社会
単元を貫いた一連の学習計画を立て、社会的な「見方・考え方」を培い、問題解決的な学習が進められるよう配慮している。ユニバーサルデザインフォントを使用し、より多くの子どもが見やすく読みやすくなっている。

日本文教出版 小学社会
単元の最後に「わたしたちの学びを生かそう」のコーナーを設定し、興味・関心を発展させた教材や社会の「見方・考え方」を働かせながら社会的意味を見出すことができるように工夫されている。

樽井弘三教育長
それでは、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

美濃律委員
新しい教科書が、現在の教科書と大きく変化している点があれば教えていただきたい。

教育指導課副主幹(武藤亮)
三者とも共通する点ですが、社会的な見方・考え方を働かせて問題解決的な学習を進められるように、随所に児童相互の話し合いや討論の場面が提示されていたり、ヒントとなる問いが随所に提示されていたりするなど、主体的・対話的で深い学びが実現できるような構成になっている点と、今を取り巻く諸課題への取組に関する内容が充実しており、人権では多文化共生を目指す街づくりに関連した内容や、平和国際理解では東京2020オリンピック・パラリンピックなどに関連した内容を取り上げることで、児童の興味・関心を高め、理解を深めることができるように工夫している点です。

八十祐治委員
学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の充実ということが言われていると思います。社会科の学習においては、単純に知識を暗記するだけではなく、主体的で対話的な学習を通して、社会における様々な出来事について考えたり、課題を解決する力を養いながら、知識を身につけていくことが必要だと思っています。そのような視点から、それぞれの発行者に工夫は見られるのかどうかご説明ください。

教育指導課副主幹(武藤亮)
三者とも、「主体的・対話的で深い学び」を実現するために、必要な知識や技能を身につけるための工夫や話し合い活動や表現活動など、自分の考えを述べたり、まとめたりするような工夫がなされています。
東京書籍では、小単元のさまざまな場面において話し合いや討論の場面が提示されており、特に「まとめ」では書いてまとめるだけではなく、書いたことを話し合う活動が多く取り入れられています。また、「社会的な見方・考え方」を働かせて問題解決的な学習を進められるよう、「見方・考え方」のヒントとなる問い、例えば、3年生の「土地の高さや広がり」の学習において、「港のあたりの海岸線がまっすぐなのは、どうしてかな。」という位置や空間的な広がりに着目させるなどの問いが、吹き出しによって随所に提示されています。
教育出版では、「つかむ」「調べる」「まとめる」「つなげる」の進め方を基本とし、問題解決的な学習を見通しを持って進められるように工夫しています。
日本文教出版では、「わたしたちの学びを生かそう」のコーナーにおいて、各単元の問題意識から、子どもたちの興味関心を発展させた課題や社会的な見方・考え方を働かせながら社会的意味を見出すことができる教材が提示されています。また、様々な場面で交流を促すような工夫がされており、児童が話し合っているイラストを随所に取り入れるなど、活動への視覚支援が充実しています。

深堀基子委員
これからの変化の激しい時代を生きていくにあたって、子どもたちが生涯にわたって学び続ける力を育むことはとても大事なことだと感じています。授業で学んだことについて自分で疑問をもったことを調べたり、ニュースなど社会で起こる様々な出来事に興味をもったり、学校での学習を、どんどん広げていってほしいと思いますが、このような「自学自習力」の育成について、各発行者での取扱いはどのようになっていますか。

教育指導課副主幹(武藤亮)
三者とも、自学自習力を育成する工夫がされています。
特に、東京書籍では、「つかむ」「調べる」「まとめる」「いかす」の学習段階が明確に示されており、児童が今どの段階の学習をしているのか一目でわかるようになっており、見通しをもって学習を進めることができます。また、「学び方コーナー」で学習場面に応じた学び方を具体的に示し、系統的に学習技能を身に付けることができるようになっています。また、巻末に「どのように学んだかふり返ろう」や「こんな学びの進め方もあるよ」を設け、自学自習力を育成する工夫がされています。
日本文教出版では、自ら学習を進めていけるように、観察力・資料活用力や表現力の基礎となる「学び方・調べ方コーナー」を各学年に設け、発達段階に応じて提示しています。また、「やってみようコーナー」では、知識や学習技能を確実に習得できるように、課題が提示され、提示された課題を実行することで児童が学習後に自ら学んでいけるような工夫がされています。

中村公美子委員
高槻市にも、数多くの遺跡や歴史的遺産があるのですけれども、高槻と関連した場所などが掲載されている教科書はありますでしょうか。教えてください。

教育指導課副主幹(武藤亮)
東京書籍では、6年の「縄文のむらから古墳のくにへ」で、ハニワ工場公園の「復元された『のぼりがま』」が取り上げられています。
日本文教出版では、高槻市埋蔵文化財調査センターが提供した、家と武人のはにわの写真が掲載されております。

八十祐治委員
資料の見やすさや充実度みたいなところでは、どのような違いがありますでしょうか。

教育指導課副主幹(武藤亮)
東京書籍では、一文を短く、全体の文章量が過多にならないように簡潔な文章表現になっております。また、必要な場面において、学習内容を確実に理解させるための丁寧な文章表現が用いられています。文章や写真、絵、図表等の大きさや、それらの割合がバランスよく調整されております。
教育出版では、児童の発達段階に応じた文の量であり、キャラクターの吹き出しで調べる着眼点が示されたり、内容が補説されるなど、わかりやすい表現で記述されております。写真や図、表などが大きく掲載されており、視覚的な面からも理解が深まりやすくなっています。
日本文教出版では、本文や各コーナーなどのデザインや表現が工夫されており、誰でも読み取りやすく、わかりやすいように配慮されています。中心資料が大きく配置されており、児童が興味をもって学習に取り組めるようになっています。

美濃律委員
伝統や文化に関する教育の充実の視点からはどのような違いがあるのでしょうか。

教育指導課副主幹(武藤亮)
東京書籍では、「世界遺産」「国宝」マークを設け、優れた文化遺産への関心を高めることができるようにしています。また、平成27年から始まった文化財の活用制度「日本遺産」についても取り上げております。
教育出版では、どの学年でも日本の伝統と文化の保護・継承に携わる人々の姿などを多分に取り上げております。
日本文教出版では、6年で茶の湯や生け花体験について、5年では鶴岡市の「郷土食」、4年では地元のお祭りについて取り上げるなど、日本各地の優れた伝統と文化に関する教材を取り上げております。

深堀基子委員
防災教育の視点からはどのように取り扱われているでしょうか。

教育指導課副主幹(武藤亮)
三者とも、東日本大震災を契機に防災教育の充実が求められていることをふまえ、自助・共助をすすめるための知識と能力を向上させていくことを重点に、学習指導要領の内容と学習の系統性に配慮しつつ、防災に関わる教材の充実を図っております。

八十祐治委員
教科書の中の問いというところの部分で、特徴みたいなものはあるのでしょうか。

教育指導課副主幹(武藤亮)
三者とも、問題解決的な学習をする上で、必要な知識や技能を身につけるための工夫や、話し合い活動や表現活動など、自分の考えを述べたり、まとめたりする工夫がされております。

樽井弘三教育長
私からも1つ、キャリア教育とシティズンシップ教育というのは大きな柱になると思うのですが、その視点から各教科書はどうでしょうか。

教育指導課副主幹(武藤亮)
三者とも、身近な地域で働く人を提示し、様々な働く人の仕事の様子を調べることを通して、様々な仕事と自分たちとの生活とのつながりを考えることができるように工夫されております。
日本文教出版では、5年で「働く人たちのようす」で勤務時間の資料やイラスト・写真、職場で働く人のインタビューなどを提示し様々な仕事と自分たちのつながりを考えることができるように工夫されております。

樽井弘三教育長
他よろしいでしょうか。
それでは特に無いようですので、社会について採択したいと思いますが、よろしいでしょうか。

八十祐次委員
私は、問題解決的な学習の手法を充実させるような工夫とか、「主体的・対話的で深い学びの実現」というような観点からは、東京書籍の教科書が良いのではないかと思っております。いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、八十委員から東京書籍が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、社会については、東京書籍を採択することに決します。

 それでは、次に地図について審議いたします。審議報告をよろしくお願いいたします。

【4.地図】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 新しい地図帳
全ページにわたり、ユニバーサルデザイン書体を使用しており、文字や記号が大きく読み取りやすい。登場キャタクターの吹き出しによって意欲的に取り組めるような工夫がなされているとともに、写真・イラストを多く取り入れ、どの学年にもわかりやすく、親しみやすい内容となっている。

帝国書院 楽しく学ぶ 小学生の地図帳
都道府県の特色や位置関係、結びつきがわかるようイラストを多数掲載した大きな縮図がある。また近畿地方の取扱いも充実しており、初めて地図帳を扱う児童にとっても興味を持って地図を見ることができるようになっている。

樽井弘三教育長
それでは、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

中村公美子委員
これまで4年生から配付されていた地図帳が、3年生からの使用となったことで、初めて地図帳を手にする児童にとって、興味を持って取り扱うことができるよう、どのような工夫が盛り込まれているか、教えてください。

教育指導課長(青野淳)
二者とも、地図のやくそく・使い方は掲載されており、より分かりやすく地図の仕組みと意味をイラストや図、キャラクターが説明するなど丁寧に扱われており、基本的な地図の使い方などの資料活用能力が着実に身につくように工夫されております。
東京書籍では、3年生に地図記号や方位など、地図の仕組みや約束事がわかるように、大きな鳥瞰図などを用いて、鳥瞰図から真上からの地図そして地図へと視点の変換を取り入れ、地図の仕組みがわかりやすく理解できるような工夫がされております。
帝国書院では、地図帳に慣れさせながら12ページにわたり地図の基礎基本となる知識や活用方法について、わかりやすく配置されており、3年生での地図学習をスムーズに進めることができます。また、方位・地図記号・等高線・縮尺・距離の求め方等の技能を活用して、直接地図帳に書き込む欄が設けられており、児童が主体的に地図を活用しながら学ぶことができるような工夫がされております。

美濃律委員
地図記号や縮尺、資料の取扱いについて、それぞれの教科書で特徴的な部分はありますでしょうか。

教育指導課長(青野淳)
東京書籍では、ほとんどの地方が100万分の1の縮尺で表されております。また、歴史・伝統についての資料がたいへん豊富で、6年生での歴史学習で扱う箇所の内容と関連させて活用することができるようになっております。
帝国書院でも、ほとんどの地方が100万分の1の縮尺で表されております。しかしながら、100万分の1の縮尺以外にも160万分の1を掲載したり、さらに詳しく見る地図として50万分の1、20万分の1なども多く掲載されており、地方ごとに広く見渡すことができるような工夫もございます。また、地図記号が大きく掲載され、その成り立ちについてもわかりやすく学ぶことができるほか、日本の自然や産業・運輸・貿易についての資料が豊富で、産業学習で扱う箇所の内容と関連させて活用することができます。

深堀基子委員
自分たちが暮らしている身近な地域、高槻市を含む近畿地方の取扱いについて、それぞれの教科書ではどのような特徴がありますか。

教育指導課長(青野淳)
両発行者とも、近畿地方、大阪について、高槻も含めてですけれども、掲載されております。特に、高槻市が地図帳のページの境目で見にくいということは二者ともございません。
東京書籍では、近畿地方については主に、先ほどありました「100万分の1」と「50万分の1」の縮尺で掲載されており、特に京都市・奈良市などについては5万分の1で掲載し、金閣寺、もしくは東大寺の大仏などの写真なども掲載されております。
帝国書院では、近畿地方について縮尺が「100万分の1」「50万分の1」「20万分の1」「5万分の1」と4つの縮尺で掲載されており、より詳しく近畿地方や高槻市の土地の位置や様子について学べるような工夫がされております。また、その他にも地図の成り立ちの例のところでは、7月に世界遺産に登録されることが決定した大阪府堺市の大仙古墳付近の鳥瞰図などが取り入れられ、大阪府の歴史遺産を児童が興味を持ちながら、地図を身近に感じられるような工夫もされております。

八十祐治委員
昨年度、大阪北部地震や台風での様々な被害があり、自助・共助・公助について学ぶことが必要だと考えています。防災教育や自然災害に関して掲載されているところはあるのでしょうか。

教育指導課長(青野淳)
どちらの発行者につきましても、防災教育・自然災害に関するページはあり、理解を深めるような工夫、配慮がされております。
東京書籍につきましては、3ページにわたり火山の噴火や津波など、災害から身を守る方法などが、考えられるような工夫もされております。
帝国書院では、4ページにわたり、日本各地で起こりうる様々な災害が詳しく掲載されております。特に、沿岸部や都市部の防災への取組や防災マップづくりの手順が示されており、防災と自らの行動について児童が主体的に考えることができる内容になっております。

美濃律委員
社会科の学習では、地理的分野より歴史的分野に興味をもつ子どもが多いと聞いたことがありますが、地図帳を活用し、児童の地理に関する学習意欲の向上につながる工夫やしかけがあるのであれば教えていただきたい。

教育指導課長(青野淳)
どちらの発行者の地図帳についても、写真もしくはイラストなどで興味・関心を引くような工夫がされております。
東京書籍では、巻頭の世界と日本とのイラストマップやキャラクター探し、クイズなど非常に児童たちが興味を引くような工夫がされております。
帝国書院では、地図に興味を持って関われるように、「地図マスターへの道」という欄が随所に設けられており、それぞれの地方に関するクイズが31箇所、全81問掲載されております。このクイズに地図帳を活用することで、社会的な見方・考え方の育成につながるとともに、巻末には解いたクイズを記録していくページがございまして、地図活用の成果を積み上げ、児童の達成感を得るような、そういった工夫もされております。

中村公美子委員
地図帳の使い方など資料活用能力というのが着実に身につくという観点からはどうでしょうか、教えてください。

教育指導課長(青野淳)
先ほどご説明させていただいたところと重複するところもありますが、東京書籍においても3年生から使うというところにつきましては、地図記号・方位など、地図の仕組み約束がわかるような、そういった活用がなされております。
帝国書院につきましても、基礎・基本となる知識こういった活用のできるような形でわかりやすく解説されており、3年生での地図学習をスムーズに進めることができるような工夫もされております。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは、特に無いようですので、地図について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

美濃律委員
東京書籍、帝国書院、どちらの地図帳も非常によくできていると思いますが、選定委員会の答弁書の内容、それからここでの審議の結果、地図マスターの問いかけやキャラクター等印象に残りやすい工夫がされている点を鑑みまして、私は帝国書院の楽しく学ぶ小学生の地図帳が良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、美濃委員から帝国書院が良いのではないかとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、地図については、帝国書院を採択することに決します。

続きまして算数について審議いたします。報告をお願いします。

【5.算数】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 新しい算数
まとめにおいて、数学的活動の中で働かせた見方・考え方を「虫めがねマーク」で示すことで価値付けるとともに、単元末の「つないでいこう」では、見方・考え方に焦点をあてた振り返りを設定している。

大日本図書 たのしい算数
「発見!考え方」で見方・考え方に焦点をあてたまとめをしている。特設問題「読み取る力をのばそう」では、資料から読み取る力や、根拠を説明する表現力を育成することができる内容になっている。

学校図書 みんなと学ぶ 小学校 算数
主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、単元の導入では問題発見の場面をイラストで示し、問いごとに「比べたいな」「説明したいな」「つなげたいな」のように、「-したいな」という言葉を使用し、今何を学ぼうとしているのかをわかりやすく表している。

教育出版 小学算数
巻頭で数学的な見方・考え方について紹介されており、学習の過程において得られた見方・考え方を「なるほどマーク」で示すことで、児童が振り返って学びやすいようなものになっている。

新興出版社啓林館 わくわく算数
単元末の「ふりかえろう」では、数学的な見方・考え方を働かせた振り返りを児童の言葉で示しており、学びが深まるよう工夫されている。また、身のまわりの問題に算数を活用する題材を取り扱っている。

日本文教出版 小学算数
数学的な見方・考え方を活用するための手がかりを「カギマーク」で示している。また、「ハロー!算数」「Hello!Math」で作業的、体験的な活動や実生活に関連した内容を取り扱っている。「つなげる算数」のページでは既習事項と関連付けて考えさせる問題設定がされている。

樽井弘三教育長
それでは、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

美濃律委員
新しい学習指導要領では、数学的な見方・考え方を働かせるということが目標で示されていますが、この点についてどのような特徴がそれぞれあるのか教えていただけたらと思います。

教育センター所長(藤田卓也)
各発行者ともに、児童がただ問題を解くだけではなく、数量の関係やデータの傾向など、物事の特徴や本質を捉えるよう構成がされております。また、筋道を立てて考えたり、複数の事象を統合して考えたりするなど、思考の進め方や方向性を意識して取り組めるように工夫がされております。具体的には、問題を解く過程で必要な見方・考え方を示したり、学習のまとめの中でその見方・考え方に焦点をあてた振り返りを記述したりしております。
特徴的なものとしましては、大日本図書は単元で働かせた見方・考え方を巻末に「ひらめきアイテム」としてまとめ、汎用的に活用できるような工夫がされております。
また、学校図書におきましては、数学的な見方・考え方を9つに分類をいたしまして、それぞれをキャラクターで示すことで興味を引くとともに、汎用的な力を育成するような、そういった工夫がみられます。

八十祐治委員
新しい学習指導要領では、「プログラミング教育」の導入が特徴としてあげられているかと思いますけれども、算数においては各発行者はどのように取り扱っているのでしょうか。

教育センター所長(藤田卓也)
プログラミング教育の導入についてでございますが、各発行者ともに、プログラミング教育のねらいとなっております論理的に考える力を育むことができるように、児童にわかりやすい言葉とキャラクターなどを用いて全体としてわかりやすい、わかりやすく取り組める、そういった工夫が各者ともに見られます。
教育出版、日本文教出版は5年生で、東京書籍は5・6年生で取り扱っております。啓林館は5・6年生を中心に、他の学年でもプログラミングを意識した内容を取り扱っております。大日本図書と学校図書におきましては全学年で取り扱われておりまして、発達段階に応じた内容で連続的に学べるよう工夫がされるなど、充実したものとなっております。

深堀基子委員
習ったことを、実生活や他の学習に活用しようとする態度の育成について、どのような特徴がありますか。

教育センター所長(藤田卓也)
各発行者ともに、学習したことをいわゆる実生活で活用する学習場面を設定したり、算数が実生活にどのように活用されるのかをコラム等で紹介したり、そういった工夫が見られます。
特に、東京書籍、学校図書、教育出版、日本文教出版の4者につきましては、単元末にその単元で学んだことを実生活に活用するといった学習活動を取り入れるといった工夫が見られます

中村公美子委員
新学習指導要領では、資料を活用する機会が多くなると思います。データから読み取る力、情報の整理・分析、そして活用する力というのを育むための工夫はどのように取り扱われているか、教えてください。

教育センター所長(藤田卓也)
新しい学習指導要領では、データの活用という領域が新たに設定されました。この領域では、統計的な学習について、ただ単にデータを表やグラフに整理するといった作業的なものだけではなく、データを分析するなどして問題解決のために活用することが重要視されております。そのため、各発行者ともデータの整理について学んだ後に、それを活用して問題を解決する、そういった内容構成になっています。
特に学校図書におきましては、単元を「整理」と「活用」で分けることで、目的を明確にして学びやすくなっております。
また、啓林館におきましては、子どもたちが話し合うイラストから導入しまして、課題意識を持ちやすくするほか、多くの学年で夏休み前に単元を設定しまして、自由研究等でいかせるといった工夫がみられます。

美濃律委員
小学校と中学校の接続について、どのような何か工夫がされている点があれば教えていただきたい。

教育センター所長(藤田卓也)
小中連携についてでございますが、各者とも、主に6年生で中学校の内容に触れたり、紹介するなど、そういった工夫が見られます。
特に、学校図書につきましては、6年生で中学に向けた別冊を用意しておりまして、6年間での数学的な見方・考え方を振り返ったり、中学校の内容に触れたりできるようなそういった工夫が特徴として見られます。

中村公美子委員
新しい学習指導要領では、今まで上位学年で習っていたことが下の学年に降りたりというふうに、カリキュラムが大幅に変更されていて、現場の先生方も大変だと思うのですけれども、そういった視点からみて、学校からの意見はどのようなものがあったか、いくつか教えていただけますか。

教育センター所長(藤田卓也)
新学習指導要領の円滑な実施に向けましては、小学校につきましては昨年度より移行期間ということで移行措置としまして、履修の漏れ等がないように新学習指導要領の内容を一部取り入れて実施をしているところでございます。今回、新しい教科書を採択するということにあたりまして、このカリキュラムについての意見というものは学校からは特にございませんでした。

深堀基子委員
高槻の生徒の実態から見て、ふさわしい内容はどういうものでしょうか。

教育センター所長(藤田卓也)
高槻の子どもたちの現状でございますが、ある程度基礎・基本はできているものの、学習したことを活用する力や様々な要素を関連付けて捉える力というものに弱さを感じるところでございます。ただ教師が教え込むという一方的な指導ではなく、学習したことを用いて考え、発信する・活用する活動が必要だと考えております。
新しい教科書におきましては、日常の事象から見出した問題や、算数の学習場面から見出した問題を解決するといった、問題発見・解決のプロセスを意識した教科書となっておりまして、学習した内容を活用する学習活動がふんだんに取り入れられているということで、ここにつきましては各者とも大きな差はないと思っております。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは特に無いようですので、算数について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

深堀基子委員
私は、この場の審議から考えまして、主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、単元の導入では、問いごとに「-したいな」という言葉を使用し、今何を学ぼうとしているのかわかりやすく表現している点や、教科書を見させていただいた中で、大変見やすいと感じましたので、学校図書のみんなと学ぶ小学校算数が良いと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、深堀委員から学校図書が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、算数については、学校図書を採択することに決します。

それでは、次に理科について審議をします。報告をお願いいたします。

【6.理科】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 新しい理科
「問題をつかもう」から「まとめ」までを1本のラインで結ぶ「学びのライン」が「授業の見える化」を実現し、児童は見通しをもって学びを進めることができる。厳選した簡易的な体験や写真資料のみを掲載して児童が主体的に学びをスタートできるようになっている。

大日本図書 たのしい理科
巻頭に「理科の学び方」を掲載し、児童が見通しをもって学習できるようになっている。学習した内容が中学校や生活、社会の中でどのように関連しているかが示され、理科を学ぶ有用性を感じられるようにしている。

学校図書 みんなと学ぶ 小学校理科
児童が問題解決の流れを明確に意識できるように、ページの左にバーで示す工夫がされている。話し合いの場面で、自ら考え、判断し、表現できることができるよう、自分の考えをフローチャートやモデル図などを使うことで整理する場面が設けられている。

教育出版 未来をひらく 小学理科
巻頭に「学習の進め方」が示されており、見通しをもって、調べて解決する力が身につくように配慮されている。自分の考えを伝える時の、自分の考えを整理するノートのとり方を紹介したりしている。

新興出版社啓林館 わくわく理科
混同しがちな結果、考察、結論を「結果」「結果から考えよう」「まとめ」と明確に区別し、観察・実験の次の見開きに掲載されている。基礎・基本の定着のため「ふり返ろう まとめノート」で、学習内容をまとめる習慣づけができるようになっている。

なお、信州教育出版社 楽しい理科 については見本本の送付がないため、調査を行っておりません。

樽井弘三教育長
それでは、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

美濃律委員
全国学力・学習状況調査の結果におきまして、理科離れが進んでいるというふうにお聞きしましたけれど、理科の勉強が好きになるように、興味や意欲を持たせるような各者の工夫があれば教えていただきたい。
また、教科書を見させてもらったら、QRコードが掲載されているものがいくつかあったのですが、授業に興味を持たせるために役立つと思いますが、現在学校においてのQRコードの取扱いについても、教えていただければと思います。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
まず、QRコードについてお答えいたします、理科に限らず、多くの発行者の教科書では、教科書にQRコードが掲載されております。インターネット経由で学習の参考になる情報を閲覧できるようになっております。現在の学校のパソコンでは、QRコードの読み取りはできませんが、今後の使用については検討していきたいと考えております。また、家庭学習で使用することも想定されますが、各家庭により環境も様々ですので、活用の方法については、配慮が必要だと考えております。

次に各発行者の興味を持たせる工夫についてですが、
東京書籍では、子どもの気づきや疑問から学びをスタートさせていたり、単元導入の見開きには、理科の世界へいざなう体験や写真資料のみを掲載しております。大判化(A4版)で、ダイナミックな写真やイラストが使われており、子どもの興味・関心を高めるために、具体的な活動が示されております。
大日本図書では、「りかのたまてばこ」において、身近な生活の中で、学習したことと関係のある資料を豊富に掲載しています。学習内容と生活との関わりが示され、理科を学ぶ有用性が実感できるようになっております。
学校図書では、四季折々の生き物、命に触れあった仕事、社会が自然環境を保全するために取り組んでいることなどが紹介されており、生命尊重・自然環境保全の態度を育成することをねらいとした工夫がされております。
教育出版では、各単元で、主人公に設定した子どもたちが、さまざまな事象と出会う形で学習が始まる形になっております。学習のきっかけになる身の回りの事例を示し、子どもの気づきを促し、興味を持たせる工夫が見られます。研究者からのメッセージや読み物教材など、理科への興味が湧く資料が掲載されております。
啓林館では、「思い出してみよう」「はじめに考えてみよう」など、既習事項を思い出す場面、「そういえばどうなんだろう」と考えさせる問題提起がされており、興味関心を高める工夫が見られます。子どもたちがわくわくした気持ちで学びに迎えるように、子どもたちのいきいきとした表情の活動写真や、理科への興味が高まる写真・イラストを掲載しております。随所に掲載されている写真もダイナミックかつ細部までわかりやすいものになっております。さらに巻末に野外への持ち出しに適した「植物たんけんカード」「こん虫たんけんカード」、「雲の観察カード」などをつけ、校外学習や家庭学習の機会にも自然に触れることができるように工夫されております。

深堀基子委員
理科の観察や実験などを通して、問題を発見したり、解決する力など、思考力・判断力・表現力を育成することが大切だと思いますが、そのような力を育むような工夫はありますか。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
思考力・判断力・表現力を育成することについての工夫でございますが、
東京書籍におきましては、問題解決の力を重点的に育成する場面を「レベルアップ 理科の力」のマークと緑色の色で強調しており、対話の具体例も示しております。巻末の資料でノートのかき方を示しております。単元末の「たしかめよう」では、「問題を見いだす力」を確認する問題を設け、工夫しております。
大日本図書では、観察・実験の記録などを数多く掲載し、考察場面や発表場面などで多様な表現活動を紹介されており、「学んだことを生かそう」「チャレンジ問題」に取り組むことでより考えが深まるような構成になっております。
代表的なものを今ご紹介させていただいておりますが、啓林館につきましては、「問題を見いだすこと」「根拠のある予想や仮説の発想」「解決方法の発想」「より科学的な考えの構築」と学年の発達段階に応じたつくりになっております。単元導入での「はじめに考えてみよう?」と同じ問いかけを、単元末に再度「もう一度考えてみよう!」として入れ、学習の終わりに自己評価、相互評価することにより、自己の成長を確認でき、学びの深まりが実感できるよう工夫されております。

中村公美子委員
算数と同様に、理科でもプログラミング教育が取り扱われていると思うのですけれども、プログラミング教育の各者の取扱いについて教えていただけますか。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
プログラミング教育についてですが、理科では、各者とも6年生の「電気の利用」の分野で取り扱われております。
東京書籍においては、プログラミングによって電気を有効活用する仕組みについて触れております。実際にプログラムで器具を動かしたときとそうでないときの電気の量を比べる活動を設けております。電気を利用したものを実際につくり、与えた条件に応じて動作することや条件を変えることで動作が変わることを体験させる構成になっております。
大日本図書においては、プログラミングによって電気を有効活用する仕組みについて同じく触れております。パソコンでプログラミングをし、実際に指示通りに動くかどうか回路をつくるプログラミングの活動やどのように活用されているか調べる活動を紹介しております。
学校図書においては、プログラミングコンテンツが用意されており、ライトの点滅の規則性をプログラムする内容を扱っております。教科書のQRコードを読み込むことによって、無料でパソコンやタブレットで基礎的・発展的なプログラミングを体験することができるようになっており、身の回りにあるセンサーも紹介されております。
教育出版では、電気の利用をコントロールするセンサーについて大きく扱っております。「チャレンジ」という発展的内容の見開き2ページでコンパクトに示し、子どもの実態や学校の実情に合わせて弾力的に扱えるように工夫されております。
啓林館においては、センサー等の教材の用意、プログラミング教材の操作やその指導などの課題が考えられることから、どの学校でもプログラミング教育が行いやすい支援となるように、「シート&シール」とURLが設けられております。ゲームのような活動に陥らないように、「シート&シール」とURLの内容がリンクさせており、デジタルとアナログの両方の教材が用意されていることで、プログラミング教育に取り組みやすくなっております。どのような動きを組み合わせればよいか、組み合わせをどのように改善すればいいか、条件と動作を考えさせるような仕組みとなっております。

八十祐治委員
学校からの意見書などでは、どのような意見が多かったのでしょうか。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
多かった意見としましては、
東京書籍におきましては、児童により主体的に学習に向かわせるための手立てがよく準備されている。問題をつかむ、計画する、予想する、までがシンプルで分かりやすい。
大日本図書では、科学技術との関連など、社会にどのように役立っているのかなどの資料が多く、充実している。
学校図書では、与えられる課題ではなく、児童自身が解決したくなるような導入や場面が多く設定されている。
教育出版においては、「科学のまど」で、その単元の発展的なことや、環境問題につながるような資料があり、児童の探求心を育むことができる。
啓林館においては、問題解決の流れの中で、課題を見つけてからのプロセスがわかりやすく示されている。
というような意見が多かったです。

美濃律委員
理科では、実験や観察等が大事になってくると思うのですが、実験や観察の取扱い方の特徴をお聞きしたいと思いますので、お願いします。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
観察・実験の手順をラインで示し、見通しを持たせやすいような工夫、そして「観察・実験」と「結果やまとめ」は同じ見開きに示さない構成となっており、子どもが自分たちの結果から考察し、結論をまとめることができるような工夫が、全ての発行者で見られます。
特に東京書籍においては、「レベルアップ 理科の力」では、思考や対話の観点と、対話の具体例を同じ見開きに示さない構成とし、子どもの実態に応じて、それぞれを活用することができるようになっております。
教育出版においては、観察・実験によって得られた結果が、自分の予想と一致しなかった場合を丁寧に取り上げ児童が自分の考えや調べ方を確認したり、見直したりすることの大切さを実感できるような工夫がされております。
啓林館においては、「問題」のまえに「問題をつかもう」が設置されております。先生の発問例や、対話的な活動の場面を示し、子どもたちをそっとリードする構成になっております。「予想と計画」「実験の方法」「観察の方法」などが「フラッグ&ライン」といわれるライン1本と見やすい見出しでわかりやすく流れが示され、「結果→考察→結論」の過程は次のページの見開きに示す構成となっています。その過程を丁寧に示し、結果をもとに考察していくようすを、具体的に例示されております。また、「問題」と「まとめ」の色分けが明確で見やすい構成になっており、問題解決の流れがイメージしやすいような工夫がされています。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは特に無いようですので、理科について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

美濃律委員
この場の審議を考えまして、学習の流れが把握しやすい、野外へ持ち出せるカードなどで自然に触れることができる工夫などから、啓林館のわくわく理科という教科書が適切ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、美濃委員から啓林館が良いとのご意見がございましたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、理科については、啓林館を採択することに決します。

それでは、次に生活について審議いたします。報告をお願いします。

【7.生活】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 新しい生活
すべての児童に分かりやすい紙面になるよう、小単元名、やくそく、マークなどは定位置に固定されている。大判の紙面(A4)が使用され、見通しを持って学習できるよう「学習のながれ」が掲載されている。

大日本図書 たのしいせいかつ
スタートカリキュラムに配慮されたページや、他教科への結びつきがわかるマーク、さらに3年生以降の理科・社会科を意識した活動が豊富で、学びがつながる工夫がされている。

学校図書 みんなとまなぶ しょうがっこう せいかつ
AB版より紙面の長辺を伸ばすことで大型化し、楽しくきれいな写真や大きなイラストを配置することで、子どもの興味・関心を喚起するようにしている。

教育出版 せいかつ
単元ごとにふりかえりが設定されており、児童が自分の気づきや学び、自分自身の活動への意欲を振り返ることで、新たな課題を持つことができるような構成になっている。

光村図書出版 せいかつ
全単元が「ホップ」(導入)「ステップ」(展開)「ジャンプ」(振り返り)の3段階で構成されており、生活科での学びを日常生活に生かすことができるよう工夫されている。

新興出版社啓林館 せいかつ
学習したことを次の学習や生活に生かそうとする意欲を育む工夫がされている。また、家庭や地域社会との連携に配慮されたページもあり、学びにつながりと広がりが見えるよう工夫されている。

日本文教出版 わたしとせいかつ
見開きいっぱいの写真や話し合っているイラストを示すことで、学習の見通しが捉えやすくなっている。学習や生活に必要なルール・マナー・スキルを示し、その中で関係するページを各単元にアイコンで表示することで、必要な力がわかりやすくなっている。

なお、信州教育出版社 せいかつ については見本本の送付がないため、調査を行っておりません。

樽井弘三教育長
それでは、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

八十祐治委員
現在、高槻市においては、生活科では日本文教出版の教科書が採択されていますが、現在使用している教科書と改訂後の教科書とを比べると、どのような違いがあるのでしょうか。

教育指導課長(青野淳)
改訂後の教科書が、現在使用している教科書と大きく変化している点が3点ございます。
まず1点目ですけれども、今回の学習指導要領の改訂では、前回の改訂に引き続き、「具体的な活動や体験」を重視したうえで、あらたに、「身近な生活に関する見方・考え方を生かし」、と明記されたのが大きな変更点でございます。
各発行者ともに、この変更点をふまえ、生活科の活動を通して必要となる習慣や技能、学び方などをまとめた資料ページを設けており、これまで以上に「身近な生活に関する見方・考え方」を生かして、資質能力を育成していくことが、巻末資料でわかりやすく示されております。
2点目ですが、幼児期の教育との円滑な接続を意図したスタートカリキュラムがより充実しています。また、カリキュラムマネジメントの視点から、他の教科との関連が豊富に示されるようになり、特に下巻では中学年以降の総合的な学習や、社会、理科とのつながりをふまえた内容になっています。
最後に3点目ですが、学習のながれや、ねらいが明確に示され、「主体的・対話的で深い学び」により、学びが確実に定着するよう配慮されています。

深堀基子委員
本市では、子どもたちが日々の生活を通して仲間とつながり、支え合い高めあうことをめざして、「ともに学び ともに育つ」教育がすすめられてきました。子どもたちが普段の生活の中で「ちがい」を認め合いながら生活し、人権感覚を豊かにしていくことは大切なことです。こういったながれのなかで、人権教育や男女参画の観点では、今回の改訂で、どのような配慮がされているのでしょうか。

教育指導課長(青野淳)
各発行者とも、写真や挿絵で、登場する児童や地域の人々、家の人の数や役割などについて、性差による偏りなどのないように配慮されております。性別によって服装の色や種類が固定的にならないような配慮もされています。
また、幼児や高齢者、外国にルーツのある児童や、車いすを使用する児童が挿絵や写真に登場しており、さまざまな立場の身近な人への多様な理解についても配慮されております。
主な特徴的な発行者としましては、
学校図書では、登場人物の男女の比率に偏りがないように配慮するだけでなく、女性の社会進出や男性の家事分担などにも配慮した紙面構成になってございます。
啓林館では、家族についての単元において、昨今の多様な家庭環境に十分に配慮しながら、家族の温かさを実感したり、自分の役割を考えることができるような工夫がされております。
日本文教出版につきましては、巻末に点字が掲載されており、視覚障がい者用の点字を児童が直接体験できるよう、特殊な「盛り上がり印刷」が施されております。多様な表現方法や、さまざまな立場の人々がより良く暮らすための工夫に気付くことができるようになっており、他にはない工夫で、大きな特徴となってございます。

中村公美子委員
生活科は低学年での学習ということもあって、幼児期との接続というのは大きなポイントの1つになると思います。先の説明の1部にもありましたけれども、スタートカリキュラムの取扱いについて、各発行者、具体的な説明をお願いします。

教育指導課長(青野淳)
各発行者におけるスタートカリキュラムに関する工夫についてでございますけれども、各発行者ともに、上巻の冒頭でスタートカリキュラムを配慮したページが設けられており、幼児期の学びを生かして、生活科の学習が展開される様子が、写真などで例示されております。
東京書籍につきましては、「どきどきわくわく1年生」で、スタートカリキュラムで行われる活動を具体的に示し、児童が安心して学校生活を送ることができるような工夫がされております。
大日本図書におきましては、「みんな なかよし」のページは、「仲間づくり」の活動を意識した内容となっており、仲間づくりが深まるよう配慮されております。
学校図書につきましては、「がっこうだいすき」が設定されており、発達段階や個人差を考慮して、極力文字が少なく、シンプルな紙面になっております。
教育出版につきましては、イラストで「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」の一例を示し、それに対応するかたちで、上段には写真で、下段ではイラストで同じ場面の学校生活を掲載しております。
光村図書につきましては、「あたらしい いちねんせい」で、児童の安心や自信につながるよう、入学当初の活動が幼児教育との関連を踏まえて示されております。
啓林館につきましては、「スタートブック、『がっこうだいすき あいうえお』」の単元が設定されており、子どもが安心して学校生活を始めることができるよう、幼児期に親しんだ遊びや歌を取り入れた活動の例示が充実しております。
日本文教出版につきましては、入学当初からの生活科の学習活動が「1年生になったら」に掲載されており、すべての学校で適切にスタートカリキュラムが編成できるように配慮されております。また、「がっこうの いちにち」のページでは、学校生活の1日のながれ・登校してから下校するまでの大まかな活動が掲載されており、就学して間もないころの安心、学校生活への意欲につながるように配慮されています。

また、ページの形状で特徴的な工夫があったのは、啓林館や日本文教出版です。ページの角を丸みを帯び形にカットしている点で、授業者も児童と同じようにスタートカリキュラムが設定されているということがより明確にわかりやすいような工夫もされております。

美濃律委員
生活科は、小学校1・2年生での学習であるため、特に子どもたちにとって、「わかりやすい」「親しみやすい」という視点は大切かと思います。子どもたちにとってわかりやすく、見通しをもって学習できるような工夫として何かありましたら特徴的なものを教えていただきたいと思います。

教育指導課長(青野淳)
子どもたちにとってわかりやすい見通しを持った学習ということで、各者とも、イラストや吹き出し、キャラクターを示すなど紙面の構成を非常に工夫しています。どの教科書でも、ワークシートや学習カードの見本を掲載しており、子どもにとって、わかりやすい内容になっているかなというふうに考えております。
主な特徴的な発行者としましては、啓林館では学びのプロセスが3段階構成で活動の流れを分かりやすく示されております。また、単元の導入にあたる「わくわくボックス」のページでは「なぜだろう?」「やってみたい」という思いなどを高める活動を設け、子どもたちが今後の活動の見通しをもつことができるような工夫が設けられております。
日本文教出版につきましては、シンプルなレイアウト、わかりやすいタイトルや子どもの言葉、紙面の各要素を決まった位置に配置することで、子どもたちにも授業者にもわかりやすい教科書となっております。「何をしたいのか」が明確な写真やイラストを使って紙面を構成されており、学習の手順や方法がよくわかるので、子どもたちがより意欲的に考えたり行動したりできるような工夫がございます。また、単元の導入において、「学びのめあて」、「つけたい力」がひと目でわかるよう、単元ごとに資質能力の三つの柱にそって、ページの左下の部分に柱ごとに色分けしてわかりやすく示されているなどの特徴もございます。

中村公美子委員
カリキュラムマネジメントの観点、つまり複数の教科との連携を図りながら授業を作っていくという視点、そして中学年以降の学習への接続という、この2点の視点なのですけれども、各教科書の特徴であったり違いを教えていただけますか。

教育指導課長(青野淳)
どの発行者も、他教科との関連的な指導、教科横断的なつながりについて配慮されており生活科で学んだことを他の教科で、他教科で学んだことを生活科で相互に発揮することができるよう各発行者工夫されております。また3年生以降の総合的な学習や理科・社会の接続も意識された構成となっております。
特に主な特徴的な発行者としましては、
東京書籍につきましては、他教科等の学習成果を生かすことが効果的な活動の例を、紙面右端の決まった位置に掲載し、他教科とのつながりを視覚化しております。
教育出版につきましては、単元を見通すページに関連する教科名を示しており、「社会科へのまど」「理科へのまど」のコラムで3年生の学習へのつながりを示しております。
日本文教出版につきましては、他教科との関連が図られている事例を、挿絵や写真、吹き出しなどで明確に示しているような特徴がございます。例えば、単元の間に設けられている「ぽけっとずかん」のページでは動植物がたくさん掲載されており、理科との関連が示されたり、巻末の「ちえとわざのたからばこ」では、「手紙の書き方」「発表のしかた」など国語科との関連も示されるなど、各教科の学びを生かす事例が豊富に掲載されております。

八十祐治委員
道徳が教科化されて注目されているところではありますけれども、生活科と道徳科との関連は考慮されているような点があるのでしょうか。

教育指導課長(青野淳)
道徳との関連につきましてですが、各発行者とも、例えば他人や自然を愛し、対話などを通じて他者を思いやる心を育むとともに、問題解決を通じて自分自身の自立を培う構成となっています。挨拶やきまり、伝統・文化の尊重や国際理解、生命尊重など具体的な活動を通じて道徳教育との関連が図られております。
特徴的な工夫としましては、
例えば教育出版につきましては、道徳科との関連を図りながら指導できるよう「やくそく」や「できるかな」のコラムを設けて、学校や地域等、公共の場でのマナーを身につけることができるよう配慮されております。
啓林館におきましては、言葉遣いや態度、マナーなど人と適切に関わることや、動植物への思いやり、地域への愛着など、道徳科の学習に関連する学習活動が充実しております。

美濃律委員
1・2年生が学習するということで、特に低学年でありますので、生活科の教科書の大きさや重さについて、何か配慮はされているところはありますでしょうか。

教育指導課長(青野淳)
どの発行者につきましても、低学年が持つということで児童の鞄や机にしまえる程度の大きさ・負担のない重さとなっております。特に、大きさ、サイズにつきましては、東京書籍と学校図書以外の5者がAB版のサイズになっております。東京書籍はA4版の大きさで、学校図書はA4の変形版で他の発行者と比べて少し大きくなっているという特徴がございます。ただ、重さについての配慮とかそういったことにつきましても、軽量で丈夫な素材で作成されております。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは特に無いようですので、生活について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

八十祐治委員
私は、この場の審議から考えまして、学習の見通しの捉えやすさという点からは、日本文教出版の教科書が良いと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、八十委員から日本文教出版が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、生活については、日本文教出版を採択することに決します。

樽井弘三教育長
これで7種目終わりました。後は音楽から道徳まで6種目あるので、少し休憩を取りたいと思います。5分間休憩としますので、よろしくお願いします。55分に再開いたします。

(午後2時50分休憩)

(午後2時55分再開)

樽井弘三教育長
それでは、再開したいと思います。

次に音楽について審議いたします。報告をお願いします。

【8.音楽】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

教育出版 小学音楽 音楽のおくりもの
発達段階に応じて、メモ欄を設け、児童が自ら書き込めるようになっている。「学習のめあて」と学び方を示唆する「まなびナビ」などの印が示され、児童が主体的・協働的に学習内容を捉え、見通しをもって学習できるよう工夫されている。

教育芸術社 小学生の音楽
音楽で生活を豊かにする心を育む内容になっており、学習の手順や考える観点等を例示することで、主体的、対話的に課題意識をもって学びに向かえるようになっている。音楽づくりも手順が丁寧に示されている。

樽井弘三教育長
報告が終わりました。委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

深堀基子委員
音楽の表現領域は、歌唱、器楽、音楽づくりからなると思うのですが、そのなかの「音楽づくり」について、各発行者の特徴はどうなのか教えてください。

教育センター副主幹(山本佐和子)
深堀委員仰せのとおり、音楽の表現領域については、歌唱、器楽、音楽づくりの3分野で構成されております。この点につきましては、両発行者とも丁寧に扱っておりますけれども、特に音楽づくりについてお答えいたします。
教育出版でございますけれども、全学年を通して、系統性と、各学年の発達段階に考慮して学習活動が配置されております。また、即興で表現することを通して児童が音楽づくりの様々な発想を得ることできるようになっており、「音のスケッチ」の名称で、身近な音楽を例に出しながら、例えばですけれども、子どもたちがよく知っている「チャイムの音」、「チャイムの音」をもとに、リズムを変える、高さを変えるなどすることで、新しい曲を楽しみながら作っていけるよう取り上げられております。
続いて、教育芸術社でございますけれども、「音楽づくり」のマークがございます。そのマークで「音や音楽をつくる学習」といたしまして、目次にもわかりやすく明示されており、子どもたちが主体的に音楽づくりができるよう、学習の手順をキャラクターが吹き出しで、わかりやすく例示するなど、音楽づくりの手順が丁寧に示されております。その結果、児童が考えたり工夫したりする際の視点を示されておりますので、児童が“こんな音楽をつくりたい”というふうな思い、意思を生かして取り組めるようになっております。また、「即興的な表現」と「音を音楽へ構成すること」とのつながりを意識、重視しており、 6年間の発達段階に応じて、音楽づくりについて学べるよう工夫されております。

中村公美子委員
新しい学習指導要領では、「音楽的な見方・考え方を働かせ」という文言、そして「生活や社会の中の音や音楽と豊かに関わる」という文言が加えられました。その2点に関して、2者それぞれの工夫を教えていただいていいでしょうか。

教育センター副主幹(山本佐和子)
ただいまご質問いただきました、新しい学習指導要領では、「表現及び鑑賞の活動を通して、音楽的な見方・考え方を働かせ、生活や社会の中の音や音楽と豊かに関わる資質・能力を育成すること」が目標に掲げられております。

まず、「音楽的な見方・考え方を働かせる」の部分に関する工夫でございますけれども、
教育出版は、「学びナビ」というマークがございます。この「学びナビ」で、音楽的な観点も含めて学び方が提示されており、児童が音楽的な見方や考え方を働かせて思考や判断しながら学べるよう工夫されております。
続いて教育芸術社でございますけれども、こちらは随所に子どもやキャラクターが登場して、児童がこれから学ぶにあたって学び方のヒントを出したり、考える観点を示したりしております。その結果、音楽的な見方や考え方を働かせて、児童が主体的、対話的に学べるようにサポートする役割を果たしていると考えております。

続いて、「生活や社会の中の音や音楽と豊かに関わる」の部分にお答えいたします。
今回の改訂におきましては、特に重要視されている部分であり、両発行者とも、工夫が見られます。
まず、教育出版でございますけれども、例えば「音楽にできること」といったページを設けており、子どもたちが、震災被災地に演奏を届ける様子を紹介したり、オリンピックと関連した歌を取り上げたりするなど、音楽と生活や社会とのつながりが意識できるよう工夫されていると考えております。
続いて、教育芸術社でございますけれども、「音楽が人と人をつなぐ」といったページを設定しております。音楽で社会や人とつながる学びが促されており、例えば、「復興と希望の歌」に注目することにより、音楽が人を勇気づけることがあるということ、学習した歌をテーマにインタビューする活動などが提案されており、家庭や地域社会と授業で学んだことをつなげて、音楽と豊かに関わることができるような内容となってございます。

美濃律委員
音楽においても、言語活動の充実は大切だと考えますが、その視点から見て、この2つの教科書に特徴的な違いがあれば教えてください。

教育センター副主幹(山本佐和子)
ただいまの言語活動の充実についてのご質問でございますけれども、
まず教育出版は、主体的・対話的で深い学びができるよう、見開きごとに学習のねらいと、さきほどもありました、学びをサポートする「学びナビ」が示されており、児童が見通しをもって学べるように工夫されております。また、学び合いについても記述しており、協働的な学び合いを引き出すよう配慮がなされております。また、児童が感じたことを言葉で表現するためのメモ欄というものが随所にあり、こちらも特徴であると考えております。
続いて、教育芸術社でございますけれども、児童が課題意識をもって、友達と対話、協働しながら学習ができるように、具体的には、さきほどありました吹き出しなどで、学習の手順や考える観点が示されており、子どもたちの学びをサポートするという工夫が見られます。また、鑑賞曲など、感じたことを文字で表現する書き込み欄がございます。また、曲に関連して、インタビュー活動を促すといった言語活動が提案されていることも特徴と考えております。

八十祐治委員
各教科書で工夫されている点で、何か特徴的なことがあれば教えてください。

教育センター副主幹(山本佐和子)
各教科書で工夫されている点ということで、少し重なる部分がございますけれども、まず特徴的なところをお伝えいたします。
教育出版でございますけれども、発達段階に応じたメモ欄の設定と、学び方を示す「学びナビ」の設定、鮮やかで大きな写真や折り込みによる大きな紙面が効果的に配置されていることも特徴でございます。また、全学年で共通した曲を配置していることも特徴で、同じ曲を使って、学年が上がるごとに学習の深まりを感じられるように、また異学年で同じ曲に取り組むことができるという特徴もございます。他には、さきほどもありました、随所にあるメモ欄で言語活動が可能となっております。英語の歌については全学年で扱いがあるということも特徴かと考えます。
続きまして、教育芸術社の特徴でございますけれども、学習を家庭や地域社会に生かせるように、音楽で生活を豊かにする心を育めるような内容になっております。また、著作に関する指導の重要性が今回の指導要領で謳われており、作曲家や演奏家を紹介するページが充実していること、また、日本音楽や和楽器に関する内容が充実していることや、歌い方や音楽づくりの手順が丁寧に示されていることが特徴でございます。また、子どもやキャラクターによる問いかけが随所にあり、児童が協同的・主体的に学んでいけるよう言語活動の充実などの観点で見ても、他教科との関連を図りやすいというようなことも特徴であると考えています。

樽井弘三教育長
楽曲の数とか、何か特徴的なものはありますでしょうか。

教育センター副主幹(山本佐和子)
楽曲の数や曲についての特徴でございますけれども、
まず、教育出版でございますけれども、こちらは例えばルパン三世のテーマといった子どもたちがこれまでに聞いたことがあるような比較的新しい音楽を取り入れているところが特徴としてございます。
教育芸術社のほうにつきましては、伝統音楽として、和楽器の曲を丁寧に扱っているということもございまして、「待ちぼうけ」など古くからなじみのある曲が日本語の表現の魅力とともに、取り上げられていることなども特徴かと考えます。
曲数の違いでございますけれども、歌唱については、教育出版が178曲、教育芸術社が153曲で、教育出版の方が多い。器楽については、教育出版が66曲、教育芸術社が75曲で、教育芸術社の方が多いといったようなことがございまして、鑑賞領域の我が国の音楽の扱いにつきましては、教育芸術社が23曲となって、教育出版が18曲と、教育芸術社がやや多いというようなことで、それぞれ特徴がございますけれども、どちらの教科書についても曲数のバランスはよく、子どもにとっては十分学べる内容となっていると考えております。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは特に無いようですので、音楽について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

中村公美子委員
さきほどの説明でもありましたが、新学習指導要領では今まで以上に生活や文化などとのかかわりを重視しています。さきほどからの審議、それから他教科との関連というのもわかりやすいという点など、教育芸術社の教科書が良いと思うのですけれど、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、中村委員から教育芸術社が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、音楽については、教育芸術社を採択することに決します。

それでは、次に図画工作について審議いたします。報告をお願いします。

【9.図画工作】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

開隆堂出版 図画工作
題材において何を学ぶのかが分かるように、児童に親しみやすい表現で学習のめあてが3つ提示されている。その中の1つを中心的なめあてとして示すことで、児童に育成したい資質や能力が明確になっている。学校外での活動では、他教科と関連付けて学べるように適切に配慮されている。

日本文教出版 図画工作
見開き1ページで、学習のめあてから導入、活動、仕上がり、ふりかえりまでが提示してあるので、児童が見通しをもって題材に取り組むことができる。どの題材にも片付けや安全面に関しての記載がある。また、学習を生活や社会と関連づけて学べるよう工夫されている。

樽井弘三教育長
委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

中村公美子委員
学習指導要領の目標の中では、育成を目指す資質・能力の三つの柱のそれぞれに「創造」というのが位置づけられています。造形的な創造活動をめざす上での2者それぞれ工夫されているところを教えてください。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
育成を目指す資質・能力の三つの柱に位置づけられた創造については、3つ示されており、1つめが「自分の思いを元に活動を充実させ、自分らしく作ったり表したりする技能」2つめが「自分にとって新しいものやことを作り出す発想や構想」3つめが「形や色などに能動的にかかわり、夢や願いを持ち、心楽しく豊かな生活を自ら作りだそうとする態度」と示されております。
開隆堂においては、自分の思いやイメージを基に活動しやすいよう作品作成の過程や発想の方法のヒント、材料選択の可能性などの工夫が見られます。発達段階に応じた身辺材料を題材に取り上げ、形や色、材質感などを通してイメージや創造を広げ、創造的につくったり、表したりすることができる内容が取り上げられています。また、発想の広げ方に特化したページを設け、作品を作成するポイントが示されていて、発想を広げる工夫がされています。
日本文教出版においては、発達段階に応じた身辺材料を題材に取り上げ、造形的な視点について理解し、形や色の世界を広げ、思いに合うような材料や方法で見たり、つくったりできる内容が取り上げられています。造形的な視点で形や色など見つけるヒントになる。手や体を動かしながら、実際に試しながら発想を広げられる「ひらめきポケット」という項目を設けております。

美濃律委員
図画工作の学習する内容としては、絵や工作など「表現する力」を育むことの他に、美術作品や伝統工芸などを「鑑賞する」ことも含まれると思いますが、「鑑賞」については、この2者はどのように取り上げられているのか、ご説明いただければと思います。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
開隆堂では、「小さな美術館」や「みんなのギャラリー」に鑑賞の対象となる作品が掲載されております。各学年とも4ページ扱いの内容とし、幅広い授業展開が可能な題材、伝統や地域の方とのふれあいを大切にした題材で構成されています。世界の様々な美術作品を取り上げており、各国の文化を尊重する態度につながるよう配慮されています。また、巻末にある「造形のひきだし」で、造形的なものの見方・考え方、鑑賞の方法などが掲載されており、児童が対話的に、見方や感じ方を深めることができるように配慮されております。
日本文教出版でも、「教科書美術館」に、鑑賞の対象となる作品が掲載されております。ページの中で写真や吹き出しをつかって視点を示すことで、児童が見方や感じ方のヒントとなるよう配慮されているところが特徴です。

深堀基子委員
図画工作では作品をつくるにあたって、さまざまな道具や材料に触れる機会があると思います。中にはカッターナイフや彫刻刀といった危険なものや、ラジオペンチなどあまり子どもになじみのないものなどもあると思いますが、用具の使い方については、どのように取り扱われていますか。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
材料・用具の扱い方については、2者とも、巻末ページにイラストや写真で分かりやすく提示しています。また、各題材で使用する材料や用具について、見開き1ページの左下に示してあり、また必要に応じて巻末の資料ページを参照するように記載されております。
開隆堂では、扱い方について説明するとともに、「ためしてみよう」というコーナーを設定し、取り組みやすい材料を使って用具の扱い方に慣れていけるよう配慮されています。また、木版画にインクをつけるときのローラーの扱い方について「行きは電車、帰りは飛行機」と説明するなど、児童がイメージしやすい表現が多く用いられているのが特徴です。加えて、刃物等の危険を伴う用具については、安全な扱い方について強調して示しており、安全な材料・用具の扱い方について配慮しております。
日本文教出版では、写真やイラストを大きく提示したり、効果的にイラストを取り入れたりした見やすいレイアウトが特徴です。また、針金の種類ごとの特徴や、接着剤の種類と材料の適合性など、材料についても詳しく説明がされております。

八十祐治委員
「他教科と関連付けて学べるように適切に配慮されている。」という点ですけれども、どのような配慮がされているのか、具体的に教えてください。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
開隆堂では、他教科との関連をもって学習を進められるページには、教科書の下部に「あわせて学ぼう」マークとともに教科名を示し、教科横断的な学習への手立てを提示しています。例えば、「3・4年上」の「形と色でショートチャレンジ」というコーナーにおいて、「線と線があつまって」というテーマで、線で囲まれたいろいろな形を取り上げており、「算数科」の図形領域との関連を提示しています。このように、他教科との関連を示す題材を多く設定しております。
日本文教出版でも、いくつかの題材において、他教科との関連を意識した設定となっております。例えば、「3・4年上」では、「マグネットマジック」という題材において、理科での磁石の学習と関連付けております。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは特に無いようですので、図画工作について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

美濃律委員
どちらの教科書もいろいろな工夫がされていると感じました。その上で開隆堂のほうが、立体感を感じられる写真や絵画等が迫力のある大きさで表現されていて、児童の印象に残りやすい気がしますのと、用具の使用法・注意点がわかりやすい等によって、開隆堂の図画工作が良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、美濃委員からが開隆堂が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、図画工作につきましては、開隆堂を採択することに決します。

続きまして、家庭について審議いたします。報告をお願いします。

【10.家庭】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 新しい家庭
実生活における活用力を育成する編成となっている。実践的・体験的な活動を行うために「家庭科の窓」を設置し、見方・考え方の視点を意識して学習が進められるようになっている。家庭科と関連付けて伝統文化について多く設定されており、日本の伝統に触れられるように工夫されている。

開隆堂出版 小学校 わたしたちの家庭科
実践的・体験的な活動を通して生活を見つめることから問題を見出せるように工夫されている。また、家庭科と関連付けて、キャリア教育、プログラミング教育にも触れられており、児童が興味・関心をもって取り組むことができるように工夫されている。

樽井弘三教育長
それでは、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

深堀基子委員
近年の全国学力・学習状況調査の結果において、「朝食を毎日食べていますか」という質問に対し、「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と回答した割合が全国平均よりも市の平均のほうが低い結果がでていたと記憶しています。食は学力のみならず心身の成長にも大きく影響を与えるものだと思います。家庭科の教科書では、食育についてどのように取り扱われていますか。

教育センター所長代理(西田太郎)
食育についてですけれども、どちらの出版社につきましても食事の役割について考え、調理の基礎を習得し、栄養を考えた食事の献立を立てることができるように考えられております。また、日本の伝統的郷土料理が重視されてはおります。
東京書籍につきましては、「いただきます」「ごちそうさま」などの意義に触れながらマナー等を考えさせる場面もあります。また、「日本の伝統」マークとともに、大切な日本の文化を紹介し、日本の食文化の理解を深めております。
開隆堂では、日本の食文化の理解もさせるとともに「一汁三菜」や「和食」にもふれております。さらに、食物アレルギーについても取り上げられていて、特に食物アレルギーに関しましては、「いのちを守る」視点を重視しております。

八十祐治委員
買い物の仕組みや消費者の役割に関する内容が新設されたということですけれども、消費者教育については各者どのような取扱いになっているのでしょうか。

教育センター所長代理(西田太郎)
消費者教育についてですけれども、
東京書籍では、5年生で本内容が扱われております。「発展」としまして、インターネットでの取引に注意しようというコーナーがあり、今日的な問題になっている課題についても触れやすくなっております。
また開隆堂では、5年生と6年生の2学年にわたって取り扱われております。開隆堂では売買契約の観点なども取り入れられており、職業教育につなげている場面があります。具体的にいいますと、土地や家も売買契約であり、それらを扱う司法書士という職業についても触れております。

美濃律委員
家庭科の学習内容は、学校だけでなく、自分の家庭や地域で活かされることで意味があるものになるかと考えますが、家庭や生活の中で、授業の内容が活かされるように、どのような工夫がされているか。そういう点があれば教えていただきたい。

教育センター所長代理(西田太郎)
ただいまの質問、家庭・家族についてですけれども、どちらの教科書についても十分内容は取り扱われていると考えております。
東京書籍につきましては、いくつかの単元が終わった段階で、「生活を変えるチャンス」というコーナーを設定されております。ここではそれまでに学んできたことを活かして、家庭で取り組むというような内容が設定されております。
また、開隆堂でも同じように、「レッツトライ」「生活の課題と実践」というコーナーを設けているとともに、さらに「チャレンジコーナー」というところで、季節柄のことなどに触れております。

中村公美子委員
図画工作でもそうだったのですけれども、家庭科においても、さまざまな道具を利用する場面が多くあると思います。中には包丁などの扱い方に十分注意が必要なものもあると思うのですが、道具の使い方について、記述内容に工夫されている点や特徴があったら教えてください。

教育センター所長代理(西田太郎)
道具の使い方等ですけれども、どちらも調理実習・製作実習等の際の安全について、各題材の見やすい位置に提示されております。
東京書籍につきましては、左利きの場合の取扱いの写真なども大きく提示されております。
開隆堂につきましては、調理実習等の後での片付けの場面についての記述が多く充実されていると思います。それから、開隆堂につきましては、ご飯を炊く場面があるのですけれども、その際の調理器具の外からの写真と、内部でどういうことが起こっているかという写真も合わせて掲載されておりますので、非常に分かりやすい図になっていると思われます。

深堀基子委員
さきほどの器具の安全ということもあるのですが、家庭科教育については、安全教育も重要な視点と認識しています。東京書籍と開隆堂では安全・防災についての記載に違いはあるのでしょうか。

教育センター所長代理(西田太郎)
東京書籍につきましては、巻末に安全教育を紹介するページがあります。例えば「地震が起きたら」という形で取り扱っております。
また、開隆堂では、教科書の最初に2ページにわたって「安全に実習をしよう」という見出しで学習する配慮がなされており、学習時及び生活上で、安全・防災等の視点を特に重視していることが分かります。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは特に無いようですので、家庭について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

深堀基子委員
私は、今説明いただいた中で、また教科書を見せていただいて、これから家庭科を学ぶ上での安全な実習に関するページが巻頭にあり、また「チャレンジコーナー」というページもあり、児童が自らチャレンジしてみたくなるような内容が掲載されていました。私は開隆堂の小学校 私たちの家庭科の教科書が良いと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、深堀委員から開隆堂が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、家庭については、開隆堂を採択することに決します。

続きまして、保健について審議をいたします。報告をお願いします。

【11.保健】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 新しい保健
児童にとって何を学ぶのかが明確で、興味を引く導入の工夫や書き込み欄により児童の主体的な学習を促し、課題解決に取り組みやすい。思考を促す言葉や例が分かりやすく、発展的な内容としても資料が充実している。

大日本図書 たのしい保健
学習内容が明確に記されており、「やってみよう」という活動が多く取り入れられていることで、技能の習得につながっている。活用の場面では「安全マップ」を作る活動が設定されており、深い学びへつながるよう工夫されている。

文教社 わたしたちの保健
児童が習得した知識や経験を活用し、これからの人生がよりよいものになること、その目標に向かって自分自身の課題を見つけ、向上心を養い、明るく楽しい生活を営む態度が身につくよう創意工夫されている。

光文書院 小学保健
「主体的・対話的で深い学び」につながるよう、調べたり、話し合ったりする活動が提示され、毎時間の終わりには習得した知識を活用し、課題を解決する学習活動が設定されている。

学研教育みらい みんなの保健
単元のはじめに課題を提示して学習内容を明確にし、問題解決的な学習にも取り組みやすくなっている。心と体の変化は一人ひとり違うことや「性」の多様性に配慮されたものになっている。

樽井弘三教育長
それでは、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

八十祐治委員
最近のニュースにおいて、芸能人などの違法な薬物使用が話題になっていますけれども、この「薬物」について、どのような扱いになっているのでしょうか。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
5者とも、5・6年の「病気の予防」という単元で扱っております。薬物乱用については、法律で厳しく禁止されていることが明記されています。薬物乱用は、シンナーだけにとどまらず、覚醒剤・大麻を取り上げ、1回の乱用でも、死に至ることがあり、乱用を続けると止められなくなり、心身の健康に重大な害を及ぼすことが理解できるようになっております。
特に大日本図書においては、「スピード」「エス」「チョコ」「合法ドラッグ」などの薬物の具体的な名前を出すことで、より注意喚起しており、「なぜ薬物乱用をしてはいけないのか」をまとめる活動を表示しております。
文教社においては、薬物乱用の症状について扱い、法律で禁止されていることや厳しく罰せられることや危険ドラッグにも触れています。まとめにシンナーを勧められたときの断り方を学ぶ活動をします。
学研においては、シンナーや麻薬、覚せい剤の薬物乱用の影響について扱い、法律で禁止されていることや薬物乱用のきっかけにも触れています。まとめとして、薬物を勧められたときの断り方を学ぶ活動をします。また、発展として、学校医が医薬品の正しい使い方やお薬手帳について詳しく説明する内容になっております。

中村公美子委員
「主体的・対話的で深い学び」という観点からは、どのような取扱いになっているか、少し教えてください。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
5者ともに、単元ごと、1時間ごとに「主体的・対話的で深い学び」を実現する構成になっています。1時間の流れとして、学習課題に対して自らの生活や経験をふりかえって考えたり調べたりして、自分の考えをまとめて書いたり、対話したりする活動を取り入れております。一例をあげますと、5・6年の「心の健康」の単元では、自分自身の不安や悩みをチェックシートでふりかえって見つめ、自分のことだけでなく同じように悩む他者への関わり方や接し方を具体的な場面を想定して交流して学び合い、自分の考えをまとめて実生活に生かす、というような構成となっております。

美濃律委員
中高生の喫煙や飲酒を未然に防ぐためにも、小学生のうちから「たばこ・酒の害」については、しっかり学ばせたいと考えておりますが、各者どのような取扱いになっているか教えていただきたい。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
5者とも5・6年の「病気の予防」という単元で扱っております。喫煙・飲酒の行為は健康を損なう原因となること、法律で禁止されていることが明記されております。
東京書籍では、受動喫煙について、周囲の人々にも健康に影響を及ぼすことを理解できるようになっており、喫煙・飲酒を誘われた時の断り方を学習することができるようになっています。
大日本図書では、飲酒やたばこを吸うとどのような影響があるかについて知り、たばこやお酒をすすめられた時の断り方を学習できるようになっております。
文教社では、飲酒や喫煙によってどのような影響を受けるのか、多数の写真を掲載して視覚的に訴える内容になっており、未成年の禁煙や飲酒防止のポスターを掲載して児童の関心を高める内容になっています。
光文書院では、喫煙を制限したり、禁煙にしたりしている場所が増えている理由を考えさせる活動を扱い、飲酒やたばこを吸うとどのような影響があるか学習ができるようになっております。
学研においては、「喫煙・飲酒をしないために」という学習では、喫煙、飲酒を誘われたときの断り方を考える場面を設定し、ロールプレイの手法で学ぶようにしており、「かがくの目」というコーナーでは印象的な資料を使い、喫煙・飲酒の害を視覚的に訴えることでより効果的な内容となっております。

深堀基子委員
新たに加わった保健領域における「技能」は具体的にどのように取り扱われていますか。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
5者ともに、保健の「技能」については、5・6年の「心の発達」と「けがの防止」で扱っております。例えば、学研では「心の発達」の単元において、不安や悩みの対処でリラクゼーションの方法として、体ほぐし運動と呼吸法についての活動を扱っております。また、「けがの防止」では、擦り傷や切り傷、打撲等についてのけがの手当を学ぶ内容になっております。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは特に無いようですので、保健について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

中村公美子委員
新しい学習指導要領では、健康な生活や体の発育や発達、病気の予防などについて課題を見つけ、その解決に向けて考え、それを表現することということが重視されています。これはつまり「主体的・対話的で深い学び」という観点になると思います。さきほどの説明のとおり、各者それぞれに工夫されていると思うのですけれども、その中で運動領域とのつながり、生活との結びつき方で、実験や体験的な学習活動が多く取り入れられているところなど、そういったところからも学研の教科書が良いと思うのですが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、中村委員から学研が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、保健については、学研を採択することに決します。

続きまして、英語について審議いたします。報告をお願いします。

【12.英語】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 New Horizon Elementary English Course/Picture Dictionary
全Unitが、「聞く」「話す」「コミュニケーション活動」「探究活動」の4パートで構成されており、4技能の総合的な育成を図っている。別冊のPicture Dictionaryは、表現活動にも活用でき、また中学校への学習につなげることができる。

開隆堂出版 Junior Sunshine
各Lessonは「聞く」からはじまり、ターゲットとなる表現を段階的に繰り返すことで無理なく習得できるよう構成されている。「文字になれよう」の特設コーナーでは音と文字の関係や書くときのルールを系統的に、本課と並行して丁寧に学習できるようになっている。

学校図書 Junior Total English
セクションごとに目標表現が明示されており、学習の見通しをもち、主体的に学習できるような構成となっている。基本となる英語の歌、聞く、チャンツなどの音声インプットを毎時間繰り返すことで英語に慣れることや気づきを促すよう、構成されている。

三省堂 Crown Jr.
Presentationでは、グループで協働的に活動するようになっており自分たちでコミュニケーションの目的・場面・状況を理解し、見通しをもって準備をすることで互いに学びあうことができるようになっている。

教育出版 One World Smiles
ペアやグループで取り組むコミュニケーション活動が豊富で主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成につなげることができる。巻末のカードにミシン目が入っていて扱いやすい。

光村図書出版 Here We Go!
「聞く」「話す」活動を経て徐々に「読む」「書く」へと移行することで無理なく4技能を育成する構成となっている。全UnitにResponseのコーナーがあり、あいづちや聞き返す表現等を紹介し、コミュニケーションを図ろうとする力を育むことができるよう工夫されている。

新興出版社啓林館 Blue Sky elementary
単元を通して「聞く」活動が豊富にあり、自己表現の活動であるActivityではペアやグループワークによる主体的・対話的な学習を通してコミュニケーション能力の基礎が養えるようになっている。Unit末には「書く」「読む」教材が設定されている。

樽井弘三教育
それでは、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

八十祐治委員
これまでは外国語活動として文部科学省の教材「Wecan」がありましたけれども、今回教科化されるにあたって初めて教科書を使用することになるわけですが、これらの教科書にはどのような特徴があるのでしょうか。教えてください。

教育センター所長代理(西田太郎)
今回の教科書についてですけれども、各者とも文部科学省が出しておりました「Wecan」という教材、これを踏襲しておりまして、大枠でいいますと、単元の始めに見通しを立てる、学習内容を繰り返し統合的に活用しながら定着を図る、自己紹介などの表現の活動をする、学習を振り返る、という流れが基本となっております。習得した内容を、4技能を関連付けながら活用する力を身につける。学習したことをまとまりごとに整理して、自己表現につなげるコミュニケーション活動も充実しております。また、その他の特徴としましては、単元ごとに、明確に到達目標の提示があり、児童が主体的に見通しを持って学習に取り組むことができる工夫が増えています。

美濃律委員
子どもたちは新しい教科として英語に取り組むのですが、その子どもたちにとって使いやすい、分かりやすい教科書とはどのようなものでしょうか。

教育センター所長代理(西田太郎)
先ほどと少し被るところはありますけれども、子どもたちにとって、分かりやすい、使いやすい教科書というのは、やはり、学習の見通しが分かりやすいものがよいと考えております。その単元での学習目標を知って、学習を積み重ね、単元の最後にはどのような力がついたかを「-することができた」という形で振り返ることができると、次への学習意欲につながるものと考えております。
各者とも学習の目標等は示されていますが、例えば、東京書籍では、各課の冒頭で単元の目標が示され、その後も見開きのページごとに各時間の目標が示されるなど各ユニットの流れが一定で子どもたちにとって非常に分かりやすいものになっています。 
学校図書につきましては見開きのページごとに、ターゲットセンテンスといわれる目標表現が英語で示されています。
また、光村図書ではUnitの導入ページ左上に単元目標や学習することが明示されており、学習の見通しが持ちやすくなっています。また、英語を使用する場面を明確に設定することで英語を使う必然性を持たせることも非常に大事になっております。 
光村図書におきましては、導入ページのイラストやアニメーションを手がかりに、子どもたちが話の内容をつかむ作りとなっています。本文中の挿し絵やイラスト等が効果的に配置されることによって、理解の手助けになる教科書というのも子どもにとって使いやすいと考えております。

深堀基子委員
学校の先生方にとっても今回初めて教科として授業を行うことになりますが、教員にとって使いやすい教科書とはどのようなものでしょうか。

教育センター所長代理(西田太郎)
先生方にとって使いやすい教科書ということですけれども、これも、先ほどの、子どもたちと共通する部分はありますが、子どもたちと同じように、学習の見通し、それから授業の流れがわかりやすいものが非常に使いやすいと考えております。その単元で何を学ぶのか、各授業でどんな活動をすればよいのかが明確であれば、授業の計画も立てやすくなると考えております。
また、教科書の構成で見ますと、開隆堂のように「書く」学習が巻末等にまとめられてる教科書、それから東京書籍は別冊で「Picture dictionary」というものがありますが、この場合、本編と合わせて学習していく必要がありまして、ページをめくりながら等しながら、授業を進めていくことになります。一方、光村図書や三省堂のように「書く」学習が本編にある場合は、基本的には教科書を前から順番に取り組めば、4技能をカバーできますので、教員にとっては、非常に使いやすいと思われます。

中村公美子委員
3、4年生の外国語活動からの接続、そして、中学校英語への接続についての取扱いであったり、配慮など、特徴的なことがあったら教えてください。

教育センター所長代理(西田太郎)
各学年の接続についてですけれども、ほとんどの教科書は、3、4年生の振り返りのページを設定して、5年生の学習がスタートするという形になっております。各者とも5年生最初の単元では自己紹介などから始まっておりまして、3、4年生で慣れ親しんだ表現等を使って、学習するようなつくりとなっております。
また、中学校との連携につきましては、各者とも中学校生活を意識した単元等が設定されており、光村図書のように、巻末に中学校での英語学習について特設ページを設けている場合もあります。学習内容につきましては、文構造の気づきを促すような場面を設定するなど、工夫がなされております。

八十祐治委員
他の教科でも同様だと思いますが、自学自習力の視点から見てどのような工夫がされていますでしょうか。

教育センター所長代理(西田太郎)
自学自習の視点ですが、各課の始めには、先ほどから何度かありましたが、目標や学習内容が明確に表示されていたり、終わりには、まとめがあり、子どもたちが見通しをもって学習でき、復習しやすいものとなっております。
5年生の教科書で比較しますと、例えば東京書籍では導入のページに単元目標と学習の目標、各見開きのページでの目標が明示されています。
学校図書につきましては、単元の扉のページでレッスンの目標、見開きページの上部に身につけたい目標表現、最後に振り返りという設定になっています。
光村図書につきましては、導入のページに単元の目標と学習の流れが明示されており、見開きのページでそれぞれの目標も設定されています。最後に振り返りを行う設定もあります。
自学という視点では、各者ともQRコードで音声の提供もしており、子どもの自学をサポートできるようなシステムになっています。

深堀基子委員
コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育成するという点で、どのような工夫がされていますか。

教育センター所長代理(西田太郎)
コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育成するという点ですけれども、単元をとおしまして、新出事項について聞く・話す等の活動が繰り返し設定されており、基礎・基本の定着が図られております。また、単元の末には、学習したことを用いて他者に発信する課題が提示されています。
どの教科書につきましても「やり取り」を要する場面が豊富に設定されていますが、例えば5年生の中で「教科や時間」を取り扱う単元で言いますと、東京書籍と開隆堂につきましてはその回数が比較的他者に比べて多い設定がなされています。また、光村図書につきましては全Unitにつきまして、「Response」というコーナーを設けておりまして、そこでは、あいづちやほめ言葉等を取り扱うことで、対話を円滑に進められるような学びの工夫を設定されております。

美濃律委員
新学習指導要領では「読むこと」と「書くこと」が含まれておりますが、各教科書ではどのように扱われていますか。

教育センター所長代理(西田太郎)
「読むこと」と「書くこと」についてですけれども、今回の学習指導要領上での小学校の「読むこと」と「書くこと」というものは、中学校とはずいぶんと違うものとなっております。例えば「読むこと」についてですが、学習指導要領上では、活字体で書かれた文字を識別し、その読み方を発音することができるようにする、音声で十分慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現の意味が分かるようにする、となっています。例えばアルファベットの大文字小文字を識別できる、読み方を適切に発音するということになります。
また、例えば、英語での物語を読む場合につきましても、開隆堂で取り上げている「大きなかぶ」を例にしますと、知っている物語を、絵を見ながら英語で聞く、その後、その英語の発音に続いて言う、という取扱いになっております。 
また、「書くこと」につきましては、大文字小文字を活字体で書くことができるようにする、音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や表現を書き写すことができる、例文を参考に書くことができる、ということになっております。
それを踏まえまして、例えば東京書籍や開隆堂では、教科書の後半に文字を取り扱うコーナーを設定しまして、本編と合わせてアルファベット等英文を書くことに取り組んでおります。一方、光村図書等では、文字だけを取り出して学習ということではなく、単元の中で目標となる表現を十分に練習して、その慣れ親しんだ表現を少しずつ書く練習をするという場面が設定されています。

樽井弘三教育
私が懸念することを少し言いますので、小学校の英語で600から700の単語が出てくるということで、5年生から教科になる、ということは、英語嫌いを作ってしまう可能性が否定できないと思います。そうなると、新たな格差が生じることも、これは、我々が考慮しておかなければならないと思います。そういった視点から各教科書をみたときに、工夫されていると思います。どんな工夫がなされていますか。

教育センター所長代理(西田太郎)
先ほどの取り扱う語数ですけれども、600から700語程度となっておりますけれども、小学校の英語で取り扱う語句については、例えば聞いて意味を理解できるようにする語句と、話して表現できるようにする語句というふうに分けられております。
一回の授業等で習得できるものではないので、各者とも同じ単語や表現を繰り返し、一つの単元でやると、次の単元でとか違う学年でとか、いうように何度も何度も同じ語句とか表現を使うような工夫をしておりまして、一定定着を図れるような工夫が全体的にはなされています。

樽井弘三教育
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは特に無いようですので、英語について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

中村公美子委員
内容について、「聞く」「話す」「読む」「書く」という言語活動の4技能のバランスの良さ、そして、活用のしやすさ、また、子ども同士のコミュニケーションというのが多く取り入れられているということで、授業が活動的になること、そして、この場の審議からも、光村図書の教科書が良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育
ただいま、中村委員から光村図書が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、英語については、光村図書を採択することに決します。

それでは、次に道徳について審議いたします。報告をお願いします。

【13.道徳】

教育指導課指導主事(直原考志)
総合所見の抜粋にてお伝えいたします。

東京書籍 新訂 新しい道徳
「いじめ問題」については全学年で重要項目として「いじめのない世界へ」を設けており、とびらページと直接的教材、間接的教材を1つのユニットとして位置付けることによりいじめ防止の効果を高めるよう工夫している。

学校図書 かがやけ みらい 小学校 道徳 きづき/まなび
「きづき」と「まなび」の、2冊で1つの教科書として構成されている。「きづき」には多彩な教材が配され、「まなび」には「自分の考え」「友達の考え」、学習を振り返り自分につなげていく自己評価欄として「つなげていこう」が設定され、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え深められるよう取り扱われている。

教育出版 小学道徳 はばたこう明日へ
児童が道徳的価値に自我関与するだけでなく、問題解決学習や体験的な学習を扱うことのできる多種多様な教材が配置されている。いじめ問題や人権問題については、発達段階に応じて段階的に学習できるよう教材が精選されている。

光村図書出版 道徳 きみがいちばんひかるとき
読みやすさ・見やすさを追求し、挿絵をふんだんに配し、ページの構成等に配慮がなされている。児童の1年間の成長を考慮して、年間を3つのまとまりに分け、まとまりごとに重点を置いて構成されている。

日本文教出版 小学道徳 生きる力/道徳ノート
「いじめ」についてはユニット構成を採用しており、いじめを直接的・間接的に扱った教材を組み合わせて集中的に学習できるようになっている。別冊の「道徳ノート」を活用し、自分の意見をまとめることで、活発な話し合い活動に取り組むことができるよう工夫されている。

光文書院 小学道徳 ゆたかな心
児童の興味・関心を引き出し、心を揺さぶるような教材が豊富に取り上げられている。文字やイラストを見やすくしたり、登場人物が紹介され、児童の読みの理解の手助けをしたりするなど、特別支援教育の視点を含む様々な配慮が行われている。

学研教育みらい 新・みんなの道徳
教材の主題名をあえて本文より前に記載しないことで、児童自らが考えを深め、主体的に問題意識をもてるように工夫されている。さらに多面的・多角的に考えられるように「学び方のページ」を展開するなどの工夫がされている。

廣済堂あかつき みんなで考え、話し合う小学生の道徳/自分を見つめ、考える道徳ノート
本冊とは別に「道徳ノート」があり、本冊で他者との対話的な学習に取り組んだ後、別冊に自分の考えを記述させることで、自己の生き方について考えを深め、道徳的な判断力、心情、実践意欲を育てる構成になっている。

樽井弘三教育長
報告が終わりましたけれども、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

八十祐治委員
道徳が教科化された経緯に、子どもたちが自己の生き方を見つめ、多様な考えを聞くことを通して自己のよりよい生き方を考えていくという「考え、議論する道徳」への転換が求められていると思いますが、その「考え、議論する道徳」の視点から見て、各者はどのような工夫がありますか。

教育指導課長(青野淳)
各発行者ともに「考え、議論する道徳」の視点というのが工夫されております。
例えば、東京書籍につきましては、児童の多様な考えを引き出せるように、これまでの読み物教材とは異なった形式の「活動型教材」などを取り入れております。
学校図書につきましては、教材の冒頭に、内容項目、次第等を記載しないことで、児童自身が自ら問題に気づけるよう配慮されております。また別冊の「まなび」にある発問「かんがえよう」では、「きづき」の登場人物の道徳的課題について児童が主体的に取り組むことができる話し合い活動が示されるなどの工夫がされております。
光村図書につきましては、教材末に「考えよう・話し合おう」の欄が設けられており、心情を問う問いや役割などを通して考えを深め、主体的な活動が期待できます。
教育出版につきましては、教材の末尾に「考えよう・深めよう」の設問例を通して、考えを深められるような工夫がされております。
光文書院につきましては、オリエンテーションにおいて、話し合い活動についての方法を掲載し、その重要性や目的が分かるようになっております。
日本文教出版につきましては、「心のベンチ」というコラムが設定されており、道徳的価値をより深く、多面的・多角的に考えられるような工夫がされております。
学研教育みらいにつきましては、教材本文前に主題名を表示せず、児童が自ら主体的に課題が発見できるような工夫がされております。
廣済堂あかつきにつきましては、教材ごとに設けられた「考えよう 話し合おう」の問いや別冊ノートに設けられた書き込み欄の活用によって、道徳的課題に向き合えるような工夫がされております。

深堀基子委員
道徳が教科化され、大きく変更した点として「評価を行うこと」が挙げられるかと思います。道徳の評価のあり方についてはこれまでもたくさん議論され、非常に難しい課題であると認識しております。また、高槻市でも「評価事例集」を作成し、研究をされてきたと思いますが、評価を行っていく上で、どのような工夫がありますか。

教育指導課長(青野淳)
評価につきましてですが、児童一人ひとりの学習の状況、成長の様子を見取るために道徳科の授業の中での記録、例えば、作文やノートの記述などの記録を活用していくこととなり、各発行者とも工夫がされております。
特に特徴的なところで申し上げますと、東京書籍におきましては、巻末に「学習の記録」などのページが設けられており、児童が自らの成長を実感するとともに、記述内容から成長を見取ることができるような工夫がされております。
学校図書につきましては、評価のための「まなび」を蓄積する工夫や、大くくりな評価への配慮がされております。特に、別冊の「まなび」には「きづき」に対応した発問とともに児童の書き込み欄が用意されており、学びを蓄積するポートフォリオとして活用できるよう配慮されております。また、学習状況や成長の様子を多面的・多角的に見取り、授業者が自ら指導を評価し、授業改善に努める材料となるような配慮もされております。
日本文教出版につきましても、別冊の「道徳ノート」がついており、道徳の学習をポートフォリオとしてまとめることができ、また、1教材1ページで構成されており、教材毎に児童の意見や自己評価が記入できるようになっております。

美濃律委員
先ほどの課長の話の中で、「別冊」という話が出ておりましたが、児童が行う学習の記録の中に、いくつかの発行者では、別冊として道徳ノートのようなものがありますが、これにはどのような利点がありますか。

教育指導課長(青野淳)
別冊というものを採用しているのは、3発行者で、学校図書と日本文教出版、廣済堂あかつきです。
別冊ノートの利点は、それぞれ1枚もののワークシートと違って散逸しにくく、1冊のノートなので、後で、以前の記入を振り返ることもでき、自分自身の成長の記録ともなります。また、教員にとりましても、児童の学習状況や成長の様子を継続的に把握でき、指導や評価に役立てることができます。さらに、教科書自体に書き込むものと違い、例えば別冊ノートを回収し、教員がコメントを記入したり、また保護者にコメントを書いてもらいやすいなどやりとりもしやすいという利点がございます。

中村公美子委員
小学校では、現在学校図書の教科書を使用していますが、2年間の使用の実績を踏まえて、学校現場からの意見はどういったものが多いか。特に良かった点であったり、逆に何か課題等あれば教えていただけますか。

教育指導課長(青野淳)
学校意見書やこれまでの高槻市の道徳教育推進教師連絡会等での意見によりますと、3年生の教科書の「『清のゆめ』や6年生の教科書の『作業服のノーベル賞』など、それぞれの個性を認め合い、互いのよさを輝かせ合う人々を扱った教材が豊富である。」といったご意見もありました。また6年生の教材、「みんなに当たり前の幸せを指導するさいですね、参考として世界人権宣言の資料等が掲載されるなど、参考資料が豊富でわかりやすい」などの意見もございました。その他にも「巻頭に教科書の使い方の説明があり、とてもわかりやすい」という意見や、「読み物と別冊の2部構成で、多様な意見を交換できるような工夫がされている。」などの意見がございました。特に大きな課題等については聞いておりません。

八十祐治委員
道徳の教科化は、いじめ問題に端を発しており、道徳の授業が、いじめ問題の解消や未然防止につながることが期待されていると思います。いじめ問題はどのように扱われているのか。主だった発行者などがあれば教えていただきたい。

教育指導課長(青野淳)
各発行者とも、いじめ問題については取り扱われております。特に特徴的なところで申し上げますと、
学校図書につきましては、年間を通じて、いじめをしない、許さない心を育む教材が配置されており、いじめ問題を直接取り上げた教材だけではなく、例えば、4年生の「かたづけ当番」のように、児童の日常生活によくあるような、いじめに発展しかねない生活場面に着目した教材などもあります。また、多面的・多角的な視点から考えられるよう、関連する教材には「ともにいきる」というマークを配し、繰り返しさまざま側面から、学びを深められるような工夫もされております。
光村図書につきましては、全学年を通して、様々な内容から「いじめ問題」に結びつく教材とコラムとを組み合わせた「ユニット」が設定されております。
光文書院につきましては、本編教材のほかに、全学年にコラム「みんな仲よし楽しい学校」が発達段階に合わせて設置されております。

深堀基子委員
昨年度に発生した大阪北部地震においては、あらためて、防災教育の大切さを実感しました。高槻市の子どもたちには、主体的に自助・共助といった防災などの課題について考え、行動できる人になってもらいたいと思います。道徳の教科書に防災の取扱いがありましたが、主だった発行者について、どのように取り扱われているか教えてください。

教育指導課長(青野淳)
各発行者とも、防災に関わる教材については取り扱われております。
特に特徴的なところにつきましては、例えば、学校図書では、4年生から6年生に主に、防災に関する教材が配置されております。特に5年生では「記憶をつなぐ 災害と文化遺産」というような教材が配置されており、身近な大阪市の大正区の石碑にまつわる話から災害の記憶を伝えようとする人々の想いについて考える教材などが配置されております。
教育出版につきましては、東日本大震災や熊本地震などの自然災害を題材とした教材が掲載されております。
日本文教出版につきましては、一人ひとりの安全を確保するための知識や能力を向上させる観点から、東日本大震災以外にも多くの災害を取り扱っております。
学研教育みらいにつきましては、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などに関わる教材を配置され、自分との関わりで考えられるように配慮がされております。

美濃律委員
昨年度、中学校の道徳の教科書採択では、日本文教出版が採択されていますが、小学校中学校の接続を考えたときに、同じ発行者の方が良いというようなことはあるのですか。

教育指導課長(青野淳)
必ずしも同じ発行者でなければならないということはございません。
中学校の道徳の授業は、小学校段階で学習をしたことを踏まえて、系統性・発展性などを考慮して指導をすることになっています。つきましては、教科書は、各発行者とも、発達段階にふさわしい教材で構成されておりますので、各教科書の特徴などをもとに、高槻の児童にふさわしい発行者を選定する必要があると考えております。

樽井弘三教育
来年度小学校で完全実施される、新学習指導要領ですけれども、それの1つの考え方として、社会に開かれた教育課程があります。本市では道徳の地区公開講座をこの間実施し、各学校では道徳の授業の公開を地域にしてきたところがあります。これは、非常に大事な視点だと思っております。そういった点から各教科書を見て、どのような工夫がありますか。それについてお聞かせください。

教育指導課長(青野淳)
家庭との連携というところに関しまして、各発行者とも、工夫されておりますけれども、主だったところで申し上げますと、例えば、学校図書につきましては、別冊の「まなび」に「おうちの人から」の欄を2か所ほど設けるなど、大くくりなまとまりで児童の学習に対する所感を記入できるような配慮がされております。
日本文教出版につきましては、オリエンテーションのページがあり、そこに保護者に「道徳科」とはどのような教科で、どのようなことを学ぶかを、メッセージ性をもって伝えられるような工夫もされております。
廣済堂あかつきにつきましては、別冊の「道徳ノート」に「心のしおり」というものがありまして、家の人が見たらチェックできる欄を設けられているなどの工夫がされております。

樽井弘三教育長
他に何かご意見ご質問はございませんか。
それでは特に無いようですので、道徳について採択したいと思いますが、いかがでしょうか。

八十祐治委員
私は、この場の審議などを考えまして、自己を見つめ、ものごとを多面的・多面的に考え、深められるような工夫がなされている点で、学校図書の教科書が良いのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、八十委員から学校図書が良いとのご意見でしたが、いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、道徳については、学校図書を採択することに決します。

樽井弘三教育長
これで、教科については終わりました。
続きまして令和2年度に特別支援学級において使用する学校教育法附則第9条関係教科用図書について審議いたします。

選定委員長より答申の朗読をお願いします。

選定委員長(上田誠一)(答申について理由説明)
令和2年度に特別支援学級において使用する学校教育法附則第9条関係教科用図書について答申いたします。

障がいのある児童生徒の社会参加や自立を実現させる観点に立ち、支援学級に在籍する児童生徒と通常の学級に在籍する児童生徒が、共に学び、共に育つために、高槻市では、可能な限り通常の学級での交流及び共同学習を進めています。そのため、支援学級の児童生徒も附則9条本ではなく「検定教科書」を使用することが望ましいと考えます。
しかし、支援学級に在籍する児童生徒のうち、弱視児童生徒等につきましては、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」第1条及び第2条に基づき、対象児童生徒が必要とする種目の「拡大教科書」を使用することが望ましく、その際の各種目の「拡大教科書」につきましては、令和2年度使用教科用図書として採択された発行者の教科用図書を拡大したものと考えます。

樽井弘三教育長
ただいま、選定委員長より答申の朗読が終わりました。
附則9条本の「拡大教科書」についてですが、令和2年度使用教科用図書として採択された発行者の教科用図書を拡大したものを、障がいの実態に応じて採択するということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議がないようですので、附則9条本については、令和2年度使用教科用図書として採択された発行者の教科用図書を拡大したものを、障がいの実態に応じて採択することといたします。

樽井弘三教育長
続きまして、令和2年度使用高槻市立義務教育諸学校教科用図書中学校の採択について審議いたします。事務局より説明をお願いします。

教育指導課課長代理(丸山みち子)
小中学校用教科書については、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令第14条及び同法施行令第15条第1項に基づき、附則9条本を除き同一の教科書を採択する期間は4年となっております。
さきに学校教育監より説明しましたように、本市においては、4年間の使用実績を踏まえ、平成27年度採択における調査研究の内容を活用し、採択を行っていただきたいと考えております。なお、中学校の道徳につきましては、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律第14条、同法施行令第15条第2項及び第3項の規定により、令和元年度使用教科用図書と同一の教科書を採択しなければならないとなっております。

樽井弘三教育長
ただいま、説明が終わりましたが、委員の皆さん何かご意見ご質問はございませんでしょうか。

樽井弘三教育長
それでは、私のほうから2点確認をしたいのですが、現在使用している教科書は平成27年採択当時から大きな変更点があるのかどうか、これが1つ。もう1つは、4年間の使用実績を踏まえて、現場から問題点等が上がってきているのかどうか。この2つについてお答えいただきたい。

教育指導課長(青野淳)
まず、1点目についてですが、統計データ等が新しいものになるなどの変更した箇所というのはいくつかございますが、特に大きな内容の変更というのはございません。それと、今までの使用実績を踏まえて、学校現場からの声としましては、特に現在使っている教科書について問題があるということは聞いておりません。

樽井弘三教育長
委員の皆さん他よろしいでしょうか。

樽井弘三教育長
そうしましたら、今の議論に基づきまして、高槻市立中学校においては、4年間の使用について特に大きな問題はなかったということですので、その実績を踏まえて本年度と同じ教科用図書を採択することにしたいと思います。いかがでしょうか。

(全員異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議がないようですので、高槻市立中学校は、令和元年度と同一の教科書を採択することといたします。

以上で、「令和2年度使用高槻市立義務教育諸学校教科用図書」は全て採択いたしました。

樽井弘三教育長
ここで、約5分間休憩を取りたいと思います。午後4時20分から再開いたします。

(午後4時15分休憩)

(午後4時20分再開)

樽井弘三教育長
それでは会議を再開いたします。

日程第2、承認第13号、「高槻市教育委員会人事異動の承認について」を議題といたします。提案理由の説明を求めます。

教育次長(土井恵一)(提案理由説明)
ただいま上程されました、日程第2 承認第13号 高槻市教育委員会人事異動の承認について、提案理由のご説明を申し上げます。

本件につきましては、「教育長に対する事務委任等に関する規則」第3条第2項の規定により、教育長が臨時代理しましたもののご承認をお願いするものでございます。

今回の人事異動につきましては、市全体で総数298名の発令がなされており、市長が三期目を迎えて実施する初めての本格的な人事異動であり、主に8月13日付けで実施する機構改革後の新体制を整備し、同時に職員の長期在籍について、一定の解消を図っているものでございます。
教育委員会におきましては、教育管理部と教育指導部を統合し、部長級の「教育次長」を置く1部体制とする。学校教育に係る業務を所掌する部長級の「学校教育監」を置く。学校安全に関する業務を1本化し、「学校安全課」を創設し、学務課を廃止する。学校安全を総括する部長代理級の「教育政策官」を置く。歴史遺産の積極的な活用にさらに取り組むため、文化財課を市長部局に移管する。総務課を教育総務課に名称変更する。などでございます。

それでは、教育委員会における人事異動についてご説明申し上げます。
事務局としましては、管理職21名、一般職15名の異動であり、他部局への出向者は28名でございます。
昇格者につきましては、課長級が1名、副主幹級が1名でございます。
次に、幼稚園関係の異動でございますが、欠員を補充するために、任期付保育教諭を7月1日付けで1名新規採用しております。
なお、平成31年4月から令和元年7月にかけて、合計3名の退職がございましたので併せてご報告いたします。
それぞれの人事異動の詳細につきましては、議案書にお示ししておりますのでよろしくお願いいたします。

以上、誠に簡単な説明でございますが、よろしくご審議のうえ、ご承認いただきますようお願い申し上げます。

樽井弘三教育長
ただいま、提案理由の説明が終わりましたが、委員の皆さん何かご質問はございませんでしょうか。

樽井弘三教育長
よろしいでしょうか。
それでは、無いようですので、採決に入ります。承認第13号、「高槻市教育委員会人事異動の承認について」を原案どおり承認してご異議ございませんか。

(異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、本件は原案どおり承認されました。

続きまして、日程第3、議案第33号、「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価について」を議題といたします。提案理由の説明を求めます。

教育次長(土井恵一)(提案理由説明)
ただいま上程されました、日程第3、議案第33号、「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価」につきまして、提案理由のご説明を申し上げます。

お手元の平成30年度高槻市教育委員会事務点検評価表の1ページをご覧いただきたいと思います。
まず、(1)概要でございますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第26条の規定におきまして、「教育委員会は、毎年、その権限に属する事務について点検及び評価を行い、議会に報告書を提出するとともに公表しなければならない」とされております。点検評価の対象は、教育諸事業全般でございます。
次に、(2)実施方法についてでございます。平成30年度教育努力目標の具体的目標ごとの取組状況を踏まえ、点検評価表を作成いたしました。また、教育に関し学識経験を有する者の知見を活用するため、「高槻市教育委員会事務評価委員会」を設置し、3人の委員の方から、2回の審議を経て、ご意見をいただきました。その意見書につきましては、今回資料としてお手元に用意させていただいております。
次に、点検評価表の構成でございますが、3ページから90ページが点検評価表となっており、丸数字で示しております「教育努力目標」の小項目ごとに点検評価を実施いたしました。91ページからは参考資料でございます。
本日は、「点検評価表」及び「事務評価委員会からの意見書」を参考にして、教育委員の皆様にご議論いただき、点検評価の総括をしていただきたいと存じます。
そして、本日のご意見をまとめた「報告書」を作成いたしまして、「点検評価表」及び「事務評価委員会からの意見書」とあわせまして9月市議会に提出し、市ホームページ等で公表してまいります。

以上、簡単な説明ではございますが、よろしくご審議いただき、平成30年度における「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価」につきまして、総括的なご意見をいただき、原案をご可決賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

樽井弘三教育長
ただいま、提案理由説明が終わりましたが、「教育委員会が自らの事務の点検・評価をする」という観点からご意見をいただきたいと思います。
また、高槻市教育委員会事務評価委員会から「高槻市教育委員会事務の点検・評価について」ということで、意見をいただいておりますので、事務評価委員会の意見を参考にしながら議事を進めたいと思います。

進め方でございますが、大きく3つに分けまして、まず、点検評価表の2つの大項目、1つは「子どもの社会参画力を育む基本施策」、2つは「子どもを取り巻く教育力を高める基本施策」、それぞれについて審議した上で、次に、「全体の点検評価の取りまとめ」という進行でいきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(異議なし)

樽井弘三教育長
それでは、まず、「子どもの社会参画力を育む基本施策」ということで、「1 確かな学力の育成、2 豊かな人間性の育成、3 健やかな心身の育成」の項目について、委員の皆さんのご意見をいただきたいと思います。

八十祐治委員
意見を述べさせていただきます。

確かな学力の育成については、
高槻市では、生徒の習熟度に応じた、きめ細やかな指導が継続的かつ計画的に実施されおり、また、9年間を見通した小中一貫教育が推進され、小中学校の連携が図られていることにより、全国学力・学習状況調査においても、高槻市の小中学校ともに学力が向上傾向にあるという結果に結びついているのだと思います。
今後も、このような取組が継続的かつ計画的に実施されていくと共に、教員の指導力の強化・育成を図りつつ、現場のニーズに即した研修の実施及び授業研究、授業改善に継続的に取り組まれていくことにより、更なる学力向上を目指していっていただければと思います。

次に、豊かな人間性の育成ですけれども、
高槻市では、これまでも、多様化する学校現場の課題に対し、組織的かつ継続的に取り組まれてきていますが、特に、深刻化するいじめ問題に対しては、生徒指導ヒアリングやいじめに関するアンケート、個別面談等を実施し、組織的に早期発見、早期解決に向けた取組が行われていると評価しています。
いじめのない社会を目指すためには、この深刻化するいじめなどの問題に対し、児童生徒自身が、自主的・主体的な姿勢で取り組むことが不可欠であります。道徳の教科化にともない、道徳教育の充実・推進を図ることで、児童生徒が、生命を大切にする心や他人を思いやる心、善悪の判断などの規範意識等の道徳性を身に付けていってほしいと考えています。

次に、健やかな心身の育成ですけれども、
近年、安全で安心な社会の担い手となる児童生徒への安全教育の重要性が高まっています。児童生徒自身が自ら危険を予測し、その危機回避する能力を育成し、安全意識を高めるために、高槻市全体として安全教育及び危機管理体制の充実を図り、常に、児童生徒の交通安全や生活安全に対する意識の向上を目指していかなければならないと考えています。今後も、校区安全マップを作成、配布、活用する等、児童生徒の実態に応じた安全に係る教育が、組織的かつ計画的に進められていくことを期待しています。

美濃律委員
確かな学力の育成ですけれども、
9年間の一貫教育は児童生徒の学力の育成、新学習指導要領が目指す「主体的、対話的で深い学び」の実現に向け大きな効果を発揮するものと思いますのでこれからも取組を進めていただきたいと思います。

豊かな人間性の育成ですが、
特別の教科道徳が実施され、道徳的心情や判断力が育まれることにより、いじめ等の問題の減少、障がい者への理解など、将来にわたり自分の生き方を確かなものにすると考えますので家庭や地域との連携をより一層密にしていただき、取り組んでいただきたいと思います。

健やかな心身の育成ですが、
生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の向上を図っていくことが健やかな心身の育成につながり、生活習慣のみだれ、生活習慣病、心の健康問題の改善に効果的であると考えます。そのためにいろいろな角度から取り組まれている事はすばらしいことだと思いますので継続していただきたいと思います。
食育におきましては計画的、組織的に推進するために、食育フェアへの参加や地産地消の取組を、家庭や地域との連携を図り継続していただきたいと思います。

深堀基子委員
何点かの質問をさせていただきたいと思います。

1、確かな学力の育成では、
5ページの、全国学力・学習状況調査について、「市の分析結果を各校に提供した。また、ホームページや広報誌に掲載し保護者や市民に公表した。各学校では実態把握と結果分析を行い、児童生徒への指導に活用するとともに、保護者や地域に情報提供を行った。」とありますが、ここで言う地域とは、具体的にどこに行ったのでしょうか。
11ページの、再チャレンジ教室の推進校6校とは、どこの学校のことでしょうか。
「家庭学習サービス」を利用し、とありますが、家庭学習サービスとはどういうことなのか、お伺いします。
13ページに、「小中で連携し蓄積する教材(キャリア・パスポート等)について研究を進める。」とありますが、2020年4月から、キャリア・パスポートが小・中・高で実施されると思いますが、具体的にどのような取組なのか、教えてください。
15ページに、「理科ワーキンググループは平成30年度末をもって終了となる。」とありますが、何故終了することになったのか、お聞かせください。

2、豊かな人間性の育成では、
29ページの、小学校では「対人暴力」を除く「対教師暴力」、「児童間暴力」、「器物破損」が減少し、中学校においては、全て減少となっています。どのような指導が減少に繋がったのか。と、「はにたんの子どもいじめ110番」の相談件数は、昨年度は何件あったのでしょうか。

3、健やかな心身の育成では、
39ページの、「第10回小学校駅伝大会の開催を6年生のみの大会となった。」とありますが1チーム何人で走るのか。4年生、5年生から走りたいと言う声は無かったのか、お聞かせください。
中学校の部活動で、全国大会にフィギュアスケートとありますが、中学校の部活動にフィギュアスケートの部はあるのでしょうか、お聞かせください。

樽井弘三教育長
それでは、まず確かな学力の育成の項目で5つご質問があったと思います。回答をお願いします。

教育指導課副主幹(杉野暁子
まず1つ目の、「保護者や地域に全国学力・学習状況調査の情報提供を行った」の地域とはというご質問だったと思います。例えば、各学校では学校だよりを通して保護者や地域の方に情報提供をしたり、学校園評議員会等で各校の重点目標等に照らし合わせた分析結果を示して、成果や課題などをその地域の方々と共通認識をすることに役立てております。

次のご質問で、再チャレンジ教室の推進校についてです。再チャレンジ教室の推進校は、家庭学習の実態やこれまでの再チャレンジ教室の活用実績などを総合的に鑑みまして、平成30年度は三箇牧小学校、桜台小学校、柱本小学校、竹の内小学校、中学校は2校あるのですが、第二中学校、第十中学校の6校を指定し、実施しました。通常の学校が再チャレンジ教室の学習アドバイザーを年間のべ80人分派遣できるのに対して、推進校については、のべ120人分派遣することができるようにしております。

その次の質問ですが、家庭学習サービスとは、インターネット等を利用して個々の児童生徒の課題に合わせた教材を利用できるサービスで、「地域と連携した特色ある学校づくり」の予算等を活用して、導入している学校が多くあります。利用の方法としては、学校において放課後学習やテスト前の学習会で活用したり、家庭学習で活用するなどしており、家庭学習の定着や自学自習力の向上に役立てております。

次の「キャリア・パスポート」についてです。「キャリア・パスポート」とは、児童生徒がキャリア教育にかかわる諸活動について、その取組に関して学んだことや自身の変容や自己評価したものを、ファイル等にポートフォリオのように蓄積していくものです。そして、それを小学校入学から高等学校卒業までの記録を引き継ぐものとされております。来年度からの実施に向けては今年度中に担当者会を実施して、本市でもすでに取り組んでいる中学校区もありますので、その取組事例をその場で紹介するなどして、趣旨の理解を図り、実施に向けての手順の説明を行うことを計画しております。

教育センター所長(藤田卓也)
理科のワーキンググループについてでございますが、この理科のワーキンググループは新学習指導要領の方向性や本市の理科教育の現状をふまえまして、これからめざすべき理科教育の授業のあり方の研究および成果の発信を目的に、平成29年度より2年間の計画で実施をしてまいりました。初年度につきましては、主に授業研究や本市の現状の調査、2年目、昨年度につきましては、研究の内容を小中学校、最終的には計10回、理科の研修を行うという形で発信をいたしまして、各校に普及を行いました。これらのことからワーキンググループの目的につきましては、一定の役割を果たせたのではないかと考えております。なお、今年度につきましても、この研究の成果につきましては引き続き発信をしていくということで、市の教育研究会の小中学校の理科部会と共同いたしまして、内容の発信ということにつきましては継続して続けていく予定をしております。

樽井弘三教育長
それでは次の質問、豊かな人間性と健やかな心身の部分で、ご答弁をお願いします。

教育指導課副主幹(武藤亮)
暴力行為減少に成果のあった指導についてですが、暴力行為減少のための成果があった取組としましては、毎月実施している関係機関と連携した補導連絡会で小中学校の取組の情報を共有したり、生徒指導主事等連絡会で学校間での連携や各校における指導方法、暴力行為件数減少に向けた未然防止のための成長を促す指導の実践等について交流しております。このことで、学校の組織的な生徒指導体制が整い、個に応じた的確な指導を行うことによって大幅な減少につながったと考えております。また、学校だけでは解決困難な状況が生起した場合には、学校問題解決チームを派遣し、弁護士、警察官OB、臨床心理士、スクールソーシャルワーカーからの助言を受けて、学校の組織体制の立て直しを図ったことの成果があったと考えております。
続いて、「はにたんの子どもいじめ110番」の相談件数でございますが、昨年度は2件でございます。

続きまして、駅伝大会についてですけれども、駅伝大会は1チーム6人でございます。4・5年生から走りたいという声がなかったかということですが、学校によっては4・5年生から走りたいという声があったと聞いておりますが、参加希望者全員が参加できる6年生大会の趣旨をご理解いただいております。
続いて、中学校の部活動にフィギュアスケートがあるのかということですが、市内公立中学校の部活動にフィギュアスケート部はございません。全国大会に出場した生徒は、普段は関大アイスアリーナで練習しておりますが、全国大会は学校からの出場となっております。

中村公美子委員
確かな学力の育成のところで、
(1)小中一貫した学習指導の充実について、調査や各種データ等に基づいて、教育課程を編成し、実施することができているのではないかと考えています。今後は、実施してきたことを評価して改善を図る必要があると思います。その中で、教科横断的な視点で教科や学年を越えた組織運営の改善、地域等の外部の人的・物的資源の効果的な活用、この2点を積極的に考えていく必要があるのではないかと思います。
次に、(2)きめ細かな学習指導の充実についてですが、教育は今日からはじめて来月すぐに成果が上げられる、という短期的なものではないと理解しています。その中で、全国学力・学習状況調査等の経年変化からも、高槻市の子どもたちの学力は、着実に一定の成果が得られていると評価できるのではないかと思います。今後、新学習指導要領の実施もあり、さらなる授業改善、授業力の向上に取り組んでいっていただきたいと思います。と同時に、家庭での学習習慣や自学自習力について依然として課題があることからも、保護者も教師も、子どもの姿を観察しながら、「楽しめる要素」と「チャレンジングな負荷」をバランスよく調整する技術が必要なのかなと考えています。「学びに向かう力の育成」についての調査研究を一層深めていっていただきたいと思っております。
そして、(3)自ら学び続ける力の育成についてですが、ICT機器を使用した授業、という段階からさらに一歩踏み出した、情報や技術を使いこなす創造的なスキルを養うことに焦点を当てる授業へと転換が必要なのではないかなと考えています。
確かな学力の育成全般としては、高槻市では多くの施策を実施していて、そこには相応の人材を配置していると思います。その施策は確かに子どもたちの学力向上のためのものなのですけれども、より教育的効果の高い人材配置を行うために成果の検証、配置目的の精査を行い、成果の検証を踏まえて事業内容の改善策や見直しも求められるのではないかというふうに思います。

次に、豊かな人間性の育成について、
これについては、道徳教育といじめ問題についてですけれども、いじめ問題への国の取組というのは、いじめ防止対策推進法の制定、いじめ防止のための道徳教育の充実、その具体化としての特別の教科道徳の設置、および検定教科書の作成使用というようにすすめられてきました。そこでの授業のねらいは、いじめ、差別、偏見を許さない態度や強い正義感を育てることにあるとされています。ただ、それは理解はできても実際に行動することは容易ではないことでもあります。道徳的考え方や規範意識の理解に終わることなく、人間の本質を踏まえた実態に即した道徳教育であるよう進めていく必要があると思います。そして、いじめを含む友だち関係のトラブルというのは、人とのかかわりあいの中で生じ、展開し、発展もしくは解消していく問題です。学校生活全般の中で取り組まなければならない課題であって、授業中や部活動、生徒会活動、学校行事の取組など、様々な場面で、いじめやトラブルは起こるし、その機会を逃さず、道徳的価値観を考え、また見直しながら取り組んでいってもらいたいと思います。

健やかな心身の育成について、
いつも言っていることにはなりますが、私は、子どもの体力向上というのは、体育の授業改善、教師の意識改革につきると考えています。体力調査前に体力調査に向けた練習をすればデータは必ず向上しますが、その場合、データが向上したからといって、体力が向上したとは言えません。子どもたちが生涯にわたって運動に親しむために、一つ一つの運動が持つ楽しさを経験させ、子どもたちが「もっとやってみたい」と思えるような授業をしていくことが、本当の意味での子どもの体力向上だと思います。今ある体力調査のデータを参考に、それぞれの運動の持つ特性・楽しさを十分に研究して授業を行っていってもらいたいと思います。そのことが、多少時間はかかっても必ず体力向上にも結び付くことと考えています。
全国において、学校における運動事故、体育活動中の事故というのは、組体操・組立体操よりも、水泳、陸上競技、柔道、バスケやサッカー等の球技、跳び箱等の方が多いという発表もされています。危険を伴う活動や活動を行う際の前提を教員と児童生徒が共に認識すること、そして、事故発生の際の緊急マニュアルの作成・徹底を改めてしっかりしていくべきだと思います。

深堀基子委員
意見としてですが、

1、確かな学力の育成、
きめ細やかな学習指導の充実では、連携型小中一貫教育の観点から児童の市学力テストの結果個票を中学に引き継ぎ、各中学校区での学力向上に向けて活用するなど、小中一貫教育の授業改善を進める事ができた。とあります。今後も児童一人ひとりの発達段階を踏まえた共通認識をもって学習指導にあたる「学習指導の継続性」をお願いしたいと思います。
また、35人以下学級の実施、習熟度別指導やチームティーチングなどの指導やICTの活用等、授業改善の取り組みも引き続きお願いします。

2、豊かな人間性の育成、
「特別な教科 道徳」の小学校実施、31年度中学校実施に向けて、道徳教育推進教師連絡会を開催し、また、評価の在り方についての研究を行い、各学校でできるよう「評価文例集」を作成するなど、今後も「道徳科」の充実に向けた取組をお願いします。また、特定の価値観を児童に押し付ける事の無いように、「一人一人の考え方や感じ方を大切にした授業の展開の工夫をお願いします。
いじめ、不登校や問題行動なども、関係機関と連携しながら、今後も早期発見・早期解決に向けて取り組んで頂きたいと思います。

3、健やかな心身の育成、
防災・火災に関する避難訓練を、4回以上されている所と、1回という学校がありますが、地域性もあると思いますが、学校によって回数が違うというのは、どうなのかと思いました。
運動会等における組立体操を実施する際の事故防止対策の内容とは、どのようなものなのか。その結果前年度より事故件数が減ったとありますが、やはり昔に比べ児童の体力が無くなっているというように感じます。今後も児童、生徒が積極的に体を動かす機会を、家庭、地域と連携して、作っていただきたいと思います。

樽井弘三教育長
このことで、他に何かございませんでしょうか。

それでは、2つめ「子どもを取り巻く教育力を高める基本施策」に入ります。
「4 学校力の向上、5 家庭力の向上、6 地域力の向上」の項目について、委員の皆さん、何かご意見はございませんでしょうか。

八十祐治委員
学校力の向上について、意見を述べさせていただきます。
経験の浅い教員の指導力の一層の強化・育成が、近年の大きな課題になっており、現在、教員に対する様々な研修を実施されていると思います。今後も、学校を取り巻く様々な教育課題に対応できる教員の養成を行えるよう、その研修の実施状況や学校現場のニーズの把握に努め、研修そのものの在り方や手法の見直しを行い、一層、効果的・効率的なものになるよう継続的に取り組んでいってほしいと思っています。

美濃律委員
学校力の向上ですが、
学校力の向上には保護者の方々や地域の方々との連携が不可欠だと考えますので、今後とも緊密な連携をとられて、学校力・家庭力・地域力が共に向上することや児童生徒の健全な育成に努力していただきたいと思います。
校務の効率化の推進のところの校務支援ソフトの導入の件ですが、十分な検討を重ねていただき、これによって教職員の方々の多忙化が少しでも解消され、児童生徒と向き合える時間が増えるのであれば、すばらしいICTの活用であると思いますので、ぜひ慎重に進めていただきたいと思います。

家庭力の向上ですが、
児童虐待等は早期発見や関係機関との連携が重要だと思います。児童生徒の安全確認、安全確保を最優先に関係機関、関係部署との連携を深め、保護者支援等早期解決に向けた取組を進めていただきたいと思います。

地域力の向上ですが、
家庭や地域との連携や世代交流を担う図書館や公民館等の社会教育施設を効果的に活用し、子どもたちが地域のことについて考える機会を増やすように取り組んでいただきたいと思います。

深堀基子委員
これも何点か質問させていただきたいと思います。

4、学校力の向上
53ページの、「通学路における危険と思われる箇所連絡窓口」を設置し、保護者から寄せられた情報について随時対応を行った。とありますが何件ぐらいで、内容はどのようなものだったのか。
それと、児童の登下校時等における人的警備については、安全確保のために有効な手段であるが、今後、人件費上昇によるコストアップが予想されることから、学校警備手法の総合的な見直しの検討に取り組む。とありますが、児童の登下校時等における人的警備とはどういう警備のことをさしているのでしょうか。
64ページの、「学校図書館支援員」と「読書活動協力員」の違いを教えてください。
70ページの、希望する園児が月1回は利用できるよう「教育課程外の教育活動」(なかよしタイム)とありますが、各園1回の定員人数は何人なのか。希望者が多く、月1回しか利用できないのか、お聞かせください。

5、家庭力の向上
76ページの、スクールソーシャルワーカーが関わったケースで解決又は好転したケースは117件とありますが、何件あった中の117件なのでしょうか。

6、地域力の向上
79ページの、青年リーダー(キャンプリーダー)に対し研修を実施したとありますが、青年リーダーは何人いて、年齢はいくつぐらいなのか、お聞かせください。

樽井弘三教育長
6点質問がございましたが、関係課、答弁をお願いしたいと思います。

学校安全課長(今福幸正)
まず、通学路に関するお尋ねですが、通学路における危険と思われる箇所連絡窓口につきましては、昨年11月に開設いたしました。今年度につきましては、現在のところ約30件の連絡が寄せられております。主な内容といたしましては、グリーンベルトなどの路面表示や道路標識、横断歩道の補修や設置に関することをはじめ、ガードレールやガードパイプの設置に関するものでございます。現在改善に向けまして、関係課および関係機関との調整・連携を図っているところでございます。

続きまして、警備の関係で人的警備とはというお尋ねでございますが、現在、児童の登下校時の安全監視および在校中の不審者侵入防止を目的といたしまして、校門前に警備員、民間警備会社のほうに委託して配置をしているこちらの警備員のことでございます。なお、警備員につきましては、下校後そして学校休業日におきましても、学校施設の火災や盗難及びその他不法行為を防止するため、また保全を図ることを目的としまして、小学校だけではなく中学校も配置をしております。これらを含めまして人的警備と考えております。

教育指導課副主幹(杉野暁子
学校図書館支援員と読書活動協力員の違いですが、まず学校図書館支援員は小学校に配置しております。週4日間、1日6時間15分勤務の非常勤職員になります。業務内容としましては、学校図書館の整備や運営業務のみならず、学級担任が行う読書指導の補助をしたり、子どもたちの読書活動の充実に向けた多様な取組を支援しております。読書活動協力員は、中学校に配置しております。週2日、1日4時間半勤務の臨時的任用職員となります。業務内容としましては、学校図書館の整備、貸出業務を中心に司書教諭等の補助等、読書活動にかかわる業務をしております。

保育幼稚園総務課長(野谷研介)
なかよしタイムの件につきましてご答弁申し上げます。現在実施しておりますなかよしタイムにつきましては、近年の子どもたちにとって、地域における幅広い年齢層との関わり合いが希薄になる中、地域教育効果を補うために保育終了後に教育課程外の教育活動としてボランティア指導員協力の下、子どもたちに遊び場等を提供することを目的としております。1回あたりの定員や実施回数につきましては、ボランティア指導員1名あたり子ども10人、これを定員の基本といたしまして、在籍園児が月1回は利用できるようボランティア指導員を確保して実施しています。保護者の方からは回数を増やしてほしいといったご希望を多数いただいているところですが、近年のボランティア指導員の高齢化によりその確保が困難な状況になっていることや、制度本来の趣旨をふまえまして、現行の月1回の利用とさせていただいているところでございます。

教育指導課副主幹(武藤亮)
スクールソーシャルワーカーについてのお尋ねですが、解決または好転したケースは1035件中の117件でございます。解決した事例としましては、家庭環境が厳しいなどのさまざまな要因で不登校傾向だった生徒に、スクールソーシャルワーカーが関わることで、さまざまな関係機関と家庭がつながることができ、その結果、登校日数が徐々に増え、別室登校にいたるまで改善した事例がございます。また、児童虐待につきましても、学校・関係機関とも密に連携、モニタリングを行い、家庭支援などを行っております。

地域教育青少年課長(丹羽正裕)
青年リーダー(キャンプリーダー)に関するお尋ねでございますけれども、まず青年リーダーにつきましては、青少年の健全な育成を図る取組の一環といたしまして、18歳から29歳までの青年を対象として摂津峡青少年キャンプ場を拠点にして、年間を通じて、当課、地域教育青少年課が主催いたします自然体験活動事業等に参画をしている青少年ボランティアのことでございます。平成30年度の実績では、人数といたしましては32人の青年リーダーがおりまして、年齢構成につきましては、おおむね10代と20代が半数ずつとなっております。

深堀基子委員
意見としましては、

学校力の向上では、
昨年度は、大きな災害に見舞われ、学校の安全・安心、通学路の安全に特に力を入れて取り組んできたと思います。「通学路における危険と思われる箇所連絡窓口」を設置するなど、保護者や地域の声にも耳を傾け、対応を行っていただいたことに感謝します。児童生徒の安全・安心の取組に対し、評価委員のご意見でも、評価いただいています。今後も、引き続きの取組をお願いします。
幼稚園教育の充実では、3歳児を含めた異年齢学級保育の充実に向けた取組や、小学校教育との円滑な接続に向けて、就学前につけたい力について共通理解を進めていく等今後も、小学校教育との接続や連携を図っていただきたいと思います。
また、幼稚園や保育所がこども園に移行していきます。高槻市のホームページにも分かりやすく配置計画などの説明が載っていましたが、今後も園児や保護者が戸惑うことの無いように説明をお願いします。

家庭力の向上では、
先日ネットニュースの記事で、昨年度の児童虐待通告件数が、過去最多の7547件、都道府県別では1位東京、2位埼玉、3位大阪となっておりました。また、加害者の類型別では、実の父母が、計6937件で全体の92%を占めるとありました。なかなか、分かりづらい家庭内の問題ではありますが、今後も早期発見できるよう、関係機関と連携して、組織的な対応をお願いしたいと思います。

地域力の向上としまして、
放課後子ども教室が、ほぼ全小学校区で実施されるようになりました。早い所で、開設して4年目、5年目を迎える教室もあると思います。今後の方向性として、既設教室の開催日数の拡大を図るとありますが、地域人材の確保が難しい地域もあると思います。今後も、更なる支援をお願いいたします。

中村公美子委員
学校力の向上について、
安全・安心な学校づくりの1.安全対策の充実の中で、今後の方向性について、児童の登下校時等における人的警備については、今後見直しの検討に取り組むとあるのですが、小学校の警備員配置を見直すということでしょうか。もう少し具体的に教えていただいてもいいでしょうか。

学校安全課長(今福幸正)
警備に関するお尋ねですが、現在の学校の警備につきましては、警備員の配置としましては、小学校の登下校時や在校中だけではなく、下校後そして学校休業日につきましては施設保全を目的として配置しております。下校後および学校休業日につきましては中学校にも配置を行っております。また、夜間につきましては、小中学校ともに機械警備による警備体制をとっております。また、地域におきましても登下校時を中心にセーフティボランティアの方々が見守り活動を実施いただいているところでございます。一方、他の自治体では、学校の安全対策として学校施設に防犯カメラや侵入を監視するセンサーを設置するなど、そういった事例もございまして、警備手法というのは多様化しているところでございます。今後も最低賃金の上昇が見込まれている中、小中学校における警備員の配置、そして機械警備も含む学校の警備の総合的なあり方につきまして費用対効果も視野に、より安全かつ効果的・効率的な手法の検討に取り組む必要があると考えております。

中村公美子委員
学校力の向上について、
人的警備は、子どもたちにとっても自分の顔や名前を知ってくれている大人が校門にいるということ、また、教員とは違う顔・違う立場で子どもと接する大人としても、子どもたちの安心材料の一つになっていると思います。また、子どもだけでなく、学校としても、学校での生活が始まって終わる直前直後の子どもの姿を知る警備員との連携は、ある程度欠かせないものとなっていると思います。そういったことを踏まえての見直しをお願いしたいと思います。
セーフティボランティアについてですが、セーフティボランティアの方々は本当に献身的に、安全確保にご協力いただいているわけですが、セーフティボランティアの方々の高年齢化、若い方が少ないのではないかと感じています。今後いろんな機会、施策を通して、できるだけ若い人たちの中からもセーフティボランティアにご協力いただけるように心がけていかなければならないと思います。
次に、幼稚園教育等の充実、幼児教育についてですが、現場の教員や教育・保育に携わっている先生方からは、実際に子どもと接して感じる困惑、つまり臨床的まなざしから生まれる困惑と、時代の変化に伴う社会や家庭などの変化から生じる子ども観の違いから生まれる困惑という、二つのミクロとマクロの視点からの困惑というのを耳にします。絶えず変化する社会に適応するために、研修のさらなる充実や大学等との専門機関を行き来する仕組みを整えながら充実した幼児教育、そして教員や保育士の資質向上に努めていっていただきたいと思います。

次に、家庭力の向上についてですが、
現代社会は、子どもの貧困や少子化、核家族化、ひとり親家庭の増加など、子どもを育てる家族にとって厳しい情勢にあるといえます。そして、多くの家族が地域社会の機能の衰退を感じていて、近隣を子育てにおけるソーシャルサポートとして頼ることが難しい状況にあるのではないかと思います。子どもや子育て家庭への支援の体制が整備されつつあっても、ネットワークや資源を円滑に活用することができない背景、これには、このような地域のつながりの希薄化があると言われています。教育委員会でも、家庭教育支援に関わる対策を講じているものの、行政の取組だけでは十分とは言えず、市民団体・関係団体と行政との協働の在り方をますます模索していくべきだと思っています。

最後に、地域力の向上についてですが、
今も昔も自然体験活動は、地域社会で生き抜く力を育むことにつながって、地域の担い手をつくっていくと言われています。そんな中、摂津峡青少年キャンプ場について、北部地震や台風の影響等で一時閉場が余儀なくされたのにもかかわらず利用者数が前年とあまり変わらなかったというのは、とても評価できることではないかと思います。その要因に、情報発信につとめた、とありますが、改めて情報発信の大切さを感じます。今後、ますます充実させていっていただきたいと思います。

樽井弘三教育長
他よろしいでしょうか。
それでは私のほうから、今のいただいた意見をふまえて、大きな柱が1つ2つあるのですけれども、方向性として3つだけ整理をしておきたいと思います。確認ということでお願いしたいと思います。

まず1つは、安全安心の学校づくり。
今までずいぶん出てきたことですけれども、このたびの教育委員会の大きな機構改革の原点は、昨年6月18日のブロック塀の事故です。その事故をふまえて、とにかく子どもたちの安全・安心な学校を確保する、保証する、そういうような発想から、ハード面とソフト面の一元化を図る、ということで、そこが原点になって、こういう機構に変わってきているということをまず確認しておきたいと思います。ですから、子どもの安全・安心ということについては、全ての業務の中で優先的に配慮されなければならない。最低限ここは守っていかないと、確保していかないといけないと確認をしておきたいと思います。

それから2つめは、新学習指導要領が来年度から完全実施になりますので、その積極的な展開、積極的に利活用するというか、逆手に取るというか、そういうことをしていく必要がある。
「よりよい学校教育を通して、よりよい社会を創る」というこの理念、文部科学省が言っているのですけれども、われわれにとっては追い風だというふうに思っているところでございます。そのために、「知識理解の質を高める」ことと、それから「社会に開かれた教育課程」を展開する。この2つを柱に今後の施策展開をしていく。何より大人が一丸となって子どもを大人にしないといけない。地域の大人の人たちを、学校教育の当事者にしていく、その取組がいるのかなというふうに思っております。

最後3つめは、施設一体型の小中一貫教育校の設立に向けての検討であります。
長らく言ってきていることですけれども、いよいよスタートさせていかないといけない。平成28年度から、連携型小中一貫教育を進めております。成果は上がっているのですけれども、やはり、物理的な距離があるということの課題が解消できません。とりわけ学習指導の一貫というところに、一番のこれの狙いがあるのですけれども、ここが一番難しい。小学校5・6年生の教科担任制も含めて、検討に入っていかないといけない。
この春、文部科学省は、中央教育審議会に5・6年の教科担任制のあり方を諮問しました。この答えが数年後には出ます。おそらく前向きな答えになるだろうと思っていますが、そういった意味では、小中一貫のこのシステムというのは有効だろうというふうに思っています。その中でモデル的に施設一体型をどのように設立していけるのか、これは大きな課題だし、喫緊の課題だと思っているところでございます。

この3つですね、そしてそれをふまえて令和2年度に第1次の教育振興基本計画が切れます。もう来年度末ですね。ですから総括をして、次期教育振興基本計画の策定作業に入っていかないといけないということですので、今ご意見いただいたこともふまえて、今後の教育施策に生かしていくということが必要だろうというふうに思っています。

樽井弘三教育長
1点目2点目をふまえて、方向性について整理をさせていただきました。委員の方々、他に何かこれについてご意見ございませんでしょうか。
それでは、最後に、事業全般についての評価ということで、平成29年度の点検評価に関しては、「課題もあり、継続して努力していく必要があるが、各施策は目標や計画に沿っており、概ね良好に効果的な教育行政の推進がなされている。」という総括がなされていますが、平成30年度に関して、委員の皆さんのご意見を頂戴したいと思いますが、どなたかいかがですか。

中村公美子委員
それぞれの施策において、課題解決に向けて計画的かつ適切な取組が行われているのではないかと思います。そして、総体として一定の成果が得られ、充実した教育が行われているのではないかと、そのように思いますがいかがでしょうか。

樽井弘三教育長
中村委員のご意見でよろしいでしょうか。

(異議なし)

樽井弘三教育長
それでは、点検評価の報告書としての取りまとめですが、まず、点検評価表については原案どおり可決してご異議ございませんか。

(異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、点検評価表については原案どおり可決されました。

つぎに、本日、委員の皆様からいただいたご意見につきましては、総括的な評価として、とりまとめをさせていただきたいと思います。文書の作成につきましては、教育長に一任ということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、議案第33号「教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価について」は、高槻市教育委員会事務「点検・評価」表については原案どおり可決し、本日の意見をまとめた総括的な評価文書の作成につきましては、教育長に一任していただくことといたします。

ここで、日程第4と日程第5の審議の順番を変更いたします。

追加議案がございます。日程第5、議案第34号、「令和元年度歳出補正予算(第2号)教育費原案について」を議題といたします。提案理由の説明を求めます。

教育次長(土井恵一)(提案理由説明)
ただいま上程されました、日程第5、議案第34号、令和元年度歳出補正予算(第2号)教育費原案の決定につきまして、提案理由のご説明を申し上げます。

本件につきましては、9月5日から始まります9月市議会定例会に上程されるものですが、それに先がけ教育費の原案決定をお願いするものでございます。

それでは議案書1ページをご覧いただきたいと思います。
今回の補正でございますが、本年7月31日付け、中央最低賃金審議会の答申及び、8月5日付け、大阪地方最低賃金審議会の答申に基づき、大阪府における最低賃金額が引き上げられる見込みでございます。
これを踏まえまして、臨時的任用職員の一部職種の賃金額を引き上げることとし、これに伴う補正を行うもので、教育費の補正額は、歳出予算において127万5千円を増額いたすものでございます。
補正の内容でございますが、2ページから3ページにございますとおり、各費目におきまして、臨時賃金の増額をそれぞれ行うものでございます。

以上、誠に簡単な説明ではございますが、ご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。

樽井弘三教育長
ただいま、提案理由の説明が終わりましたが、委員の皆さん何かご質問はございませんでしょうか。

樽井弘三教育長
よろしいでしょうか。
それでは、無いようですので、採決に入ります。議案第34号、「令和元年度歳出補正予算(第2号)教育費原案について」を原案どおり可決してご異議ございませんか。

(異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議が無いようですので、議案第34号は、原案どおり可決されました。

続きまして、日程第4、承認第14号、「教職員人事の内申について」を議題といたします。

中村公美子委員
教育長、ただいま議題とされました案件は、人事案件ですので、秘密会にしてはいかがでしょうか。

樽井弘三教育長
ただいま、中村委員より、本件は人事案件にあたるので、秘密会にしてはとの発議がございましたが、委員の皆さん、秘密会にしてご異議はございませんか。

(異議なし)

樽井弘三教育長
ご異議がないようですので、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第14条第7項ただし書きの規定に基づき秘密会といたします。

-秘密会-

樽井弘三教育長
以上で、本日の日程がすべて終了いたしましたので、閉会といたします。

( 午後5時28分閉会 )