○開発事業の手続等に関する条例

平成14年12月20日

条例第42号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 事前協議等(第7条・第8条)

第3章 開発事業の計画(第9条・第10条)

第4章 市街化調整区域における開発事業(第11条)

第5章 中高層建築物の建築(第12条―第14条)

第6章 公共施設等の計画(第15条―第26条)

第7章 雑則(第27条―第33条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、開発事業が地域の都市環境に及ぼす影響の重要性に鑑み、市及び事業主の責務を明らかにするとともに、開発事業の事前協議の手続並びに事業主に対し市が行う指導及び調整に関し基本となる事項その他必要な事項を定めることにより、良好な都市環境の保全及び形成を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 開発事業 土地の区画形質の変更及び建築行為をいう。

(2) 建築行為 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第13号に規定する建築又は同法第87条第1項に規定する用途の変更をいう。

(3) 事業主 開発事業を行う者をいう。

(4) 施行区域 開発事業を行う区域をいう。

(5) 地域 施行区域及びその周辺地域をいう。

(6) 公共施設等 都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第14項に規定する公共施設及び給水装置、ごみ集積場、集会施設、学校教育施設、バス停留所その他開発事業に伴い公益上必要となる施設をいう。

(7) 中心市街地 交通流動の主要な結節点として市街地機能を形成する区域で、規則で定めるものをいう。

(8) 中高層建築物 別表に規定する高さ又は階数を有する建築物をいう。

(市の責務)

第3条 市は、地域における良好な都市環境の保全及び形成が市域全体の都市環境の向上につながるとの認識に立ち、開発事業における適切な指導及び調整を行うとともに、開発事業に関連して公共施設等の基盤の整備その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(事業主の責務)

第4条 事業主は、開発事業により地域の自然環境及び良好な都市環境が損なわれることのないよう必要な措置を講ずるとともに、当該自然環境及び都市環境を保全し、又は形成するための市の施策に協力しなければならない。

(適用範囲等)

第5条 この条例は、次のいずれかに該当する開発事業に適用する。

(1) 施行区域の面積が500平方メートル(建築物の建築を目的としない場合は、1,000平方メートル)以上の土地の区画形質の変更

(2) 施行区域の面積が500平方メートル以上の建築行為(増築、改築等を目的とするもので当該面積が1,000平方メートル未満のものを除く。)

(3) 都市計画法第29条に規定する開発行為の許可を要する開発事業又は建築基準法第42条第1項第5号に規定する道路の位置の指定を要する開発事業(前2号に掲げるものを除く。)

(4) 長屋(3戸以上のものに限る。以下同じ。)又は共同住宅の建築行為

(5) 中高層建築物の建築行為

2 隣接して行われる2以上の開発事業は、1の開発事業とみなして、前項の規定を適用する。ただし、一体的ではないと市長が認めるものにあっては、この限りでない。

第6条 前条第1項の規定にかかわらず、次に掲げる開発事業については、適用しない。

(1) 国又は地方公共団体が行う開発事業

(2) 都市計画事業その他の事業で計画的な土地利用が行われるものであるとして市長が定める開発事業

2 前項各号に掲げる開発事業の事業主は、必要に応じて市長と協議するとともに、開発事業の計画を策定する場合には、この条例の規定を遵守するよう努めなければならない。

第2章 事前協議等

(事前協議)

第7条 事業主は、都市計画法、建築基準法、農地法(昭和27年法律第229号)その他開発事業に関係する法令(以下「関係法令」という。)に基づく許可又は認可(以下「許可等」という。)の申請又は届出を行う前(当該申請又は届出を要しない開発事業にあっては、当該開発事業に着手する前)に、規則で定めるところにより、当該開発事業の計画について市長と協議しなければならない。当該計画を変更する場合も、同様とする。

2 市長及び事業主は、前項の規定による協議(以下「事前協議」という。)について、合意に達したときは、これを証する文書(以下「覚書」という。)を締結するものとする。

3 事業主は、覚書の締結の後(関係法令に基づく許可等を受けたものにあっては、当該許可等の後)2年以内に開発事業に着手しなかった場合において、当該開発事業に着手しようとするときは、改めて事前協議をしなければならない。

4 事業主は、覚書の締結の後に当該開発事業に係る当該事業主の地位の全部又は一部を他の者に承継させるときは、当該承継させる者に当該覚書の内容を承継させるとともに、その旨を市長に届け出なければならない。

(計画の公開等)

第8条 事業主は、事前協議を申し出た後、速やかに、規則で定めるところにより当該開発事業の計画についての概要を記載した標識を設置しなければならない。

2 前項の標識は、施行区域の道路に面した箇所その他公衆の見やすい位置に、規則で定める期間、設置しなければならない。

3 事業主は、開発事業について紛争の生じることのないよう、施行区域の周辺住民及び利害関係者の求めに応じて、当該開発事業の計画の内容、施工方法等を周知するための説明会等を行わなければならない。

第3章 開発事業の計画

(遵守すべき基本事項)

第9条 事業主は、開発事業の計画を策定するに当たっては、次に掲げる基本事項を遵守しなければならない。

(1) 施行区域の選定に当たっては、地域の自然環境及び都市環境に悪影響が生じないよう配慮すること。

(2) 計画の内容は、総合計画、都市計画マスタープラン等の市が定める計画に即したものとすること。

(3) 施行区域に文化財が存する場合には、その保護に努めること。

(4) 施行区域の緑化に努めるとともに、当該施行区域に樹林等が生育する土地等がある場合には、できる限りその保全等必要な措置を講ずること。

(5) 開発事業により環境に重大な影響を及ぼすおそれがある場合には、別に定めるところにより環境影響評価を行うこと。

(6) 中心市街地における開発事業にあっては、敷地の統合化、公開空地等の公共的空間の創出、景観上の配慮等に努めるとともに、中心市街地にふさわしい都市空間の形成を図ること。

(7) 住宅の建築を目的とする開発事業(以下「住宅開発事業」という。)にあっては、良好な住環境を確保すること。

(8) 主として店舗、事務所、工場等(以下「業務施設」という。)の建築を目的とする開発事業にあっては、当該業務の形態、規模等を勘案して、適切に建築物を配置し、施設を設置するとともに、当該開発事業の施行区域が住宅に隣接し、又は近接するものは、その住環境に配慮すること。

(9) 街区の構成に当たっては、地形、地盤の性質、日照、採光、通風、人等の動線、埋設物に対する便宜、予定建築物等を総合的に勘案して定めること。

(10) 主として長屋若しくは共同住宅又は業務施設の建築を目的とする開発事業にあっては、道路における安全かつ円滑な通行を阻害することのないよう、自転車及び自動車の駐車場を設置すること。

2 市長は、前項の基本事項についての指針を策定するものとする。

(地区計画制度等の活用)

第10条 市長及び事業主は、互いに協力し、地域の良好な都市環境を形成し、及び保全するため、地区計画、建築協定、緑地協定等の制度の活用に努めるものとする。

第4章 市街化調整区域における開発事業

(市街化調整区域における公共施設等の整備)

第11条 市街化調整区域(都市計画法第7条第1項に規定する市街化調整区域をいう。)における開発事業に関連する公共施設等の整備は、事業主の負担において行わなければならない。

第5章 中高層建築物の建築

(中高層建築物の建築計画の説明等)

第12条 中高層建築物を建築しようとする事業主(以下「建築主」という。)は、日照、採光、通風その他当該建築物が地域に与える影響を十分理解して、市長が定める指針に従い、第8条第3項の説明会等を行わなければならない。

2 建築主は、前項の説明会等を行った後、事前協議が終るまでの間に、施行区域の周辺住民と中高層建築物の建築行為等に係る協定書を締結するよう努めなければならない。

3 建築主は、前項の協定書を締結するに至らなかったときは、規則で定めるところにより、第8条第3項の説明会等の内容及び当該締結に至らなかった経過を記載した報告書(以下「協議経過報告書」という。)を市長に提出しなければならない。

4 市長は、協議経過報告書の提出があったときは、規則で定めるところにより、当該報告書を閲覧に供するものとする。

(公共施設等に対する日影協議)

第13条 建築主は、中高層建築物の建築を行うときは、学校、児童福祉施設、老人福祉施設その他の市長が定める建築物及び公園に対して日影となる部分が生じないよう配慮するとともに、日影となる部分が生じる場合には、これらの施設の設置者又は管理者と協議しなければならない。

(電波障害)

第14条 建築主は、中高層建築物の建築によりテレビジョンの電波障害が発生することが予想されるときは、事前に必要な調査を行い、当該電波障害を排除するための措置について当該電波障害を受ける者と協議しなければならない。

第6章 公共施設等の計画

(公共施設整備協力金)

第15条 市長は、開発事業に関連して周辺地域における公共施設等の基盤の整備を行う費用に充てるため、必要に応じて事業主に対して公共施設等整備協力金の提供を求めることができる。

(道路)

第16条 事業主は、施行区域に道路を配置(既設の道路を改良する場合を含む。)するときは、歩行者の動態、通行車両の種類、交通量等を勘案し、当該道路についての安全の確保に十分配慮しなければならない。

(公園等)

第17条 事業主は、地域の住民が休息、遊戯等を行うとともに災害の防止及び非常時の避難の用に供するための必要な公園、緑地、広場等を設置しなければならない。

(給水装置等)

第18条 事業主は、施行区域の規模、予定建築物等の用途等に応じた適正な給水装置を設置しなければならない。

2 事業主は、施行区域に至る配水管の設置が必要な場合にあっては、高槻市水道事業の管理者と協議しなければならない。

(令5条例23・一部改正)

(排水施設)

第19条 事業主は、施行区域の規模、地形、予定建築物等の用途等から想定される雨水、汚水等を有効に排出できる排水施設を設置しなければならない。

(消防水利等)

第20条 事業主は、消防の水利を確保するため、防火水そう、消火栓又はこれらと同等の能力を有する施設を設置しなければならない。

2 事業主は、建築物を建築する場合にあっては、その規模、高さに応じ、火災に際し2方向に自力避難が可能な避難施設又は避難設備を設けなければならない。

3 事業主は、前項の避難施設又は避難設備によっては安全の確保が困難であると認められる規模又は高さの建築物を建築する場合にあっては、消防活動を行うために必要な消防車両の進入路及び操作空地を確保しなければならない。

(ごみ集積場等)

第21条 事業主は、施行区域で発生が想定される一般廃棄物の排出量に応じて、必要なごみ集積場を設置しなければならない。

2 事業主は、施行区域の建築物から排出されるし尿及び雑排水を公共下水道以外に放流しようとする場合には、合併処理浄化槽(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第32条第1項に規定する合併処理浄化槽をいう。)を設置しなければならない。

(集会施設)

第22条 住宅開発事業を行う事業主は、当該事業の規模に応じ、施行区域にコミュニティ活動の用に供する集会施設を適正に設置しなければならない。

(学校教育施設等)

第23条 住宅開発事業を行う事業主は、地域の住民の就学等について関係行政機関と協議しなければならない。

2 住宅開発事業の事業主は、当該事業により、保育所、幼稚園、小学校又は中学校の新設、増設等が必要となる場合は、当該施設の用地等を適正に確保しなければならない。

(バスの停留所等の設置等)

第24条 住宅開発事業を行う事業主は、地域の住民の公共交通機関の利用に配慮して、道路の配置、バスの停留所の設置等の計画を策定しなければならない。

2 事業主は、前項の計画を定めるに当たっては、高槻市自動車運送事業の管理者と協議しなければならない。

(令5条例23・一部改正)

(行政機関の施設)

第25条 事業主は、開発事業の規模により市長が必要と認めるときは、支所、出張所、消防署その他の行政機関の施設を適切に配置できるように必要な用地を確保しなければならない。

(公共施設等の計画に係る指針の策定)

第26条 市長は、第15条から前条までの規定の基準となる指針を策定するものとする。

第7章 雑則

(指針の公表)

第27条 市長は、この条例の規定に基づき開発事業に関する指針を定めたときは、これを公表するものとする。

(立入調査等)

第28条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、職員に施行区域又は建築物内に立ち入り、必要な事項を調査させ、又は関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

(工事完了の届出)

第29条 事業主は、開発事業の工事が完了したときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。

(検査)

第30条 市長は、前条の規定による届出があった場合は、当該開発事業がこの条例に規定する事項及び第7条第2項の覚書において合意した事項に適合して施行されているかどうかを検査するものとする。

2 市長は、開発事業の進捗状況に応じ必要があると認めるときは、中間検査を行うことができる。

3 市長は、前2項の規定により検査を行った場合は、その結果を事業主に通知するものとする。

(指導、勧告及び命令)

第31条 市長は、この条例の規定に違反し、又は市長が定める指針を遵守しない事業主に対し、必要な措置を採ることを指導し、若しくは勧告し、又は命ずることができる。

(公表)

第32条 市長は、事業主が前条の規定による勧告又は命令に従わなかったときは、当該事業主の氏名又は名称、勧告又は命令の内容その他市長が必要と認める事項を公表することができる。

(委任)

第33条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

この条例は、平成15年4月1日から施行し、同日以後に新たに事前協議を行う開発事業について適用する。

(令和5年7月14日条例第23号)

(施行期日)

第1条 この条例は、令和5年8月1日から施行する。

別表(第2条関係)

地域等の区分

高さ又は階数

第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域

軒の高さが7メートルを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物

第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域及び準工業地域

高さが10メートルを超える建築物

商業地域及び工業地域

高さが12.5メートルを超える建築物

市街化調整区域

高さが10メートルを超える建築物

開発事業の手続等に関する条例

平成14年12月20日 条例第42号

(令和5年8月1日施行)

体系情報
第10編 設/第1章 土木・建設・都市計画
沿革情報
平成14年12月20日 条例第42号
令和5年7月14日 条例第23号