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〜外国為替証拠金取引について〜
弁護士 松本洋介
(1) はじめに
「外国為替証拠金取引」「外国為替保証金取引」「通貨証拠金取引」「FX」などと呼ばれる金融商品(以下総称して「外国為替証拠金取引」といいます)のトラブルが多発しています。外国為替証拠金取引は、1998年4月の外国為替及び外国貿易法(外為法)改正により、外国為替業務に関する規制が撤廃されたことを期に登場したもので、商品先物業者系、証券会社系、そのほかの独立系業者など多様な業者が取り扱っていますが、特に取引の実態のはっきりしない取扱業者に関するトラブルが目立っています。また、昨年11月には、外国為替証拠金取引を取り扱う業者が破綻し、多数の消費者が多額の被害を被ったというケースもありました。
国民生活センターをはじめ各地の消費生活センターには、この外国為替証拠金取引に関する相談が急増しています。国民生活センターの発表によると、2000年度に28件であった相談件数が2002年度には724件に達し、2003年度の上期においても前年度の同時期に比べ2倍の勢いで増加傾向が続いているということです。被害者は60歳以上の人が過半数を占め、中には90歳以上の高齢者も含まれています。年金などで生計を立てている高齢者からの相談もあり、営業員の甘言を信じ、「虎の子」を預けたが元本の大半を失ったという相談も珍しくなく、老後の生活資金の設計に多大な支障が生じたケースすらあるとのことです。
(2) 外国為替証拠金取引とは
そもそも、
外国為替証拠金取引とは、一定の「証拠金」「保証金」を預けると、それをはるかに超える額(例えば、証拠金の10倍など)で外国通貨の売買ができるという取引のことをいいます。
例えば、1万ドルの証拠金を預けて、10万ドルの取引を行ったとすると、1ドル=110円の時に10万ドルを買い付け、これを1ドル=115円の時に決済したとすると、50万円の利益となります(115円−110円=5円×10万倍=50万円)。逆に、1ドル=105円の時に決済したとすると、50万円の損失になります(実際にはスワップ金利と呼ばれる金利差の調整や委託手数料が絡むため損益の計算はもっと複雑になります)。
このように、外国為替証拠金取引は、取扱業者に一定の「証拠金」を預けて信用を供与してもらうことで、少額な資金で多額な外国通貨の取引が可能であり、大きな利益が期待できる半面、相場が予想に反した場合、その分損失も大きくなります。
取引中に計算上の損失が生じ、必要な「証拠金」の一定割合(例えば50%)を割り込んだ場合、その取引を終了させるか、さらに取引を維持するかを選択することになります。維持する場合は、追証と呼ばれる追加の「証拠金」を新たに預けなくてはなりません。取扱業者のシステムにもよりますが、預けた「証拠金」全額の損失、さらにはそれを超える損失を被る可能性もある非常にハイリスクな商品ということができます。
トラブルから訴訟に発展したケースの中には、取扱業者が行っている取引は「外国為替相場における通貨交換価値を指標とする賭博行為に過ぎない」と判示されたものもあります。
【こんな“勧誘トーク”に注意!!】
○「低金利で遊ばせるのはもったいない」
○「今が絶好のチャンス!」
○「投資率抜群!」
○「外国金利より有利!」
(3) 監督官庁、規制する法律の不存在
このように、外国為替証拠金取引がハイリスクな商品であり、トラブルが多発しているにもかかわらず、この取引に関しては、現在のところ監督官庁も定まっていませんし、規制する法律もありません。
この点、大阪弁護士会では、昨年9月、金融庁などに対し、外国為替証拠金取引を規制する法律を早期に成立させることなどを申入の趣旨とした「外国為替証拠金取引に関する申入書」を提出しました。また、日本弁護士連合会も、昨年11月、外国為替証拠金取引についての立法措置の要請などを内容とする意見を発表しています(なお、金融庁は、昨年12月、金融商品の販売などに関する法律施行令の一部を改正する政令(案)の公表について、パブリックコメントを募集しており、この改正がなされた場合、外国為替証拠金取引について、その取引の実態が金融などデリバティブ取引に該当するのであれば、金融商品の販売などに関する法律の対象となるという見解を示しています)。
(4) 主な相談事例とアドバイス
国民生活センターの発表によりますと、相談の内容は、投資経験のない高齢者への執拗な電話勧誘や自宅への訪問、取引内容についての説明不足や事実と異なる説明、相場などについての断定的判断の提供、仕切り(決済)回避、無断売買ということです。
しかし、いずれにせよ、先に述べましたように、取引の実態がはっきりしない取扱業者が参入している上、そもそも将来の為替相場など誰にも予測することはできないものであり、
外国為替証拠金取引は、公正な取引が行われたとしても非常にリスクの高いものですので、一般消費者ましてや高齢者が決して手を出すような取引ではありません。
勧誘の電話や訪問を受けた場合には、
「自分には必要ありません。これ以上勧誘しないでください。」とはっきり断りましょう。
また、トラブルにあってしまった場合は、消費生活センターや弁護士へ相談しましょう。
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