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こんにちは。教育委員会事務局教育次長の土井です。
新緑が目に鮮やかな季節となりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?市内でも新型コロナウイルス感染症対策を行いながら様々なイベントが開催され、まちに賑わいが戻ってきつつあることを大変嬉しく思っています。
今回は、子どもたちが学校で安全について学ぶための新しい教材、「たかつき安全NOTE」をご紹介したいと思います。
「たかつき安全NOTE」は、安全教育の質と量を充実させることを目的に、学校安全の3つの領域とされる「防犯などの日常の生活に関する安全」、「防災」及び「交通安全」を小学校・中学校の9年間で系統的に学べるよう作成した学習副読本で、子どもの発達段階に合わせ小学校1年生から3年生用、4年生から6年生用、中学用の3種類があり、今年3月に完成し、4月の新学期から各学校で活用しています。
これまで学校では、避難訓練、地域と連携した避難所開設訓練など各校でその内容を検討・工夫しながら安全教育に取り組んできました。
一方で、安全教育については各学校によって授業時間数や内容に差異が生じていて、教員から「安全教育を充実させたいが、何を使って教えれば良いか悩ましい。情報収集など、一からの準備が必要。」といった声もありました。
そうした要望を受け、学校安全のめざすべき姿である「全ての児童生徒等が、安全に関する資質・能力を身に付けること」の実現に向けて、より一層安全教育の充実を図る観点から作成しました。
ところで、皆さんは安全教育と聞いて、どのようなものをイメージされるでしょうか?
実は、「安全教育」という名前の授業はありません。ならば、どうやって教えているのかというと、理科の授業、社会の授業、保健体育の授業など、各教科の中で、安全教育に関わる分野について、横断的に指導しています。
例えば、小学校の理科では、「天気のしくみ」「雨水の流れ方やその行方」「土地は火山の噴火や地震によって変化すること」など、自然災害の基礎知識となることを学びます。同じく小学校の体育科の保健領域では、交通事故や身の回りの生活の危険などを取り上げ、けがの起こり方とその防止などについて学びます。小学校の社会では、生活の安全を守る社会のしくみなどについても学びます。
そうした学習を通じて、子どもたち自身が各教科で学んだことから自分の回りに潜む危険を察知し、回避するための正しい判断ができるよう結びつけていくことを目指します。
また、学習するなかでも、小学校に入ったばかりのピカピカの1年生と中学校3年生では理解できる内容もずいぶん違います。例えば地震などで災害が発生したときのことを学ぶ場合、小学校低学年の子どもたちは、まずは自らの身を守る行動をとることが最優先となりますが、中学生にもなると、自分のことだけでなく周囲のことも見えてくるようになりますので、自らの安全を確保しながら、周りで困っている人のことも助けるためにどうすればよいか学ぶことが重要です。「自助」から「共助」に、発達の段階に応じて、学ぶ内容を深めていく必要があります。
このような教育現場の現状を踏まえて、「たかつき安全NOTE」の活用を通じて、教科横断的に安全について学んでもらうことに加え、防犯、防災、交通安全の3つの領域から、子どもたちそれぞれの発達段階にマッチした安全教育を進め、安全に関する資質・能力を身に付けてもらいたいと考えています。
「たかつき安全NOTE」の作成にあたっては、3つの領域における専門家や学校現場の先生の意見もいただきながら、様々な工夫を盛り込みました。
例えば、普段から校区安全マップや登下校時の見守り活動を実施いただいているセーフティボランティア、「こども見守り中」の旗、大阪府北部地震や平成30年台風21号の被害、通学路などに設置してあるストップマークについて記載するなど、高槻市の子どもたちが実際に体験した出来事や普段からよく目にしている物から学習できるように教材を作成し、自ら学べるように工夫しました。
また、せっかく作成するからには、子どもたちが楽しみながら学んでもらうことも大事だと考え、本市のマスコットキャラクターの「はにたん」に「たかつき安全NOTE」のナビゲーターとして登場してもらいました。
安全教育副読本のページの一部(「生活安全(防犯)」・「災害安全(防災)」・「交通安全」)
全国的には、防災、とりわけ地震災害を対象とした教材を作成する事例は、被災地や大規模地震の発生が想定される地域などを中心に多く見られます。しかし、防災だけでなく、防犯、交通安全を含めた、安全教育で必要となる3つの領域全てを網羅し、そのうえ地域の特性や取組を反映した独自の教材を作成し、教育現場で活用する取組は、全国でもあまり例がない特徴的なものであると考えています。小中学校の9年間を通じ、繰り返し、系統的・体系的に安全教育を行い、子どもたちが安全についてしっかりとした学びを深めていくことで、「自分ごと」の学びにつなげられるように、「たかつき安全NOTE」を活用し取組を進めていきたいと考えています。
今後、教育現場での「安全教育」は、この「たかつき安全NOTE」の活用を中心に、ますますの充実を図っていきます。それと並行して、安全安心な通学路や学校施設の確保等にも全力で取り組みます。こうした取組には、保護者や地域の皆さんをはじめとした、市民の皆さんのご理解・ご協力が必要不可欠なものだと日々実感しています。これまでも、PTAや地域の皆さんには子どもたちの安全安心な学校づくりにご協力いただいていて、感謝の念に堪えません。「高槻の子どもたちは、高槻のかけがえのない宝物」という思いを忘れず、これからも、学校現場と地域の皆さんが力を合わせながら子どもたちの笑顔を守り続けていければと思います。
高槻だけのオリジナル!安全教育副読本「たかつき安全NOTE」
セーフティボランティアによる子どもの見守り活動を実施しています
土井 恵一
1965年(昭和40年)大阪府生まれ。2019年(令和元年)8月から現職。